のん気な男爵令嬢

神無乃愛

マイヤのおねだり

 仮にリヴァイテヒアを呪った相手が聖国にいるとなると、ご案内するのは如何なものかと思ってしまう。
 それは公爵家の方々も同じ考えであり、賛同せざるを得ない。
「……どうしようかのぅ」
 呪いを解く方法があるのなら、それに越したことはない。流石に先代公爵もマイヤも知らない。というか、聖獣を呪えるということを初めて知った。
「呪いに種類があるのならいいのですけど」
 魔術関連は触りしか知らないマイヤである。呪いを知らなくて当然といえた。
「色々あるけどね。恨みつらみで呪うことが多いけど、聖獣はそれしきの呪いが効くとは思えない」
「代理で呪うことは可能なのですか?」
「可能だよ。例えば、マイヤが誰かを呪いたいと思った場合、魔力が無いから呪ったとしてもはじき返される」
「……そう、なのですか?」
 それは知らなかった。
「うん。呪いの強さは、思いと魔力に比例する。つまり、どんなに相手を憎んだとしても、相手の魔力が高ければ無駄に終わる。だから、魔力の少ない人間が魔力の高い人間を呪う場合は代行屋を使う」
「代行屋?」
「呪屋ともいうね。そこそこの魔力を持った人間が、呪いたい人間の代わりに相手を呪う職業だよ。違法行為だけど」
「職業ということは、料金が発生いたしますのね」
「……まぁ、そうだと思うよ。俺も利用したことが無いから知らないし」
「そんなもの利用しなくとも、ヴァルッテリ様は相手を呪えるでしょう? 魔力過多なんですもの」
 呪ったこともないからね、そういうヴァルッテリを無視して、マイヤはレイスたちに向き直った。

 その間、先代公爵と現公爵夫婦は「どうやって解呪するか」という方法を話し合っていた。

 聖獣を呪うなど、前代未聞。聖国でも、代々の聖王が見る歴史書に書いてあるかないかくらいだろうというのが、先代公爵の言い分だ。
「解呪用ポーションでも無理でしょうし」
「対人用の解呪用魔法でも無理だからねぇ」
 既に公爵が試したが、効かないどころか悪化させレイスを一度怒らせている。解呪用ポーションも同じことになるのは目に見えていた。

 むぅ、とひたすら考えていたマイヤは、とうとう考えることを放棄した。
「ヴァルッテリ様」
 おもむろにマイヤはヴァルッテリにおねだりをした。
「わたくし、ジャイアントマカイロ様を直接見て見たく存じます」
「無理!」
 ヴァルッテリの即答に、マイヤは舌打ちした。

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