過去と現在を結ぶ異世界ストーリー
~慈愛と姉妹~
帝都エクスペイン・『迷宮区』闘技場前 ~夕方~
武闘大会はセリーヌの優勝で幕を閉じた
試合観戦中にセリーヌの奴隷が声を掛けてきて、セリーヌの近況を知る事ができた
セリーヌは相変わらず俺の愛しい愛姫だった
今俺達はアオイとともにセリーヌが会場から出て来るのを待っている所だ
(あぁ、早くあの可愛らしいセリーヌを抱きしめたい!もっふもふだべ~!セリーヌのは極上だからな!)
しばらくするとセリーヌが会場から出て来た
俺達に気付いたセリーヌは弾丸のように駆け寄ってきた
その勢いはやばいよね!?俺以外無事じゃ済まないから!
『ユ・ウ・さ・ま!逢いたかったですの!』
セリーヌの体当たりのような抱き着きを受け止めるのに、体力が半分ぐらい削られた気がする
「セリーヌ!俺もだ!逢いたかったぞ!」
俺とセリーヌはお互いしばらく抱き合った
3年前に比べて背は伸びたようだ
残念ながらぺったんこは変わらない
・・・い、いやいや!ま、まだ成長期だから!成長期!
まだあどけなさは残るものの女性らしさが垣間見える
「セリーヌ3年ぶりだな。しばらく見ない内にすごく綺麗になった。大人の女性にますます近づいたな」
『セリーヌはもう13だから大人ですの!でもユウ様に誉められて嬉しいですの!』
(あぁ、異世界や王家とかは大人の基準が違うんだっけ。異世界では10歳で既に冒険者になってたりしてるんだよな。更に王女あたりだとセリーヌの歳で婚約者いたり、結婚したりもあるんだっけかな?どうもそのあたりは慣れないんだよな)
「それは悪かった。大人の女性に対して失礼だったな。許してくれ?セリーヌ」
『気にしなくていいんですの!セリーヌは大人の女性だから心が広いんですの!』
う~ん、相変わらず単純な所も可愛らしいな!
もう我慢できん!
「セリーヌ・・・いいよな?」
『ユウ様・・・構いませんの』
俺とセリーヌはしばらく抱き合い、そのまま見つめ合った
〔え?またいきなりなの!?みんな見てるからやめなさいよね!〕
そして俺はそのまま・・・
セリーヌの耳と尻尾をもふもふしはじめた
〔・・・え!?〕
『あぁん!気持ちいいですの~!ユウ様のもふりニストは健在ですの~』
これ!これが我慢できなかった!最高だよ、もふもふ~
さてと・・・
「なぁ詩乃さんや?な・に・をやめないといけないんだ?言葉に出して言ってみろ。俺はセリーヌに対して「純愛」を求めてるんだ。いきなりするとでも思ったのか?俺はそんなに見境ないか?」
〔見境はないけど、・・・今回はごめんなさい〕
え?見境ないの?なんかさらっとひどいことを言われたよな?
『ユウ様!セリーヌはもう赤ちゃんだって産めますの!だから別に純愛でなくても構いませんの!』
そうなの!?いやいやいや!さすがに赤ちゃんは今はまだ・・・
セリーヌの発言に勢揃いしてる家族達の反応は様々だ
サラやハリー、アイサは俺をまるでゴミを見るかのような冷たい視線だ
(その視線はやめてください!目覚めたくないです!)
詩乃やアオイ、ミーは顔を赤くしてそっぽを向いている
(詩乃やアオイはわかるけど、ミーまで!?・・・いつのまにか大人になったんだね、ミー。にいさまは悲しいよ)
そしてサーシャとサリーは、
{ユウジ様?}
[あにさま?]
(ひぃぃ!だからなんで俺が責められてるんだ!?最近サーシャだけじゃなくてサリーも凄みを増してきたな・・・。俺の天使はどこへ・・・)
「と、とにかくセリーヌはみんなに自己紹介しような?みんなセリーヌのこと知らないしな」
『そうでしたの。すっかり忘れてましたの』
そう言ってセリーヌは自己紹介を始めた
さすがというべきかカーテシーをした時は王女然としていた
ひとしきり挨拶が済み、みんなで夕食をとることにした
あんまり高そう場所だとマナーやらなんやらがうるさそうなので、普通のレストランっぽいところにした
アオイはなんかホッとしていた。なんでホッとしてるの?
話を聞いたらいつも高級そうなお店に入るからこういう普通な所に入ると安心するらしい。庶民派なんです、俺
まぁセリーヌなら稼ぎ放題だろうし、王女だしなぁ
セリーヌの食べ方は美しくかった、さすが王女
(カーテシーの時もそうだけど、こういうところは子供じゃないんだよな。普段の子供っぽい態度と要所要所に見せる大人顔負けな態度とのギャップが萌える。3年前より更に美しくなってるから、そういう意味では女性って部分を強く意識させられるな)
改めてセリーヌの魅力を考えさせられていた
俺はロリコンなのかしらん?
ふむ、それも悪くない。愛の形は1つじゃないしな!
セリーヌみたいな可愛らしい子なら誰でも愛でたくなるよな?
セリーヌに対してロリコンにならないのは失礼だ!
悪くない、悪くない。ロリコン悪くない
夕食も終わり、セリーヌ達は今日の所は今泊まっている宿屋に戻るみたいだ
荷物などあるし、仕方ないだろう
セリーヌは悲しそうな顔をしていたがこればっかりはな
別れ際にセリーヌが
『ユウ様!セリーヌ、デートしたいですの!明日デートするんですの!』
突然のデートのお誘いだった
俺としては全然構わないのだが問題が残る
「デートするのはいいけど、アオイどうするんだ?」
そう、どうすんの?俺の家族に任せるのもいいが・・・
『?なに言ってるんのですの?アオイも一緒ですの。セリーヌとアオイはいつも一緒ですの』
「[え!?]」
まさかの3人デートだと!?
いや、俺はヘイネ達と経験あるからいいけどさ
俺とアオイがあまりにも驚いていたので、
セリーヌはその反応から拒絶と受け取ったのだろうか
悲しそうな顔で尋ねてくる
『ユウ様とアオイはダメ、ですの?』
耳と尻尾がもの悲しくしゅんとなってるよ・・・
「[いやいやいや!ダメじゃない(よ)!]」
アオイもセリーヌに対しては甘そうだ、気持ちはわかる!
[お姉ちゃんはいいの?僕も一緒で。デートなんだよね?ようやくユウ様と逢えてデートできるのに]
まぁセリーヌの事情知ってたらそうなるよな、アオイはいい子だ
『アオイはセリーヌが護ると約束しましたの。だからいつも一緒ですの。それに一人の幸せよりも二人の幸せのほうが、より幸せになれますの』
(セリーヌは変わらないなぁ、どこまでも大きな愛。全てを包み込むような優しさ。この優しさにどれだけ救われたことか・・・。奴隷に対しての認識の違いに怒ったこともあったけど、今ではこうしてアオイに普通に接してるもんな。本当世界の常識の悪い部分さえ捨てさせれば、セリーヌは誰よりも優しい子なんだ。優しすぎて損な役割になってるが、本人は気にしてないみたいだし、気にならないんだろう。自分の幸せもそうだがみんなの幸せをも考える、そんな慈愛に満ちたセリーヌに俺は癒され、慰められ、恋に落ちたんだ。あぁ、愛しい、愛しい!俺の愛姫!そんな愛しい姫君のために助け舟をだすか、アオイは遠慮し続けるだろうから)
「よし、明日は3人でデートするか!可愛らしい姫君達、明日俺と一緒にデートして頂けませんか?」
そう言って俺は、左手を背中に回し、ほんの少し上半身を前に倒し、右の手の平を上にして二人の前に差し出した
(なんかこんな感じのお誘いのポーズを騎士や貴族あたりがやってた気がする。キザだと思うがかなり恥ずかしいぞ、これ!スイがいたら間違いなく、キザッスね!って言いそうだ。確かお誘いオーケーなら、相手が俺の手の平の上に手を添えるんだったか?二人とも早く~!恥ずかしいわ!)
