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怪談殺し

ダイナソー

北と連戦

「もうすでに機動隊が戦っています」
 闇子達が雨の降りしきる北の住宅区に着いた時、近くに幾つもの銃声が聞こえて来た。
「十金さん! 付いてきて!」
 闇子と十金は走る。町の被害を広めないために。

 機動隊と男が戦っていた。
 機動隊が男へ向けて拳銃からの銃弾を一斉に放つ。
 だが男に銃弾が届く事は無かった。
 全ての銃弾が男の前で何かの力に押し付けられ、地面に落ちた。
 男は斧を引きずりながらゆっくりと迫って来る。
 機動隊の隊長が撤退の命令を出そうとしたその時。
 空から少女が降って来た。
 正確には大跳躍し、落下して来た闇子だ。
 闇子は男の真上で一回転し、落下しながらそのまま踵を振り下ろす。
 男は突然の襲撃者に反応する事が出来ず、そのまま脳天に踵の直撃を受けた。

「まず一体」
 闇子達は塵になって消えていく男を見ていた。
 機動隊の隊長は闇子へ話しかける。
「君達は一体? それにあの男には銃弾が届かなかった。何が何だか分からない」
 十金は隊長に答える。
「私達は竜宮財団のものです。彼等、怪談を狩る専門のチームです」
 十金の言葉に闇子が続ける。
「今倒したのは重力の怪談、自分の周囲に重力場を発生させる怪談です」
 隊長は闇子に言う。
「でも君はその重力の怪談を倒した」
 闇子は機動隊の隊長にエヘンと言う。
「奴を横から倒すのは無理ですが、真上から攻めれば簡単な事です」

 これからまた連絡のあった場所へ向かおうとする機動隊に闇子は自分達も連れて行って欲しいと頼んだ。
 隊長は迷ったが結局は闇子達が付いてくることを許可した。

 闇子達が北の公園に着いた時、其処に居たのは口の裂けた女とその周りにひざまづく人々だった。
 口裂け女のすぐ近くにひざまづいていた男子高校生が助けてくれと叫んだ。
 口裂け女はその男子高校生を蹴り殺しながら闇子達に質問する。
「ワタシキレイ?」
 闇子達は口を揃えて答える。
「はい」
 しかしそれは闇子達の本意ではない。
 続けて口裂け女が言葉を紡ぐ。
「ブキヲステナサイ」
 機動隊と十金が持っていた武器を捨てた。
 闇子はこの時点でこの口裂け女は、自分の命令を聞いた相手に強制的に命令を実行させる能力だと確信した。
 そして。
「ヒザマヅキナサイ」
 機動隊と十金がその場にひざまづいた。
 闇子は、口裂け女へ向けて一直線に突撃していた。
 闇子は口裂け女の言葉を聞いていなかった。
 闇子は自分の耳へ流れるエネルギーを一切絶ち、聴覚を遮断していた。
 口裂け女は想定外の事態に混乱し、そのまま闇子の超高速の拳を受け、塵になって消えた。

「あと一体」
 そう言う闇子の元へ和也からの連絡が入る。
「闇子ちゃん、残りの怪談が人を襲い始めた。急いでくれ」

 闇子達が北の商店街に着いた時、其処には多くの人々が倒れ込んでいた。
 商店街の奥には一人の女子高生を嬲り続ける巨大な猫が居た。
 猫は闇子達に気付くと今まで嬲り続けていた女子高生を投げ捨てる。
 女子高生委はもの言わぬ屍に成り果てていた。
「グラビティもスペルもやられたようだな」
 猫が言った。
 機動隊と十金が猫へ向けて拳銃からの銃弾を一斉に放つ。
 だが猫に銃弾が届く事は無かった。
 全ての銃弾が猫の直前で異次元空間に飲み込まれた。
「挨拶もさせないとは失礼な奴らだな。まあいい、俺の名はワンダーランド。さあ、遊ぼう」

 闇子は猫へ向けて一直線に突進する。
 猫が異次元空間に逃げ込む。
 闇子は辺りを見回す。猫の気配が掴めない。
 猫が闇子の真上から現れた。
「危ない!」
 十金が闇子を突き飛ばす。
 そして十金は猫の巨大な爪に背中を切り裂かれた。
 十金がその場に倒れ込む。
 闇子は叫ぶ。
「十金さん!」
 十金も叫ぶ。
「こんなのかすり傷です! それより猫を!」
 しかし猫は再び異次元空間へと身を隠す。
 武者と違い、気配の現れた瞬間にそれを探知して攻撃する事が闇子には出来ない。
 ある方法を除いては。
 闇子はある決心をした。

 闇子は脳にエネルギーを集中させる。
 闇子の周囲の時間が鈍化していく。
 しかし闇子は急速に自分の脳が疲労していくのを感じていた。
(私の脳が持つのはせいぜい十秒。早く来い。早く来い)
 一秒、二秒、時間は確実に過ぎていく。
 三秒、四秒、猫はまだ現れない。
 五秒、六秒、闇子の背後に猫が現れた。
 闇子は超高速で反応し、猫の脳天に超高速の拳を繰り出した。
 猫が機動隊の前へ吹き飛ばされる。しかし猫はまだ立ち上がろうとした。
 闇子が声を振り絞って叫ぶ。
「今なら当たります! 撃って!」
 その言葉に反応した機動隊が、十金が、猫へ向けて拳銃からの銃弾を一斉に放つ。
 猫はその攻撃も全て異次元空間に消し去ろうとした。
 しかし弾丸が異次元空間に飲まれる事は無く、無数の銃弾が猫の体に叩き込まれる。何度も。何度も。
 そして猫は倒れ込み、水溜りの中に自身の顔を見た。
「そういうことか」
 猫の顔には怪字の書かれた札が張り付けられていた。
「これで俺とドリームランドのアクセスを断ち切ったのか」
 それだけ言うと猫は塵になって消えた。

 猫が消えていく様子を見ながら闇子もその場に倒れ込んだ。
(ごめん。私もう、すごく眠い。脳を酷使しすぎたみたい)
 そう思いながら闇子は深い眠りについた。
 こうして闇子達の、北の戦いは終わった。

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