創成の転生者〜最強魔導師の転生記〜
第40話 予想外
2人をしばらく撫で続けた後、王女様たちに動きがあったので、草原に行くことにした。なので精霊たちには戻ってもらうことになった。
「そろそろ行くからさ。離れてもらえない?」
「もう少し・・・だけ・・・」
「私もあと少しだけ補充を・・・」
「何をだよ・・・」
甘えん坊な精霊たちだ。正直このまま撫で続けていた方が精霊たちの機嫌もいいままなのだが、そうも言ってられない。僕は交換条件を提示することにした。
「頼むから今は離れてくれないかな?代わりに、任務が終わったら一緒に寝てあげるから」
「わか、りました」
「それなら仕方ないですね。約束ですよ?」
「・・・ソールは襲わないことな?」
「そんな!?」
ソールは絶望したような顔を作る。が、流石にこれは譲れない。何があって自分の契約精霊に襲われなければならない。そこで女性に対して苦手意識を持つようなことはあってはならない。ルーグはそのような心配はないので、特に忠告はしない。そんなことをする子ではないのだ。
「じゃあ、僕は草原に戻るよ」
「私も、帰り、ます」
「グスッ・・仕方ありません。私も精霊界に戻ります・・」
「ソール、これは僕にとって譲れないことなんだ。諦めて」
「ユリの気持ちが変わることをお待ちしております・・」
「多分変わらないと思うけどね」
最後にそんなやりとりをしてから、精霊たちは帰還した。精霊界にいるので、いつでも顕現できるのだが。僕が力を貸して欲しい時にはこちらに顕現してもらうか、向こうから僕の魔法に直接補正を加えてくれるのだ。
「さて、そろそろ行こうかな」
僕は王女様の元まで、透明化した状態で転移した。
◇
僕が転移すると、なにやら草原が騒がしかった。何かあったようだが、一先ず僕は王女様の姿を探す。反応は草原にあるのでいるはずだが・・・
「それは本当のことなのか!」
「お、俺たちの目の前にいて、攻撃されたんです!嘘なんか言いませんよ!」
どうやら先生と生徒が何かを話しているようだ。ここまで動揺することは一体・・・?
僕が首を傾げていると、王女様を発見した。
「な、なにかあったんですか?」
「ああ、ちょうどよかった。森にドラゴンが出たらしい」
「ド、ドラゴンが!?」
「あの・・それ森に入るの危険なんじゃ・・?」
どうやらドラゴンが出たようだ。だが、僕が知る限り、炎を吹くドラゴン種は森にはいないはずだが・・
「まあ、空を飛ぶ類じゃあない。羽根のない地龍だ。吐くのも火じゃなくて空気のブレスだからな。危険なことに変わりはないが」
僕の想像したドラゴンがではないようだ。地龍ならそこまでランクは高くないはずだ。高くてもAランク程度だろう。もっとも、生徒たちが敵うかは明白であるが・・・・。
「とりあえず、あんまり深くはいかないようにした方がいいな。俺がそいつを見つけてくる。確か方角は・・西の方だったか?」
「は、はい!その方角の奥です!」
「よし。王女様たちは違う方向に行くんだ。危険はそっちの方が無いからな」
先生が相手に行くようだ。が、それでは王女様たちに遭遇する可能性を0にはできない。
「【索敵を再開しろ その地龍の場所も伝えろ】」
僕は索敵を再開し、その地龍の現在地も把握する。
(やっぱり移動してるな・・・)
懸念通り、すでに西から移動しており、今は東の森にいるようだ。
「じゃあ、私たちは東に行こう」
「は、はい!じゃあ先生、気をつけてください!」
「そっちもな」
なんと王女様たちも東に向かうそうだ。これはさっさと終わらせた方が良さそうだ。
(急いで行くか)
僕は地龍の元まで転移をした。
 ◇
「な、なんだこれ・・・」
転移した先では、異様な光景が広がっていた。
僕は地龍がいる座標の上空に転移した。が、そこから見える森の様子が明らかにおかしい。少し先にある森が真っ黒になっているのだ。まだ太陽は出ているのだが、まるで夜のようだ。
「これは一体・・・」
僕が混乱していると、突如として僕の下から雄叫びのようなものが聞こえた。
”グルアアアアアアアアアアア!”
