ラスボス転生!?~明日からラスボスやめます~
昔々のお話し......です!!
何気ない普通のある日、突如として異変が起きた。
いつものように退屈な学校で、退屈な授業を受けていたとき、何もない空中に魔方陣が現れたのだ。
きれいな青色に光輝くそれは、ゆっくりと俺に向かって動いてくる。人間としての本能が、それは危険なものだと叫ぶが、俺はあえてその場から動かなかった。
教室とちょうど同じぐらいのサイズの魔方陣は、ゆっくりと動いてくる。勿論、他の生徒は逃げ出し教室から人が居なくなる。
俺一人だけの空間になったとき、こんなこと言った。
「ハハッ、馬鹿だな、こんなチャンスを逃すなんて」
自分でも分かるぐらいに大きく口を歪ませて......
そして、その魔方陣は、俺。佐藤太郎を呑み込んだ。
何も変わらない普通の日常が嫌いだった。何も出来ない普通の自分が嫌いだった。何もない普通な世界が何より嫌いだった。
普通、普通、普通。いつものように起きて、いつものように寝る。それだけの繰り返しが一生続けられるんじゃないかと、そんな疑問に恐怖していた。
普通に生きて、普通に死んでいく事が怖かった。
だから、俺は魔方陣に入った。普通じゃないことに、飛び込んだ。何より俺を変える為に......
教室に居た自分の視界が急に入れ替わったような感覚だった。まるで、テレビのチャンネルを入れ換えるように、急激な変化が目の前で起こった。
そして、俺は......道化師と出会った。
「ようこそ♥歓迎するよ♪」
大きく手を広げそう言ったのは、この世界の神だと言う、ミーニャ。どうやら、【ブレイバーストーリー】というゲームを作った神様らしい。そして、俺はそんなゲームの中にいる。
そして、ミーニャから出された課題は、この世界のラスボスを倒すこと。それをクリアすれば、どんな願いでも叶えてくれるとゆう。
......面白い事になった。ミーニャの話しによれば、俺を含めここに呼ばれた四人は、強制的に転生させられるらしい。
だか、いわゆるチート能力をもって転生するのだ。心配は無いだろう。
それに、ミーニャはこんなことも言っていた。
「君達に与える能力は~♪どれもラスボスを倒すことが出来るようになる能力だよ♥頑張ってね☆」
つまり、努力すれば絶対にラスボスを倒せるということだ。これで、心が踊らない訳がない。
何でも願いが叶うという課題をクリアすることが決まっているのだ。
......これほど楽しいゲームは無い。
「それでは~♪【ブレイバーズストーリー】スタート☆」
自然と歪む口を抑えて、俺は、また魔方陣の中に呑まれていった。
◆◇◆◇◆◇
目覚めた瞬間。俺は、自分の能力を確認して嗤った。
『能力狩り』と、その名前を見た瞬間に分かった。能力を奪う能力だと......
そして、その能力の発動条件を見て更に嗤った。
―――――――――――――――――――――――――――
能力狩り――――対象者と同じかそれ以下のレベルの場合のみ発動可能。対象者の首に触れる、もしくは対象者を3分以上見続けることで発動。
―――――――――――――――――――――――――――
その時俺は、人生で初めて......人殺しをした。
まだ目が覚めていなかった他の三人の首を締めた。そして、能力を奪った。
「ハハッ......ハハハハ......これで、邪魔物は居ない。これで俺が、最強だ!!」
暗く乾いた笑いが、この世界に響いた。
最強で、最悪な"勇者"がこの世界に生まれ落ちた。
だが......
「坊や、勘違いしちゃいけないよ。君はまだまだ弱い」
「あ? 誰だよ、お前」
先程まで誰も居なかったその場所に立っていたのは、執事服を着た白髪のじいさんと......真っ赤な目を光らせて俺を見ている銀髪の少女。
「君の敵だよ」
そう言って口を歪ませる少女。
「ハッ。お前みたいな敵なんて、怖くないな」
今の俺なら、何だって出来る気がする。ラスボスすら倒すことができるチート能力四つを手に入れた俺なら......負けない!!