セリーヌは最初こそ俺のポーズに驚いていたが、さすが王女見慣れているんだろう
すぐに俺のポーズの意味を理解したようだ
顔をほんのり桜色に染めながらも微笑んで手を添えてくれた
(うっ!ちょっと、いや想像以上に美しかった。少し色っぽかったぞ・・・。そんな顔もできるようになったのか。子供だ子供だと思ってたが、これは・・・。認識を更に改めないと、いつかセリーヌを無意識の内に傷付けることになるかもしれないな)
一方アオイは俺のポーズの意味がわからなかったらしい
まぁアオイの置かれた環境ではわかる訳ないよな、仕方ない
最初は困惑していたようだが、セリーヌの行動を見て瞬時に理解したようだ
顔を真っ赤にして俯きながらも控えめに手を添えてくれた
(な、なんかアオイのも萌えるな。義妹設定は間違ってなかった!お姫様扱いなんてされたこともないだろうし、アオイの照れた顔も見れたから満足だ)
こうして明日、二人の姫君とデートをすることになった
ちなみにだがサーシャとサリーが、俺の誘いのポーズを羨ましそうに見ていたことは言うまでもないだろう
更に言うが俺はずっとセリーヌをもふもふしていた
セリーヌが側にいるなら、ひたすらもふもふするのはもふりニストなら当たり前の行動だからだ
□□□□
帝都エクスペイン・『中央区』待ち合わせ広場
翌日俺とセリーヌ達は中央区で待ち合わせることになった
小さい噴水があり、季節にあった花が噴水の周りを囲うよう植えられている
ちょっとお洒落な感じの場所だ
さすが帝都というべきか
しばらく待っていると二人の姫君が到着した
俺も、周りの人も仰天した
二人が本物のお姫様に見えるからだ
いや、セリーヌは本物ではあるが・・・
昨日俺はスルーしていたが、アオイはセリーヌのドレスを着ていた。本物の王女のドレスだ
そのへんの服とは格が違うのだ、華やかすぎて目立っていた
さらに今日はお洒落をしてきたのだろう
社交場にでるような華やかで上品なドレスを二人で纏ってきた
きっとセリーヌのメイド隊が用意したやつだろう
その上二人の容姿は可愛らしい
どこからどう見てもどこかの姫君にしか見えなかった
美しい、見惚れそうだ。ただ、美しいのだが・・・
『ユウ様お待たせしましたの!』
[ユ、ユウジ義兄さん、お待たせしました]
「二人ともとても美しいよ。まるでお姫様みたいだ!いつまでも見ていたい気分だ。見てみろ、周りもお姫様登場に驚いてるぞ?」
美しいよ?美しいけど目立ちすぎ!アオイなら気付くか?
『セリーヌは王女だから当たり前ですの!』
[え?周り?あっ・・・]
うん、セリーヌはセリーヌだな。アオイは気付いたみたいだ
「二人が俺とのデートの為にお洒落をしてきてくれたのはすごく嬉しい。俺もすごく気に入った。でもな?その可愛らしくも美しい姿は俺だけのモノにしたいんだ。俺だけが見ていたいんだ。ほかのやつらには見せたくない。ほかのやつらにこれ以上見られない為にも服屋に行って着替えよう」
セリーヌを傷付けないように上手くフォローしないとな
[お、お姉ちゃん!ユウジ義兄さんの言う通りにしよ?このドレスはユウジ義兄さんの前だけで着よ?ユ、ユウジ義兄さんがすごく可愛いって言ってくれてるんだし!]
ナイスだ、アオイ!さすがしっかり者の妹だ!
『そうですの?ユウ様とアオイがそういうなら服飾店に行きますの』
よしよし、単純なセリーヌも可愛いぞ!もふもふ~
ついでだ、アオイもなでてやるか!綺麗な銀髪は気になるし
『ユウ様~。気持ちいいですの~』
[はぅ・・・]
こうして二人の姫君の顔が上気したところで服飾店へと足を向けた
□□□□
帝都エクスペイン・『中央区』服飾店
今俺は二人の姫君が楽しそうに服を選んでいるのを眺めている。いや、訂正しよう
一人の姫君が、もう一人の姫君を片っ端から着せ替えているのだ
アオイは困惑している
どれも可愛いのだがセリーヌはお気に召さないらしい
度々意見を求められたが、俺のエルフのイメージだと森の妖精あたりだから緑っぽい服かな?と伝えた
セリーヌは、そうですの、と一言。なにやら考え出していた
普段からお洒落だけじゃなく頭使おうな?
「本当セリーヌはお洒落好きだよな、こういうお店をするのとか興味ないか?」
『興味はありますの。でもセリーヌは王女だからできませんの。やらせてもらえないですの』
まぁ、ショーマリーじゃ無理だよな。でも・・・
「ここはショーマリーじゃないからできるだろ。セリーヌは確かに王女だがイリアスではただの女の子だ。いや、違うな。俺の愛姫で、恋人で、嫁だな。だからセリーヌがやりたいならやってみろ。セリーヌの為なら協力するよ」
『いいんですの!?ユウ様ありがとうですの!嬉しいですの!』
可愛らしい笑顔だなぁ~、癒される
ひとしきりアオイの服は選び終わったようだ
いくつかの候補があったのでアオイにはそれらのうちの1つに着替えてもらった
さてこれからセリーヌの服選びかと思っていたら、
『お店を開くなら色々研究したいですの!』
そうだな、必要だな。少し多めでも全部購入してやるぞ!
『う~ん。これと・・・この辺りからこの辺までの全部頂きますの。あとアクセサリーもおすすめ品は全部と、この辺りにあるやつは全部買いますの』
ふぁ!?大人買いかよ!どこの外国人だ!?俺をナメるなよ!
セリーヌは気に入った服があった棚の端から端までを差し、アクセサリーも同様に指定していた
アオイも店員も度胆を抜かれたらしい
「それだけでいいのか?セリーヌ。気に入らないやつも、大した事なさそうなやつでも違う発見や需要はあるものだ。色々研究したほうがいいぞ。服は量がありすぎるからアレだが、アクセサリーは全部にしとけ。いらなくなったらあげればいいんだしな」
[ユウジ義兄さん!?]
アオイは俺の提案にも驚いたようだ
耳がぴくぴくしてて気になる
ちょっと触りたいな、後で聞いてみよう
『なるほど。さすがユウ様ですの!そうしますの』
うん、うん。セリーヌの喜ぶ顔が見れるなら安い門だ
セリーヌが着替えている最中にさっさと会計を済ませた
全部で白金貨5枚金貨24枚だった
白金貨6枚出した、お釣りはいらない。アオイは驚いていた
セリーヌの話しぶりから、セリーヌが買おうとしている雰囲気をなんとなく感じたからだ
そうは問屋は許さん、男の威厳にかけてもな!
量はかなりあったが全部ボックスにぶち込んだ
更にアオイは驚いていた。みんな同じ反応するな~
(ふむ、奴隷と同じぐらいかかったな。まぁ量が量だったけど。物価は王都より高いのかもな。高い買物する場合はもう金貨じゃなく白金貨が基本になりそうだ。白金貨ベースで考えるか)
そんな事を考えていたらセリーヌが着替え終わったようだ
アオイもそうだが、ドレスじゃなくても二人は可愛い
あまりにも可愛いらしかったので俺の心を乱した罰として
お仕置きにもふもふとなでなでの刑に処した
『ぁん!ユウ様、もっとですの~』
[はぅん!ぼ、僕も、もっと・・・]
くっそ可愛らしいなぁ、もう!
二人の可愛い姉妹にさらに俺の心は乱された
□□□□
帝都エクスペイン・『中央区』カフェ
俺がカフェに入るのはこれで二度目だ
既にカフェ童貞を済ませた俺に死角はない
そう思っていた時期が俺にもありました
「なん、、、だと!?」
セリーヌは王女だ。お紅茶ぐらいは嗜む。それはいい
何故だ?何故アオイまで済ました顔で紅茶を楽しむ!?
俺か?俺が変なのか?