「・・まずは地龍を先に仕留めよう。あれはその後だ!」
地面まで降下すると、緑色の体色をしていたであろう地龍がそこにいた。
憶測なのは、すでにその身体の大部分が黒い何かで覆われていたからである。
「多分、さっきのあれが関係しているんだろうな・・・」
先程の黒い森。いや、正確に言えば森を黒くしているなにかか。
少し前に戦ったスパイダーコングのことを思い出す。あれは、本体を倒しても黒いコピーが出現するというものだった。
ということは今回も・・・。
”グアアアア”
「おっと」
地龍が空気のブレスを放ってきた。僕は咄嗟に躱したが、ブレスはそのまま背後の木々をなぎ倒していった。
「・・凍らせよう」
僕はすぐにケリをつけるため、すぐに凍らせることにした。この場所は草原からそこまで離れていない。なので王女様たちが来るのもそれなりに早いということだ。
急いだ方がいい・・・。
「【捕食氷花】
Sランク魔法捕食氷花。4枚の氷の花弁が出現し、対象を飲み込みながら閉じて行く。対象は氷漬けになりながら、絶命する。
「これで本体は死んだはず。後は黒いほうか・・・」
予想通り、花の中から黒い物体が出現し、先程の地龍の姿をしはじめる。そのまま僕の方まで向かってくる。どうやら鳴き声などは無いようだ。
「【絶対零度】
僕はあのブラックサラマンダーを討伐した魔法を使用する。これで黒い地龍は絶命したはずだ。この魔法で倒せないものはいないはずなのだ。
魔法の影響で、周囲はかなり凍結してしまったが・・・。
「一応、情報を調べて・・・っ!」
僕は一瞬息を止めた。あの攻撃を受けてなお、黒い地龍は動いていた。否、動いているというより、そもそも凍結していないように見えた。
そして、次の瞬間には再び僕に向かって突進を再開してきたのである。
「そんなバカな・・・くっ!」
僕は透明化しながら上空に一旦避難する。
絶対零度が通用しないなんてありえない。原子ごと凍結させられて、動けるものがいるはずがない。
僕は考え事に走ったが、それがいけなかった。
「・・ぐっ!!」
突然、左腕を飛ばされた。文字通り、僕の左腕が宙を舞った。
下を見ると、あの地龍がブレスを放ったのがわかった。
「透明化しているのに分かるのか・・」
僕が歯を食いしばりながら腕を修復していると、1番聞きたくない声を聞いてしまった。
「あれ?なにこの氷・・っていうか寒!」
「一体なに・・・が・・・」
「え?・・・・あ、あ・・あの、地龍?」
王女様たちが、黒い地龍の元に到着してしまったのだ・・・。
「そろそろ行くからさ。離れてもらえない?」
「もう少し・・・だけ・・・」
「私もあと少しだけ補充を・・・」
「何をだよ・・・」
甘えん坊な精霊たちだ。正直このまま撫で続けていた方が精霊たちの機嫌もいいままなのだが、そうも言ってられない。僕は交換条件を提示することにした。
「頼むから今は離れてくれないかな?代わりに、任務が終わったら一緒に寝てあげるから」
「わか、りました」
「それなら仕方ないですね。約束ですよ?」
「・・・ソールは襲わないことな?」
「そんな!?」
ソールは絶望したような顔を作る。が、流石にこれは譲れない。何があって自分の契約精霊に襲われなければならない。そこで女性に対して苦手意識を持つようなことはあってはならない。ルーグはそのような心配はないので、特に忠告はしない。そんなことをする子ではないのだ。
「じゃあ、僕は草原に戻るよ」
「私も、帰り、ます」
「グスッ・・仕方ありません。私も精霊界に戻ります・・」
「ソール、これは僕にとって譲れないことなんだ。諦めて」
「ユリの気持ちが変わることをお待ちしております・・」
「多分変わらないと思うけどね」
最後にそんなやりとりをしてから、精霊たちは帰還した。精霊界にいるので、いつでも顕現できるのだが。僕が力を貸して欲しい時にはこちらに顕現してもらうか、向こうから僕の魔法に直接補正を加えてくれるのだ。
「さて、そろそろ行こうかな」
僕は王女様の元まで、透明化した状態で転移した。
◇
僕が転移すると、なにやら草原が騒がしかった。何かあったようだが、一先ず僕は王女様の姿を探す。反応は草原にあるのでいるはずだが・・・
「それは本当のことなのか!」
「お、俺たちの目の前にいて、攻撃されたんです!嘘なんか言いませんよ!」
どうやら先生と生徒が何かを話しているようだ。ここまで動揺することは一体・・・?
