そのゴーレム、元人間につき
冒険者
森の中を真っ直ぐに進んでいるんだが、全く魔物に遭遇する事がない。
おかしいな、森の中には何かしら魔物がいるものだが1匹たりとも見ない。
そういう日も有るだろうか。
暫く森を歩くと進展があった。
なんと! ……森を突き抜けてしまった訳だ。
まさかゴブリンすら現れないとは……
依頼に失敗したら逆に金がとられるんだぞ、それだけは何としてでも避けねばなるまい。
今森の入り口か出口かさっぱり分からないが森の外にいるんだが、少し離れた向かいの森に灯りが見えるわけだ。
誰か野営でもしてるのだろうか。
こんな夜中に外に出るなんて物好きもいるものだな。
普通夜は街の宿に泊まるものだろう、野営をしている奴等は街がそこそこ近いのに何故こんなところにいるのやら。
……ちょっと話聞いてみるか。
「……なあ、何してるんだ?」
「え? うぉっ!? なんだお前!」
なんだよ、剣向けるなよ、泣きたくなるじゃないか。
スキルでねじ曲げるぞこのやろう。
ちょっと足音消して接近したらこれだよ、お茶目なドッキリだと思ったんだがな。
「まさか、俺の背後をとるとは、暗殺者か! だが、なにも言わずに殺さなかったのが運のつきだな、皆、囲め!」
え、なにその勘違い、違うよ、暗殺者は寧ろ街で休んでるあの女冒険者の事だよ。
囲むな囲むな、何でそんなに警戒してるんだよ。
「……くそ! 折角巣を見つけたってのに、こんな所で邪魔が入るとは! 皆、速攻で方をつけるぞ!」
リーダーの様な男が仲間に声をかける。
俺の回りには全部で6人の冒険者らしき奴等がいる。
男4女2だな、お楽しみの最中だったのだろうか。
謝っておこう。
「済まないな、お取り込み中の所邪魔した」
「全くだ! これを逃したら次はいつになるかわかったもんじゃねぇ!」
そんなにか? 俺が去った後だろうと近くの街に行けばお楽しみの続きはできると思うんだが。
確か女冒険者も最初は森の外でお楽しみしようとしていたな。
ゴーレムの俺には分からないがそういうのが良いと言うこともあるんだろう。
「悪かった、俺はここで去るとしよう」
「……皆、武器を降ろせ、戦闘はしなくてすみそうだ」
武器を降ろしてくれて助かるな、危うく実力行使に出るところだったぜ、正直6人もいれば勝てる気はしないが1人位なら道連れにできる……と思う。
「……なんでこんな所でお楽しみをしているのかは分からないが魔物には気を付けろよ、じゃあな」
野営しているテントの横を抜けてその近くの森へと入る。
すると先程のリーダーっぽい男が立ち塞がった。
「どこに行く気だ?」
「森の中だ、見ればわかるだろう?」
「今ここは危険だ、あんた1人じゃ死ぬし、そもそもここに俺達が狙っている魔物がいるんだ引き返してくれ」
なるほど、魔物を狩っている最中にお楽しみをしていたわけか、けしからん奴らだな。
「俺も狙っている魔物がいるんだ、それがこの森にいるかもしれない」
ゴブリン、そう、依頼のゴブリンだ、ここにはいるような気がするんだよね。
リーダーっぽい冒険者の男が驚いている。
「まさか、お前も派遣されて来たのか!」
派遣? まぁ、ギルドからの依頼を受けてきているから派遣だろうか。
「そんなところだな」
「なるほど、わかった、おい皆! 援軍だ安心しろ」
ゴブリンごときで援軍だと? コイツらそんなに弱いのか。
ならさっさと入った方が良いと思うんだけどな。
「いや、お楽しみの最中に知らない奴が入るとやる気が無くなるだろ? 俺は先に入っておくから事が済んだら来てくれ」
嫌だぞ他人の楽しみを見ているなんて、死ぬほど無意味じゃないか、それともあれか? 見られていると興奮すると言うタイプか。
「事が済んだらって……お前! ち、違うぞ! そんなやましい事俺らはしていないぞ!」
「え、リーダーそんな事考えてたの!? だから私達女2人を選んだのね!」
「だから違うって!」
急に騒ぎだした冒険者達、男4人は女2人に睨まれている。
……勘違いしていた様だな。
「なんだ違うのか」
「当たり前だろ! 彼女らは仲間だぞ! そんな事考えるか!」
