のん気な男爵令嬢

神無乃愛

ヴァルッテリ大忙し

 さすがにその翌日には公爵だけは帰った。夫人も帰るのかと思っていたが、夫人は「領内にくまなく下水施設を入れるためにも」と見学を希望したのだ。
 簡単な魔法も行使しつつ、基礎工事がなされていく。

 ひと段落着いたところで、夫人が質問攻めにし、領内へどのように張り巡らせるかを、いつの間にか来た代官と一緒に考えていた。
 公爵領恐るべし。フットワークが軽すぎる。
「病人が減ることと、上質なポーション量産体制は大変ありがたいのですよ」
 質の悪いポーションをバカ高い金で売っている商会もあるという。そういったところは大半が帝国お墨付きだったりして、潰せないのが難点ということか。
 ある程度各領地でポーションの備蓄というものは必要だが、低品質・高価格なポーションが多すぎて、予算配分が難しいところもあるという。
 公爵領内で高品質のポーションが作れれば、予算は減らせるという狙いもあると見た。
「今までの調合師の方々をどうするおつもりで?」
「そこまでおりませんし、こちらの量産体制が整うまでには、領内にポーションのガイドラインをある程度浸透させるしかないでしょうな。ガイドライン通りに買い取りをすれば、問題はないでしょう」
 現在の買取価格を、二級品の買取価格として設定。そこを基準値にして、等級ごとに買い取り価格を決めていく。
 さすが、広大な領地を治める代官だ。ちょっとした助言で、セヴァトスラフと祖父の行っていた政策を理解していく。
「その助言が大事なのですよ」
 代官はそう言うが、マイヤは今までやってきたことを言っているに過ぎない。微調整はッ公爵一家と代官に丸投げすることにした。


 マイヤがやるべきことは、衛生面の強化を徹底するだけである。

 あとはのんびりと周囲の森に行き、薬草を採取してヘイノに卸す。
 そこからヘイノが、男爵領へ持っていく薬草とこちらに残しておく薬草を選別する。そして、選別された薬草をヴァルッテリが数日に一度男爵領へ届ける。

 ヴァルッテリは一応、王宮でも働いている。数日は休暇を取得していたが、それも終わり毎日集落から通うようになっていた。王宮での仕事、レイス討伐、結界補強、薬草と薬の運搬。毎日大変なようだが「冒険者やりながら学院行ってた時に比べれば楽」というヴァルッテリの言葉と、「ヴァルが魔力を大量に使ってもらうと、時々だけの調整で済むから俺も楽」というアハトの言葉に、公爵夫人が頷いたことで、若干有耶無耶になった。

 こういう時魔力なしは役に立たないものなのだ。

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