のん気な男爵令嬢

神無乃愛

ついてきた冒険者

 到着した冒険者たちを見て、マイヤは察した。
「レイス退治方法って、火炎魔法ですのね」
「あたーり。男爵もお嬢ちゃんが分かりやすいように俺らにしたみたいだし」
 この男たち全員、火属性魔法の上級、火炎魔法しか使えない男だ。
「よくよく考えてみますと、レイスが出たときに動いている方々は火炎魔法か、獄炎魔法が使える方たちばかりでしたわ」
 もちろん、この男たち以外は他の魔法も使えるが。獄炎魔法は、火属性魔法の最上級魔法である。
「ちょうどいいから俺らもしばらくいるわ」
 あっけらかんと笑う男たちもまた、謂れなき差別を受けてきた人物だ。聞いていられなかったのだろう。
「……そう。森林は燃やさないでくださいまし」
「ゾルさんと同じこと言われた!!」
 ショックを受けるリーダーの男を無視しつつ、再度話を詰めていく。
「男爵から、海が近いなら塩も何とかなるだろうと言われたよ。あとはしばらく食す分の食物を持っていけば、ここでもなんとかなる。火炎魔法なら私たち家族も使えるし」

 集落の一か所をヴァルッテリの魔法で人の住める状態まで戻す。そのあとレイスを総出で駆逐し、数日がかりで発生場所を突き止める。そうすればレイスは湧くことなく、魔獣を狩りつつ薬草採取が出来るというわけだ。

 その集落開発は、ヴァルッテリが直接担当する。婚約祝いとこれからの領地運営のため、という名目をつけて。

 王家としても、この事業が失敗して欲しいという思惑も込めて了承した。

 現王太子に至っては「これでお前が王族へ返り咲くことはなくなったな!」と喜んだという。

 どうやら、ダニエル以上の失言をする人物のようだ。前回まともに顔を合わせなくてよかったと思うマイヤだった。
「お嬢様、それを口に出したら不敬罪ですからね」
「何のことかしら」
 とぼけるマイヤに、にこりと微笑んだのは公爵夫人で。
「あら、ベレッカ。窘めなくていいのよ。現陛下のお子は、正室の子も側室どころか愛妾の子供も、失言魔ですもの」
 公爵夫人は腹に据えかねていたようだった。



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