過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

~学校と入学~

『魔法学校』

帝都エクスペインの『研究区』にある帝国が抱える公的機関
魔法使いの育成や魔法理論、世界の歴史や実戦に向けた教育を行う機関だ

そもそもこの世界、イリアスは魔法そのものがまだ未知とされている

(世界)  (イリアス)(グズニール)(ショーマリー)

(魔法技能)   3     8     4
(武術技能)   7     2     6
(魔力保有)   10      7     4

俺が王都でスキル任せに調べた、魔法についての考察はこんな感じだ
一般人が基本的な生活魔法である、火・水の二種類を使える場合を5とした時の比較である

セリーヌの世界ですら少なかった魔法使いも、このイリアスでは特定の種族と一部ののみしか使えない
魔法が使える種族としては魔族を筆頭に、竜族、妖精族エルフぐらいだ
どの種族も数は圧倒的に少ない

そして魔法を学ぼうにも魔法学校なる機関はこの大陸では帝国にしかなく入学金(金貨30枚)も高い
わざわざ高い金を出さずとも護符の存在があるから魔法を学ぼうとも思わない

これじゃあ魔法は伝わらない
伝わらなければ使い方もわからず結局一般人には未知のものとなる
悪循環すぎる、もったいない。使える可能性が高い世界なのに

話を魔法学校に戻そう

魔法学校と言っても様々だ
魔法が使えなくても基本金さえあれば通うことはできる
入学する際に面談?を行い、それによってクラスを決めるらしい
また魔術系の魔法と呪術系の魔法とでもクラスは分かれるらしい

面談で色々と調べられるとまずいので、偽造は欠かせない

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ユウジ・ハクト  レベル:80

種族:人間族
職業:冒険者(剣士)

体力:60000
魔力:80000
筋力:25000
敏捷:8000
器用:350
幸運:70
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こんな感じにしといた
ステータスは一般的な騎士クラスだ
俺達転移者がどれだけ異常なのかがよくわかる

□□□□

帝都エクスペイン・『研究区』魔法学校

俺達三人は魔法学校の窓口にて入学の意思を伝えると、
係りの人に応接間まで案内された
俺達三人がしばらく待っていると、校長風な一人の女性が部屋に入ってきて俺達とは向かいのソファに腰掛け、魔法学校についての説明を始めた

[お待たせ致しました。私はこの魔法学校の校長を務めている、レイ=シェルンと申します]
「お忙しい中申し訳ありません。俺はユウジ・ハクトです。こちらがアオイで、こちらがサリーです。奴隷ではあるのですが、俺の大切な家族です」

奴隷が家族と言う言葉を聞きレイは驚いたようだが、すぐに優しい顔つきに戻った

(ふむ。このレイという人は奴隷に関して悪い印象はないみたいだな。これならアオイやサリーを入学させるのも問題なさそうだ。奴隷は入学できないとか言われたらめんどくさかったしな)

お互いの自己紹介が済んだところで、レイは説明を続けた

[当魔法学校はこの大陸唯一の魔法士育成機関です。魔法の才能があるものがその才能を開花させたり、また開花させた魔法を極めたりできるよう様々なお手伝いをさせて頂いております。更に生活に密接している護符や魔法の歴史、魔法を扱う者への道徳なども当魔法学校にて援助しております]

(なるほど。魔法を教えるだけじゃなく歴史や道徳もか。確かに魔法が使える者が少ない世界で魔法の力を手に入れたら、絶対良からぬ事を考えるやつもでてくるもんな。教えてもバカするやつはいるだろうが、教えないよりかはマシだな)

「よくわかりました。道徳も教えるという所は素晴らしいと思います。ぜひ入学を希望したいのですが、こちらの二人は家族ではありますが、身分は奴隷です。奴隷でも入学はできるのでしょうか?」

俺が魔法学校の方針を誉めたことに気を良くしたのだろう、
嬉しそうに微笑みながらレイは説明を続けた

[当魔法学校では規定の入学金さえお支払い頂けるなら、平民だろうと奴隷だろうと身分を問うことはありません。しかしながら実際は在籍している生徒の大半が貴族様となります。平民は少々いますが、奴隷は一人もおりません。入学金については一人金貨30枚です]