僕が首を傾げていると、王女様を発見した。
「な、なにかあったんですか?」
「ああ、ちょうどよかった。森にドラゴンが出たらしい」
「ド、ドラゴンが!?」
「あの・・それ森に入るの危険なんじゃ・・?」
どうやらドラゴンが出たようだ。だが、僕が知る限り、炎を吹くドラゴン種は森にはいないはずだが・・
「まあ、空を飛ぶ類じゃあない。羽根のない地龍だ。吐くのも火じゃなくて空気のブレスだからな。危険なことに変わりはないが」
僕の想像したドラゴンがではないようだ。地龍ならそこまでランクは高くないはずだ。高くてもAランク程度だろう。もっとも、生徒たちが敵うかは明白であるが・・・・。
「とりあえず、あんまり深くはいかないようにした方がいいな。俺がそいつを見つけてくる。確か方角は・・西の方だったか?」
「は、はい!その方角の奥です!」
「よし。王女様たちは違う方向に行くんだ。危険はそっちの方が無いからな」
先生が相手に行くようだ。が、それでは王女様たちに遭遇する可能性を0にはできない。
「【索敵を再開しろ その地龍の場所も伝えろ】」
僕は索敵を再開し、その地龍の現在地も把握する。
(やっぱり移動してるな・・・)
懸念通り、すでに西から移動しており、今は東の森にいるようだ。
「じゃあ、私たちは東に行こう」
「は、はい!じゃあ先生、気をつけてください!」
「そっちもな」
なんと王女様たちも東に向かうそうだ。これはさっさと終わらせた方が良さそうだ。
(急いで行くか)
僕は地龍の元まで転移をした。
 ◇
「な、なんだこれ・・・」
転移した先では、異様な光景が広がっていた。
僕は地龍がいる座標の上空に転移した。が、そこから見える森の様子が明らかにおかしい。少し先にある森が真っ黒になっているのだ。まだ太陽は出ているのだが、まるで夜のようだ。
「これは一体・・・」
僕が混乱していると、突如として僕の下から雄叫びのようなものが聞こえた。
”グルアアアアアアアアアアア!”
「・・まずは地龍を先に仕留めよう。あれはその後だ!」
地面まで降下すると、緑色の体色をしていたであろう地龍がそこにいた。
憶測なのは、すでにその身体の大部分が黒い何かで覆われていたからである。
「多分、さっきのあれが関係しているんだろうな・・・」
先程の黒い森。いや、正確に言えば森を黒くしているなにかか。
少し前に戦ったスパイダーコングのことを思い出す。あれは、本体を倒しても黒いコピーが出現するというものだった。
ということは今回も・・・。
”グアアアア”
「おっと」
地龍が空気のブレスを放ってきた。僕は咄嗟に躱したが、ブレスはそのまま背後の木々をなぎ倒していった。
「・・凍らせよう」
僕はすぐにケリをつけるため、すぐに凍らせることにした。この場所は草原からそこまで離れていない。なので王女様たちが来るのもそれなりに早いということだ。
急いだ方がいい・・・。
「【捕食氷花】
Sランク魔法捕食氷花。4枚の氷の花弁が出現し、対象を飲み込みながら閉じて行く。対象は氷漬けになりながら、絶命する。
「これで本体は死んだはず。後は黒いほうか・・・」
予想通り、花の中から黒い物体が出現し、先程の地龍の姿をしはじめる。そのまま僕の方まで向かってくる。どうやら鳴き声などは無いようだ。
「【絶対零度】
僕はあのブラックサラマンダーを討伐した魔法を使用する。これで黒い地龍は絶命したはずだ。この魔法で倒せないものはいないはずなのだ。
魔法の影響で、周囲はかなり凍結してしまったが・・・。
「一応、情報を調べて・・・っ!」
僕は一瞬息を止めた。あの攻撃を受けてなお、黒い地龍は動いていた。否、動いているというより、そもそも凍結していないように見えた。
そして、次の瞬間には再び僕に向かって突進を再開してきたのである。
「そんなバカな・・・くっ!」
僕は透明化しながら上空に一旦避難する。
絶対零度が通用しないなんてありえない。原子ごと凍結させられて、動けるものがいるはずがない。
僕は考え事に走ったが、それがいけなかった。
「・・ぐっ!!」
突然、左腕を飛ばされた。文字通り、僕の左腕が宙を舞った。
下を見ると、あの地龍がブレスを放ったのがわかった。
「透明化しているのに分かるのか・・」
僕が歯を食いしばりながら腕を修復していると、1番聞きたくない声を聞いてしまった。
「あれ?なにこの氷・・っていうか寒!」
「一体なに・・・が・・・」
「え?・・・・あ、あ・・あの、地龍?」
王女様たちが、黒い地龍の元に到着してしまったのだ・・・。
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