「君は、私に勝てないよ...絶対に」
「へぇ、じゃあ試してやるよ」
能力発動。『ステータス強化』。強化と言っても、全部のステータスがMAXに強化されるんだけどな!!
そして、俺は弾丸以上のスピードで飛び出した。
だが......
「ッ!?」
俺を圧倒的に上回るスピードで、少女は動き、俺の攻撃を全て回避する。嘲笑というオマケを付けながら。
「ふふっ。まだまだ弱い」
そう言い、少女は俺に攻撃をしてきた。俺以上のスピードを持つ攻撃を避けられるはずもなく......
「ごめんねっ」
そんな少女の手刀によって、俺の心臓を貫かれた。
あっけない最後だった.........と、思うじゃん?
「ハハッ。捕まえた~」
心臓に刺さったままの少女の手を掴み、笑ってみせる。
そして、さすがの少女も面食らったように固まっている。
ステータス強化の力で少女の白くて、か細い腕を粉々に粉砕する。バキッビキッと心地よい音色が聞こえ、そして、少女が必死に痛みをこらえる声も聞こえる。
「ハハッ。楽しいな~。普通じゃないっていうのは」
俺に空いた風穴は、ゆっくりと塞がっていき、完全に元に戻った。
これが、チート能力。『不死』と『耐性・免疫』の力。
『不死』は文字通り、死ななくなること。『耐性・免疫』は、一度喰らった攻撃に耐性が出来る。つまり、同じ攻撃が効かなくなる。そして、免疫で攻撃を喰らった場所の強化と、回復をする。
この二つの能力で、俺はどんな攻撃を受けても死ななくなり、しかも攻撃を受ける度に強くなるという最強の力。
「ハハッ。どうだよ? 俺の力は?」
これで、この女の心も折れただろ......
「ふふっ。まだまだ弱い」
「は? 何言ってんだ?」
腕を粉々にされ、俺に絶対に勝てないと分かったはず......心じゃなくて頭が壊れたのか?
たが、少女は嗤う。
「仕方ないね。これは使いたくなかったのだけど」
「何かしてくれるのか?」
まぁ、何をしても俺には効かなくなるけどな。
「ええ。ちょっとしたお仕置きを...ね」
そう言ってゆっくりと歩いてくる少女。だけど、俺は何もしない。いや、何も出来なかった。
俺を何が押さえつけているような感覚が襲ってくる。体がピクリとも動かせない感覚に恐怖を覚える。
こいつ......何しやがった!?
もう目の前まで迫ってきていた少女を睨みつけ、何とかもがこうとするが、どうしても体が言うことを聞かない。
そして、少女の手が、俺に優しく触れた。
「能力発動」
その言葉を聞いた瞬間。体から何が抜け落ちる感覚があった。まるで、ポッカリと大きな穴が空いたように......
「はい。お仕置き終了っと。仕事も終わったし、ローエン帰るよ」
「はい。かしこまりました。カナ様」
そして、身体の異変に気付く。指を曲げただけでその指が折れるという異変。
「お前!! 俺に何をした!!」
鬼気迫る顔の俺とは違い、少女は、不敵に笑って答えた。
「君から、『能力』と『ステータス』を消した。だけど、それじゃすぐに死んじゃうだろうから『耐性・免疫』っていう能力は残してあげたよ」
俺の能力を消した......だと!?
「私の能力で消したんだ。元から無かったものみたいにね」
もう、言葉がでなかった。俺は、こんな少女に負けたんだ。その衝撃だけが俺の心に残った。
「お前、何者だよ......」
俺の口から無意識にこぼれたそんな言葉に、その少女は、笑顔で答えた。
「通りすがりのラスボスさんだよ」
そして、執事服のじいさんと一緒に影へと消えた......
