過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

~セリーヌの約束とサーシャの約束~

帝都エクスペイン・『居住区』ユウジ邸

セリーヌとのデートから数日が過ぎた
セリーヌとアオイも泊まっていた宿を引き払い、俺の家へと移り住んでいる

部屋はたくさんあるのでそれぞれ個室を与えようとしたが、セリーヌが断固拒否してきた
アオイと一緒がいいらしい。仲良い姉妹だ
アオイも特に不満はないらしいので一緒にしてあげた

気になる夜だがセリーヌはアオイと一緒に寝ている
一人の大人の女性として見る、とは決意したがまだ13だ

『セリーヌでは、サーシャみたいに欲情されませんの?』

セリーヌは昔から幼児体型にコンプレックスを持っていた
身近な所ではマリーもナイスバディなので余計だ
加えて俺も無意識の内に激しく主張する霊峰に目がいってしまう。そう無意識の内にだ
男の子だから仕方ないとは言え、やはりセリーヌは気にしてるらしい
セリーヌはまだ成長期なんだよ?これからだよ?・・・多分

「そんなことはない。俺はセリーヌだって抱きたいと思っているよ。ちゃんと大人の女性としても見てる。だからこそ純愛からステップアップしてキスもしたんだ。セリーヌを抱けない理由は俺の気持ち側に問題がある」

『ユウ様の気持ち、ですの?』
そうだぞ、体の問題じゃない!大きいの『も』好きなだけだ

「俺がいた世界では成人は20からなんだ。異世界よりもずっと高い。そして本来男女の仲になるのは責任の所在がはっきりする20からのほうが好ましい。ただ実際はもっと早く男女の仲になっている人も多い。それでもセリーヌの年齢で男女の仲になっている人は極々わずかだ。ほぼいないと言ってもいい。異世界ではセリーヌの年齢でも当たり前なのかもしれないが、俺にとっては当たり前じゃないんだよ。だから「今」は抱けない」

『でもユウ様は、常識を捨てろ、とよく言われますの』
うん、確かに言う。でも全部とは言ってないよ?

「ずるい言い訳に聞こえるかもしれないが、俺はこの件に関しては捨てなくてもいい当たり前だと思っている。別に異世界の当たり前を批判してる訳でもない。俺が口にしている、常識を捨てろ、ってのは俺が思う常識の悪い部分だけだ。全てじゃない。そしてこの件に関してはどうしても悪いとは思えない。もう一度言うな。俺はセリーヌを大人の女性として見てる、信じてほしい。それでもセリーヌを大切に想う気持ちは変わらない。だから今は抱けない」

『でしたら、いつ!いつ、愛して頂けますの?』

「そうだな、異世界でも大人扱いされる15にしよう。15になったら必ずセリーヌを抱くよ、約束する。そしてこれも約束しよう。約束を果たすまでは絶対セリーヌからは離れない。以前みたいなヘマはもうしない。もうさせない。邪魔をするような神でも殺す。そう俺は誓ったんだ。だからもうセリーヌからは離れないし、セリーヌの事は逃がさないぞ?覚悟しろ?セリーヌにとっては、俺がサーシャを抱いてセリーヌは抱かないことに不満はあるだろうが、どうか待ってほしい。そして二つの約束を守らせて欲しい。これは俺の『願い』でもあり、我が儘でもある。セリーヌには俺の願い、我が儘を受け入れて欲しい」

『わかりましたの。約束ですの。必ず約束は守ってほしいですの!もう二度と・・・離れないで欲しいですの!』

「あぁ、『約束』する。セリーヌ、これは俺の中での必ず守るべき『約束』の誓いなんだ」

そう言って俺は、セリーヌを抱き寄せ唇が触れる程度の口付け約束をした

「セリーヌ、『約束』したぞ。愛してる!」

そして今度は、お互いの愛を確認する伝えるための少し長めの口付けをした

俺とセリーヌの『はじめての約束』だった

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セリーヌ=セラ=ハラスティンとの『約束』

①セリーヌが15になったら処女をもらう
②①を果たすまではセリーヌから決して離れない
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帝都エクスペイン・『居住区』ユウジ邸