(金貨30枚だと確かに平民クラスではきついか。ましてや奴隷など論外ということか・・・)

「貴族ばかりか・・・」
貴族嫌いな俺は溜息混じりに、ついうっかり口をこぼしてしまった

[ふふふ、お気持ちはわかります]
共感されちゃったよ!校長という立場上色々あるんだろうな~

「失礼しました。入学金は問題ありません。三人入学を希望しますのでこちらで」

俺はレイの机の前に白金貨1枚(金貨100枚)を置いた
レイが係りの者を呼び、差し引き量金貨10枚を用意しようとしていた所を俺は制止した

「学校長、お釣りは結構です。そのまま納めてください」
[よろしいのですか?金貨10枚は決して安くない金額ですが]
う~ん。俺としてはいつも通りなんだよなぁ。それなら・・・

「その代わりと言ってはなんですが、可能な限りでいいですので、こちらの二人が不自由なく通学できるよう便宜を図って頂けると嬉しいです。いくら身分を問われないとは言っても、実際は色々あるでしょうから。・・・もし受け取りづらいのでしたら、少ないですがこの魔法学校への献金だと思って頂ければいいかと思います」
俺は隣に座るアオイとサリーの頭をなでた

{あにさま・・・ありがとうございます!}
『ユ、ユウジ義兄さん・・・ありがとう』

そんな俺達を見ながらレイは何かを考えこんでいる
そして考えが決まったのかおもむろに口を開いた

[・・・なるほど。そういうことでしたらありがたく受け取らせて頂きます。こちらとしては特定の生徒を特別扱いはできまさんが、それとなく気にかけてみるとしましょう。それにしても、そちらの二人を愛されているのですね]
アオイとサリーに優しい眼差しをむけるレイ

(この人ならきっと大丈夫だろう。それとなく、とは言ってたが気にかけてくれるはずだ。これで少し不安材料が減った)

「ありがとうございます。それだけでも十分です。それにこの二人は俺にとっては大切な家族ですから。できる限りのことはしてやりたいんです。それが兄の務めですから」

そういう俺にレイは、アオイ達だけでなく俺にも優しい微笑みをした
さすが大人の女性だ。魔法学校を任されるだけはある

更にレイの説明は続く

[まずはクラスを分ける為に、適性検査をさせて頂きます。これは当魔法学校に入学される生徒皆さんにやってもらっていることです。それぞれ手をかざしてもらっていいですか?]

そう言って、レイがサリーに差し出してきたのは水晶玉だ
きっと適性を測るためのマジックアイテムなんだろう

サリーが差し出された水晶玉に手をかざす
すると水晶玉は、初めは銀色に、それから赤から青、そして黄色に輝いて元の水晶玉に戻った

[ありがとうございます。適性は呪術系魔法ですね。現状開花されている属性は3系統で火・水・光となります。属性に関しては闇以外・・・なら開花させられる場合もあります]

(ふむ。光った色で判別してるのか。単純に考えると赤は火、青は水、黄色は光だよな。となると、最初の銀色が適性で、呪術系って感じか。しかし闇以外ってのはなんだ?なんかお約束きそうだから用心するか)

「悪い、アオイ。先に検査をやってもらっていいか?学校長もそれでお願いします」
『?ユ、ユウジ義兄さんがそう言うなら』
[私は構いませんよ。ではアオイさん、どうぞ]

(アオイは闇以外の属性が使える。これでレイの反応を見てみよう)

今度はアオイが差し出された水晶玉に手をかざす
すると水晶玉は、初めは金色に、それから赤から青、そして緑から茶に、最後に黄色に輝いて元の水晶玉に戻った

[おぉ!これは素晴らしい!!適性は魔術系魔法ですね。属性は火・水・風・土・光の全系統・・・が開花されております。とても優秀ですね。ぜひ当魔法学校でその才能を伸ばしていってください]

(思った通りか。闇はなにか問題がある魔法なんだろう。先にアオイにやらせてよかった。何も知らないまま検査して魔法学校中大騒ぎになるテンプレは俺は踏まん!テンプレざまぁ!とりあえず闇は偽造しよう)

