のん気な男爵令嬢
聖獣の性格(?)
レイスに守られた聖獣を見た先代公爵は、すさまじく興奮していた。
「これはっ! すでに滅んだと『聖獣史』にも記された、リヴァイテヒアではないか!!」
海の力をもってすべてを滅ぼす伝説の聖獣、リヴァイテヒア。
『リヴァイテヒア様はご自身を守るために動いたにすぎぬ!!』
先代公爵の言葉を聞いたレイスが叫んだ。
……が。
先代公爵は気にしない。
「仕方あるまいて。かように史実が捻じれるのが世のさだめ。大方、其方にとってリヴァイテヒアが国を滅ぼしたことが都合が悪く、聖国は滅ぼされるに至った経緯を外に知られること自体に都合が悪かった」
なるほど、とマイヤは感心してしまった。
それはともかくとして。
「聖獣が国を滅ぼしたことを『どうでもいい』と取れるマイヤが凄いんだけど」
「それ以前に呪われたのが先か、滅ぼしたのが先かが問題だと思いますの」
レイス自身が言葉を詰まらせたということは、滅ぼしたのが先なのだろうが。そして、今目の前にいるリヴァイテヒアが最後の一頭だということは想像がつく。
「滅ぼしたのが先ならば、思い当たる節がいくつかありますわね。一つ目、聖獣の幼体を殺したか何かしたのか」
「ふむ。考えられるが、あまりあり得ぬの。それよりも、国側が身勝手に守護聖獣ではなくしたというのが有力じゃな」
聖国からの圧力で。先代公爵があっさりと言った。
だが、呪いを解きに聖国に行こうとしたあたりで、違うのではと思ってしまう。
「それをレイス殿が知らなければ、同じことではないかの」
確かにそう考えれば納得がいく。そして、このレイスが呪った相手を知らないのだとしたら。
「リヴァイテヒアは気まぐれな聖獣であったと記されておる。時として盗人を保護したり、海賊を守ったりしたとな」
聖獣だから気まぐれで当たり前だと思ってしまうのは駄目なのか。
たかだかその程度で「気まぐれ」などと言われたら、グラーマル王国の聖獣、スレイプホッグはどうなるのだ。確かに魔獣から守ってくれるが、大変に食い意地が張っており、気づくと冒険者から様々なものをいただいて食っている。それどころか、マイヤは何度薬草採取中に突進されたか。おかげで隠密スキルがあがったのだから、何とも言えなのだが。
どうやら悪戯する人間を選んでいるらしいが、マイヤからしてみればはた迷惑であり、幼いころは何度も祖父たちに泣きついたものである。
「ジャイアントマカイロ様はそのようなことをしませんの?」
「ここ十数年以上見かけていないのに、どうしろと?」
「……あ」
祖父の言うとおり、「じゃれてくるだけありがたい」のかもしれない。
「これはっ! すでに滅んだと『聖獣史』にも記された、リヴァイテヒアではないか!!」
海の力をもってすべてを滅ぼす伝説の聖獣、リヴァイテヒア。
『リヴァイテヒア様はご自身を守るために動いたにすぎぬ!!』
先代公爵の言葉を聞いたレイスが叫んだ。
……が。
先代公爵は気にしない。
「仕方あるまいて。かように史実が捻じれるのが世のさだめ。大方、其方にとってリヴァイテヒアが国を滅ぼしたことが都合が悪く、聖国は滅ぼされるに至った経緯を外に知られること自体に都合が悪かった」
なるほど、とマイヤは感心してしまった。
それはともかくとして。
「聖獣が国を滅ぼしたことを『どうでもいい』と取れるマイヤが凄いんだけど」
「それ以前に呪われたのが先か、滅ぼしたのが先かが問題だと思いますの」
レイス自身が言葉を詰まらせたということは、滅ぼしたのが先なのだろうが。そして、今目の前にいるリヴァイテヒアが最後の一頭だということは想像がつく。
「滅ぼしたのが先ならば、思い当たる節がいくつかありますわね。一つ目、聖獣の幼体を殺したか何かしたのか」
「ふむ。考えられるが、あまりあり得ぬの。それよりも、国側が身勝手に守護聖獣ではなくしたというのが有力じゃな」
聖国からの圧力で。先代公爵があっさりと言った。
だが、呪いを解きに聖国に行こうとしたあたりで、違うのではと思ってしまう。
「それをレイス殿が知らなければ、同じことではないかの」
確かにそう考えれば納得がいく。そして、このレイスが呪った相手を知らないのだとしたら。
「リヴァイテヒアは気まぐれな聖獣であったと記されておる。時として盗人を保護したり、海賊を守ったりしたとな」
聖獣だから気まぐれで当たり前だと思ってしまうのは駄目なのか。
たかだかその程度で「気まぐれ」などと言われたら、グラーマル王国の聖獣、スレイプホッグはどうなるのだ。確かに魔獣から守ってくれるが、大変に食い意地が張っており、気づくと冒険者から様々なものをいただいて食っている。それどころか、マイヤは何度薬草採取中に突進されたか。おかげで隠密スキルがあがったのだから、何とも言えなのだが。
どうやら悪戯する人間を選んでいるらしいが、マイヤからしてみればはた迷惑であり、幼いころは何度も祖父たちに泣きついたものである。
「ジャイアントマカイロ様はそのようなことをしませんの?」
「ここ十数年以上見かけていないのに、どうしろと?」
「……あ」
祖父の言うとおり、「じゃれてくるだけありがたい」のかもしれない。
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