ラスボス転生!?~明日からラスボスやめます~
本物の冒険者とはです!!
すぐ隣のギルドに逃げてきた私は、またもやあの光景を目にする。
バニーガールとギルドマスター。今度は、バニーガールが直接手を下している。というか足で踏みつけている。
勿論、ヒールで......
......あぁ、ギルドにもGが居たのか。早く消さないと......
私がクエスト感覚でGに向かって『最後の審判』を唱えようとした時。
パチリとバニーガールと目があった。
「......マナさん。早かったですね。もう終わったのですか?」
「あっ、終わりました」
話しかけられた事で正気を取り戻す。
「そうですか。では、こちらにどうぞ。手続きをしますので」
そう促され、バニーガールの後ろへと付いていく......やはり、ギルドマスターは放置されたままだ。
そして、そのままカウンターみたいなところまで来たところで
「これを手の上に置いてください」
そう言って目の前に置かれたのは、ハムスターだった。
......うん、ナニソレ、イミワカンナイ。
世話しなく動き回るハムスターは可愛いけど......どうすればいいの?
困惑している私を見て、バニーガールが説明してくれる。
「これを見るのは初めてなんですね。これは、冒険者がクエストを達成したか失敗したかを判断してくれる『モコモコさん』です。冒険者の手の上に乗せるだけで判断してくれるので、簡単で効率が良いのです」
「へ~そんな便利な生き物なんていたんだ」
そう言いながら、カウンターの上で動くモコモコさんのお腹を優しくつまんだ時。
カチッ、カチッ。と機械のような音が......
「マナさん、それは、生き物じゃなくて、機械ですよ」
「......え?」
しかし、手に伝わる鉄の感触からそれが本当だと言うことが分かる。そしてまた、カチッという音。
「お前、モコモコさんじゃないじゃん。カチカチさんだよ!! 名前と見た目詐欺だよ!!」
私、人生で初めてハムスターに向かって全力でツッコミを入れたよ。もう......この世界作ったの誰だよ!? そうだよ、アイツだよ!!
次会ったときに、ラスボスのステータスで全力で殴ろうと決めた。
それはさておき、モコモコさんが手の上にちょこんと、ではなく、ずしんと乗ってきた。機械だからなのか、見た目以上に重い。
私の手に乗ったモコモコさんは、鼻をヒクヒクと動かし、何かを探っている。
そして......モコモコさんは、小さい体を大きく使い、「キュッ」という短い鳴き声と同時に小さな◯を作った。
なに、この可愛い生物、お持ち帰りしたい!!
「クエストクリアを確認しました。それでは、冒険者登録をしますのでしばらくお待ち下さい」
そう言って奥の方へと行ってしまった。
その場に残されたモコモコさんと私の目があう。「キュキュッ」とモコモコさんは何かを言っているようだが私には分からない。何となく真似して私も「キュキュ~」と言ってじゃれてると、リッカがチョンチョンと肩をつついてきた。
「マナ様、その子は、「お嬢ちゃん可愛いな、もっと触って~」と言っていましたよ」
リッカ、モコモコさんの言葉が分かるんだ。同じ機械だから?
というかリッカ......私、その情報知らなければ、モコモコさんを純粋に可愛がることが出来てたよ。
「そして、マナ様は、「大好き、愛してる」と言ってましたよ」
......今度から、動物の鳴き真似するのをやめよう。そう心に誓った。
そして、モコモコさんはカウンターの上でコロコロ転がりながら、「キュキュ~キュキュ~」と鳴いている。
「何となく分かる気がするけど、リッカ。お願い」
「えっと、「ワイの時代来た~!!ワイの時代来た~!!」と」
予想以上でした。って、モコモコさん使ってる言葉が古いな!!
