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のん気な男爵令嬢

神無乃愛

家の確保

 それにしても、とマイヤは思った。公爵一家の皆様、火力高すぎじゃありませんか、と。
「ふふふ。帝都にいては、こうも魔法を放てませんもの」
「日頃の鬱憤を晴らすには最高だね」
「腕輪を気にせず魔法を放てるのはいいね」
 上から公爵夫人、公爵、ヴァルッテリだ。一人げっそりとしているのがアハトで、ウルヤナは子供たちに玩具にされていた。
「お兄ちゃんはちからもちなんだね。すごいや」
 まともに手伝わないウルヤナに対する持ち上げっぷりが半端ない。マイヤが「あの方はヴァルッテリ様の大事なお荷物をお預かりしているのですよ」と煽ったせいでもあるが。
 そして、ただ持ち上げるだけでなく、そこから叩き落しにかかったりもしており、ウルヤナも手伝い始めた。
 子供たちは強かである。

 集落一つ、安全に過ごせるようになったところで、ヴァルッテリが結界を張った。

 やっと一休みである。


「まさか、店ごと移動するとは思わなかったぜ」
 店主がそう言い、料理人があり合わせで炊き出しをしていた。

 公爵一家とその従者が一緒に食事をする、ということに誰一人違和感を抱かないのは果たしていいことなのか。
「ほれ、食事が終わったら薬を飲むんだぞい」
 ヘイノが身体の弱った者たちへ声をかけていた。

 放置された集落ということで、衛生面がまずもって心配だというのが、マイヤとヘイノの共通した意見でもある。
 本日はまず魔法の使えるウルヤナが中心となって、全員をきれいにさせていく。

 集落で真っ先に綺麗にしたのは、中心にある少し大きめの家だ。ここをヘイノの診療所にする。そして、その隣に薬を作るための工房を。こちらは三つの家を使うことにしてある。
 店主は食堂をそのまま家にするといい、他の方々はそれぞれが自分の生活にあった家を選んでいく。
 今まで「家」という概念どころか、「ほったて小屋」の軒下程度のところに住んでいたという方々もいたため、大興奮で進まないのが現状である。

 決まればヴァルッテリがあっさりと承認する。色々と手順をすっぽかしているが、領主である公爵もいるので、後日正式な書類が出来ること間違いなしだ。
 余談だが、「ヴァルッテリとマイヤの家」は、集落の北にある一番大きな家が充てられた。この集落の大きさなら、妥当な大きさだ。小さくなるようなら、その時に考えればいい。

 明日はレイス討伐と下水工事が、健康な面々に割り振られる。
 下水工事もまた、アベスカ男爵家にしかないため、結界維持を公爵たちに一任したヴァルッテリが飛んでいた。
 忙しいお方だ、と忙しくしたはずのマイヤは他人事のように思い、ヘイノの傍で医療助手にいそしんでいた。


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