数日の間にセリーヌとも『約束』を交わした
家族と姉妹の仲は良好だ

もともとセリーヌは底抜けに明るく、誰にでも優しく、可愛らしい容姿なので受け入れられないはずがない
既に天使組同様愛されキャラになっている
特にハリーやアイサからは訓練の誘いがひっきりなしだ
王女様なのに威張らないのも好印象なんだろう

一方のアオイも家族から愛されるキャラになっている
歳は年長組に近いのだが見た目の印象で天使組のお姉さん役になっている
賢く空気も読める存在なので、サーシャや詩乃、サラに深く信頼されている気がする

そして気になるお嫁さん達の関係だが、これも特に問題はないようだ
セリーヌはサーシャを歓迎しているし、サーシャはもともと邪険に扱うことをするような人じゃないからだ
唯一問題があるとすればセリーヌは王女なので、サーシャは職業病なのか王女扱いしてしまうことだろうか
セリーヌは注意しているのだが、今だに直らないようだ
長年の習慣って怖いね・・・

家族と姉妹が本当の家族として内解けあい始めた頃、俺は家族に切り出した

「急だが、家族会議を開きたいと思います。議題は今後の予定です」

リビングにみなを集め、席に座らせた

俺が中央、俺の膝上がセリーヌ
右側には、俺の右隣がサーシャ、サーシャの膝上がサリー、サーシャの隣に詩乃、詩乃の隣にサラ
左側には、俺の左隣がアオイ、アオイの隣がミー、ミーの隣にハリー、ハリーの隣にアイサだ

これがもはや定番の席順になった
セリーヌとサリーで俺の膝上論争が勃発したが、セリーヌに軍配があがった(の一声によって)
セリーヌとアオイはセットなので左側に座ってもらうことにした。右側はサーシャの『専用』だしな!
サリーは悩んだあげくサーシャの膝上に落ち着くことになった。サーシャは苦笑していた
ごめんよ、サリー。セリーヌ可愛いし、もふもふだからさ!

「みなの今後の予定を確認したい。まずは俺だが旅には出ない。しばらくは帝国で過ごすことにする。内訳だが魔法学校に行くことにする。学校に通いながら、冒険者業や迷宮に行こうと思う」

〔意外ね。学校とかめんどくさがるタイプかと思ったけど?〕 
詩乃お前も絶対そうだろ!他人事みたく言うな!

「めんどくさいな。俺は正直教わることはないかもしれん。ただ興味があるのと・・・アオイとサリー、詩乃。どうだ?通ってみたくないか?」
[え?ぼ、ぼく!?]
[あにさま!?うちも?]
〔あたしも!?〕

「そうだ。アオイは必ず通え。エルフだから魔法について学べることは多いだろう。興味もあるだろ?それに今後俺も旅に出る可能性はある。そしたらセリーヌはついてくる。俺も離れたくはないし、離さない。そうなったらアオイも一緒になるだろ?だったら少しでもいい、強くなれ。お姉ちゃんの足手まといにはなりたくはないだろ?」

『アオイはセリーヌが護りますの!アオイは別に強くならなくてもいいんですの』
[あ、ありがとう、お姉ちゃん。で、でも僕もお姉ちゃんの役に少しでも立ちたいから、行ってみたい!]
よしよし、お姉ちゃん想いのいい義妹だ

「よく言ったぞ、アオイ!ご褒美になでてやる。一生懸命頑張るんだぞ?次にサリーだが、魔法の才能があるみたいだしな。興味あるなら、と思ったんだ。どうする?」

[あにさまが奨めてくれるなら、うちいきたい!]
うんうん、サリーも可愛いな

「最後に詩乃。お前元勇者だし魔法習えるだろ。無駄にはならないと思うぞ?強くもなれるだろうしな。どうする?」 

〔う~ん。あたしはパスする。魔法覚えたら便利だろうし、強くもなれるんだろうけど・・・あたしは強くはなりたくないからさ。それにあたしの事はあんたが、ま、護ってくれるんでしょ?〕
詩乃は相変わらずだな、戦いは嫌いか