あぁ、見た目可愛いけど中身が残念ですか......ちょっとトラウマになりそう。
そんな茶番をやっていた間に、バニーガールが戻ってきていた。
「マナさん、リッカさん、セツナさん。これが冒険者の証明書。『ギルドカード』です。初めてだと思うので、説明をしておきますね。まず、ギルドカードには『ランク』というものがあります。これは、Fランク~Sランクまでで表示されていて、皆さんに渡すのは、Eランクのギルドカードになります」
そこで、セツナが手を上げて質問を挟む。
「Fランクと、Eランクの違いって何ですか?」
「はい。いわゆるFランクは『冒険者見習い』で、Eランクは『一般冒険者』です。Fランクの冒険者のクエストは、雑用や、薬草の採取など危険の無い仕事です。しかし、Fランクのクエストは、モンスターの討伐等が入ります。弱いモンスターだからと言っても、モンスターはモンスターです。冒険者には、死の危険が付きまとうのです。勿論、それに応じて報酬額も増えます」
うん。大体は分かった。
「でも、私達はいきなりEランクからスタートなんだけどそれは...」
そこまで言った所で、バニーガールが食い入るように言葉を被せてきた。
「人を見る目には自信があるのです。実は、皆さんの強さがだいたい分かるような能力を持っているので心配は無いです。それに、皆さんの情報を漏らすようなこともしませんので」
その言葉を聞いて、少しまずい事になったかもしれないと感じた。私達のステータスが分かる能力だったとしたら、明らかにおかしいと思われるだろう。なぜなら、ラスボスのステータスはどれもMAXなのだから......
「心配されているようですね。てすが、大丈夫ですよ。私はギルドに縛られているのですから」
バニーガールは、表情をピクリとも動かさないまま、そう言い放った。
「......呪縛」
私の口から出たそんな言葉に、ニッコリと作り笑顔を返すバニーガールの姿がそこにはあった。
呪縛――――対象者に誓約を立てさせ、それを破った場合。さまざまな呪いが身体を蝕むという。ゲームの中のイベントで一度見かけたことがあるものだった。
それは、呪縛にかかってしまった町娘を助けるというイベントなのだが......絶対に助けられないのだ。どんな手を尽くしても、まるで、それが運命だとでも言うように無慈悲に町娘に呪いがかかるのを見るしかない。
そんな、理不尽なイベントだ。当時の私もその時ばかりは本当にゲームをやめようと思ったぐらいの最低なイベントだった。
「はい。そうです。だから、あなた達の情報が漏れることは決して無いでしょう。......それでは、続きを話しましょう。基本的には、クエストをクリアして冒険者ランクを上げていきますが、他の方法も存在します。例えば、ダンジョン制覇などですね。この世界にはさまざまなダンジョンが存在しますが、その中でも、5階層までしか無いダンジョンや、100階層以上の巨大ダンジョンも存在しています。クリアしたダンジョンの難易度に従ってランクが上がることもありますので覚えておいた方が良いですよ」
普通に話し始めたバニーガールに違和感を覚えながらもしっかりと聞いておく。勇者だった時には聞けなかった情報があるからだ。
.........それから、しばらく時間が経ち。
「説明は以上です。それでは、最後に皆さんに課題です」
課題? 冒険者には、そんなイベントがあるの?
そして、一拍おいてバニーガールは話し始めた。
「本物の冒険者とは? これを考えてきてください。明日答えが聞けるのを楽しみにしてます」
笑顔でそう見送られた。
ギルドの外に出て、気がつけば夕暮れ。どうやら、かなりの時間をここで過ごしてしまったらしい。
「バニーガールさん。今日はありがとうございました」
「マナさん。私の名前は、アイラです。バニーガールはちょっと恥ずかしいので......」
え!? その格好で言う? と思いながらも、夕暮れに染まるギルドを離れていく。手を振りながら見送ってくれるアイラさんを見ながら......
◆◇◆◇◆◇
「......ギルドマスター。どう思いますか?」
いつの間にか建物から出てきたギルドマスターが答える。
「はぁー。どうもこうも無いな。全く、何でこんなところにラスボスがいるんだか......」
やれやれと、頭をかきながら答えるギルドマスターに、またアイラは質問を投げる。
「どうしますか?」
「僕じゃ、どうにもできないよ。まだな......ほら、仕事に戻るぞ」
「......はい」
そんな二つの影は、夕暮れと共にギルドの中へと消えて行くのだった。
バニーガールとギルドマスター。今度は、バニーガールが直接手を下している。というか足で踏みつけている。
勿論、ヒールで......
