異世界で災害使って無双する(仮)

水無月 葵

#8 楽戦後の飛び級そして自称弟子

「弟子にしてください!」

「嫌だ」

 突然現れて突然そう言い出した男は数時間前の激戦後に、俺の名前を聞いてきた男だった。

「ぐっ! 何故ですか!?」

 男は一生懸命言うが俺の心は変わらず

「嫌だから。そして名前も聞かされていないのにいきなり弟子にしてくださいはないでしょ」

 大正論。俺の言っている事に間違いは無い。よな?

 貴方は名も聞かされていないのにいきなり弟子にしてください何て言われたら、弟子にしますか? いいや、しませんよね。

「あっ! すいません! 俺……自分は……」

 男はかしこまった様子で自己紹介をしようとする。

「俺で良い」

「あっはい。俺は彼岸花ヒガンバナ リョウと申します。生まれはジャパ、育ちはこの町トータスです。」

 ヒガンバナ? 確か花にそんな名前が、あったよな……あっ! あの持って帰ったら火事になるってやつか!

「リョウって言うのか。でも弟子は嫌だ」

 俺の言葉にリョウは肩を落とした。

 そんなに落ち込むことかい!

「まっまぁ仲間って事なら良いよ! パーティーメンバーとしてさぁ」

 俺は落ち込んだリョウを、頑張ってフォローする。するとなんと言うことかいきなり元気になり始め、

「わかりましたっ! 頑張りましょう! 師匠!」

 いきなり俺の手を取りブンブン振り握手を交わしてきた。

 わかってねぇーなコイツ!

××××××××××

 自称弟子のリョウがパーティーに加わってやっとパーティーらしくなってきた。

「それにしても師匠! 駆け出し冒険者からエリート冒険者への飛び級って凄いですね! 流石師匠っ!」

「だから師匠はやめてって!」

 俺はリョウの師匠呼びは、まだ続いている。それに俺のギルドカードの色が白色から一気に緑色になった事によってリョウから俺への尊敬度がまた上がったのだ。

 ギルドカードの色が変わったのは数時間前のこと魔王軍幹部を葬った後ギルドへ呼び出されギルドからの報酬プラス冒険者ランクが上げられた。

 冒険者ランクの飛び級は俺が初めてだったらしく、表彰までされた。

 表彰式恥ずかしかった……

 そして俺と萌恵はこの高級料理店《白銀宿屋で打ち上げをしていた。打ち上げが終盤に差し掛かったときシャルさんから

「ツバサ君にお客さんだよ」

 と呼ばれ、行ってみるとそこには椅子に座ったリョウがいた。

 俺は、

「あれっ? 君は、さっきの……」

 見覚えあるリョウに話しかけるとリョウは

「あっ! ツバサさんっ!」

 かしこまった様子でいるリョウ。そしていきなり「弟子にしてください」と言われ俺は速答で「嫌だ」と答えた。そしてなんやかんやあって今の状況に至っている訳だ。

「でっ師匠、そちらの方は?」

 リョウは俺のとなりにいた萌恵の方を方を向いて質問してくる。

「あ、この子はもう一人のパーティーメンバー、霧島 萌恵だ萌恵もジャパ出身。ほらっ萌恵も何か言って。」

「えっ……霧島です……」

「え? あぁ宜しく」

 何だこの空気!? ん? 恥ずかしがってる? あっ! 萌恵人見知りなこと忘れてた!! ごめん!

 リョウは、空気を読むように話題を変えてくれた

「師匠の魔法、あれはなんなんですか?」

 あれ? あっ

「災害魔法の事?」

 あっ嫌なよか……

「災害魔法!? それはなんすか師匠!!」

 まただぁ!

 俺は半泣きでリョウに説明した。

―数時間後

「なるほど……流石師匠です。そんなに危険な魔法を操るなんて! またまた尊敬します!」

 尊敬度が一上がった!

 一区切り付いたところで納得してくれた。外はもう真っ暗になっていたので、俺たちはこの辺で解散しまた明日来るなら来て良いとリョウに言うと、

「いいえ俺はここに泊まります!」

 と言い出しカウンターはチェックインしに行った。リョウがチェックインしに言っている間に俺は、疲れているっぽい萌恵と話す。

「どう? 疲れた?」

「はい……だいぶ疲れています。魔王軍幹部の戦いの後怪我している人を治療したりしたので。ツバサ君は疲れて無いんですか?」

 萌恵はだいぶ疲れているご様子だった。

「あぁ……大分…………あっ!!」

「うおっ!? 痛たたた……ど、どうしたんですか!?」

 隣で椅子から転げ落ちた人は放っといて……って放っといたら駄目じゃん!

「そうだ! 服! 萌恵に服を渡すのを忘れてた!」

 そうそれはつい二日前位に買ってもらった萌恵に似合いそうな服。すっかり俺は忘れていたのだ。

「服?」

 萌恵は不思議そうに首をかしげた。

「そう! 服。ち、ちょっと待ってて!」

 俺はそう言い自分の部屋に服を取りに帰った。

××××××××××

「はぁはぁはぁ……」

 俺はひどく息を切らしていた。服を取りに帰ったところ綺麗に紙袋の中に服が収まっていた。そしてその紙袋を手に取り、部屋に鍵をかけ萌恵の元へ戻ったら萌恵とリョウが離れ離れで座っていた。

 何が起きた!? っとそれより……

「はい!」

 僕は紙袋を萌恵に渡した。

「えっ? これを私に」

 驚いていた。萌恵が俺のプレゼントに驚いていたのであった。

 おい! 普通だったら、「えぇ!? プレゼント? ありがとー」とかだろ。

「開けて良いですか?」

 萌恵がちょっとテンションが上がっていたのが分かった。

 やっぱり嬉しいんだろうな……良かった!

「おうっ! 良いぜ」

 嬉しそうな萌恵の顔を見て俺も嬉しくなってきた。

「じゃあ……遠慮無く……」

 萌恵が紙袋を器用に開け、中に入ってある服を取り出す。俺が萌恵に選んだ服はワンピースだった。色は黒で所々白いラインが入っている系のやつだ。俺はファッションに興味が無いので詳しくは知らないがワンピースは、分かった。

 おいっ! 今笑った奴、ちょっと外に出ろ。

「ツバサ君! これは派手過ぎませんかね? 私おしゃれとかはしたこと無いのでちょっと……」

 おっと自己嫌悪ですか!

「嫌っ似合うと思うよ。なぁリョウ!」

 俺はリョウに話を振る。

「あっはい! とても似合いそうですよ! 一回着てみてはどうですか?」

 あっそうだな。

「自分の部屋で着替えてこい!」

「わっわかりました」

 萌恵は自分の部屋へ着替えにいった。

 やけに素直だな……

「師匠! 覗きに行きますか?」

「馬鹿野郎!」

 俺はリョウの後頭部を叩いた!

――数分間後

 やっと着替えが終わったらしい萌恵が戻って来た。

「「――ッ!?」」

 俺たちは言葉が出なかった。

「やっやっぱり似合わないですよね……」

「いいやその逆! 似合いすぎ! 可愛いぞ萌恵!」

「ですね師匠! とても可愛いです!」

 俺たちは萌恵を褒めちぎった。

「えっ? あっありがとうございます」

 微かに萌恵の頬が赤く染まっていた。

 あんなこんなあったけど今度こそは、異世界生活がまともに出来そうだ!

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