「あぁ、詩乃は俺が護ってやる。詩乃だけじゃない、家族みんなもだ!と言う訳で、二人が心配だから俺も通うことにする。害虫がいないとも限らないしな!いや、いるのがテンプレだ。だから駆除の意味合いも兼ねてる」

〔駆除って・・・。でもこんな変な時期に入れるの?〕
なかなか目のつけどころがいいな、さすが詩乃だ

「金でなんとかなるだろ。魔法学校みたいな公的機関は多額の賄賂でもだせばちょろい。機密機関でもないだろしな。大人の世界のほうが案外単純なもんだ。ごちゃごちゃ言うようなら魔法学校ごと買い取ればいい」

{ユウジ様!?悪い顔してますよ!?}
『あぁ~ユウ様カッコイイですの!その俺様主義痺れますの!』
〔あんたは・・・相変わらず無茶苦茶ね〕
[お、お姉ちゃん、落ち着いて!ユウジ義兄さんもほどほどにね?]

「それと魔法学校に通う目的でこれが一番大事なんだ。俺は・・・アオイとサリーの制服姿が見たい!だから必ず通って欲しい!通ってください!お願いします!・・・おっと。俺は学習する男だ。サーシャやセリーヌの制服姿も見たいぞ?だからアオイ達の制服を参考にみんなの分も用意するつもりだ!・・・げへへ。夢が膨らむな!」
サーシャの嫉妬対策しとかないとな!何度も繰り返さん!

{ユウジ様?心の声が漏れてますよ?ですが、ユウジ様が私の制服姿を見たいなら楽しみにしてますね}
『制服姿がそんなにいいんですの?よくわからないですの』
〔あ、あたしは着ないからね!〕
[ユ、ユウジ義兄さん。ぼ、僕の制服姿見たいの?]
[あにさまが見てくれるなら、うち絶対いく!]

そんなこんなでユウジ、アオイ、サリーの魔法学校行きが決まった
念の為、サラやハリー、アイサに確認したが興味はないそうだ

三人の予定としては、
サラはメイド業兼料理教室をすることになった
料理教室は俺のアイデアで家の近くの空き家を購入し、そこで付近の住人を集めたらどうか、と提案した
ミーが一緒に手伝うらしい。サラも喜んでくれた
体力バカ達ハリーとアイサは変わらない
守衛に、訓練だそうだ。守衛いらない気もしてきたが・・・

詩乃には屋敷の管理全般をお願いした
まぁ俺の代理主人みたいなもんだな
それと詩乃はサーシャの世界ダンドリオンでスイと色々相談しているみたいだ
スイ達と仲良くしてくれてるのは感謝している

さて、残る二人は・・・

{ユウジ様。私もユウジ様と魔法学校にご一緒できないのでしょうか?私も興味はあるのですが・・・}
やっぱりサーシャはそうくるよな

『それについてはセリーヌから話しますの。サーシャはしばらくセリーヌと一緒に鍛練しますの』
{どういうことでしょうか?セリーヌ様}

『セリーヌ、でいいですの!サーシャが本気でユウ様を慕っているのはわかりましたの。だからセリーヌ『は』認めましたの。でもマリー姉様は違いますの。サーシャは弱くはないですの。でも今のサーシャだとマリー姉様に認めてもらう前に確実に殺されますの・・・・・・

{・・・え?殺される???ユウジ様?}
サーシャは訳がわからない。と言った感じで俺を見てきた

「訳わからないよな?話してなくてすまん。マリーってのは、以前少し話した魔王の娘だ。セリーヌ同様、異世界で世話になった人で同時に愛しい人でもある。俺が最初に愛した人もマリーだ。そのマリーなんだが・・・独占欲が凄いんだよ。サーシャの嫉妬なんて可愛いもんさ」
苦笑した顔でサーシャを見る

