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怪談殺し

ダイナソー

海水と浮上

 山奥。爆破されたハスターの祠の前。
 十金の機関銃が空中のハスターを撃ち落とした。
 ハスターがゆっくりと消えていく。
 風を操るあなどれない強敵だった。
 闇子は十金に声をかける。
「お疲れ様です。十金さん」
 十金も闇子に声をかける。
「ええ、闇子様も大丈夫でしたか?」
 闇子は十金に笑顔で答える。
「大丈夫です。和也さん達ももう出て来ても大丈夫ですよ」
 闇子の声に応える様に和也と、滝におんぶされた三虎、そしてフィリップが木陰から出て来た。
「いつ見ても凄いよな。怪談ってのは」
 和也の言葉にフィリップが付け足す。
「それと戦える君達もね」
 闇子はその言葉にも笑顔で答えその直後、真面目な顔になって言う。
「明美ちゃん達に連絡しましょう」

 明美は闇子からの連絡を受けていた。
「闇子ちゃんの話によると爆破された山の祠から怪談が出て来たみたい。砂浜の方にも煙が見えたから私達にはそっちに向かって欲しいって」
 ニャルと武者もその提案に賛成だった。
 ニャルは言う。
「きっと山奥の祠が爆破された影響で封印されていたハスターが復活したんだと思う。砂浜の祠も爆破されたのなら、そっちではクトゥグアが復活してるだろう。しかし誰が何の為に」
 武者が二人を促す。
「とにかく俺達はそっちに行くしかないぜ」

 砂浜に着いた明美達の目の前には浮遊する巨大な火の玉、クトゥグアが居た。
 クトゥグアは明美達に気付くと、明美達を目掛けて高速の火球を放った。
 明美と武者はこの火球を難なく回避。ニャルも遅れて回避に成功する。
 武者はこの火球を回避しながらも高速でクトゥグアに近づき刀を一閃する。
「あちち!」
 武者は刀を持った手を振りながら、一閃したクトゥグアの姿を確認する。
 クトゥグアは健在だった。まるでダメージを受けた様子が無い。
「やっぱり魂の核を突くしか無いか」
 武者は精神をクトゥグアに向けて集中する。その魂の核は火の玉の中心だ。
「燃えるの覚悟で突きに行くか? しかし暑そうだな」
 その時、明美が武者に声をかける。
「武者さん! 私に良い考えがある! 少しの間、火の玉の注意を引いてて!」
 明美はそう言うと海へ向けて走り、海上を高速でグルグルと走り始める。
 そして次に明美はニャルへ向けて叫んだ。
「ニャルさん! 火の玉を海上に追い込んで!」
 ニャルも明美に負けない声で答えると砂浜に手を突く。
「分かった! やってみる!」
 直後、砂浜が競り上がってクトゥグアを海へと追い立てる。
 クトゥグアとその気を引いていた武者は砂の壁に海へと追いやられた。
 遂にクトゥグアは明美の走り回る中心へ来てしまった。
 そこで明美は超高速へ加速し、更に回転を続ける。
 その回転は竜巻を起こし、竜巻は海水を巻き上げた。
 丁度竜巻の発生する真上に居たクトゥグアは、海水の渦に巻き込まれて消滅した。

 砂浜に戻ってきた明美達をニャルは待っていた。
 明美はニャルにハイタッチする。
「ただいま。ニャルさん」
 武者もニャルにハイタッチする。
「おう。ただいまだぜ」
 ニャルは明美達に応えた後、祠の様子を見に行こうと言った。
 明美と武者もその言葉に同意するが、それに異を唱える者が居た。
「その必要は無いわ。なぜなら私が祠を見て来たからね」
 砂浜の祠の方角から歩いてく来るその人物に武者は見覚えがあった。武者を襲った仮面の女だ。
 武者は仮面の女を睨む。
「……傷はもう治ったみたいだな」
 仮面の女は静かに武者に答える。
「そうだね。今度こそ君を殺せるよ」
 武者と仮面の女が刀を構える。
「と、そう言いたいところなんだけどね。今回は戦う必要は無いんだ」
 そう言いながら仮面の女は自分の耳を指差す。
 明美はその意図に気付き、インカムに声をかける。
「三虎ちゃん、闇子ちゃん、皆、答えて」
 だが明美の声に答えたのは聞き覚えの無い老婆の声だった。
「そいつらは全員私が捕まえてる。自己紹介しようか。私はターボだ」
 明美の顔が青くなる。
 その顔を見た仮面の女が笑った様な声で言う。
「私の相棒は上手くやったみたいだね。まあ当然だけどね」
 そして仮面の女は言葉を続ける。
「じゃあ、君達にも人質になってもらおうかな」

 夕暮れの砂浜。
「その糸は時間が経つか熱を与えるかしないと解けない。無駄な抵抗はしない事ね」
 明美達にそう言うのは巨大な蜘蛛の様な下半身を持つ女だった。
 この蜘蛛女の他に、仮面の女の仲間と思われる仮面の男と、先程の声の老婆が明美達を取り囲んでいた。
 明美達は手足を蜘蛛糸で縛られ、身動きが取れない。
 ただ一人ニャルは両手だけを縛られ、歩く事が出来た。
「ニャルラトホテプ、お前には私達と一緒に島に来てもらう」
 仮面の女の言葉に武者が口を挟む。
「島? 何処の島だ?」
 仮面の女は武者を無視して言葉を続ける。
「ニャルラトホテプ、島の封印を解け。さもなければ」
 仮面の女が明美へ刀を向ける。
「分かりました」
 ニャルが縛られた両手を地面に着ける。
 すると大きな地響きと共に、海底に沈められていた島が浮上した。
 仮面の女が嬉しそうな声で言う。
「さあ行こうか。九頭龍の元へ」

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