創成の転生者〜最強魔導師の転生記〜

RAKIHA

第29話 研究室でのこと

アリスさんの疲れが取れたところで、僕は研究室に向かうことになった。現在の時刻は10時20分。昼休みにはまだ時間があった。


「ユリ君は魔導工学に興味があったの?」
「まあ、それなりには。僕は一応魔導具を作ることもできますから」
「その便利な指輪のこと?」


やはり気になっていたようだ。先程からチラチラと収納の指輪を見ているので察しがつく。


「これは僕の自信作ですね。あらゆるものを収納できる指輪です。他にも僕のソウルは自作でできているんですよ」
「流石にすごいわね。私でもそんなに作れないわ。ソウルは自作だけどね」


そんなことを話しているうちに研究室についた。研究室は棟に中ではなく、少し棟から離れたところに一つ建てられているようだ。外観は白く四角い形をした大きめの建物だ。


「じゃあ入りましょうか」
「はい」


研究室に入る。中に入った瞬間に思ったのは、とても散らかってるということ。ここは入り口から入るとすぐに研究室という構造になっているようだ。とても汚い。女性が生活しているとは思えないような空間である。


「散らかってるけどそこのソファーに座ってね」
「・・・わかりました」


僕は、明日片付けることを決め、ソファーに腰掛ける。アリスさんは僕の向かいに腰をかけ、腕にはめていた腕輪を机の上に置いた。


「これが私のソウルよ。腕輪型にして携帯しているの。ユリ君のソウルは?」
「流れ的に僕も見せるんですね」
「あれ?嫌だった?」
「いえ。問題ありませんが・・・」


僕はあっけにとられていたが、収納の指輪からソウルを取り出す。やはり大きいため、持ち運ぶのが難しいので収納しているのだ。


「この槍が僕のソウルです。槍の刃の部分についているのが魔核石です」
「かっこいいデザインね・・・あれ?ユリ君の適正属性は?」
「闇以外の4つです」
「なんで闇属性の魔核石も埋め込んであるの?」


そこに疑問をもったのか。確かに闇の適性がない人が闇の魔核石を使う意味はない。僕は正直にいうことにした。


「全く適性がないというわけではないんですよ。ただ他の4つと比べるとかなり弱いみたいなので・・・」
「そういうことなのね・・・ってことは実質全属性適正者ってことね?」
「そうなりますね」
「それだけでも凄い研究対象なんだけど・・・いい助手を手に入れたわ」
「ランクは僕の方が上ですよ」
「でも私は一応先生よ?」
「歳はあまり変わらないじゃないですか。というか、高等部の3年生より歳下になりません?」
「魔導師は優秀な人が教えるのよ。歳が上でも使えない魔導師じゃ意味ないでしょう?」
「まあ、そうですね」


しばらくこんな感じで話していくが、僕はアリスさんのことをあまり聞いていないことに気がついた。


「アリスさんの適正属性はなんですか?」
「いってなかったけ?火と光よ」
「得意なのはどちらですか?」
「火の方が得意ね。制御がしやすいの」
「なるほど・・・」
「ユリ君は何をよく使うの?」
「僕ですか?僕は氷系をよく使いますね。1番しっくりくるというか・・・」


実際に使いやすいのだ。何かあれば魔力ごと凍結させてしまえば終わりだからだ。シンプルでわかりやすい。


「へ〜〜・・・ねえユリ君。君の魔法をちょっと見せてくれないかしら?」
「え?ここでですか?」


いきなりすぎたので少し驚く。

「そうよ。被害が少なくて、私を凄いって思わせられるような魔法ってないの?」
「・・・ありますけど・・・」
「じゃあ、それを見せて頂戴。SSSランカーの魔法っていうのも興味深いのよ」
「わかりました。僕がいいって言うまで目を閉じていてください」


そう言うと、アリスさんは目を閉じた。僕はなにかいいようにされている気がしながらも、魔法を使うことにした。
ちょっと驚かせてやろうと思いながら・・・


「【氷の庭園ガーデン】」


以前実習場で使った魔法だ。今回は規模が小さいが、その分花の数が多い。氷の花畑ができたところで、アリスさんに呼びかける。


「もういいですよ」
「い、いきなり寒くなったんだ・・・けど・・・なにこれ!!?」


とても驚いてもらえたようだ。アリスさんが驚愕している。SSSランカーの魔法をよく見てもらえたようだ。


「もういいですか?これでわかったでしょう?凄いってこと」
「恐れ入ったわ・・・正直舐めてた・・・」
「でもこれは戦闘向けではありませんよ?」
「あれだけの魔法を一瞬でやってのけるなんてとんでもないことよ・・・」


僕は魔法を解除しながら、ソファーに再び腰をかけた。と、そこで昼休みの鐘がなる。もうそんなに時間が経っていたようだ。


「さて、とりあえずあなたはお昼ご飯食べてらっしゃい。終わったらここにきていいから。ああ、授業に出てもいいわよ?」
「それは後で考えます。僕はクラスメイトのもとに行ってきますね」
「行ってらっしゃ〜〜い」


僕は研究室を後にした。とりあえず、このままアドルの元に行こうかと思った時に、その放送は聞こえた。


『1年Bクラスの、ユリエル=フロウド君。至急生徒会室まできてください』



2日連続の生徒会室への召喚であった。

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