最近の異世界女子は紅茶は当たり前なのか?
ヘイネやサーシャ、サラは嗜む。興味あると言ってたからな
詩乃はわからん。まぁJKだし多少は興味あるだろう
でも落ち着け俺。他の家族はどうだ?
ミシャやサリーはまだ子供だ、花より団子だ
ふぅ、嗜まない仲間がいた!
体力バカ達は絶対嗜まない、料理の味すらわかってないはず
ほら、ここにもいた仲間が!
・・・。
「ってぇっ!ダメだろ、俺!子供と体力バカとしか同じじゃないって慰めにもならねぇじゃねえか!」
『ユウ様!?』
[ユウジ義兄さん!?]
おっと!冷静さを失ってた。大人な男性になるんだ・・・
「セリーヌはともかく、なんでアオイは落ち着いてんの?」
[え、えっと。お姉ちゃんとよく来るから]
『当然ですの。紅茶は淑女の嗜みですの。アオイもセリーヌの妹なら当然嗜む必要ありますの』
お前かよ、セリーヌ!
あたふたするアオイを優雅にエスコートする俺の野望が潰されただろ!
それにしてもやはり紅茶を飲む仕草とかは様になってるな
こういうところは王女を彷彿とさせるんだよなぁ
アオイはよく来ると言っても少しぎこちないしな
俺?ぎこちないに決まってんだろ!聞くな!
色々話していたら二人はお風呂が好きな事がわかった
お風呂ねぇ~。二人もアヒル浮かせてるのかな~
異世界のお風呂は大抵高級扱いなことが多い
セリーヌはいいとして、アオイが好きになるぐらい入れているのはかなり幸せなことだよな
「お風呂グッズって言ったらテンプレはアヒルだよな~」
つい、ぽろっと考えが口から出てしまった
『?アヒルですの?』
[ユ、ユウジ義兄さん。お風呂グッズって、なに?]
あれ?異世界にはないのか
2度の異世界は余裕なくて気にならかったからなぁ
「俺の世界ではお風呂で楽しむ為のお風呂グッズってのがあるんだよ。アヒルもそのうちの一つだな」
アヒルは定番だよな?俺がアヒルになりたいぐらいだし
『アヒルをどうするんですの?』
「眺める」
[眺めた後、どうするの?]
「癒される」
『[???]』
・・・。
あれ~?誰だよ、アヒル浮かべたやつ!
反応悪いじゃねえか!それと今はカエルなのか?
「ごほん。アヒルはともかく他にもあるんだ。一般的なのは入浴剤だろうな」
『ニュウヨクザイ、ですの?』
知らないよねな、普通。本当地球の娯楽レベルは異常だよな
「お風呂に入れる粉や固体だな。お風呂に溶かして浸かるだけでなく、香りも楽しむんだ。例えば、このメニューに載ってるラベンダーとかは有名なんだぞ。お風呂の中でラベンダーの香りも楽しめたら癒し効果倍増だろ?」
ん~メニューからだと、カモミールとミントもか?
『なるほどですの。でも直接花をいれたらダメですの?』
[お、お姉ちゃん。お花がかわいそうだよ]
アオイはさすがエルフだな。自然を愛してるのかな?
「確かに直接でもいいだろうが運ぶのが大変だし、そう何回もできないだろ?だから入浴剤にするんだよ。これならあくまで香りを楽しむだけだから持ち運ぶのも苦労しないし、ラベンダーを刈り尽くさなくてもいい。俺のスキルでも創れるしな」
記憶創造マジ便利だわ~
『さすがユウ様ですの。頼りになりますの!』
[さ、さすがユウジ義兄さん。僕も入浴剤気になる]
あぁ~、美少女達からの尊敬眼差したまらんなぁ!
その後も楽しい会話が続いた
そのままカフェで軽い昼食を済ませた俺達は店を後にした
□□□□
帝都エクスペイン・『中央区』公園
昼食を済ませた俺達は公園の芝生でまったりしていた
セリーヌの小さな膝で膝枕をしてもらっている
アオイはセリーヌの横に座っている
セリーヌが俺の頭をなでながら
『いかがですの、ユウ様?気持ちいいですの?』
「あぁ、気持ちいいぞ。なんか昔を思い出すな。ショーマリーに転移したばかりの頃を思い出す。毎日慰められてたっけか」
2度目の転移の際の話だ
1度目の世界を救って後、敬愛していたマリーと引き離された。
3年後再び召喚された時は歓喜に奮えた
また戻ってこれたのだ、と。でも現実は残酷だった
召喚された世界はグズニールではなく、ショーマリーだった
態度には出さなかったが俺は意気消沈していた
勇者業はちゃんとやっていた。でも暗い顔をしてたんだろう
当時まだ9歳だったセリーヌに本心を見透かされた
それからは毎夜語り合い、慰められていた
『セリーヌはあの頃からずっとお慕いしていますの』
「ありがとう。その優しさに俺は何度も救われたよ」
セリーヌに頭をなでられながら、俺は空いてる手で尻尾を優しくなでている
『ユウ様?セリーヌ『は』ユウ様が何人もの女性を娶ろうと気にしませんの。ユウ様程の方ならば自然と女性の方から寄ってきますの。そしてユウ様の本当の素晴らしさがわかるような女性なら、むしろセリーヌ『は』歓迎しますの。あとはユウ様がみんなを幸せにしてくださればいいだけですの。そうしてくださればセリーヌ『は』満足ですの』
(う~む。懐が深いと言うか、セリーヌらしい言うか。ただセリーヌが本当は何を言いたいのかはわかる。きっとあのことなんだろう・・・)
『でもマリー姉様は違いますの。今もきっとユウ様を『純粋に』想われてますの。そう、怖いくらい、にですの。ユウ様?セリーヌはこちらにくる前にマリー姉様に言われましたの。悪い虫がつかないようしっかり監視しなさい、とですの。だからユウ様に聞きたいですの』
マリーは一途なまでの強烈な独占欲があるからな・・・
「・・・」
(やはりその話か・・・いや、感づかれもするか)
『セリーヌは悪い虫とは言いませんの。ユウ様が愛され、ユウ様をお慕いする女性なら、ですの。正直に教えてほしいのですの。・・・ユウ様はセリーヌやマリー姉様以外に愛されている女性はいるんですの?』
「・・・いる」
『そうですの。・・・サーシャですの?』
(やはり感づかれてたか)
セリーヌの言葉を静かに聞いていたアオイは
今のセリーヌの言葉に体を一瞬ビクッとさせていた
セリーヌにはサーシャが恋人な件は話していない
セリーヌがどう出るかわからなかったからだ
正確にはセリーヌ『は』大丈夫なのはわかっていた
ただ必ずマリーに何かを言われてくるのはわかっていたので、念のため直接には教えなかった
アオイにはサーシャのことは話していた
アオイはセリーヌの話を聞かせてもらっている間に案外賢いことがわかった。空気も読める
きっと、当人同士の問題には口を出さない、と俺が判断したからだ
仮にアオイが話しても問題ないとも思っていた。いずれバレるしな
そして先程の反応から話してないことがわかった
「そうだ。俺はサーシャが好きだ、愛してもいる」
嘘偽りない気持ちだ、胸を張って言える
『そうですの、本気ですの。ならセリーヌは言うことないですの。サーシャが本気なら歓迎もしますの。後で確認しますの。確認ですが、サーシャとはどこまで進まれたんですの?確かマリー姉様とはキスまでだったはずですの』
確認は大事だよね、あのマリーだから。常に一番でいようとするから
「・・・既に男女の仲になってるな」
し、仕方ないよな!?男の子なんだから!
