のん気な男爵令嬢

神無乃愛

レイス殲滅方法

「お嬢、まさか……」
「領内にほとんどレイスは出ませんし、すぐに倒されるのでそこまで問題視しておりませんでしたわ」
「え!?」
 年に数回、帝都では結構頻繁にレイスが出没し、それに巻き込まれて死ぬ者がいる。しかもレイスになる理由は分かっておらず、レイスによって滅ぼされた人間もまた、レイスになる。ということだけが伝わっている。
「お嬢様……」
 ベレッカが何かを言おうとし、ガイアは考え込んでいた。他の面子は目を見開いている。
「マイヤがレイスを軽く考えている理由があるのなら、教えてもらえないか、ベレッカ、ガイア」
「私も詳しくは。そういえばアベスカ男爵領と他領の境界に出ることはあっても、他ではあまり見かけないなと思いまして」
 こちらはガイアの談だ。
「……多分、火葬しているからかと」
「亡くなった方は火葬するものではないの?」
 ベレッカの言葉にマイヤが首を傾げた。
「かそう、とは何だね?」
「亡くなった方のご遺体を燃やすことですわ」
 公爵の言葉に、マイヤは「何を当たり前のこと」と思いながらも答えた。

 余談だが、この大陸の埋葬方法は、ほとんどが土葬である。つまり、またしてもアベスカ男爵領が普通ではない。神殿側は、埋葬方法に関して見解を出していないのだから、どちらも正しいのだ。
「レイスが出たからと、領内の神殿は動きませんからねぇ」
 ガイアものほほんとしている。
 色々問題あるだろう! という突っ込みは方々から出たが、マイヤたちは平然としていた。
「……ガイアもベレッカもレイスと対峙したことはありませんしねぇ」
「していたら、退治方法位伝授できますよ、お嬢様」

 マイヤたちが揃えて頭を抱えだしたころ。公爵家の方々と連れてこられた面々はそれを見て呆れていた。
 色々と言いたいことはある。特に店主と料理人が。
 レイスが現れれば、真っ先に先陣に立たされるのは、「混血」の冒険者だ。その冒険者たちが盾になり、抑えているところにのんびりと神官がやってくる。安全圏からちまちまと打ってくる正体不明の魔法。レイスが全滅する間に、何人の同胞が死に、冒険者として活動できなくなったか。
「……倒す方法があるっつうんだったら、俺が倒すぜ」
 料理人が思わず口に出した。

 料理人も昔は冒険者だった。混血と忌み嫌われた料理人と組んだ仲間もまた、「混血」だった。
 だから、仲間意識はどこよりも高かった。それが仇となり、仲間は重傷だった料理人以外全員死に、レイスとなった。
 だから思うのだ。あの時、神官の使う魔法以外で退治方法があったのなら、と。
「アベスカ男爵に聞きに行くか」
 あっさりと公爵が言い、そのままいなくなった。


 そして、男爵から倒し方を聞いてきただけでなく、何故か数人冒険者までついてきた。

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