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そのゴーレム、元人間につき

ノベルバユーザー168814

ギルドマスター

 アラブルベアを引き摺りながら門の前に戻ると外の様子を見ていたギルドにやって来ていた兵士が待っていた。

 「え? もう片付けたんですか!?」
 「まぁ、多分」

 俺は引き摺っているアラブルベアを見せるとこれで正しいようで、肩の力を抜いた兵士は門を完全に開いた。

 そのままギルドへ向かうとしよう。

 「終わったぞ」
 「あ、え? 終わり?」

 受付嬢がそんな事を言い出す、途端に散っていた冒険者達もざわついてる。
 騒ぐのが好きな連中だ、俺には理解ができない。

 「それでこいつはどうすれば良い?」
 「あ、こっちで解体します」
 「助かる」

 さて、帰るか。
 ギルドから出ようとすると女冒険者が入ってきた。

 「あ、ランドさん! 聞きましたか! アラブルベアが出たらしいですよ!」
 「そうか、それより用事は済んだのか?」
 「それよりって……意外と一大事なんですよ? 理解してます?」
 「安心しろ、それならもう倒したからな」
 「え? あ、ほんとだ死体がある……って、ちゃっかり目立ってるじゃないですか」

 あ、そうか、目立つなこれ、どうしよう。
 やっぱ無しとかダメか。

 「お? ランドか、早くねぇか? 何か忘れ物でもしたか?」
 「ダガシカシさん、ランドさんは依頼を終わらせて来ました」
 「なにぃ!? 早すぎるだろ! そんなバカな!」
 「こっちにある死体が見えません?」
 「これは……飛んでもねぇ奴がギルドに来たな」

 どうやら自業自得のハゲも駆けつけたようだ、まぁ、昨日怪我をしたばかりの癖にそれだけ動けるならこいつは相当な化け物だ。

 「おいハゲ、報酬を寄越せ」
 「お前さん、ぶっ込んでくるな、少し待て、解体が終われば素材の売却を報酬で上乗せされて一緒に渡す」
 「報酬誤魔化してたら承知しないぞ」

 まぁ、実際には俺に金は要らんのだが、如何せん、女冒険者は食べる為に必要らしいからな、俺がある程度稼いで後は放置すれば俺はゆっくり出来るという寸法だ。

 「解体にはまだ時間がかかります、その間にギルドマスターへと会ってください」
 「へぇ、ギルマスがねぇ、ま、確かにこんな化け物が現れたら会うよな」

 ギルドマスターか、このギルド1番の偉いやつと考えて間違いないか?

 「私も会ったことは無いんですよ、良かったですね」
 「厄介ごとの臭いしかしないが?」
 「鼻無いじゃないですか」
 「気分の問題だ」

 受付嬢に案内され、無視しようとしたがハゲに押されてやむを得ず連れられた。

 「失礼します、ランドさんをつれてきました」
 「入ってくれ」

 促されて入ったそこははっきりと言えば大したことの無い部屋だ。
 偉い人間がいるのだからてっきり質の高い部屋なのかと思ったが期待外れだな。

 「ははは、意外じゃろ? ギルドマスターともあろうものが質素なもんじゃよ」

 そう笑っているのは部屋の奥にある、椅子へと座っているじいさんだった。
 白く長い顎髭を携えた初老だ。

 「いや、そんなことはないですよ」
 「ははは、気遣いとは嬉しいのぅ、こんな田舎にあるギルドじゃこれが精一杯なんじゃよ、それとワシの好みじゃ」
 「あんたの好みか、嫌いじゃない」

 ここは無駄に飾られていないから結構落ち着ける、俺としては好ましい位だな。 

 「ふむ、それじゃ用件に入るとするかのう、今回はギルドマスターとしてお礼を言うぞい、そしてお主のような強き冒険者が来てくれて歓迎するぞい」
 「ありがたく受けとりましょう」