『はぁ~・・・全部わかっている上でしたことで間違いないですの?』
!!!セリーヌに溜息吐かれた!こんな日がくるとは・・・
「間違いない・・・んだけど、どうしたらいいと思う?」
セリーヌにも縋るとはこのことだ
(う~ん。どうしよう?マリーは出鱈目に強いからなぁ。というか結論は出てるんだよな。サーシャが強くなってマリーに認めてもらうしかない、セリーヌのように。問題はマリーがいつこちらにくるかわからないことだ・・・)
『ユウ様にお願いがありますの。しばらくセリーヌにサーシャを貸して欲しいですの。いつものようにユウ様にちょっかい出した女性が殺されるのは見たくないですの。今のサーシャは弱くはないけど、確実にマリー姉様に殺されますの!怒ったマリー姉様は止められないですの!あの時はセリーヌも何度も死ぬかと思ったですの。今のマリー姉様はあの時よりも更に強かったですの!』
(ふむ、悪い手じゃないな。サーシャとセリーヌは戦闘スタイルは違うがどちらも近接タイプだ。教えやすいだろうし、学びやすいか。パーフェクトフェイクとはまた違う格上との戦闘は学ぶことが多い。俺も既に敏捷では格上のサーシャと模擬戦してるしな。任せるか、後は本人に確認を取るだけだな。それにしてもマリーは更に強かったのか、・・・ん?強かったってなんだ?)
「セリーヌ、強かった、ってなんだ?会ったなら立ち合うだろうから、強い、ならわかるんだが」
怖い、なんとなくわかるが否定してほしい・・・
『マリー姉様がショーマリーに来てから、毎日マリー姉様とみっちり鍛練してましたの!楽しかったですの。ショーマリーに来たときよりも更にマリー姉様も強くなってましたの!』
はぁ~~~~~。そうですよねー。じっとしてないですよね
「とりあえずはサーシャに確認してからだな。多分頼むことになる。その時は俺の愛しのメイドをよろしく頼む。俺の頼れる愛姫!」
『お任せくださいですの!ユウ様の愛しいものは全部、ユウ様の愛姫が守ってみせますの!』
慈愛に自信に満ち足りた愛しい愛姫の笑顔に俺は癒され、見惚れた
(本当もふもふで、可愛くて、頼りになって、慈愛のような優しさがあるセリーヌは最高だ。側に居続けてくれてありがとう!)
気持ちが抑えられなかった俺は、
尻尾をなでていた手をセリーヌの後頭部に添えて
膝枕されている俺の顔まで強引にセリーヌの顔を押し当てた
重なった唇と唇の感触に驚いたセリーヌだが
涙を流して、本当に、本当に嬉しそうにしていた
まるで長年願っていた想いがようやく届いたかのように
俺は軽く当てた唇を離して、
「愛している。セリーヌ」
『愛していますの!ユウ様!』
今度は手に力を入れる必要はなかった
俺の愛しい愛姫がキスをしてくれたのだから
そのキスはぎこちなさが残りながらも優しい味がした
俺とセリーヌの『はじめてのキス』だった
□□□□
王都イシス・神殿前 ~夕方~
本日の最終目的地に着いた。恒例の場所だ
今回は悩んだ。いや、することをじゃない
誓いは絶対やるつもりだ
問題はアオイをどうするかと場所だ
帝都にも噴水はあった。多分ライトアップもされるはずだ
悩んだ末、今後もここでいいかな、と。みんな平等だ!
アオイは結局連れてきた
置いてくるのはセリーヌが許さないだろう
ただ誓いをどうするかだ・・・
見られてるのもアレだしなぁ
ふと、セリーヌを見た
セリーヌは上機嫌だ
誰がどう見ても上機嫌だ
気持ちはわかる、長年願った想いが成就したのだから
俺は今までセリーヌには手を出していなかった
それぐらいセリーヌを大切に想っていた
『純愛』まさにこれだ!
だがしばらく逢えなかったセリーヌは
いつのまにか俺が思っていた以上に大人になっていた
容姿だけじゃない、心もだ
子供だと思っていた認識を改めた
一人の大人の女性として扱おうと決めた
まぁ、ぶっちゃけキスしたいな~って思っただけなんだけどな!
噴水前は相変わらずカップルが多い
すいません、またお世話になります
ライトアップされた噴水はやはり幻想的だった
『きれいですの~』
[う、うん。すごくきれい・・・]
うん、君達の方が幻想的だぞ!
さてと・・・い、言うかな
3度目だが緊張はする
こういうの本当慣れないよな
「確かに幻想的できれいだが、この噴水もライトアップもセリーヌやアオイがいてこそ美しい。二人がいなかったら色褪せた世界だったはずだ。二人の存在が今、この瞬間に色鮮やかな世界にしたんだよ」
ふぅ~。言えた
なんか最近口が上手くなったような気がするな
スケコマシとか思われないだろうか
さて、二人はどうだ?
『ユウ様ったら。お口が上手いんですの』
な、なんか思ってた反応と違うぞ!?笑われてる?
[・・・]
すげ~真っ赤だな!これはこれで恥ずかしいわ!
もう時間的にもいいだろう
今回は悩んだ末、二人にすることにした
姉妹なのに仲間外れはかわいそうだしな
「セリーヌ、アオイ。俺の世界の物語なんだが、こういう幻想的な場面で騎士がお姫様に騎士の誓いをする話があるんだ」
『知ってますの!騎士の忠誠ですの!姫の憧れですの!』
知ってんの!?てかセリーヌさん、話の腰折らないで~
セリーヌの予想外の反応に戸惑ったが無視して続けた
俺は、二人より少し前に出て振り返り二人と向き合う
向き合った二人の前で片膝を立ててしゃがみこみ、セリーヌの右手を、アオイの左手をそれぞれ手に取る
『ユウ様!セリーヌは忠誠ではなく、愛を誓って欲しいですの!』
本当黙っててもらえます!?やりづらいわ!
[ユウジ義兄さん!?]
これ!この反応が欲しかったの!
「聞いてほしい」
「俺、セリーヌ、アオイに誓うよ。セリーヌには『心愛』の、アオイには『良愛』の意志を込めて、セリーヌ、アオイに誓う」
『きましたの!きましたの!痺れますの!憧れですの!』
[お、お姉ちゃん。静かにね?ユウジ義兄さん、今キメてるところだからね?]
・・・。アオイ、いい子や。セリーヌは落ち着け!
俺は、セリーヌとアオイに騎士の誓いをし、そっと右手と左手の甲にキスをした
『あぁぁ~幸せですの~。もうこの手は洗わないですの!』
いやいや、洗おうな?てか、ムードが・・・
[はぅぅ~・・・ききき、キス・・・]
アオイは予想通りだな~
「そして受け取って欲しい。二人は姉妹だからお揃いのものがいいと思ったんだ。よかったら身につけて欲しい。結構可愛くできた自信がある。大切にして欲しい」
キスした右手と左手の甲をそれぞれくるっと翻し、手の平にそれぞれ一つのポーチを渡した
マジックポーチ 『心愛のクマさんポーチ』
『良愛のクマさんポーチ』
『可愛いですの。アオイと一緒ですの!』
[お、お姉ちゃんと同じポーチ・・・!]
気に入ってくれて嬉しい
「そのポーチにはアイテムボックスのスキルを付与しておいた。セリーヌは既にブローチにアイテムボックスの機能があるから被ってしまうが、アオイとお揃いにするために仕方なかった。アオイの今後を考えたらアイテムボックスがいいかと思ってな。ごめんな、セリーヌ」
[ユ、ユウジ義兄さん!ありがとう!]
その笑顔がお代なんだよ、アオイ
『セリーヌは構いませんの!アオイと一緒で嬉しいですの!それに・・・セリーヌはもう既にユウ様から愛を頂いてますの』
やっべ!超可愛い!赤く照てるセリーヌが可愛すぎる件
俺はライトアップされてる噴水を背にセリーヌを抱き寄せた
セリーヌは驚いていたが身を任せているようだ
二人は見つめあっている
「セリーヌ、可愛いぞ。俺はもう我慢できない。セリーヌを蹂躙する。いいよな?」
『は、はいですの・・・』
「セリーヌ・・・」
『ユウ様・・・』
二人はそのままお互いの唇を求めあった
明るく幻想的にライトアップされた一人の妹と
愛しい人に大人の女性として認められた一人の姉
仲睦まじい二人の姉妹の腰には可愛らしいお揃いのポーチ
一人の勇者に愛された姉妹の証であるかのように輝いていた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
マジックポーチ 心愛のクマさんポーチ
込められた想いは、『永遠の愛と心愛』
マジックポーチ 良愛のクマさんポーチ
込められた想いは、『家族愛と良愛』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
武闘大会はセリーヌの優勝で幕を閉じた
試合観戦中にセリーヌの奴隷が声を掛けてきて、セリーヌの近況を知る事ができた
セリーヌは相変わらず俺の愛しい愛姫だった
今俺達はアオイとともにセリーヌが会場から出て来るのを待っている所だ
(あぁ、早くあの可愛らしいセリーヌを抱きしめたい!もっふもふだべ~!セリーヌのは極上だからな!)
