のん気な男爵令嬢

神無乃愛

宗教

 拠点とする集落からレイスがを駆逐し、軽い結界を張る。その結界の維持も大変だと、一緒に来たものが言うが、「ヴァルッテリバカ息子の魔力減らしに協力してくれ」とオヤヤルヴィ公爵が言う始末。自分たちが休んで、公爵家嫡男が休まないのはどうなのだ。

 公爵一家や、マイヤは気にしていないが。

「倒せるんだったら、神殿に頼む必要ないね」
 うきうきと楽しそうにヴァルッテリが言い、その頭をアハトが叩いていた。
「曲がりなりにも公爵家の嫡男が、神殿敵に回そうとすんじゃねぇ!」
「その通りですわ、ヴァルッテリ様。一応ここにも神殿がありますもの。偉くなくてもいいので、神官を呼ばなくてはいけなんですのよ」
 その言い方もどうよ、という声はあちらこちらから出ていたが、マイヤはそ知らぬ顔をしていた。

 神殿を通して密偵が来る可能性もある。しかし、信仰は時として拠り所となる。
「神官位を持っている方など、都合よくいるわけもありませんし」
 ふぅ、と公爵夫人がため息をついた。

 この大陸の宗教は一つで、大陸中央に「聖国」とだけ呼ばれる場所がある。そこが本拠地だ。
 そこから、各国に一人ずつ首座大司教が派遣され、首座大司教が国中に大司教、司教を派遣する。現在では、この首座大司教は世襲となっているところが多い。そして、ローゼンダール帝国も、グラーマル王国も首座大司教は世襲だ。
「大丈夫ですわ、公爵夫人」
 現在、首座大司教が金と権力だけに腐心しているのを知っている公爵夫人としては、不安しかない。
「この国の中央神殿に一応お声だけかけましょう。レイス多発地帯につき、神官は必要ですから」
 マイヤが黒い笑顔で言い放った。
「マイヤさん?」
「ご自身の移転魔法で来てください、赴任者以外のお帰りもご自身で、と」
 動きがないのなら、国の中央神殿を通り越して、本神殿に声をかける。流石に左遷される人物くらいは来るだろう。

 やる気などなくてもいいのだ。

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