過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

~純愛の撫子のお祝いと情愛の愛民のお祝い~傲慢勇者の誕生日③

□□□□ ~幼馴染との過去~ □□□□

商都リブループ・あかりの部屋

セリーヌ達の部屋から出た後、あかりとばったり会った
どうやら俺を探していたらしい
ちょうどいい俺もあかりに用があったんだ
そのままあかりの部屋にお邪魔することになった

「やっぱりあかりの部屋は落ち着くよな」

《ありがとう.....でいいのかな?雄司君が大体創ったんだけどね》

あかりの言う通り、あかりの部屋は俺がほぼ創造した

完全な和室仕様だ
い草の香り漂う畳を敷き詰めた部屋に、なんの木かは不明だが木製の家具類
障子は部屋が完全に断絶されているとも、いないともいえる曖昧なおぼろげさを醸し出している
雰囲気を出すためにちゃぶ台や座布団なども用意した

「でもごめんな?あかりにだって希望の部屋とかあっただろ?それを俺の趣味というか願望を押し付ける形になっちゃって.....」

俺にしなだれ掛かるように座っているあかりの黒髪を梳きながらあかりに謝罪した
あかりのさらさらな黒髪は梳いているだけでもとても気持ちいい
梳いている時に香るシャンプーのいい匂い.....

やっぱりあかりはそこにいるだけでエロいフェロモンを感じる

《うぅん。いいよ?だって雄司君が喜んでくれてるんだからね。それに私のイメージって和なんでしょ?》

あかりの言う通り、俺の中でのあかりのイメージは完全な和。所謂撫子像だ
もちろんあかりのお姫様ヘアーと黒髪がそうイメージさせているのだが.....
それにあかりは旧家のお嬢様。そうなるとどうしても和を感じぜざるを得ない

そう言えば普段はどんな生活をしていたのだろうか?

《普通だよ?確かに家は古いお屋敷だったけど、私は洋服で過ごしていたしね。だから着物なんて滅多に着たことないよ?》

確かにあかりの家は古い屋敷だった気がする.....
というかバカでかい屋敷だった。思い出した!

俺達の学校は寮で生活する生徒が8割、あとは1人暮らしや自宅通いが一般的だった
その中でもあかりは毎日自宅と学校の間をロールスロイスで送迎されていた超お嬢様だった
それも幼稚園時代からずっとそうだった
幼い時はなんとも思っていなかったが、年を重ねるごとに感じた違和感....

(そうだ。色々思い出した。俺とあかりが幼馴染なのに幼馴染らしくない関係だったのは、偏にこの身分の格差に気付いたからだ.....一般市民とお嬢様。異世界ならともかく、現代日本では俺とあかりはそもそも接点すらなくても当たり前なんだよな。成長していけば誰だってあかりに対して気後れする。もちろん俺だって.....そして俺から自然とあかりを避けるようになったんだっけ)

「あかり。俺達が疎遠になっていった事、覚えてるいるか?」

《うん.....小学校の高学年あたりからかな?急に雄司君がよそよそしくなったよね》
あ、やっぱり覚えているもんなんだな

あかりは俺の服をギュッと握って昔を思い出すように語りだした
俺はそんなあかりの手にそっと手を重ねた
あかりから驚いたような、でも嬉しそうな笑顔が向けられた

その笑顔がとても美しくて.....俺は完全に見惚れていた

《でも決定的だったのは今まで名前で呼ばれていたのに、いきなり名字で呼ばれたこと。あの時が一番悲しかったんだよ?それまではまだ雄司君とは特別な関係だった気がしたのに、それが一気に崩れた気がしたの。そのことがあってからかな?私もどんどん雄司君とは接しづらくなって.....いつのまにか雄司君の名前を呼ぶことにすら恐怖を抱くようになったんだよ》

「面目次第もありません.....」

(俺があかりを急に避けるようになったから、あかりに寂しい思いをさせてしまったのか。てか、今更謝ったところでどうにもならないが.....)

《気にしないで?昔はどうあれ今はこうして雄司君と一緒に入れるんだから!》

「.....今は幸せか?」

《うん!とっても幸せだよ!》

あかりの手に重ねていた手がいつのまにか恋人繋ぎのように絡み合っていた
それがあかりからの答えなのだろう。本当に幸せなのだと.....