......あぁ、ギルドにもGが居たのか。早く消さないと......
私がクエスト感覚でGに向かって『最後の審判』を唱えようとした時。
パチリとバニーガールと目があった。
「......マナさん。早かったですね。もう終わったのですか?」
「あっ、終わりました」
話しかけられた事で正気を取り戻す。
「そうですか。では、こちらにどうぞ。手続きをしますので」
そう促され、バニーガールの後ろへと付いていく......やはり、ギルドマスターは放置されたままだ。
そして、そのままカウンターみたいなところまで来たところで
「これを手の上に置いてください」
そう言って目の前に置かれたのは、ハムスターだった。
......うん、ナニソレ、イミワカンナイ。
世話しなく動き回るハムスターは可愛いけど......どうすればいいの?
困惑している私を見て、バニーガールが説明してくれる。
「これを見るのは初めてなんですね。これは、冒険者がクエストを達成したか失敗したかを判断してくれる『モコモコさん』です。冒険者の手の上に乗せるだけで判断してくれるので、簡単で効率が良いのです」
「へ~そんな便利な生き物なんていたんだ」
そう言いながら、カウンターの上で動くモコモコさんのお腹を優しくつまんだ時。
カチッ、カチッ。と機械のような音が......
「マナさん、それは、生き物じゃなくて、機械ですよ」
「......え?」
しかし、手に伝わる鉄の感触からそれが本当だと言うことが分かる。そしてまた、カチッという音。
「お前、モコモコさんじゃないじゃん。カチカチさんだよ!! 名前と見た目詐欺だよ!!」
私、人生で初めてハムスターに向かって全力でツッコミを入れたよ。もう......この世界作ったの誰だよ!? そうだよ、アイツだよ!!
次会ったときに、ラスボスのステータスで全力で殴ろうと決めた。
それはさておき、モコモコさんが手の上にちょこんと、ではなく、ずしんと乗ってきた。機械だからなのか、見た目以上に重い。
私の手に乗ったモコモコさんは、鼻をヒクヒクと動かし、何かを探っている。
そして......モコモコさんは、小さい体を大きく使い、「キュッ」という短い鳴き声と同時に小さな◯を作った。
なに、この可愛い生物、お持ち帰りしたい!!
「クエストクリアを確認しました。それでは、冒険者登録をしますのでしばらくお待ち下さい」
そう言って奥の方へと行ってしまった。
その場に残されたモコモコさんと私の目があう。「キュキュッ」とモコモコさんは何かを言っているようだが私には分からない。何となく真似して私も「キュキュ~」と言ってじゃれてると、リッカがチョンチョンと肩をつついてきた。
「マナ様、その子は、「お嬢ちゃん可愛いな、もっと触って~」と言っていましたよ」
リッカ、モコモコさんの言葉が分かるんだ。同じ機械だから?
というかリッカ......私、その情報知らなければ、モコモコさんを純粋に可愛がることが出来てたよ。
「そして、マナ様は、「大好き、愛してる」と言ってましたよ」
......今度から、動物の鳴き真似するのをやめよう。そう心に誓った。
そして、モコモコさんはカウンターの上でコロコロ転がりながら、「キュキュ~キュキュ~」と鳴いている。
「何となく分かる気がするけど、リッカ。お願い」
「えっと、「ワイの時代来た~!!ワイの時代来た~!!」と」
予想以上でした。って、モコモコさん使ってる言葉が古いな!!