闇を偽造した俺は差し出された水晶玉に手をかざした
結果はアオイと同じだった

[素晴らしい!ユウジさんも全系統開花されてます。ユウジさんのご家族はみなさん素晴らしい才能をお持ちですね]

(俺も魔術系か。サリーとは別になったな。こればかりは仕方ないか。属性は弄れても、適性ばかりはなぁ。とりあえず気になってること尋ねるか)

「ありがとうございます。ところで先程、闇以外は、と言われましたがどういうことなんでしょうか?」
闇に何か問題でも?普通にサーシャも使えるんだが・・・

[そうですね。魔法の属性は火・水・風・土・闇・光の全部で6系統となります。そのうち闇だけは魔族にしか使えません。その代わり魔族は光を使うことができないのです]

(・・・へ?いやいやいや。一般人であるサーシャも闇使えるから!別に魔族でもないし!う~ん?考えられるのは使い方を知らないからできないってことだよな?闇魔法を伝えている魔法書とかもなさそうだし。きっと魔族も使い方知らないだけで光は使えるぞ?俺はともかく、この世界の人間のサーシャが使えるんだから闇は限定種族のみとか、光は魔族はダメとかきっとないはずだ。・・・知らないって本当怖いわ。できる可能性すら潰して、使えないという常識にまで昇華させてるし)

「な、なるほど。それなら確かに闇は無理ですね」
まぁ、めんどくさいことになるから話は合わせておくか

[適性検査も済みましたので、この後のみなさんの予定なのですがお帰り頂いても、校内を見学されても結構です。見学される場合は既に授業が始まっておりますのでお静かにお願い致します。皆さんのご入学は明日となります。それと明日までにこちらのリストのものをご用意ください。必要な教材はこちらで用意しますが、みなさんが使われる備品は用意して頂くことになります]

渡された備品リストを見ると帝都内ですぐ買えるものばかりだった 
急いで帰る必要もない。せっかくだから見学でもするか
二人に確認したら見学したいらしいのでそうさせてもらうことにした

[わかりました。私は忙しいのでこれにて失礼致します。案内は係りの者をお呼びします。ごゆっくり見学されていってください。私はみなさんを歓迎致します。ようこそ我が魔法学校マギスコレーへ!]
あっ。名前あったのね・・・

「お忙しい中時間を取って頂きありがとうございます。明日からよろしくお願いします」

そのままレイと握手をし、俺らは校内見学へと向かった
見回ったわかったのはとにかくデカいということだ
各教室や実験室、講堂や食堂、購買所や中庭、学生寮や訓練場だけでなく礼拝堂まであった
俺達が見学しているのは教室からわかるのか、生徒達からジロジロ見られていた
ちゃんと勉強しろ!と心の中で悪態をつきながら、案内役の人に質問していた

「食堂もあったみたいですが、お弁当の生徒はいないんですか?」
[いるにはいますが、大半が貴族様ですからね。みなさん食堂を利用されていますよ。食堂は自費ではあるんですがお金には不自由されていないのでしょう。お弁当の方は中庭を利用されています]

(なるほどね。お貴族様がわざわざ弁当なんて持ってこないと。庶民ナメんな!にしても俺らも最初は食堂を利用するか。クラスのやつらとの馴れないも大事だしな)

また別の質問では、

「礼拝堂なんてものもありましたが、礼拝する規則でもあるんですか?」
そういうめんどくさいことマジ勘弁だから!

[いえいえ、ありませんよ。当魔法学校には留学生もたくさんいらっしゃっいます。その留学生の中には宗教上の理由で礼拝をしなければならない方もいます。神興国アステルの方達ですね。そういう方達の為の場所です]
アステル・・・詩乃が召喚された国か

「はぁ、大変ですね・・・。」
絶対関わりたくないわぁ~

その後も校内を見学し、見学に満足した俺達は案内役の人にお礼をし魔法学校を後にした

面談の結果俺とアオイは同じクラス(魔術系魔法)に、サリーだけ別のクラス(呪術系魔法)になった

不安だ、不安すぎる
俺の天使マイ・エンジェルに害虫がつかないようにしなければ・・・

□□□□

帝国エクスペイン・『居住区』ユウジ邸

面談を終え二人アオイとサリーと手を繋ぎながらの帰り道、

「サリーだけ分かれることになっちゃったな。俺は心配でならないよ。何かあったらすぐ俺を頼るんだぞ?」
{あにさまと別のクラスは淋しいけど、うち頑張りますね!}
よしよし、かわいいぞ!あにさまが護ってやるからな!