「昔あかりを悲しませてしまった分も含めて、これからもあかりを幸せにしていくよ」

《ダメ》
おふっ!?なんで!?

《昔はもういいの。それよりも今の私をいっぱい愛して?それが一番の幸せだよ》
.....なるほど。あかりらしいと言えばあかりらしいか

「分かった。今のあかりをたくさん愛するよ。あかり・・・愛してる」

《うん!私ももっともっと雄司君を愛するよ!雄司君・・・愛してる》

そして俺とあかりはそっと口付けを交わした

あかりのはにかんだ笑顔がとても印象的だ。美しい.....

「あかりはやっぱり美人だよな。本来の俺なら高嶺の花だ」
《そんなことないよ!でも.....えへへ。褒められると嬉しいかな?》

照れているあかりが可愛いので頭をなでなでしてあげた
あかりは気持ちよさそうに目を細めている

「だからかな。誰よりも幸せにしたいと思う」

《それは私が、そ、その美人だから?》

「違うな。大切な幼馴染だからだ」

《雄司君.....嬉しい!私達やっと本当の幼馴染になれたんだね》

(長かったなぁ.....いつでもすぐに本当の幼馴染になれる関係だったのにずいぶんと遠回りしたもんだ。でもその遠回りがあったからこそ今があるのかもしれない。そう考えると悪くはないかな?)

《ねぇ雄司君。さっきの言葉は本当?私を誰よりも幸せにしたいって.....》

「あぁ、本当だ」

《それは雄司君の最愛であるヘイネさんよりも?》

「.....お、同じぐらいかな?」

確かに言ったよ?誰よりも幸せにしたいって!
そして今でもそう思っている.....
でもヘイネは全てに於いて優先される!

《もう!雄司君のケチ!そこは嘘でもいいからヘイネさんよりも幸せにするって言ってほしかったよ!》

「それはできない相談だな。俺は決めてるんだ。あかりには絶対嘘はつかないって」

《.....え?どういうこと?》

「俺の言葉を大切にしてくれてるんだろ?だったら嘘はつけないよ.....だから俺があかりに言う言葉は全て嘘偽りのない本心だ」

俺の言葉にきょとんとしているあかり
あれ?そんなに変なこと言った覚えはないんだけど?むしろ喜んでくれても.....

「だからもう一度言うな?あかりを誰よりも幸せにしたい。俺の最愛であるヘイネと同じぐらいに」

《雄司君の最愛であるヘイネさんと同じ.....じゃあ私も最愛?》
おふ!?い、いやそんな拡大解釈されましても.....

「最愛.....と同じぐらい幸せにするよ」

《あ!ずるい!ごまかしたよね?.....でもいいよ!許してあげる!》
た、助かります.....最愛はヘイネ。これは譲れないからな~

最愛と同じということが余程嬉しいのかすごく甘えてくるあかり。可愛い
そんなあかりがあまりに可愛いかったので.....

「あかり・・・愛してる」
《雄司君・・・愛してる》

またそっと唇を重ねた。何度も何度もお互いを愛おしむように.....


□□□□ ~お嫁さんの予行練習~ □□□□

さて、あかりといつまでもいちゃいちゃしていたいのはやまやまだが話があるんだった

「ぷはっ。あかり、聞いてくれ」
《んぅ.....どうしたの?雄司君?》

あかりからの貪欲なまでのキスから解放された
俺を見上げるあかりはまるで発情しているかのようだ

あかりは完全に甘えモードに突入している
甘え上手と言えばサーシャもそうだが、あかりも意外と甘え上手だ

サーシャが犬のような可愛らしい甘えをするのに対し、あかりは鷹のような獰猛なまでの甘えをしてくる
普段はとてもおしとやかなだけに、一度火がつくと手に負えないぐらいの肉食系女子になる

でもそんなエッチなあかりも嫌いじゃない。むしろ好きです!