{ユウジ様!?}
可愛い嫉妬と言われて驚いてるようだ

それからマリーについて色々話した
俺の強さの源流はマリーであること、特に魔法関連
マリーは魔族特有の興味ないものには徹底的な無関心
対して興味あるものには貪欲なまでの好奇心
手に入れる為なら手段は選ばないし、そこに善悪の判断もない
実際に俺にちょっかい出そうとした女性が何人も殺されていること
注意はしたが何故悪いのかわかっていない
そもそも自分マリーのものに手を出すのが悪いのだから死ぬのは当たり前。死にたくないなら手を出すな
というのが、マリーの思考回路だと伝えた
そして俺に『純粋』なまでに一途であることも

『聞いてわかった通りですの。マリー姉様はサーシャの存在を赦さないですの。しかも今のサーシャはユウ様に、マリー姉様以上に愛されてますの。マリー姉様は間違いなく激怒されますの。はっきり言って怖いですの・・・。セリーヌも何度も死にかけてなんとか認めてもらいましたの。今のサーシャでは認めてもらう前に確実に殺されますの。だからセリーヌが鍛えますの!』
セリーヌの顔は真剣だった

「サーシャ。俺に愛されているからとか、本当にピンチになったら助けてもらえるかも、とは考えないでくれ。激怒したマリーを止めるには、それこそ俺も本気でマリーを倒すぐらいじゃないとダメなんだ。マリーを倒す止めるまでの間にサーシャは確実に殺される。だから認めてもらえるぐらいには強くならないとそもそもダメなんだ。俺の愛しい人を殺してもそれ以上にマリーが愛して、愛せば問題ない、ってのがマリーだからさ」
めちゃくちゃなマリーだが、それでも俺はマリーを敬愛している

(マリーがいつくるかわからないからなぁ。可能な限り強くなってほしい。サーシャが魔法学校に興味あるなら通わせたくはあるが。今回はダメだな)

サーシャを見てみると、何かを考えこんでいた
衝撃な事実を知ってショックなのか?と思ったが
サーシャの顔は少しも曇っていなかった
むしろ何かの答えをようやく見つけたかのようでもあった
そしてサーシャが口を開いた

{・・・ユウジ様、セリーヌ様。私がマリー様に認めてもらえるぐらい強くなって、そしてマリー様に認めてもらえたとしたら・・・。その時こそ本当にユウジ様のお側に、隣にいられる権利を得た、ということで間違いないでしょうか?}
決意をした顔で真剣に尋ねてくるサーシャ

「そうだな!その時初めて、俺らは『本当の仲間』になる!だから駆け上がってこい、サーシャ!俺の隣まで!俺の隣でいつまでもたんぽぽのような可愛く力強い笑顔を見せ続けてくれ!」

{はい!ユウジ様!必ずユウジ様のお側に、隣にまで駆け上がってみせます!ユウジ様が愛してくれた笑顔を、いつまでもユウジ様にお見せできるように!}
サーシャから笑顔が花開いた

サーシャはようやくユウジの隣にいられる答えを見つけられて満面な笑みだった
一面に咲き乱れるたんぽぽがより可愛く美しく見えた

(そうだ。サーシャのこの笑顔が俺は好きなんだ。どんな環境でも諦めない、どんな境遇でもへこたれない、力強い決意の笑顔。まさにたんぽぽに相応しい美しさだ)

俺はサーシャの笑顔に見惚れそのまま
体を乗り出して隣のサーシャに口付け約束をした
お互い唇を離し、

「『約束』したぞ?サーシャ。愛してる」
{『約束』です、ユウジ様。愛してます}

もう一度いつものような情熱的なキスをした

『ユウ様!セリーヌ、椅子から落ちそうですの!』
〔なんでまたいきなりなの!?〕
[お、お姉ちゃん。静かに。今いい雰囲気なんだから!]
[あにさま・・・う、うちもしたい・・・]
[にいさま!サリーちゃん、言いきったよ!?]
[[[はいはい、日常、日常・・・]]]

俺はうるさいやつらだな~と思いながら
サーシャとのキスを堪能した
サーシャの情熱的な舌はいつもよりも更に情熱差を増していた

俺とサーシャの『はじめての約束』だった

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サーシャとの『約束』

①マリーに認められてユウジの隣にいること
②ユウジにいつまでもたんぽぽのような可愛く力強い笑顔を見せ続けること
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