しばらくするとセリーヌが会場から出て来た
俺達に気付いたセリーヌは弾丸のように駆け寄ってきた
その勢いはやばいよね!?俺以外無事じゃ済まないから!
『ユ・ウ・さ・ま!逢いたかったですの!』
セリーヌの体当たりのような抱き着きを受け止めるのに、体力が半分ぐらい削られた気がする
「セリーヌ!俺もだ!逢いたかったぞ!」
俺とセリーヌはお互いしばらく抱き合った
3年前に比べて背は伸びたようだ
残念ながらぺったんこは変わらない
・・・い、いやいや!ま、まだ成長期だから!成長期!
まだあどけなさは残るものの女性らしさが垣間見える
「セリーヌ3年ぶりだな。しばらく見ない内にすごく綺麗になった。大人の女性にますます近づいたな」
『セリーヌはもう13だから大人ですの!でもユウ様に誉められて嬉しいですの!』
(あぁ、異世界や王家とかは大人の基準が違うんだっけ。異世界では10歳で既に冒険者になってたりしてるんだよな。更に王女あたりだとセリーヌの歳で婚約者いたり、結婚したりもあるんだっけかな?どうもそのあたりは慣れないんだよな)
「それは悪かった。大人の女性に対して失礼だったな。許してくれ?セリーヌ」
『気にしなくていいんですの!セリーヌは大人の女性だから心が広いんですの!』
う~ん、相変わらず単純な所も可愛らしいな!
もう我慢できん!
「セリーヌ・・・いいよな?」
『ユウ様・・・構いませんの』
俺とセリーヌはしばらく抱き合い、そのまま見つめ合った
〔え?またいきなりなの!?みんな見てるからやめなさいよね!〕
そして俺はそのまま・・・
セリーヌの耳と尻尾をもふもふしはじめた
〔・・・え!?〕
『あぁん!気持ちいいですの~!ユウ様のもふりニストは健在ですの~』
これ!これが我慢できなかった!最高だよ、もふもふ~
さてと・・・
「なぁ詩乃さんや?な・に・をやめないといけないんだ?言葉に出して言ってみろ。俺はセリーヌに対して「純愛」を求めてるんだ。いきなりするとでも思ったのか?俺はそんなに見境ないか?」
〔見境はないけど、・・・今回はごめんなさい〕
え?見境ないの?なんかさらっとひどいことを言われたよな?
『ユウ様!セリーヌはもう赤ちゃんだって産めますの!だから別に純愛でなくても構いませんの!』
そうなの!?いやいやいや!さすがに赤ちゃんは今はまだ・・・
セリーヌの発言に勢揃いしてる家族達の反応は様々だ
サラやハリー、アイサは俺をまるでゴミを見るかのような冷たい視線だ
(その視線はやめてください!目覚めたくないです!)
詩乃やアオイ、ミーは顔を赤くしてそっぽを向いている
(詩乃やアオイはわかるけど、ミーまで!?・・・いつのまにか大人になったんだね、ミー。にいさまは悲しいよ)
そしてサーシャとサリーは、
{ユウジ様?}
[あにさま?]
(ひぃぃ!だからなんで俺が責められてるんだ!?最近サーシャだけじゃなくてサリーも凄みを増してきたな・・・。俺の天使はどこへ・・・)
「と、とにかくセリーヌはみんなに自己紹介しような?みんなセリーヌのこと知らないしな」
『そうでしたの。すっかり忘れてましたの』
そう言ってセリーヌは自己紹介を始めた
さすがというべきかカーテシーをした時は王女然としていた
ひとしきり挨拶が済み、みんなで夕食をとることにした
あんまり高そう場所だとマナーやらなんやらがうるさそうなので、普通のレストランっぽいところにした
アオイはなんかホッとしていた。なんでホッとしてるの?
話を聞いたらいつも高級そうなお店に入るからこういう普通な所に入ると安心するらしい。庶民派なんです、俺
まぁセリーヌなら稼ぎ放題だろうし、王女だしなぁ
セリーヌの食べ方は美しくかった、さすが王女
(カーテシーの時もそうだけど、こういうところは子供じゃないんだよな。普段の子供っぽい態度と要所要所に見せる大人顔負けな態度とのギャップが萌える。3年前より更に美しくなってるから、そういう意味では女性って部分を強く意識させられるな)
改めてセリーヌの魅力を考えさせられていた
俺はロリコンなのかしらん?
ふむ、それも悪くない。愛の形は1つじゃないしな!
セリーヌみたいな可愛らしい子なら誰でも愛でたくなるよな?
セリーヌに対してロリコンにならないのは失礼だ!
悪くない、悪くない。ロリコン悪くない
夕食も終わり、セリーヌ達は今日の所は今泊まっている宿屋に戻るみたいだ
荷物などあるし、仕方ないだろう
セリーヌは悲しそうな顔をしていたがこればっかりはな
別れ際にセリーヌが
『ユウ様!セリーヌ、デートしたいですの!明日デートするんですの!』
突然のデートのお誘いだった
俺としては全然構わないのだが問題が残る
「デートするのはいいけど、アオイどうするんだ?」
そう、どうすんの?俺の家族に任せるのもいいが・・・
『?なに言ってるんのですの?アオイも一緒ですの。セリーヌとアオイはいつも一緒ですの』
「[え!?]」
まさかの3人デートだと!?
いや、俺はヘイネ達と経験あるからいいけどさ
俺とアオイがあまりにも驚いていたので、
セリーヌはその反応から拒絶と受け取ったのだろうか
悲しそうな顔で尋ねてくる
『ユウ様とアオイはダメ、ですの?』
耳と尻尾がもの悲しくしゅんとなってるよ・・・
「[いやいやいや!ダメじゃない(よ)!]」
アオイもセリーヌに対しては甘そうだ、気持ちはわかる!
[お姉ちゃんはいいの?僕も一緒で。デートなんだよね?ようやくユウ様と逢えてデートできるのに]
まぁセリーヌの事情知ってたらそうなるよな、アオイはいい子だ
『アオイはセリーヌが護ると約束しましたの。だからいつも一緒ですの。それに一人の幸せよりも二人の幸せのほうが、より幸せになれますの』
(セリーヌは変わらないなぁ、どこまでも大きな愛。全てを包み込むような優しさ。この優しさにどれだけ救われたことか・・・。奴隷に対しての認識の違いに怒ったこともあったけど、今ではこうしてアオイに普通に接してるもんな。本当世界の常識の悪い部分さえ捨てさせれば、セリーヌは誰よりも優しい子なんだ。優しすぎて損な役割になってるが、本人は気にしてないみたいだし、気にならないんだろう。自分の幸せもそうだがみんなの幸せをも考える、そんな慈愛に満ちたセリーヌに俺は癒され、慰められ、恋に落ちたんだ。あぁ、愛しい、愛しい!俺の愛姫!そんな愛しい姫君のために助け舟をだすか、アオイは遠慮し続けるだろうから)
「よし、明日は3人でデートするか!可愛らしい姫君達、明日俺と一緒にデートして頂けませんか?」
そう言って俺は、左手を背中に回し、ほんの少し上半身を前に倒し、右の手の平を上にして二人の前に差し出した
(なんかこんな感じのお誘いのポーズを騎士や貴族あたりがやってた気がする。キザだと思うがかなり恥ずかしいぞ、これ!スイがいたら間違いなく、キザッスね!って言いそうだ。確かお誘いオーケーなら、相手が俺の手の平の上に手を添えるんだったか?二人とも早く~!恥ずかしいわ!)