いつものように退屈な学校で、退屈な授業を受けていたとき、何もない空中に魔方陣が現れたのだ。
きれいな青色に光輝くそれは、ゆっくりと俺に向かって動いてくる。人間としての本能が、それは危険なものだと叫ぶが、俺はあえてその場から動かなかった。
教室とちょうど同じぐらいのサイズの魔方陣は、ゆっくりと動いてくる。勿論、他の生徒は逃げ出し教室から人が居なくなる。
俺一人だけの空間になったとき、こんなこと言った。
「ハハッ、馬鹿だな、こんなチャンスを逃すなんて」
自分でも分かるぐらいに大きく口を歪ませて......
そして、その魔方陣は、俺。佐藤太郎を呑み込んだ。
何も変わらない普通の日常が嫌いだった。何も出来ない普通の自分が嫌いだった。何もない普通な世界が何より嫌いだった。
普通、普通、普通。いつものように起きて、いつものように寝る。それだけの繰り返しが一生続けられるんじゃないかと、そんな疑問に恐怖していた。
普通に生きて、普通に死んでいく事が怖かった。
だから、俺は魔方陣に入った。普通じゃないことに、飛び込んだ。何より俺を変える為に......
教室に居た自分の視界が急に入れ替わったような感覚だった。まるで、テレビのチャンネルを入れ換えるように、急激な変化が目の前で起こった。
そして、俺は......道化師と出会った。
「ようこそ♥歓迎するよ♪」
大きく手を広げそう言ったのは、この世界の神だと言う、ミーニャ。どうやら、【ブレイバーストーリー】というゲームを作った神様らしい。そして、俺はそんなゲームの中にいる。
そして、ミーニャから出された課題は、この世界のラスボスを倒すこと。それをクリアすれば、どんな願いでも叶えてくれるとゆう。
......面白い事になった。ミーニャの話しによれば、俺を含めここに呼ばれた四人は、強制的に転生させられるらしい。
だか、いわゆるチート能力をもって転生するのだ。心配は無いだろう。
それに、ミーニャはこんなことも言っていた。
「君達に与える能力は~♪どれもラスボスを倒すことが出来るようになる能力だよ♥頑張ってね☆」
つまり、努力すれば絶対にラスボスを倒せるということだ。これで、心が踊らない訳がない。
何でも願いが叶うという課題をクリアすることが決まっているのだ。
......これほど楽しいゲームは無い。
「それでは~♪【ブレイバーズストーリー】スタート☆」
自然と歪む口を抑えて、俺は、また魔方陣の中に呑まれていった。
◆◇◆◇◆◇
目覚めた瞬間。俺は、自分の能力を確認して嗤った。
『能力狩り』と、その名前を見た瞬間に分かった。能力を奪う能力だと......
そして、その能力の発動条件を見て更に嗤った。
―――――――――――――――――――――――――――
能力狩り――――対象者と同じかそれ以下のレベルの場合のみ発動可能。対象者の首に触れる、もしくは対象者を3分以上見続けることで発動。
―――――――――――――――――――――――――――
その時俺は、人生で初めて......人殺しをした。
まだ目が覚めていなかった他の三人の首を締めた。そして、能力を奪った。
「ハハッ......ハハハハ......これで、邪魔物は居ない。これで俺が、最強だ!!」
暗く乾いた笑いが、この世界に響いた。
最強で、最悪な"勇者"がこの世界に生まれ落ちた。
だが......
「坊や、勘違いしちゃいけないよ。君はまだまだ弱い」
「あ? 誰だよ、お前」
先程まで誰も居なかったその場所に立っていたのは、執事服を着た白髪のじいさんと......真っ赤な目を光らせて俺を見ている銀髪の少女。
「君の敵だよ」
そう言って口を歪ませる少女。
「ハッ。お前みたいな敵なんて、怖くないな」
今の俺なら、何だって出来る気がする。ラスボスすら倒すことができるチート能力四つを手に入れた俺なら......負けない!!