あぁ、見た目可愛いけど中身が残念ですか......ちょっとトラウマになりそう。
そんな茶番をやっていた間に、バニーガールが戻ってきていた。
「マナさん、リッカさん、セツナさん。これが冒険者の証明書。『ギルドカード』です。初めてだと思うので、説明をしておきますね。まず、ギルドカードには『ランク』というものがあります。これは、Fランク~Sランクまでで表示されていて、皆さんに渡すのは、Eランクのギルドカードになります」
そこで、セツナが手を上げて質問を挟む。
「Fランクと、Eランクの違いって何ですか?」
「はい。いわゆるFランクは『冒険者見習い』で、Eランクは『一般冒険者』です。Fランクの冒険者のクエストは、雑用や、薬草の採取など危険の無い仕事です。しかし、Fランクのクエストは、モンスターの討伐等が入ります。弱いモンスターだからと言っても、モンスターはモンスターです。冒険者には、死の危険が付きまとうのです。勿論、それに応じて報酬額も増えます」
うん。大体は分かった。
「でも、私達はいきなりEランクからスタートなんだけどそれは...」
そこまで言った所で、バニーガールが食い入るように言葉を被せてきた。
「人を見る目には自信があるのです。実は、皆さんの強さがだいたい分かるような能力を持っているので心配は無いです。それに、皆さんの情報を漏らすようなこともしませんので」
その言葉を聞いて、少しまずい事になったかもしれないと感じた。私達のステータスが分かる能力だったとしたら、明らかにおかしいと思われるだろう。なぜなら、ラスボスのステータスはどれもMAXなのだから......
「心配されているようですね。てすが、大丈夫ですよ。私はギルドに縛られているのですから」
バニーガールは、表情をピクリとも動かさないまま、そう言い放った。
「......呪縛」
私の口から出たそんな言葉に、ニッコリと作り笑顔を返すバニーガールの姿がそこにはあった。
呪縛――――対象者に誓約を立てさせ、それを破った場合。さまざまな呪いが身体を蝕むという。ゲームの中のイベントで一度見かけたことがあるものだった。
それは、呪縛にかかってしまった町娘を助けるというイベントなのだが......絶対に助けられないのだ。どんな手を尽くしても、まるで、それが運命だとでも言うように無慈悲に町娘に呪いがかかるのを見るしかない。
そんな、理不尽なイベントだ。当時の私もその時ばかりは本当にゲームをやめようと思ったぐらいの最低なイベントだった。
「はい。そうです。だから、あなた達の情報が漏れることは決して無いでしょう。......それでは、続きを話しましょう。基本的には、クエストをクリアして冒険者ランクを上げていきますが、他の方法も存在します。例えば、ダンジョン制覇などですね。この世界にはさまざまなダンジョンが存在しますが、その中でも、5階層までしか無いダンジョンや、100階層以上の巨大ダンジョンも存在しています。クリアしたダンジョンの難易度に従ってランクが上がることもありますので覚えておいた方が良いですよ」
普通に話し始めたバニーガールに違和感を覚えながらもしっかりと聞いておく。勇者だった時には聞けなかった情報があるからだ。
.........それから、しばらく時間が経ち。
「説明は以上です。それでは、最後に皆さんに課題です」
課題? 冒険者には、そんなイベントがあるの?
そして、一拍おいてバニーガールは話し始めた。
「本物の冒険者とは? これを考えてきてください。明日答えが聞けるのを楽しみにしてます」
笑顔でそう見送られた。
ギルドの外に出て、気がつけば夕暮れ。どうやら、かなりの時間をここで過ごしてしまったらしい。
「バニーガールさん。今日はありがとうございました」
「マナさん。私の名前は、アイラです。バニーガールはちょっと恥ずかしいので......」
え!? その格好で言う? と思いながらも、夕暮れに染まるギルドを離れていく。手を振りながら見送ってくれるアイラさんを見ながら......
◆◇◆◇◆◇
「......ギルドマスター。どう思いますか?」
いつの間にか建物から出てきたギルドマスターが答える。
「はぁー。どうもこうも無いな。全く、何でこんなところにラスボスがいるんだか......」
やれやれと、頭をかきながら答えるギルドマスターに、またアイラは質問を投げる。
「どうしますか?」
「僕じゃ、どうにもできないよ。まだな......ほら、仕事に戻るぞ」
「......はい」
そんな二つの影は、夕暮れと共にギルドの中へと消えて行くのだった。
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