セリーヌは最初こそ俺のポーズに驚いていたが、さすが王女見慣れているんだろう
すぐに俺のポーズの意味を理解したようだ
顔をほんのり桜色に染めながらも微笑んで手を添えてくれた
(うっ!ちょっと、いや想像以上に美しかった。少し色っぽかったぞ・・・。そんな顔もできるようになったのか。子供だ子供だと思ってたが、これは・・・。認識を更に改めないと、いつかセリーヌを無意識の内に傷付けることになるかもしれないな)
一方アオイは俺のポーズの意味がわからなかったらしい
まぁアオイの置かれた環境ではわかる訳ないよな、仕方ない
最初は困惑していたようだが、セリーヌの行動を見て瞬時に理解したようだ
顔を真っ赤にして俯きながらも控えめに手を添えてくれた
(な、なんかアオイのも萌えるな。義妹設定は間違ってなかった!お姫様扱いなんてされたこともないだろうし、アオイの照れた顔も見れたから満足だ)
こうして明日、二人の姫君とデートをすることになった
ちなみにだがサーシャとサリーが、俺の誘いのポーズを羨ましそうに見ていたことは言うまでもないだろう
更に言うが俺はずっとセリーヌをもふもふしていた
セリーヌが側にいるなら、ひたすらもふもふするのはもふりニストなら当たり前の行動だからだ
□□□□
帝都エクスペイン・『中央区』待ち合わせ広場
翌日俺とセリーヌ達は中央区で待ち合わせることになった
小さい噴水があり、季節にあった花が噴水の周りを囲うよう植えられている
ちょっとお洒落な感じの場所だ
さすが帝都というべきか
しばらく待っていると二人の姫君が到着した
俺も、周りの人も仰天した
二人が本物のお姫様に見えるからだ
いや、セリーヌは本物ではあるが・・・
昨日俺はスルーしていたが、アオイはセリーヌのドレスを着ていた。本物の王女のドレスだ
そのへんの服とは格が違うのだ、華やかすぎて目立っていた
さらに今日はお洒落をしてきたのだろう
社交場にでるような華やかで上品なドレスを二人で纏ってきた
きっとセリーヌのメイド隊が用意したやつだろう
その上二人の容姿は可愛らしい
どこからどう見てもどこかの姫君にしか見えなかった
美しい、見惚れそうだ。ただ、美しいのだが・・・
『ユウ様お待たせしましたの!』
[ユ、ユウジ義兄さん、お待たせしました]
「二人ともとても美しいよ。まるでお姫様みたいだ!いつまでも見ていたい気分だ。見てみろ、周りもお姫様登場に驚いてるぞ?」
美しいよ?美しいけど目立ちすぎ!アオイなら気付くか?
『セリーヌは王女だから当たり前ですの!』
[え?周り?あっ・・・]
うん、セリーヌはセリーヌだな。アオイは気付いたみたいだ
「二人が俺とのデートの為にお洒落をしてきてくれたのはすごく嬉しい。俺もすごく気に入った。でもな?その可愛らしくも美しい姿は俺だけのモノにしたいんだ。俺だけが見ていたいんだ。ほかのやつらには見せたくない。ほかのやつらにこれ以上見られない為にも服屋に行って着替えよう」
セリーヌを傷付けないように上手くフォローしないとな
[お、お姉ちゃん!ユウジ義兄さんの言う通りにしよ?このドレスはユウジ義兄さんの前だけで着よ?ユ、ユウジ義兄さんがすごく可愛いって言ってくれてるんだし!]
ナイスだ、アオイ!さすがしっかり者の妹だ!
『そうですの?ユウ様とアオイがそういうなら服飾店に行きますの』
よしよし、単純なセリーヌも可愛いぞ!もふもふ~
ついでだ、アオイもなでてやるか!綺麗な銀髪は気になるし
『ユウ様~。気持ちいいですの~』
[はぅ・・・]
こうして二人の姫君の顔が上気したところで服飾店へと足を向けた
□□□□
帝都エクスペイン・『中央区』服飾店
今俺は二人の姫君が楽しそうに服を選んでいるのを眺めている。いや、訂正しよう
一人の姫君が、もう一人の姫君を片っ端から着せ替えているのだ
アオイは困惑している
どれも可愛いのだがセリーヌはお気に召さないらしい
度々意見を求められたが、俺のエルフのイメージだと森の妖精あたりだから緑っぽい服かな?と伝えた
セリーヌは、そうですの、と一言。なにやら考え出していた
普段からお洒落だけじゃなく頭使おうな?
「本当セリーヌはお洒落好きだよな、こういうお店をするのとか興味ないか?」
『興味はありますの。でもセリーヌは王女だからできませんの。やらせてもらえないですの』
まぁ、ショーマリーじゃ無理だよな。でも・・・
「ここはショーマリーじゃないからできるだろ。セリーヌは確かに王女だがイリアスではただの女の子だ。いや、違うな。俺の愛姫で、恋人で、嫁だな。だからセリーヌがやりたいならやってみろ。セリーヌの為なら協力するよ」
『いいんですの!?ユウ様ありがとうですの!嬉しいですの!』
可愛らしい笑顔だなぁ~、癒される
ひとしきりアオイの服は選び終わったようだ
いくつかの候補があったのでアオイにはそれらのうちの1つに着替えてもらった
さてこれからセリーヌの服選びかと思っていたら、
『お店を開くなら色々研究したいですの!』
そうだな、必要だな。少し多めでも全部購入してやるぞ!
『う~ん。これと・・・この辺りからこの辺までの全部頂きますの。あとアクセサリーもおすすめ品は全部と、この辺りにあるやつは全部買いますの』
ふぁ!?大人買いかよ!どこの外国人だ!?俺をナメるなよ!
セリーヌは気に入った服があった棚の端から端までを差し、アクセサリーも同様に指定していた
アオイも店員も度胆を抜かれたらしい
「それだけでいいのか?セリーヌ。気に入らないやつも、大した事なさそうなやつでも違う発見や需要はあるものだ。色々研究したほうがいいぞ。服は量がありすぎるからアレだが、アクセサリーは全部にしとけ。いらなくなったらあげればいいんだしな」
[ユウジ義兄さん!?]
アオイは俺の提案にも驚いたようだ
耳がぴくぴくしてて気になる
ちょっと触りたいな、後で聞いてみよう
『なるほど。さすがユウ様ですの!そうしますの』
うん、うん。セリーヌの喜ぶ顔が見れるなら安い門だ
セリーヌが着替えている最中にさっさと会計を済ませた
全部で白金貨5枚金貨24枚だった
白金貨6枚出した、お釣りはいらない。アオイは驚いていた
セリーヌの話しぶりから、セリーヌが買おうとしている雰囲気をなんとなく感じたからだ
そうは問屋は許さん、男の威厳にかけてもな!
量はかなりあったが全部ボックスにぶち込んだ
更にアオイは驚いていた。みんな同じ反応するな~
(ふむ、奴隷と同じぐらいかかったな。まぁ量が量だったけど。物価は王都より高いのかもな。高い買物する場合はもう金貨じゃなく白金貨が基本になりそうだ。白金貨ベースで考えるか)
そんな事を考えていたらセリーヌが着替え終わったようだ
アオイもそうだが、ドレスじゃなくても二人は可愛い
あまりにも可愛いらしかったので俺の心を乱した罰として
お仕置きにもふもふとなでなでの刑に処した
『ぁん!ユウ様、もっとですの~』
[はぅん!ぼ、僕も、もっと・・・]
くっそ可愛らしいなぁ、もう!
二人の可愛い姉妹にさらに俺の心は乱された
□□□□
帝都エクスペイン・『中央区』カフェ
俺がカフェに入るのはこれで二度目だ
既にカフェ童貞を済ませた俺に死角はない
そう思っていた時期が俺にもありました
「なん、、、だと!?」
セリーヌは王女だ。お紅茶ぐらいは嗜む。それはいい
何故だ?何故アオイまで済ました顔で紅茶を楽しむ!?
俺か?俺が変なのか?