《雄司君・・・》
「・・・」

このままだと確実にあかりを押し倒してしまう
いや、俺が押し倒さなくてもあかりに押し倒される

だから話を進めることにした

「マジで聞いてくれ」
《うぅ.....》
ダメです!今でも限界なんだから!色魔、色魔

「実は18歳になったら.....」

俺が話したかったのは、サーシャやセリーヌ達にも話した内容だ

18歳になったらあかり達と正式に結婚するつもりでいること
結婚式は訳あって先送りだけど必ず挙げるつもりでいること
先送りの理由はマリーが来るのを待っている為であること
イリアス式の結婚の儀式を執り行う予定であること
儀式の内容は既にサーシャから教わっていること

「だからあかりもそのつもりでいてほしい」
《嬉しい.....意外と雄司君って色々考えてくれてるよね》
意外とって.....いや、まぁ?確かにめんどくさがり屋だけど

《婚約指輪もそうだったし、結婚式や結婚のこともそう。お嫁さんには憧れてはいたけど、異世界に来た以上そういうのは半ば諦めていたんだよね。だからすごく嬉しい.....ありがとう雄司君!大好き!》

(気持ちはわからなくもない。訳のわからないまま異世界なんかに連れてこられたんじゃな。しかも本当に日本に帰れるかも分からないだろうし。更には異世界ともなると、お嫁さんはともかく指輪や結婚式なんて未知のものになりそうだんな。お嫁さんに憧れるあかりだからこそ、指輪や結婚式に対する憧れも人一倍強いのかもしれない)

あかりが抱き着いてきた。この愛情表現にも随分慣れた
だから俺も抱きしめ返してあげた

《雄司君.....キスして?》
う、上目遣いは反則だと思います!くっそ可愛いな!

「あかり・・・愛してる」
《雄司君・・・愛してる》

そして二人の唇が重なるようにそっと.....

顔を離すとあかりは名残惜しそうにしていた

《雄司君.....もう一回お願い》
しょうがないやつだな.....と言う俺も満更じゃないが

そしてまた静かに唇を何度も重ねた.....

(ハァ、やばいな。このままだとあかりの愛に溺れてしまいそうだ、話を進めていかないと....)

その後もあかりとはいちゃいちゃ?ベタベタ?していたのだが.....

「と言う訳で俺の覚悟を話したわけなんだが、実は更に考えていたことがあるんだ」

とりあえずあかりには一旦落ち着いてもらって、話を進めることにした

「あかり。一度結婚の儀式ってやつをやってみないか?」

《え?いいの?》

「予行練習みたいなもんかな?あかりは他の嫁さん達と違って、俺の嫁だけを希望しているだろ?だからそのへんは優遇してあげないなって思うんだ。正式な結婚は後日やるとして、今は仮結婚な感じで。あかりだけ先にお嫁さん(仮)にしてあげたいんだけど.....どうかな?」

これはあくまで俺の気持ちの問題だ
正式に結婚するならみんなと一緒にしてあげたい
そこはやはり平等にしないといけないと思う

でも予行練習なら問題ないだろう

前々から思っていた。あかりの一途な想いに応える方法を.....

お嫁さんにするのは全員平等にしないといけない
けれども、俺の中で一番最初にお嫁さんにしてあげたいと思っていたのはあかりだ

その葛藤が常に渦巻いていた。そして考えた末.....
妥協点に落ち着いたのが予行練習だった

(まぁ、単なる自己満にすぎないが.....)

しかし、あかりから帰ってきた返事はとびっきりの笑顔だった

・・・。

こうして俺とあかりは仮ではあるが結婚をしたのだった


あかりとの本当の幼馴染の関係とお嫁さん(仮)という誕生日プレゼントをもらった俺は今幸せの絶頂にいた

俺の純愛の撫子はいつまでも一途でどこまでもエロい!
ありがとう、あかり!俺はあかりと死ぬまで一緒に添い遂げたい!


ちなみにこの後、愛しいあかりに色々お願いされることになった

それはあかりらしい控えな我儘
ちょっと悩むものもあったが、あかりからのお願いだ

全部OKすることになったのだが、それはまた別のお話


□□□□ ~パーティーへのお誘い~ □□□□

帝都エクスペイン・冒険者ギルド

あかりからいくつかお願いされた
その為、この後にする行動は大体決まったことになる

その一つがリアを誕生日パーティーに誘って欲しいということだ

今日の夜に俺の誕生日パーティーをやることは、サーシャから聞いていた
家族の誕生日にはささやかなパーティーを毎回開いている
もちろん俺の誕生日も例外ではない

てか、やってくれなかったら泣くぞ?繊細な男の子心なめんな!

そんな訳でリアを誘いにきたのだが.....