「アオイとは一緒のクラスだから助かるよ。アオイはしっかり学べよ?俺はてきと~に寝てるから」
『ユ、ユウジ義兄さん!?寝たらダメだよ。怒られちゃうから』
いや~、正直学ぶことなさそうなんだよな~

レイから聞いた話だと、
サリーは呪術系魔法クラス。専攻は護符と結界関連だ
俺とアオイは魔術系魔法クラス。専攻は魔法と魔導関連だ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『護符』は魔法を使えない人でも誰でも使える代物だ
その護符の作成と護符に魔法を付与したりする

『結界』は護符を使用しての簡易的な守護魔法だ
鍵は高級品なので結界護符はお手頃で家庭の必需品だ
そのほかにも様々な用途で使われるのが結界である

どちらかと言うと、呪術系魔法は生活に密接している魔法だ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『魔法』は基本攻撃と防御に特化したものとなる
生活魔法みたいな一部例外もあるが、ほとんどは実戦に適したものだ

『魔導』はマジックアイテム関連だ
作成と理論、兵器などにも活用される

魔術系魔法は基本戦闘や戦争に深く関わりがある魔法だ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

家に着いた俺達にはやることがある
決まってるよな?そう、制服のお披露目である

女子の制服は白いブラウスに黒の吊りスカートを履き、白の刺繍が施された黒のケープを纏ったものとなっている
また、ケープの上から赤のリボンをつける
靴下は黒のニーソで、黒のローファー

お前達アオイとサリー・・・最高だよ!かわいい魔女っ子の誕生だよ!俺はこれだけでも入学した甲斐がある!」

俺は今気分が最高潮に達した!
制服ももちろん可愛いが、
金髪セミロングのサリーは、神秘的だがどこか妖しさを纏う天真爛漫な魔女っ子
銀髪ツーサイアップショートのアオイは、幻想的でどこか不思議さを漂わせるミステリアスな魔女っ子

「あぁ~写真に残したい!永久保存版にしたい!何よりもちらっと見える絶・対・領・域!白い肌!たまらん!日本ではチラ見しかできなかったが、今はガン見が可能とか!神様、ヘイネ様ありがとうございます!生きてて幸せでした!アオイ、サリー、絶対領域触っていい?」

{ゼッタイリョウイキ?あにさまが触りたいならどうぞ?}
『よ、よくわからないけどユウジ義兄さんが触りたいならいいよ?』

〔触らせたらダメだからね!?あとハクトは落ち着きなさい!目が血走ってるから。でも確かに可愛いわね〕
くっ。お邪魔虫詩乃め。邪魔するんじゃない!

言質をとって合法的に絶対領域に触る計画が台なしだ
まぁ、二人ならそんなことしなくても触らせてくれるだろうが

「だろ?確かにすごい可愛い。可愛いんだが、何かが足りない気がする・・・。なんだ?魔女っ子に必要なもの・・・。」

『{???}』
君達にはわからないよね。娯楽大国日本ならでの悩みだ

〔あれじゃない?魔女っ子ならほうきに、それにとんがり帽子。ベタだけどいちお定番だしね〕

SO・RE・DA!
ほうきはいいとして、とんがり帽子だよ!

「でかした、詩乃!早速作ろう!制服も黒が基調だし、黒のとんがり帽子がいいよな?」
帽子だけ違う色というのもあれだしな!

〔そうね~、あとは胸元のリボンに合わせて帽子にもリボンつけみたら?サリーちゃんは大きめのリボンで天真爛漫さを強調。アオイちゃんは小さめのリボンでおしとやかさをアピールする、とかしてみたらいいんじゃない?〕
詩乃、お前実はオタクか?しかし、いい提案だ!