「……本当は?」
「少しだけ」
男だけに聞こえるように尋ねると本音を言いやがった。
「聞かなかったことにしよう」
「助かる」
「それで? お前達は何故ここにいる?」
「? お前と同じだろ?」
「俺はゴブリン討伐だぞ、お前らもか、何匹狩るつもりでその人数だよ」
俺がそう答えると、回りの冒険者達は全員がポカーンとしていた。
なんだよ、一緒って言ったのはそっちだろう。
「ゴブリン? こんな夜中にか? 無意味じゃないか」
「お前らは違うのか?」
「当たり前だ! こっちはCランクだぞ! ゴブリンなんかたまにしか狩らねぇよ!」
「なんだ、じゃあ何を狙っているか聞いても良いか?」
「ん、それくらいなら構わねぇよ、今ファンには強力な魔物が出ているのは知ってるか?」
「確か聞いたような気がする」
「俺らはそれを討伐しに派遣されたんだよ、てっきりアンタも同じかと思ったぜ」
あー、コイツらが他の腕の立つ冒険者か。
……知ってたよ? 初見で分かってたから、だから勝てないかもなとか言ってた訳だ。
因みに嘘だ。
「それは悪かったな、じゃあ、行くわ」
「だから! そっちは俺らが狙ってる魔物の巣だからダメだって! このあと襲撃予定なんだよ、邪魔しないでくれ!」
くそぅ、ここならゴブリンがいると思ったのに。
時間はたっぷりあるし、便乗させてもらおうかな? よしそうしよう。
「そうか、なら俺も一緒に行って良いか?」
「別に構わねぇが、アンタ、ランクは?」
「Fだ」
「新人じゃねえか! 危険すぎる!」
「ならここで一人で突っ込んで行くが止めるなよ?」
「図々しいなお前……わかったよ、ただし、後衛でサポートしてくれ」
作戦成功だ、これでゴブリン狩りができるぜ。
「いつまで待機するつもりなんだ?」
「もう少し夜が更けてからだな、それまでは休んでいてくれ……皆! 彼が緊急で加わることになった、新人のえーと、名前は?」
「ランドだ、よろしく頼む」
「だそうだ、ランド、俺はCランク冒険者のソボロだ、よろしくな」
こうして少しだけ冒険者の集まりにお邪魔することになった。
おかしいな、森の中には何かしら魔物がいるものだが1匹たりとも見ない。
そういう日も有るだろうか。
暫く森を歩くと進展があった。
なんと! ……森を突き抜けてしまった訳だ。
まさかゴブリンすら現れないとは……
依頼に失敗したら逆に金がとられるんだぞ、それだけは何としてでも避けねばなるまい。
今森の入り口か出口かさっぱり分からないが森の外にいるんだが、少し離れた向かいの森に灯りが見えるわけだ。
誰か野営でもしてるのだろうか。
こんな夜中に外に出るなんて物好きもいるものだな。
普通夜は街の宿に泊まるものだろう、野営をしている奴等は街がそこそこ近いのに何故こんなところにいるのやら。
……ちょっと話聞いてみるか。
「……なあ、何してるんだ?」
「え? うぉっ!? なんだお前!」
なんだよ、剣向けるなよ、泣きたくなるじゃないか。
スキルでねじ曲げるぞこのやろう。
ちょっと足音消して接近したらこれだよ、お茶目なドッキリだと思ったんだがな。
「まさか、俺の背後をとるとは、暗殺者か! だが、なにも言わずに殺さなかったのが運のつきだな、皆、囲め!」
え、なにその勘違い、違うよ、暗殺者は寧ろ街で休んでるあの女冒険者の事だよ。
囲むな囲むな、何でそんなに警戒してるんだよ。
「……くそ! 折角巣を見つけたってのに、こんな所で邪魔が入るとは! 皆、速攻で方をつけるぞ!」
リーダーの様な男が仲間に声をかける。
俺の回りには全部で6人の冒険者らしき奴等がいる。
男4女2だな、お楽しみの最中だったのだろうか。
謝っておこう。
「済まないな、お取り込み中の所邪魔した」
「全くだ! これを逃したら次はいつになるかわかったもんじゃねぇ!」
そんなにか? 俺が去った後だろうと近くの街に行けばお楽しみの続きはできると思うんだが。
確か女冒険者も最初は森の外でお楽しみしようとしていたな。
ゴーレムの俺には分からないがそういうのが良いと言うこともあるんだろう。