(び、微妙に入りづらいな。受付3人娘のすったもんだ以来だもんな.....ヒルダにささっとリアを呼んでもらうかな)

意を決して冒険者ギルドの中に入ると一斉に注目を浴びた
俺はこの冒険者ギルド特有のノリみたいなものがあまり好きじゃない

だからさっさと用事を済まそうと受付窓口に近づいた

「やぁ、ヒルダ。リアを.....」
【【【ユウジさん!】】】
ちょっ!?なんで!?ヒルダに話しかけたのに!

俺の言葉に反応したのはヒルダに、ユリに、アズサの3人娘だ

いや正直言うと、冒険者ギルドに足を踏み入れた時点で3人からの視線は感じていた
しかし今は勤務中だから大丈夫だろうと、鷹をくくっていたのだ
俺は受付嬢の強引さを甘く見ていた.....てか、仕事しろ!

しかし話し掛けられた以上は仕方がない
無視はかわいそうだしな.....俺は女の子には甘いんだ!

「や、やぁ。ユリに、アズサもお仕事お疲れ様」

俺に挨拶されたことで、ユリやアズサの顔が綻んだ。可愛い
対してヒルダは仏頂面になってしまった。美人が台なしだぞ?

それにしても.....め、めんどくせえな!この3人が揃うと!

とりあえずヒルダにリアを呼んでもらうことにした
リアを待つ間に3人と色々話しをしたのだが.....

(こ、これ大丈夫かな?そのうち俺は冒険者ギルド出禁になったりしないだろうか?)

俺が心配しているのには訳がある

エクスペインの冒険者ギルドは受付窓口が全部で5つある
冒険者ギルドの中でもかなり多い方だ
ちなみにイシスは2つ。サラセニアでも3つだ
それでも混雑時には裁ききれないほどの冒険者が押し寄せる

そんな忙しい冒険者ギルドなのだが、現状3つの窓口が閉じてしまっている状態だ
その窓口というのがヒルダ、ユリ、アズサの担当窓口だ
原因は確実に俺。こんなことが今後も続けばきっと問題になる

どうしようと考えていたら女神が現れた

────パンッ
────パンッ
────パンッ

小気味よい音が3つ、冒険者ギルドに鳴り響いた

『あなた達、ちゃんと仕事をしなさい!』

そこに現れた女神はリアだった
リアが手にしているボードらしきもので3人の頭を叩いたみたいだ

(それパワハ.....いやいや!ここは異世界!きっと大丈夫!)

【【はい、申し訳ありません.....】】
気持ちは嬉しいが、ちゃんと仕事はしような?

ユリとアズサはそのまま自分の仕事に戻っていった
しかしこちらをチラチラと伺ってはいるようだ

【うぅ.....私はちゃんと仕事していたんですが?】
ど、どんまい!明日にはきっといいことあるさ!

ヒルダの言う通り。ヒルダは完全にとばっちりだ
しかし連帯責任というやつだろう.....り、理不尽すぎる

『ユウジさん。申し訳ありませんでした』
「いや、リアが気にすることじゃないから」

リアは申し訳なさそうにしていたが、むしろこの場を収めてくれたのだから感謝するのはこちらのほうだ

『それと.....』
「?」
『お誕生日おめでとうございます!』
あっ。知ってたのか。あかりから聞いたのかな?

そんなことを考えていたら.....

────チュッ

「!!?」

リアから不意にキスをされてしまった

キスをしてきたリアは恥ずかしそうに顔を赤くしていたが、素敵な笑顔だった.....可愛らしい

(じゃなくて!!おまっ!?こんな公衆の面前で!堂々と!.....ハァ。リアの大胆さにはいつも驚かされるな。いつものことだし、まぁいいか)

『誕生日プレゼントなんですが、お気に召しませんか?』
「い~や。ありがとう、嬉しいよ。だけどもう一回な?」

そう言って俺はリアの腰に手を回して引き寄せ.....

「リア・・・愛してる」
『ユウジさん・・・愛してます』

リアとそっと口付けを交わした

照れているリアはすごく可愛らしい
普段のキャリアウーマンな大人な印象と恥じらう少女な印象
そのギャップがたまらなくいい。サーシャに近いものを感じる
しかしサーシャにはない強引なまでの積極性
その積極性がリアの魅力であり、俺を飽きさせない魅力でもある

そんな俺とリアの行動に冒険者ギルドは騒然となった
そりゃあ騒然となるだろう。リアは結構人気があるらしいからな

ん?そうじゃないって?キスしたのが原因だって?
こまけぇこたぁ気にすんな!リアとキスしたかったんだよ!

