創成の転生者〜最強魔導師の転生記〜

RAKIHA

第3話 使命と出会い

僕は自分の知らないところにいた。とても暗い場所。周りには自分以外何もない、空虚な空間。




「ここは・・・・僕は何をして・・・」




状況が理解できなかった。なぜこんなところにいるのか。そもそもこんな場所に来た記憶はない。呆然としていると声が聞こえて来た。




『理解するんだ』
「え?」



声が聞こえた。その声は、まだ若い青年のような声色をした、優しい声だった。




『自分の、力を、使命を』
「力?使命?」





全く理解できない。使命とはなんだ?自分の力?僕の魔法のことか?だが僕の魔法は既に掌握しているはず。





『まだだ。まだ、力を掌握できていない』
「まだ・・・・まだこの力には先があるのか!!」





既に僕は魔法を使いこなしているのだ。これ以上強いとはいったいどんな・・・




『君は・・・自分の魔法を・・・念じると現実になる魔法だと思っているだろう・・・』
「・・・・違うのか?」





実際念じながら唱えることによって、魔法は発動したのだ。




『それは・・・本質ではない』
「じゃあ、僕の魔法はなんなんだ!!」
『・・・・・すぐに使えるように、なる』



僕は、僕の魔法の強さを理解できていない。それだけ経験が足りないということなのだろう。・・・いいさ。強くなって、本当に使いこなせるようになるまでだ・・・・




『・・・使命を、告げる』
「僕の・・・使命?」




一体なんの使命が・・・・と思ったが、次の言葉を聞いた瞬間に変化が訪れる。





『再会、するんだ』
「・・・・誰に・・・」
『ミラ・・・・ミラエル=ルシフェル・・・』





頭に衝撃が走った。その名前は、どこかで・・・。わからない・・・だが、ひどく懐かしく、そして・・・とても愛おしい響を・・・




「うっ !?」




頭を押さえ片膝を付いてしまう。急に激痛が走った。頭が割れるように痛くなる。僕は自分の意識が途切れていくのを感じたと同時に、の声が頭に響いてきた・・・





『必ず再会を果たすんだ。彼女は・・・ミラはずっと待っているから・・・』




その言葉と同時に、僕は意識を手放した。










目が覚めると、視線の先に木目の天井があった。先ほどまでいた・・・・・・・拷問部屋ではない。どこに転移をしてきたのだろうかと周りを見る。簡素な作りの椅子に机、僕が今横たわっているベッド。それくらいのものしかなかった。



「どこなんだろう」



僕は転移の後に痛みで気を失ってしまったのだろうと推測した時に気がついた。体の包帯が巻かれていた。一体誰に治療をされたのか。考え込もうとしたが、思考をやめた。そんなことを逐一考える気分ではない。




「・・・どうでもいいや」




この半年の拷問の結果、僕の精神は壊れてしまったのだろう。好奇心旺盛だった半年前とは比べ物にならないくらい、探究心がなく、興味を示さない。
だが、知りたいものが二つだけあった。





「ミラエル=ルシフェルと僕の魔法の本質・・・・」




なぜかこの2つが頭から離れないのである。このことについて詳しく知りたいと思ったのだ。前者に関しては、聞いたこともない名だが、何故か頭から離れず、つぶやいていると、とても愛おしく感じるのだ。

と、そのとき部屋の扉がゆっくりと開いた。



「あ!起きたの!よかった〜。あのまま死んじゃうかと思ったわよ」




中に入ってきたのは緑の長髪をした少し背の高い、とても美人な女だった。おそらくこの人物が自分の手当をしてくれたのだろう。以前なら見惚れていたかもしれないが、今の僕にそんな感情は既になかった。





「一体なんであんな所に倒れていたの?しかも血だらけで。身体にも傷がたくさんあったし・・・モンスターにでも襲われた?」
「・・・・・・・」




僕は何も答えない。あの拷問の日々を思い出しているのだ。辛く、苦しく、そして酷く悲しいあの時のことを・・・




「・・・話したくないか・・・でも事情を知らないわけのは行かないのよね・・・・ちょっとごめんね」




そういうと、女は僕の額に額をくっつけ、魔法を唱える。



「【光よ  汝の記憶を我に与えよ】」




そう唱えた途端、額に温かい光が灯った。こんなに温かいのはいつぶりだろうと僕が思っていると・・・




「ッッッ!!?キャアッ!!?」





女が突然声をあげた。先ほどの詠唱から予想はつくが、おそらく僕の拷問の記憶を見ていたのだろう・・・一部だけだと思うが。
女は脂汗を浮かばせながら僕を見つめる。





「あなた・・・今の拷問を受けていたの?」





記憶を見られたんだから話してもいいかと思い、僕は口を開く。





「どの拷問を見たのかは知らないよ。でも生ぬるい拷問なんて一度もなかったからね。僕は半年の間、休むことなく拷問を受けたよ・・・」
「半年・・・・」
「良ければどんな拷問を受けたのか教えようか?」





少し意地悪く言ってみる。だが女は予想外のことを言ってきた。





「そうね・・・多分全部吐き出した方が気が楽になるわ。あとで聞かせてもらう」
「・・・・!わかりました」




まさか聞くと言うとは思わなかった。はっきり言って、聞いているうちに物を吐き出してもしかたないような内容のものばかりである。本当に聞かせても大丈夫か?と思うが・・・




「大丈夫。ちゃんと最後まで聞いてあげるから」





少しだけ、この女・・・いや、女性のことを信用してもいいような気がした。







「そういえば、名前を聞いていなかったわね。名前はなんていうの?」
「ユリ・・エル」
「ユリエルね。私の名前は・・・」




正直、ユリエルと名乗りたくなかったのだが、仕方ない。パッと出るような名前はなかったのである。





「私の名前は、セレス=フロウド。種族はエルフよ。よろしくね、ユリエル!」





これが、セレスと言う名のエルフの女性との出会いだった

コメント

  • にせまんじゅう

    よあい復讐系だな(納得)

    0
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