異世界で災害使って無双する(仮)

水無月 葵

#9 三回目の討伐クエスト

 討伐クエスト『オオサマバッタ』Aハード、Aランク

 俺が今討伐しようとしているのはオオサマバッタだ。オオサマバッタの体長は五メートルちょい。そいつの体は黒いの以外は、姿がバッタと同じである。オオサマバッタは、今の時期が繁殖期で産まれる子のために体長を大きくする。その大きさはなんと八メートルにもおよぶと言う。

 今戦っているオオサマバッタの体長は七メートルと、大きいのである。オオサマバッタは、人に害が有るため退治をしないといけないのだが……

「ツバサくーん! 助けてぇぇぇ!!」

 そのオオサマバッタに萌恵は悪戦苦闘をしているのだ。

××××××××××

「ツバサ君ありがとう!」

 俺はさっき、オオサマバッタに襲われていた萌恵を災害魔法のトルネードで助け、オオサマバッタのいた草原で休憩をとっているところだ。

「あっうん。ただただ災害魔法を撃っただけだけどね」

 俺は苦笑いする。

「でもツバサ君が助けてくれなかったら私、食べられてた」

 それは見たくない光景だな。

 俺は萌恵がバッタに食われるのを想像した。もちろん鳥肌がゾワーっと立った。

「萌恵、そろそろ帰ろうか」

 俺は、立ち上がりながら萌恵を呼んだ。いつまでも返事をしないので萌恵の方を見ると、可愛い顔で寝ていた。

 寝たのか……って

「起きろぉぉぉ!!」

 俺は全力で萌恵を起こそうとしたが止めた。なぜならさっきまであいつオオサマバッタの囮になってくれたからだ。正直、萌恵がいなかったらオオサマバッタに魔法すら当てれなかったはずだ。なぜならオオサマバッタは見た目によらず、すばしっこいからだ。一人じゃ九十八%倒せないほどの強敵だった。それを一人で囮になり、僕の攻撃を当たりやすくするためにあいつオオサマバッタを誘導してくれたのだ。

 起きたら礼を言わないとな……

 俺は萌恵を見直し、萌恵をおぶりながらギルドに向かう。

××××××××××

 俺が萌恵をおぶりながらギルドに向かって歩いてから、何十分が立っただろうか……俺の後ろにおぶられて寝ていた萌恵は、やっと目を覚ましたが……

「んん……ん? ……ギャー!!」

「うおっ!? ビックリしたー」

 萌恵は何を思ってかいきなり大声で叫びだし背中で暴れ始めた。

「いっ! 痛!」

 もちろんおぶっていた俺を殴りながら暴れていた。

「下ろして!! ツバサ君!!」

 後ろで俺の背中を叩きながら叫ぶ無邪気な女の子。

「わっ分かったから叩くな!」

 俺は萌恵を素直に下ろす。

「何をしてるんですか!? かよわい女の子をおぶって」

 かよわいって何だよ!

「君をここまでおぶって来たんだよ」

 俺の返事に萌恵は戸惑う。

 あれっ? こんな子だったっけ? まぁいいや、萌恵が何か言おうとしてるし

「あっ、ありがとう……」

 あっ……

「こっちこそ、オオサマバッタの囮になってくれてありがとう……」

「えっ!?」

 あぁ良い雰囲気だなぁ……

「えぇ!? 私が囮!? おかしいでしょ! 私本気であいつオオサマバッタを倒そうとしたのよ! それをツバサ君! 私を囮に使ってたって事ですかぁ!?」

 あぁ良い雰囲気が台無しだなぁ……

「あっ! ごめん! 俺のために囮になってくれたと思ってた、ほらなんだかんだいって萌恵も役にたってた……し?」

「何ですか!? 自信なさげに言わないでください!」

 萌恵は怒りながら俺に殴りかかってきた。

 俺は誤解をしていたらしい。萌恵は囮になってくれた訳ではなく、本気でオオサマバッタを倒そうとしてただけ。萌恵も役にたってたよな……うんたってた!

「えっ? まぁ……分かってくれたなら良いよ。許してあげる」

 ありがてぇ!

 俺と萌恵は良い雰囲気のままギルドに向かう。

 ギルドに着いてから俺たちはクエスト完了の手続きを終わらせ、宿屋の白銀に戻る。白銀の入り口では自称弟子のリョウが待ち構えていた。

「お疲れ様です! 師匠!」

 まだリョウの師匠呼びの癖が抜けていないらしい。

 ま、師匠って言われんのも馴れたし良いけど。

「ただいまシャルさんの手伝い代わってくれてありがとう!」

「はい!」

 俺は萌恵がクエストに行く前シャルさんに宿屋を手伝って欲しいって頼まれていたが、クエストを受けたかったのでリョウに代わりを頼んだ。リョウは快く受けてくれたので、オオサマバッタの討伐に僕達は行けたのだ。

 俺と萌恵は食堂の椅子に座り、昼食を待つ。

「あいよ。今日はリョウ君特製オムライスだよ。」

 リョウ料理出来るんだ! でもなんか怪しいな……

 俺は何か嫌な予感を抱きながら料理を待つ。

「はい! 師匠っ! 特製オムライスです!」

 机の上に出てきたのは得体の知れない黄色い異臭のする物体だった。

「残さず食べてくださいね!」

 ……は?

「しゃ、シャルさん! これって味見したんですか!?」

 俺の質問にシャルさんは首を横に振る。

 ヤバいやつやこれ……いやっでも逆に美味しいとか……

 俺はおそるおそるスプーンを持ち、オムライスをすくい口に運ぶ。

「うぇぇっ!!!!」

 味は……とても食べれる物で無かったです!

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