「詩乃、お前天才かよ!ありがとう、愛してるぞ!せっかくだ、マジックアイテムにしちゃうか!イメージ、イメージ。・・・世界創造!サリーに害虫がついても大丈夫なように精霊守護でも付与しとくか。・・・魔力終操、付与「精霊守護」、発動!」

俺は詩乃に用意してもらった黒生地を、世界創造にてとんがり帽子に作成した
作成したとんがり帽子に、魔力終操を使って精霊守護を付与すればマジックアイテムの完成だ

【マジックキャップ『魔女っ子の愛帽子』を作成しました】

〔ああああ、愛してるとか別に言わなくてもいいから!・・・それにしてもハクトは相変わらずサリーちゃんには甘いわよね〕

当たり前だろ?俺の天使マイ・エンジェルだぞ!
ヘイネやサーシャ、セリーヌが究極の『恋』愛だとしたら、
サリーには究極の『家族』愛だな!だってきつねさんだぞ!

「よし、完成だ!なかなかいい感じにできた。アオイにサリー、受け取ってくれ」

早速作成したマジックキャップを二人に渡して被ってもらった
可愛い、可愛いよ!可愛い魔女っ子だよ!完璧だ!

「二人ともかなり似合ってるぞ。二人に「魔女っ子」の称号を贈ろう。本当可愛いよ、抱きしめたいくらいだ。てか抱きしめていい?抱きしめさせてください!お願いします!・・・よし、明日からはそれで通学するぞ」

{あにさま!ありがとう!うちは抱きしめて欲しい!}
『ユ、ユウジ義兄さん、ありがとう。でもお姉ちゃんに悪いからダメだよ?』
アオイはガードが固いらしい。崩し甲斐があるぜ!

その後も家族全員で二人の制服姿を鑑賞していた
もちろんだがヘイネやサーシャ、セリーヌ、ミーの制服も王都の服飾店に頼んだ
他の家族からは冷たい目で拒絶された
詩乃はイケると思ったんだがなぁ
ちなみに男子の制服は、吊りスカートの代わりに吊りズボンを履いている以外は女子と基本デザインは同じである

□□□□

帝都エクスペイン・『研究区』魔法学校マギスコレー

今日が初登校日だ
可愛い魔女っ子達と制服に身を包んだ俺は、仲良く手を繋ぎ魔法学校を目指した
アオイはかなり緊張していた
魔法学校に近付くにつれ握る手に力が入っていたからだ
かく言う俺も少し緊張していた。初だと緊張しちゃうよね
サリーは全く緊張しておらず、むしろ楽しみにしているようだ。
俺の天使マイ・エンジェルは胆が座っているようだ

正門を抜け学校内に到着した俺らは、窓口の方に応接間まで案内された
応接間でしばらく待っているとレイがやってきた

[おはようございます。ユウジさん、アオイさん、サリーさん。昨夜は寝れましたか?]
にこりと微笑まれる。緊張している、と悟られたようだ

「おはようございます。まぁなんとか、ですかね」
昨夜はセリーヌを抱きしめていたのでなんとかなった

「緊張されていますね。それでは早速ですが、みなさんが編入されるクラスをお伝えますね。当魔法学校は3年制となっています。当然みなさんは1年生からスタートして頂きます。1学年は呪術と魔術を合わせて10クラスとなります。呪術が4クラス、魔術が6クラスです。呪術クラスのサリーさんは1年H組に、魔術クラスのお二人は1年A組となります。こちらがみなさんの教師となりますので、この後教室までご案内させます。それではみなさん、頑張って学んできてください]

レイの挨拶が終わり俺達はそれぞれ教室にむかっている所だ
サリーとはすでに別れている
サリー頑張ってこい!あにさまも応援するからな!
しかしもう一方の義妹を見てみると顔色が悪い

「緊張してるのか?アオイ」
『う、うん・・・』
繋いでる手が小刻みにぷるぷる震えている

そんなアオイを少しでも安心させたかったので、
俺はアオイの頭を優しくなでて話しかけた

「大丈夫だ。俺が側にいてやるから。いっぱい学んでセリーヌお姉ちゃんのことたくさん助けてやろうな!」
『う、うん。ユウジ義兄さんありがとう!』

まだ震えは治まってないが顔色は明るい
これなら大丈夫だな
俺は慈愛のような精神でアオイを見つめていた

(俺のなでなでで少しでも安心してもらえたなら嬉しい限りだ。アオイはセリーヌの為ならどこまでも頑張れる子だからな)

