なんか転移したのでチート能力で頑張ります。

山下 昇

第28話 怪物戦 [決着]

まず俺は、「正悪分離」で、万が一のために「正義執行」が効くかどうかを確認した。
すると、答えは正義執行は効く。とのことだ。
よし、これで何とか万が一の事態への備えは出来た。

さて、なら行くか!
俺は一歩踏み出した瞬間、超常的な加速をした。
狙うはあいつの手。
手と足さえ何とか出来れば相手との戦闘もある程度は楽になるだろうと考えているからだ。

そして俺は加速の勢いで怪物に特攻する。と同時にとある魔法を唱えた。
正直、初めてやるから失敗しそうだが殺るしかない。
そう思いつつも俺は躊躇うことなく、唱えた。
「アイシクルソード」
この魔法は氷属性の攻撃魔法なのだが、使いかたによっては手に纏った状態にして武器にすることも可能である。
今回の場合、武器用として唱えたため、手刀のような形になってその姿を現した。

…ふぅ、何とか出来たな。
この魔法を何処で覚えたかというと、領主邸に行ったときにである。
領主邸の俺が待つように指示された部屋には大量の本があった。
その中には魔法の書というものもあったので俺はその中身を必死になって覚えた。
その中身に、今唱えたアイシクルソードもあったのだ。
この魔法は中級魔法と言われる俺がよく使っているファイアーボール等の初級魔法の上位版らしく、威力も違う。
その威力や、使い方もあり、唱えて行使する難度が高くなっているので不器用な俺に出来るかと不安になったが、何とか出来て良かった。

しかし、よくもまぁあんな本があったなとも思う。
本は一般的に高価なものである。
特に魔法の書等は物凄い価値があると言われている。
そんな本が中級魔法の書とはいえ、客人をもてなす部屋の内の一つにあったのだ。
まぁでもそこら辺は流石領主といったところだろうか。

…いやこんなこと考えている暇はなかった。
俺はそのアイシクルソードを纏った手で加速の勢いのまま、怪物の股をすり抜ける形で右手を狙い、切る。

しかし、流石にそんな簡単には決めさせてはくれず、怪物はその切りを上手くかわすと同時にアイシクルソードの刃を持って俺を遠くに投げつけた。
俺は加速の勢いそのまま、約100メートル飛ばされた。
しかし、流石に飛ばさたとは言え、ダメージを受けたくはないので、上手く着地した。
「力が異常に強いな…」
どうやら、力では勝てないらしい。
しかし、それはアイシクルソードを受けたくはないという意思表示でもある。
ならば…
俺は全速力であの怪物の元に駆けていく。しかし、駆けるだけでは収まらない。
俺は平行して、とある合体魔法を唱える為に詠唱を繰り返した。
しかし、これは非常に危険な行為である。
まず、平行魔法だけでも難度が高いのに、それを同時に2つの魔法を繰り出し、さらにその魔法を合体技として行使しようとしているのだ。
おまけに、勿論一度も使ったことはない。
というか、アイシクルソードもさっき使ってみたばかりなのだ。
しかし、もう正直お腹は減ったし、さっさと終わらせたい。
おまけに出来ないことはない。

なら、俺はやるさ。昔から楽な方、楽な方へと逃げていた俺の底力を見せてやるよ!

俺はそして同時に魔法を唱える。
「アイシクルソード!拡大!」「ファイアーボール!」
そうして、唱えた魔法を合体させる。
この調整が重要だ。お互いを調和させる為に、お互いの温度を上手い具合に維持していなくてはいけない。
…、後もう少し。…よし!
そうして、何とかその維持を成功させた。

こうして、出来上がったものは、炎と氷を纏った、言うなれば氷炎剣だろうか。
この2つを兼ね備えた剣を生成したことによって、更に切れ味が増し、更に切りつけた対象には、炎属性と、氷属性の攻撃を食らわせる。

さて、準備は出来た。
俺はその剣の状態を維持させつつ、更に自らを加速させていく。

…来た!
怪物はあの剣の一撃が致命傷になることを理解したらしく、俺の剣から逃れて自分の得意な近接に持ち込もうと、あちらから此方に接近してくるが、そんな近接戦に持ち込んでまで、てめぇとの戦闘はやりたくはない。
だから、この一撃で仕留める。
俺は今自分が出せる全速力で怪物に切り込んでいく。
怪物もまた、俺の攻撃を上手く受け流そうとするが、遅い。
俺はトップスピードに身体をのせて、突きを繰り出す。
怪物は、避けようとするがもう遅い。
俺は
「はぁーーー!!!」
と声を荒げて、怪物に突きを繰り出し、そして、怪物は
「lnienksjahmeーーーー!!!!」
と悲鳴を上げて跡形もなく、消え去っていった。
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そんな戦闘を見届けていた人物が存在した。
その人物は、その戦闘を見届けてからこう呟いた。
「素晴らしい力だな。確かに盟主があやつを狙っているだけはあるな。」
と呟いて、更に
「さて、私もこの戦いを見届けた訳だ。…我らの盟主の目標の邪魔者の処理にでも向かうとするか。」
といい残し、この場をさった。
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こうして、何とかあの怪物サイズの奴を倒した俺達は残った兵達に投降勧告をし、その場にいる全員がそれを飲み、この戦いは終わりを迎えたのであった。
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ここは領主邸の領主の部屋、ここに一人の男が笑みを浮かべながら立っていた。
「さて、直にもうすぐいい知らせが届くであろう。」
と一人、葡萄酒を飲みながら寛いでいた。
そうしていると、一人の男が目の前に現れた。
「貴様は…なぜここにいる。」
そう目の前にいたのは盟主の懐刀とも言われている男だった。
「何、盟主様より直々に貴様に伝えよ。との仰せを頂いてだな。…全く、人使いが荒いお人よ。」
と微笑を浮かべながらそう言った。
「それでなんだ?その私に伝えて欲しいと言われたものは。私も忙しい身だからな、手短にして頂きたいのだが。」
と言うと、その男は微笑を浮かべながら驚きの言葉を告げてきた。
「何、簡単な話さ。…貴様はもう用済みというわけだよ。」
「何?どういうことだ!」
「簡単な話さ、貴様は盟主様への忠誠を誓っておきながら数々の愚行を行ってきたであろう?今回の新垣真琴の捕獲も。」
「くっ…しかしそれは、盟主様も私の計画を認めて下さったはずだ。あの怪物のような強さを持った人造のモンスターをわざわざ私に下さったということは!それがなぜだ!」
「簡単な話ですよ。…その計画も新垣真琴には通じないということですよ。」
「…何?」
「先ほど、私のところに情報が回ってきました。…今回の新垣真琴の捕獲作戦は失敗に終わったと。実際、あの人造の怪物も新垣真琴の前に消滅し、あなたの部隊も降伏したそうです。」
「そんな訳が!私は完璧だったはずだ!」
「まぁ、もうよいでしょう。この件によぅて盟主様より私は指令を受けました。…あなたを抹殺せよとのね…」
と言った瞬間、私の視界は暗闇に包また。

「はぁ、盟主様もこんな無能に構ってしまって…」
と男は呟く。
「さて、盟主様の人使いは荒い。次の仕事に移るとしますか。」
と言ってこの場から姿を消した。

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