「君は、私に勝てないよ...絶対に」
「へぇ、じゃあ試してやるよ」
能力発動。『ステータス強化』。強化と言っても、全部のステータスがMAXに強化されるんだけどな!!
そして、俺は弾丸以上のスピードで飛び出した。
だが......
「ッ!?」
俺を圧倒的に上回るスピードで、少女は動き、俺の攻撃を全て回避する。嘲笑というオマケを付けながら。
「ふふっ。まだまだ弱い」
そう言い、少女は俺に攻撃をしてきた。俺以上のスピードを持つ攻撃を避けられるはずもなく......
「ごめんねっ」
そんな少女の手刀によって、俺の心臓を貫かれた。
あっけない最後だった.........と、思うじゃん?
「ハハッ。捕まえた~」
心臓に刺さったままの少女の手を掴み、笑ってみせる。
そして、さすがの少女も面食らったように固まっている。
ステータス強化の力で少女の白くて、か細い腕を粉々に粉砕する。バキッビキッと心地よい音色が聞こえ、そして、少女が必死に痛みをこらえる声も聞こえる。
「ハハッ。楽しいな~。普通じゃないっていうのは」
俺に空いた風穴は、ゆっくりと塞がっていき、完全に元に戻った。
これが、チート能力。『不死』と『耐性・免疫』の力。
『不死』は文字通り、死ななくなること。『耐性・免疫』は、一度喰らった攻撃に耐性が出来る。つまり、同じ攻撃が効かなくなる。そして、免疫で攻撃を喰らった場所の強化と、回復をする。
この二つの能力で、俺はどんな攻撃を受けても死ななくなり、しかも攻撃を受ける度に強くなるという最強の力。
「ハハッ。どうだよ? 俺の力は?」
これで、この女の心も折れただろ......
「ふふっ。まだまだ弱い」
「は? 何言ってんだ?」
腕を粉々にされ、俺に絶対に勝てないと分かったはず......心じゃなくて頭が壊れたのか?
たが、少女は嗤う。
「仕方ないね。これは使いたくなかったのだけど」
「何かしてくれるのか?」
まぁ、何をしても俺には効かなくなるけどな。
「ええ。ちょっとしたお仕置きを...ね」
そう言ってゆっくりと歩いてくる少女。だけど、俺は何もしない。いや、何も出来なかった。
俺を何が押さえつけているような感覚が襲ってくる。体がピクリとも動かせない感覚に恐怖を覚える。
こいつ......何しやがった!?
もう目の前まで迫ってきていた少女を睨みつけ、何とかもがこうとするが、どうしても体が言うことを聞かない。
そして、少女の手が、俺に優しく触れた。
「能力発動」
その言葉を聞いた瞬間。体から何が抜け落ちる感覚があった。まるで、ポッカリと大きな穴が空いたように......
「はい。お仕置き終了っと。仕事も終わったし、ローエン帰るよ」
「はい。かしこまりました。カナ様」
そして、身体の異変に気付く。指を曲げただけでその指が折れるという異変。
「お前!! 俺に何をした!!」
鬼気迫る顔の俺とは違い、少女は、不敵に笑って答えた。
「君から、『能力』と『ステータス』を消した。だけど、それじゃすぐに死んじゃうだろうから『耐性・免疫』っていう能力は残してあげたよ」
俺の能力を消した......だと!?
「私の能力で消したんだ。元から無かったものみたいにね」
もう、言葉がでなかった。俺は、こんな少女に負けたんだ。その衝撃だけが俺の心に残った。
「お前、何者だよ......」
俺の口から無意識にこぼれたそんな言葉に、その少女は、笑顔で答えた。
「通りすがりのラスボスさんだよ」
そして、執事服のじいさんと一緒に影へと消えた......
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