最近の異世界女子は紅茶は当たり前なのか?
ヘイネやサーシャ、サラは嗜む。興味あると言ってたからな
詩乃はわからん。まぁJKだし多少は興味あるだろう
でも落ち着け俺。他の家族はどうだ?
ミシャやサリーはまだ子供だ、花より団子だ
ふぅ、嗜まない仲間がいた!
体力バカ達は絶対嗜まない、料理の味すらわかってないはず
ほら、ここにもいた仲間が!
・・・。
「ってぇっ!ダメだろ、俺!子供と体力バカとしか同じじゃないって慰めにもならねぇじゃねえか!」
『ユウ様!?』
[ユウジ義兄さん!?]
おっと!冷静さを失ってた。大人な男性になるんだ・・・
「セリーヌはともかく、なんでアオイは落ち着いてんの?」
[え、えっと。お姉ちゃんとよく来るから]
『当然ですの。紅茶は淑女の嗜みですの。アオイもセリーヌの妹なら当然嗜む必要ありますの』
お前かよ、セリーヌ!
あたふたするアオイを優雅にエスコートする俺の野望が潰されただろ!
それにしてもやはり紅茶を飲む仕草とかは様になってるな
こういうところは王女を彷彿とさせるんだよなぁ
アオイはよく来ると言っても少しぎこちないしな
俺?ぎこちないに決まってんだろ!聞くな!
色々話していたら二人はお風呂が好きな事がわかった
お風呂ねぇ~。二人もアヒル浮かせてるのかな~
異世界のお風呂は大抵高級扱いなことが多い
セリーヌはいいとして、アオイが好きになるぐらい入れているのはかなり幸せなことだよな
「お風呂グッズって言ったらテンプレはアヒルだよな~」
つい、ぽろっと考えが口から出てしまった
『?アヒルですの?』
[ユ、ユウジ義兄さん。お風呂グッズって、なに?]
あれ?異世界にはないのか
2度の異世界は余裕なくて気にならかったからなぁ
「俺の世界ではお風呂で楽しむ為のお風呂グッズってのがあるんだよ。アヒルもそのうちの一つだな」
アヒルは定番だよな?俺がアヒルになりたいぐらいだし
『アヒルをどうするんですの?』
「眺める」
[眺めた後、どうするの?]
「癒される」
『[???]』
・・・。
あれ~?誰だよ、アヒル浮かべたやつ!
反応悪いじゃねえか!それと今はカエルなのか?
「ごほん。アヒルはともかく他にもあるんだ。一般的なのは入浴剤だろうな」
『ニュウヨクザイ、ですの?』
知らないよねな、普通。本当地球の娯楽レベルは異常だよな
「お風呂に入れる粉や固体だな。お風呂に溶かして浸かるだけでなく、香りも楽しむんだ。例えば、このメニューに載ってるラベンダーとかは有名なんだぞ。お風呂の中でラベンダーの香りも楽しめたら癒し効果倍増だろ?」
ん~メニューからだと、カモミールとミントもか?
『なるほどですの。でも直接花をいれたらダメですの?』
[お、お姉ちゃん。お花がかわいそうだよ]
アオイはさすがエルフだな。自然を愛してるのかな?
「確かに直接でもいいだろうが運ぶのが大変だし、そう何回もできないだろ?だから入浴剤にするんだよ。これならあくまで香りを楽しむだけだから持ち運ぶのも苦労しないし、ラベンダーを刈り尽くさなくてもいい。俺のスキルでも創れるしな」
記憶創造マジ便利だわ~
『さすがユウ様ですの。頼りになりますの!』
[さ、さすがユウジ義兄さん。僕も入浴剤気になる]
あぁ~、美少女達からの尊敬眼差したまらんなぁ!
その後も楽しい会話が続いた
そのままカフェで軽い昼食を済ませた俺達は店を後にした
□□□□
帝都エクスペイン・『中央区』公園
昼食を済ませた俺達は公園の芝生でまったりしていた
セリーヌの小さな膝で膝枕をしてもらっている
アオイはセリーヌの横に座っている
セリーヌが俺の頭をなでながら
『いかがですの、ユウ様?気持ちいいですの?』
「あぁ、気持ちいいぞ。なんか昔を思い出すな。ショーマリーに転移したばかりの頃を思い出す。毎日慰められてたっけか」
2度目の転移の際の話だ
1度目の世界を救って後、敬愛していたマリーと引き離された。
3年後再び召喚された時は歓喜に奮えた
また戻ってこれたのだ、と。でも現実は残酷だった
召喚された世界はグズニールではなく、ショーマリーだった
態度には出さなかったが俺は意気消沈していた
勇者業はちゃんとやっていた。でも暗い顔をしてたんだろう
当時まだ9歳だったセリーヌに本心を見透かされた
それからは毎夜語り合い、慰められていた
『セリーヌはあの頃からずっとお慕いしていますの』
「ありがとう。その優しさに俺は何度も救われたよ」
セリーヌに頭をなでられながら、俺は空いてる手で尻尾を優しくなでている
『ユウ様?セリーヌ『は』ユウ様が何人もの女性を娶ろうと気にしませんの。ユウ様程の方ならば自然と女性の方から寄ってきますの。そしてユウ様の本当の素晴らしさがわかるような女性なら、むしろセリーヌ『は』歓迎しますの。あとはユウ様がみんなを幸せにしてくださればいいだけですの。そうしてくださればセリーヌ『は』満足ですの』
(う~む。懐が深いと言うか、セリーヌらしい言うか。ただセリーヌが本当は何を言いたいのかはわかる。きっとあのことなんだろう・・・)
『でもマリー姉様は違いますの。今もきっとユウ様を『純粋に』想われてますの。そう、怖いくらい、にですの。ユウ様?セリーヌはこちらにくる前にマリー姉様に言われましたの。悪い虫がつかないようしっかり監視しなさい、とですの。だからユウ様に聞きたいですの』
マリーは一途なまでの強烈な独占欲があるからな・・・
「・・・」
(やはりその話か・・・いや、感づかれもするか)
『セリーヌは悪い虫とは言いませんの。ユウ様が愛され、ユウ様をお慕いする女性なら、ですの。正直に教えてほしいのですの。・・・ユウ様はセリーヌやマリー姉様以外に愛されている女性はいるんですの?』
「・・・いる」
『そうですの。・・・サーシャですの?』
(やはり感づかれてたか)
セリーヌの言葉を静かに聞いていたアオイは
今のセリーヌの言葉に体を一瞬ビクッとさせていた
セリーヌにはサーシャが恋人な件は話していない
セリーヌがどう出るかわからなかったからだ
正確にはセリーヌ『は』大丈夫なのはわかっていた
ただ必ずマリーに何かを言われてくるのはわかっていたので、念のため直接には教えなかった
アオイにはサーシャのことは話していた
アオイはセリーヌの話を聞かせてもらっている間に案外賢いことがわかった。空気も読める
きっと、当人同士の問題には口を出さない、と俺が判断したからだ
仮にアオイが話しても問題ないとも思っていた。いずれバレるしな
そして先程の反応から話してないことがわかった
「そうだ。俺はサーシャが好きだ、愛してもいる」
嘘偽りない気持ちだ、胸を張って言える
『そうですの、本気ですの。ならセリーヌは言うことないですの。サーシャが本気なら歓迎もしますの。後で確認しますの。確認ですが、サーシャとはどこまで進まれたんですの?確かマリー姉様とはキスまでだったはずですの』
確認は大事だよね、あのマリーだから。常に一番でいようとするから
「・・・既に男女の仲になってるな」
し、仕方ないよな!?男の子なんだから!