 おい、受付嬢とハゲ、俺を意外そうな顔で見るな。
 こいつらは絶対に俺が丁寧な口調で喋れないと思っていたな。
 時と場合で流石に考えるわ。

 「ギルドマスター、私への用件はそれだけでしょうか? 用が済んだのならこれで私は退席しますが?」
 「まぁ田舎じゃしのう、特に頼むことはないわい、あ、1つ忘れとった、この街の領主は絶対にお主を呼びつけるからのう、悪い奴じゃ無いから適当にあしらっておいくといい」
 「分かりました、それでは」

 俺はその場から退出し、素材と依頼の報酬を受けとるためにカウンターまで向かうことにした。


 *


 <ギルドマスター室>

 「ほっほっほ、中々面白いのう、彼は」
 「ヒヤヒヤしましたよ、ギルドマスターへ無礼な事を言わないかと」
 「ワシは気にせんぞ?」
 「じいさん、少しは気にしろよ」
 「お主も今ではタメ口ではないかの」 
 「最初からじゃねぇだろ」

 軽口を叩いている3人、和やかな空気が流れている。
 その雰囲気は突然終わる。

 「それで、じいさん、アイツはなにもんだ?」
 「さぁのう、わからん、しかしかなり強いのは確かじゃの」
 「強いと言うことは分かりますが、登録したてであそこまで強いとは、どうなんでしょうかね?」
 「人の事を詮索するような真似はよしなさい、その者の事情と言うものがあるからのう」


 *


 <ギルドカウンター>

 戻ってきたは良いが、受付嬢が居ないので報酬が貰えない。
 なんでこのギルド受付嬢が1人なんだよ、増やせよ。
 と言っても混まないらしいし、1人で回せると言うことか。

 「おい、見つけたぞ! 今度こそ俺と勝負しろ!」

 あれは、確か、宿屋で誰かを待ち伏せていた男だな。
 ここにいると言うことはあれだ、その宿屋にいた人物がここにいると言うことだ。
 はた迷惑な奴だ、さっさと勝負を受ければ良いものを、逃げ惑っているとはな、近所迷惑だから止めてくれ。

 「おい! お前だよ! フルフェイス野郎!」

 このギルドでフルフェイスは……誰も居ないぞ、こいつは一体誰に用があるのやら。

 「何時までも知らねぇふりするんじゃねえ!」

 俺の目の前で叫んでいる。
 フルフェイス……あ、俺か。

 「……何の為の勝負だ?」
 「お前ごときがダガシカシさんに勝てるわけがねぇんだ!」
 「それで、お前がでしゃばってくる理由になるのか? お前との勝負のメリットは?」
 「まあまあ、ランド、その辺にしてやってくれ」
 「ダガシカシさん!」

 狙ったようなタイミングで入ってきたハゲ。
 受付嬢は魔物の解体の手伝いへと向かっていった。
 忘れていたが女冒険者も解体の手伝いをしている。

 「どうせ解体が終わるまで暇だろ? 付き合ってやってくれ」
 「……ただではやらんぞ、向こうの言い掛かりで勝負してやるんだ、それ相応の報酬を寄越せ」
 「がめついな、少しはミンナノ為とか無いのか」
 「無いな」

 即答だ、なぜこんな奴のために貴重な時間をくれてやらねばならないのだ。

 「まぁそう言うな、銅貨50枚、これなら良いだろ?」
 「まぁ、良いだろう、お前も治療費と生活で苦しくなるからな、その辺で勘弁してやる」
 「お、助かるぜ」
 「おい、お前! ダガシカシさんからのお願いに金をとるのか!」
 「お前のせいで金をとられる事になったんだ、原因のお前が一番悪いだろ」

 こいつは直情的なバカだな。
 あとハゲを崇拝しているからこそこの態度か、それで俺がハゲを倒したからこそ卑怯だと言いたいわけだ。

 「おい、さっさと訓練所に行くぞ、勝負の時間よりも訓練所にいく方が長いが仕方ない」
 「なんだと! 後で吠え面かくなよ!」
 「俺も見物しよう、暇だからな」

 やりたくはないが、金を貰ったからな、仕方ない。
 やってやろう

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