創成の転生者〜最強魔導師の転生記〜

RAKIHA

第33話 依頼

あれから3ヶ月が経った。僕はこの3ヶ月間、基本的には研究室にいたが、たまに授業に顔を出したりしていた。一応授業に参加をしてはいたが、僕がいない間に仲のいいグループが出来上がっているわけである。僕は自然にあぶれる存在になった。


「ユリ君。クラスに仲のいい子とかいないの?」
「いません。僕はたまにしか授業に出ませんので、必然的にいないものになるんですよ。構いませんが」
「・・・・友達作ったほうがいいんじゃない?」
「そういうアリスさんはお友達がいるんですか?」
「・・・・人のこと言えませんでした。数人しかいません」
「僕は数人もいませんでした・・・」


というわけで、最近はほとんど授業に出ずに例の物を作っている。成果は出ているのだ。あと少しというところまで来ているはず・・・・。


「そういえばユリ君。課外実習はどうするの?」
「課外実習?」


初めて聞く単語に首を傾げる。課外実習というと・・・言葉通りの意味だろう。


「そうよ。生徒が本当にモンスターと戦いに外に出るの。あなたが参加したらとんでもないことになりそうだから、どうするのかと思ったの」
「まあ、十中八九ここに残るでしょうね」


僕が行っても意味がないのだ。Sランク以下のモンスターは雑魚でしかない。相手にすらならないのだ。


「SSランクのモンスターがいれば、多少は訓練になるんですけどね」
「SSランクのモンスターを倒せるのはあなた含めて5人しかいないのよ・・・」
「大体、ブラックサラマンダーですらあれだったんですから、Sランク以下には期待ができません。SSランクと次に戦うことがあれば、正面から挑みます」


というような感じで、僕は課外実習に行くつもりはない。それより僕は、自分の研究を進めたいのだ。

だが、僕のこの考えは後日、潰されることになる・・・。




数日後。僕は突如学園長に呼び出された。研究の途中だったのだが、そろそろ休憩に入ろうとしていた頃だったので、特に問題はないが。
学園長室まで来たので、僕は普通に入る。もうノックなどはしなくなった。


「あら?早かったわね。研究は終わったの?」
「休憩しようと思ってたんで来たんですよ。はいこれ」
「・・・もしかして新作のお菓子とか?」
「ご名答」


僕は早朝作ったお菓子を持参していた。すでにアリスさんと一度食べたのだが、もう1度食べてもいいだろうと思い持って来たのだ。
元々細く、かつ太らない体質なのだが・・・・


「とりあえず座ってもらえる?紅茶を・・」
「淹れて来ましたよ」
「流石ね・・・それもユリの自作魔導具?」


僕は手にしたポットを学園長にみせる。一見すれば、ただの白いティーポットなのだが。


「これは魔力を流すことで、熱を生み出す魔導具です。お茶に最適な温度を自動で調整するんです。もちろん魔力量も」
「すごいわね・・・商人とかが目にしたら飛びついて来そうだけど」
「残念ながらこれも僕の専用・・・ではないですが、数量限定です」
「ん?あなた専用じゃないの?」


学園長は目を丸くする。基本的に僕は自分のものしか作らない。なので今回も、誰かに譲るなどはしないと思ったのだろう。僕は笑いながら、学園長にティーポットを差し出す。既に2人分の紅茶は注ぎ終わっている。


「これは学園長に差し上げますよ」
「わ、私に?でもいいの?すごい技術が詰まっているような・・」
「いいんですよ。甥っ子からのプレゼントだと思って受け取ってください」
「・・・・今更だけど、私はあなたの叔母さんになるのかしら?」
「形式上ではそうなるんでしょうけど、僕はどちらかというとお姉さんの方がしっくり来ます。見た目的にも、距離感でも」


叔母さんがこんなに綺麗なお姉さんというのもなんだかピンとこない。僕の回答に学園長は満面の笑みを浮かべ、僕を抱きしめて来た。


「よかったわ!私はお姉さんよね!!姉様はいい子を育てわ!!」
「とりあえず離してください。いま回復しようとするのはやめてください」
「・・・そうね。じゃあ食べながら話すわ」


僕らはお菓子を食べながら話をすることに。


「実は今日呼んだのはね、来週の課外実習のことなの」
「課外実習ですか?僕が行っても意味ないですよ?」


僕の強さではその辺のモンスターなど相手にもならないのは、学園長も知っているはずだが・・・なぜ?


「あなたには、生徒たちの護衛役をお願いしたいの」
「護衛役・・・ですか?」


それでは実習の意味がないのでは?と進言すると、学園長は静かに首を振った。


「正確には、Sランク以上のモンスターが出現した時に対処してほしいの」
「なんでまた僕に?それに、近辺にSランクなんているんですか?」
「モンスターは神出鬼没よ。いつどこで現れるかはわからないの」
「・・・生徒を守るんですか?」


僕は疑問を口にする。本来、わざわざ生徒を守るために僕は・・・SSSランカーを使おうとはしない。できない。何か他に理由があるはずだと、学園長を静かに見据える。

すると学園長は観念したように脱力し、話してくれた。


「わかったわ。守ってほしい生徒がいるのよ」
「それは一体?」
「Aクラスにいる女子生徒よ。名前はマリー=カロリング。聞いたことないかしら?」
「全くありませ・・・いや?カロリング?」
「そうよ。この国の王族の名前。彼女は第2王女。第1王女のエリザ王女は、高等部1年生。この第2王女を守ってほしいの」
「・・・僕が貴族も王族も嫌っているのをご存知ですよね?」
「わかっているわ。でも、それでもお願いするしかないの」
「・・・・なにかあったんですか?」


こうも学園長が僕に頭を下げてくるのは珍しい。何か危険があるかくしんがあるのだろうか?


「・・・SSランクのモンスターが、目撃されたそうよ・・・」
「・・・詳しく聞かせてください」

説明を促す。SSランクのモンスターの情報は非常に気になる。


「そのモンスターの名前は、シャドウハンター。見たは真っ黒で、魔法の効果は、自分の影を操ることよ。素早さも異常で、視認するのも困難とされているわ」
「それが目撃された中、課外実習に行くと?」
「・・・もう準備はできているし、生徒たちの意欲も高まってるの。ここで中止はありえないわ」


事情があるようだが、生徒を危険に晒すのはどうかと思う。王族などに何かあれば大変なことになる。


「・・・わかりました。僕は護衛をしつつ、そのシャドウハンターが出たら対処します。ただ、僕の正体をバラすわけにはいかないです。そこのところ配慮はしてくださいね?」
「大丈夫よ。万が一見られても、あなたは精神干渉系魔法が使えるでしょ?それを使うことを許可するわ。見られた記憶を消すくらいだけど・・・」
「それなら大丈夫ですね。じゃあ引き受けましょう」


この時の僕はまだ知らなかった。SSランクというのが、本当はどれほどの怪物なのかを・・・・

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