『はぁ~・・・全部わかっている上でしたことで間違いないですの?』
!!!セリーヌに溜息吐かれた!こんな日がくるとは・・・
「間違いない・・・んだけど、どうしたらいいと思う?」
セリーヌにも縋るとはこのことだ
(う~ん。どうしよう?マリーは出鱈目に強いからなぁ。というか結論は出てるんだよな。サーシャが強くなってマリーに認めてもらうしかない、セリーヌのように。問題はマリーがいつこちらにくるかわからないことだ・・・)
『ユウ様にお願いがありますの。しばらくセリーヌにサーシャを貸して欲しいですの。いつものようにユウ様にちょっかい出した女性が殺されるのは見たくないですの。今のサーシャは弱くはないけど、確実にマリー姉様に殺されますの!怒ったマリー姉様は止められないですの!あの時はセリーヌも何度も死ぬかと思ったですの。今のマリー姉様はあの時よりも更に強かったですの!』
(ふむ、悪い手じゃないな。サーシャとセリーヌは戦闘スタイルは違うがどちらも近接タイプだ。教えやすいだろうし、学びやすいか。パーフェクトフェイクとはまた違う格上との戦闘は学ぶことが多い。俺も既に敏捷では格上のサーシャと模擬戦してるしな。任せるか、後は本人に確認を取るだけだな。それにしてもマリーは更に強かったのか、・・・ん?強かったってなんだ?)
「セリーヌ、強かった、ってなんだ?会ったなら立ち合うだろうから、強い、ならわかるんだが」
怖い、なんとなくわかるが否定してほしい・・・
『マリー姉様がショーマリーに来てから、毎日マリー姉様とみっちり鍛練してましたの!楽しかったですの。ショーマリーに来たときよりも更にマリー姉様も強くなってましたの!』
はぁ~~~~~。そうですよねー。じっとしてないですよね
「とりあえずはサーシャに確認してからだな。多分頼むことになる。その時は俺の愛しのメイドをよろしく頼む。俺の頼れる愛姫!」
『お任せくださいですの!ユウ様の愛しいものは全部、ユウ様の愛姫が守ってみせますの!』
慈愛に自信に満ち足りた愛しい愛姫の笑顔に俺は癒され、見惚れた
(本当もふもふで、可愛くて、頼りになって、慈愛のような優しさがあるセリーヌは最高だ。側に居続けてくれてありがとう!)
気持ちが抑えられなかった俺は、
尻尾をなでていた手をセリーヌの後頭部に添えて
膝枕されている俺の顔まで強引にセリーヌの顔を押し当てた
重なった唇と唇の感触に驚いたセリーヌだが
涙を流して、本当に、本当に嬉しそうにしていた
まるで長年願っていた想いがようやく届いたかのように
俺は軽く当てた唇を離して、
「愛している。セリーヌ」
『愛していますの!ユウ様!』
今度は手に力を入れる必要はなかった
俺の愛しい愛姫がキスをしてくれたのだから
そのキスはぎこちなさが残りながらも優しい味がした
俺とセリーヌの『はじめてのキス』だった
□□□□
王都イシス・神殿前 ~夕方~
本日の最終目的地に着いた。恒例の場所だ
今回は悩んだ。いや、することをじゃない
誓いは絶対やるつもりだ
問題はアオイをどうするかと場所だ
帝都にも噴水はあった。多分ライトアップもされるはずだ
悩んだ末、今後もここでいいかな、と。みんな平等だ!
アオイは結局連れてきた
置いてくるのはセリーヌが許さないだろう
ただ誓いをどうするかだ・・・
見られてるのもアレだしなぁ
ふと、セリーヌを見た
セリーヌは上機嫌だ
誰がどう見ても上機嫌だ
気持ちはわかる、長年願った想いが成就したのだから
俺は今までセリーヌには手を出していなかった
それぐらいセリーヌを大切に想っていた
『純愛』まさにこれだ!
だがしばらく逢えなかったセリーヌは
いつのまにか俺が思っていた以上に大人になっていた
容姿だけじゃない、心もだ
子供だと思っていた認識を改めた
一人の大人の女性として扱おうと決めた
まぁ、ぶっちゃけキスしたいな~って思っただけなんだけどな!
噴水前は相変わらずカップルが多い
すいません、またお世話になります
ライトアップされた噴水はやはり幻想的だった
『きれいですの~』
[う、うん。すごくきれい・・・]
うん、君達の方が幻想的だぞ!
さてと・・・い、言うかな
3度目だが緊張はする
こういうの本当慣れないよな
「確かに幻想的できれいだが、この噴水もライトアップもセリーヌやアオイがいてこそ美しい。二人がいなかったら色褪せた世界だったはずだ。二人の存在が今、この瞬間に色鮮やかな世界にしたんだよ」
ふぅ~。言えた
なんか最近口が上手くなったような気がするな
スケコマシとか思われないだろうか
さて、二人はどうだ?
『ユウ様ったら。お口が上手いんですの』
な、なんか思ってた反応と違うぞ!?笑われてる?
[・・・]
すげ~真っ赤だな!これはこれで恥ずかしいわ!
もう時間的にもいいだろう
今回は悩んだ末、二人にすることにした
姉妹なのに仲間外れはかわいそうだしな
「セリーヌ、アオイ。俺の世界の物語なんだが、こういう幻想的な場面で騎士がお姫様に騎士の誓いをする話があるんだ」
『知ってますの!騎士の忠誠ですの!姫の憧れですの!』
知ってんの!?てかセリーヌさん、話の腰折らないで~
セリーヌの予想外の反応に戸惑ったが無視して続けた
俺は、二人より少し前に出て振り返り二人と向き合う
向き合った二人の前で片膝を立ててしゃがみこみ、セリーヌの右手を、アオイの左手をそれぞれ手に取る
『ユウ様!セリーヌは忠誠ではなく、愛を誓って欲しいですの!』
本当黙っててもらえます!?やりづらいわ!
[ユウジ義兄さん!?]
これ!この反応が欲しかったの!
「聞いてほしい」
「俺、セリーヌ、アオイに誓うよ。セリーヌには『心愛』の、アオイには『良愛』の意志を込めて、セリーヌ、アオイに誓う」
『きましたの!きましたの!痺れますの!憧れですの!』
[お、お姉ちゃん。静かにね?ユウジ義兄さん、今キメてるところだからね?]
・・・。アオイ、いい子や。セリーヌは落ち着け!
俺は、セリーヌとアオイに騎士の誓いをし、そっと右手と左手の甲にキスをした
『あぁぁ~幸せですの~。もうこの手は洗わないですの!』
いやいや、洗おうな?てか、ムードが・・・
[はぅぅ~・・・ききき、キス・・・]
アオイは予想通りだな~
「そして受け取って欲しい。二人は姉妹だからお揃いのものがいいと思ったんだ。よかったら身につけて欲しい。結構可愛くできた自信がある。大切にして欲しい」
キスした右手と左手の甲をそれぞれくるっと翻し、手の平にそれぞれ一つのポーチを渡した
マジックポーチ 『心愛のクマさんポーチ』
『良愛のクマさんポーチ』
『可愛いですの。アオイと一緒ですの!』
[お、お姉ちゃんと同じポーチ・・・!]
気に入ってくれて嬉しい
「そのポーチにはアイテムボックスのスキルを付与しておいた。セリーヌは既にブローチにアイテムボックスの機能があるから被ってしまうが、アオイとお揃いにするために仕方なかった。アオイの今後を考えたらアイテムボックスがいいかと思ってな。ごめんな、セリーヌ」
[ユ、ユウジ義兄さん!ありがとう!]
その笑顔がお代なんだよ、アオイ
『セリーヌは構いませんの!アオイと一緒で嬉しいですの!それに・・・セリーヌはもう既にユウ様から愛を頂いてますの』
やっべ!超可愛い!赤く照てるセリーヌが可愛すぎる件
俺はライトアップされてる噴水を背にセリーヌを抱き寄せた
セリーヌは驚いていたが身を任せているようだ
二人は見つめあっている
「セリーヌ、可愛いぞ。俺はもう我慢できない。セリーヌを蹂躙する。いいよな?」
『は、はいですの・・・』
「セリーヌ・・・」
『ユウ様・・・』
二人はそのままお互いの唇を求めあった
明るく幻想的にライトアップされた一人の妹と
愛しい人に大人の女性として認められた一人の姉
仲睦まじい二人の姉妹の腰には可愛らしいお揃いのポーチ
一人の勇者に愛された姉妹の証であるかのように輝いていた
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マジックポーチ 心愛のクマさんポーチ
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