さて、うるさい有象無象は神圧で黙らせたが問題は3人娘だ
俺とリアの行動でどう行動してくるかが分からない.....

そして3人娘が同時に口を開いた

【【【今日ユウジさんのお誕生日なんですか?】】】
お、おぅ!?ツッコむのはそれなのか?てっきりキスかと.....

ちょっと意外な反応に驚いていたが、リアが説明してくれた
リアが言うには、俺とリアが既に恋人であることは冒険者ギルドの全女性職員には通達済らしい

リアから美しい笑顔が向けられた
美しいのだが.....背筋が何故かゾクリッとした

(ふ、ふむ。さすがリアだな、根回しが早い.....あ、あれかな?女性職員に俺は私のものだから手を出すな!って意味の牽制の意味合いもあるのかな?それとも俺に、女性職員全員に知らせたのだからこれ以上受付嬢に手を出すな!って意味の脅しの意味合いでもあるのかな?.....ま、まぁ知らないほうがいいこともあるよな!うん、この件は聞かなかったことにしよう!)

リアは嫉妬しちゃう子だ。敢えて天狗を呼ぶ覚ます必要性はない
天狗、怖いよ、天狗.....

俺が天狗の出現を恐れていたら、リアが今更なことを尋ねてきた

『ところで今日はどういったご用件ですか?』
今更かよ!遅いよ!もっと早く聞いて!

そこで俺は今日の夜に誕生日パーティーをやるから、それのお誘いであることを伝えた

あかりがぜひに誘ってほしいとの旨を伝えたら大喜びしていた
本当あかりとリアは仲がいい

(恋友だっけか?いや、今は二人とも俺のものになっているし恋友じゃないか。親友か?まぁ仲がいいことはいいことだな)

俺はリアをなでなでしながら和んでいたら.....

『あかりさんの気持ちは嬉しいのですが、ユウジさんはどうなんですか?私をパーティーに誘いたいんですか?』

唐突に切り出された

(つまりあれか?あかりが誘ってくれたから、パーティーに誘われただけと思われたのか?ま、まぁ実際パーティーは家族だけで済ますつもりだったしなぁ。でもあかりの願いだと結構な数になる予定なんだよな?まぁ敢えて本当の事を言う必要はないか.....)

なでなでされているリアは気持ちよさそうにはしているが、不安げな表情で俺を見つめていた

「俺もリアにパーティーに来てほしいと思っているよ.....いや、必ず来い。迎えに来るからな?どんな先約や仕事があっても全てをキャンセルしてでも必ず来るんだ。そもそもリアにとって俺以上に大事なものなんてないだろ?だからリアが俺の誕生日パーティーに来るのは必然なんだ。いいか?もう一度言う。必ず来い。拒否は許さん」

エステル曰く、傲慢なぐらいがカッコイイだったか?
そうだよな、これぐらいが俺らしくてちょうどいいよな!
リアが強引にくるなら、俺も強引なぐらいにリアを誘う!

『.....もうユウジさんったら強引なんですから!』
「なに言ってんだ。強引はリアの専売特許だろ?」

そしてどちらともなく笑いあった
自然な笑顔のリアはやはりお姉さんの雰囲気が漂ってドキドキする

『ユウジさんにそこまで言われたのならお断りできないですね』
「おう!ぜひ来てくれ!エステルとともに迎えにくるよ」

俺とリアは互いを見つめ合う

きっとリアも気付いているのだろう
そろそろお別れの時間だと言うことを.....
リアはまだ仕事中だからこれ以上は邪魔になる

だからこそお互いを惜しむように見つめ合った。そして.....

『ユウジさん・・・待ってますね』
「リア・・・夕方迎えにくる」

そっとお互いに口付けを交わした。今度は何度も惜しむように.....


リアから強引なキスと惜しむような切ない想いという誕生日プレゼントをもらった俺は今幸せの絶頂にいた

俺の情愛の愛民はいつも強引で俺を飽きさせない!
ありがとう、リア!俺はリアを心から尊敬している!


ちなみにだが、この後エステルとともにリアを迎えにいった際にトラブルが起こった

俺は改めて戦慄することになるのだが、それはまた別のお話である


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