そんな俺達のやりとりを見ていた教師が一言、

[学校長からは家族だと聞いていたが、こうしてると恋人みたいに見えるな]

冗談のつもりだったんだろう
しかしアオイは真っ赤になって俯いてしまった

なにこれ?すげ~可愛いんだけど!?
俯くだけで否定されなかったんだけど!?
期待しちゃっていいの!?期待しちゃうよ!?
姉妹丼ですか!?ちっちゃいコンビセリーヌとアオイでご奉仕ですか!?
た、たまらんな!・・・はっ!落ち着け、色魔、色魔

俺が妄想に耽っていると、教室の目の前にきた
教師がまず先に教室に入り教壇に向かう
朝の挨拶やら何やら話しているようだ
刻一刻と迫るタイムリミットに俺も緊張してきた
横のアオイを見てみたら顔面蒼白になるぐらい緊張していた

(アオイのあまりな緊張の顔見たら逆に緊張ほぐれたな。側にいてやるって言ったしな。少し恥ずかしいが・・・)

俺は緊張しているアオイの頭にぽんっと手を置いた
それに気付いたアオイが俺を見上げる

「大丈夫って言ったろ?このままずっと手を繋いでてやるから」
『い、いいの目立っちゃうよ?』
まぁ、目立つだろうなぁ。手を繋いだまま教室に入ったら

「側にいてやるって言ったろ?いいから手を繋がれとけ」
『あ、ありがとう・・・』

教師がこちらを振り返り呼んだので、
意を決して俺とアオイは手を繋いだまま教室に足を踏み入れた

そこには、想像通りの数の生徒がいた
大学の講堂みたいな感じで自由に席に着いている感じだ
男女合わせて20人ぐらいだろうか。弱冠女子が多いかな?

俺とアオイが教室に入ると生徒達がどよめいた
さすがの教師も驚いてるようだ
まぁ驚くよな。手繋いで教室に入ってきたらさ

[皆さん、彼らがこのクラスに編入が決まりました転入生です。珍しい時期での転入となりますが、彼らは二人とも全系統が使えるそうです。皆さん、良き友として、良きライバルとして仲良く接してあげてください。では、自己紹介をどうぞ]
あ、あの・・・。全系統の事別に話さなくてもいいのでは?

教師の説明で全系統の話が出た時クラスがどよめいたのだ
手繋ぎでどよめき、全系統でどよめかれた。これはもしや・・・

「今ご紹介に預かりました転入生のユウジ・ハクトです。全系統使えます。職業は冒険者です。よろしくお願いします」
全系統はバラされたしもういいだろ。職業の勇者は隠さないとな

[冒険者?ランクは?]
生徒の一人から質問がきた

(どうしよう。正直に言うか、嘘をつくか。鑑定持ちがいないとも限らないし、まぁ嘘ついても仕方ないか)

「Aランクです」

教室内がまたどよめいた。特に男子が
(な、なんだよ!?Aランクってすごいのか?Sランクだろ?すごいのは!いちいち大袈裟なやつらだな!)

俺の紹介が終わり次はアオイだ
アオイは不安そうに俺を見つめてきたので、俺は無言で頷いた
そんなやりとりを見た生徒達がまたどよめいた。特に女子が
(本当なんなんだよ、ここ。疲れるわ~) 

『ぼ、僕、転入生のアオイだよ。ユ、ユウジ義兄さんと同じ全系統使えるよ。ど、奴隷だよ。よ、よろしくね』

(あっ!どうせバレるだろうが奴隷は言わなくても・・・。にしても、ほんまこいつらええかげんにせえよ!?)

俺が怒り、呆れている理由、それは・・・

[ボクッ子キタ━━━━━━!!]
[あの恥じらいがたまらないんだな]
[なん、、、だと?奴隷だと!?ロリコンか!?]
[義兄さん!?禁断の愛の予感がしますわ!]
[あの子エルフじゃないの?ちっ。あいつも美人好きか!]
[奴隷!?しかも幼女!?これだから男は・・・]

・・・。

(こいつら全員、いつか神帝龍の餌食にしてやる!)
ユウジはそう心の中で固く決意した


ここから俺とアオイ、サリーの魔法学校の日々が始まった

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品