「悪かった、俺はここで去るとしよう」
「……皆、武器を降ろせ、戦闘はしなくてすみそうだ」
武器を降ろしてくれて助かるな、危うく実力行使に出るところだったぜ、正直6人もいれば勝てる気はしないが1人位なら道連れにできる……と思う。
「……なんでこんな所でお楽しみをしているのかは分からないが魔物には気を付けろよ、じゃあな」
野営しているテントの横を抜けてその近くの森へと入る。
すると先程のリーダーっぽい男が立ち塞がった。
「どこに行く気だ?」
「森の中だ、見ればわかるだろう?」
「今ここは危険だ、あんた1人じゃ死ぬし、そもそもここに俺達が狙っている魔物がいるんだ引き返してくれ」
なるほど、魔物を狩っている最中にお楽しみをしていたわけか、けしからん奴らだな。
「俺も狙っている魔物がいるんだ、それがこの森にいるかもしれない」
ゴブリン、そう、依頼のゴブリンだ、ここにはいるような気がするんだよね。
リーダーっぽい冒険者の男が驚いている。
「まさか、お前も派遣されて来たのか!」
派遣? まぁ、ギルドからの依頼を受けてきているから派遣だろうか。
「そんなところだな」
「なるほど、わかった、おい皆! 援軍だ安心しろ」
ゴブリンごときで援軍だと? コイツらそんなに弱いのか。
ならさっさと入った方が良いと思うんだけどな。
「いや、お楽しみの最中に知らない奴が入るとやる気が無くなるだろ? 俺は先に入っておくから事が済んだら来てくれ」
嫌だぞ他人の楽しみを見ているなんて、死ぬほど無意味じゃないか、それともあれか? 見られていると興奮すると言うタイプか。
「事が済んだらって……お前! ち、違うぞ! そんなやましい事俺らはしていないぞ!」
「え、リーダーそんな事考えてたの!? だから私達女2人を選んだのね!」
「だから違うって!」
急に騒ぎだした冒険者達、男4人は女2人に睨まれている。
……勘違いしていた様だな。
「なんだ違うのか」
「当たり前だろ! 彼女らは仲間だぞ! そんな事考えるか!」
「……本当は?」
「少しだけ」
男だけに聞こえるように尋ねると本音を言いやがった。
「聞かなかったことにしよう」
「助かる」
「それで? お前達は何故ここにいる?」
「? お前と同じだろ?」
「俺はゴブリン討伐だぞ、お前らもか、何匹狩るつもりでその人数だよ」
俺がそう答えると、回りの冒険者達は全員がポカーンとしていた。
なんだよ、一緒って言ったのはそっちだろう。
「ゴブリン? こんな夜中にか? 無意味じゃないか」
「お前らは違うのか?」
「当たり前だ! こっちはCランクだぞ! ゴブリンなんかたまにしか狩らねぇよ!」
「なんだ、じゃあ何を狙っているか聞いても良いか?」
「ん、それくらいなら構わねぇよ、今ファンには強力な魔物が出ているのは知ってるか?」
「確か聞いたような気がする」
「俺らはそれを討伐しに派遣されたんだよ、てっきりアンタも同じかと思ったぜ」
あー、コイツらが他の腕の立つ冒険者か。
……知ってたよ? 初見で分かってたから、だから勝てないかもなとか言ってた訳だ。
因みに嘘だ。
「それは悪かったな、じゃあ、行くわ」
「だから! そっちは俺らが狙ってる魔物の巣だからダメだって! このあと襲撃予定なんだよ、邪魔しないでくれ!」
くそぅ、ここならゴブリンがいると思ったのに。
時間はたっぷりあるし、便乗させてもらおうかな? よしそうしよう。
「そうか、なら俺も一緒に行って良いか?」
「別に構わねぇが、アンタ、ランクは?」
「Fだ」
「新人じゃねえか! 危険すぎる!」
「ならここで一人で突っ込んで行くが止めるなよ?」
「図々しいなお前……わかったよ、ただし、後衛でサポートしてくれ」
作戦成功だ、これでゴブリン狩りができるぜ。
「いつまで待機するつもりなんだ?」
「もう少し夜が更けてからだな、それまでは休んでいてくれ……皆! 彼が緊急で加わることになった、新人のえーと、名前は?」
「ランドだ、よろしく頼む」
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