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のん気な男爵令嬢

神無乃愛

喧嘩を軽く売る

 どうやら、この取り巻き一行は祝いの言葉と挨拶、それから嫌味がワンセットらしい。

 しかもレベルがかなり低すぎる。これだったら、商業ギルドのお偉いさんたちの方が頭いいんじゃね? とマイヤは思った。
「あなたのお母様はあちらで身体を売ることで、地位を保っていたようですわね」
 これが王妃の台詞とな? うん、色々終わっていると思ったマイヤは、とある言葉だけを呟いてみることにした。
 見事、王妃ヘリュは顔色を変えた。

 間違いなく、「転生者、もしくは異世界転移者」だと確信を抱いたマイヤは、次にどう動くかを思案していた。

「何をあの連中に言ったか、教えてもらえるかね」
 夜会翌日、公爵に呼ばれた。
「『#盛者必衰__じょうしゃひっすい__#』ですわ」
「……何だね、それは」
「とある異世界にある小さな島国の、有名なお話に出てくる言葉だそうですの」
 意味は、「どんなに勢いの盛んなものでも、ついには衰え滅びる」ということらしい。マイヤとて詳しくは知らないが、セヴァトスラフが二度目の戦で王国が敗戦した時に言っていたのだ。
「ふむ、道理だ。あれがキィキィ騒いでいるらしくてな」
「わたくしが『転生者』だとでも?」
「話が早くて助かる」
「あれが分かる時点で、同類ですわよ。同じ文面を書したものは一切ないのですから」
 貴族階級のマナーを知っているならば、あり得ない行動が多すぎた。属国扱いの王国、しかもそこの引きこもりに等しい、男爵令嬢よりも知らないとはこれ如何に、と思ったのだ。その時点で、貴族階級と無縁の世界にいたことのある人物だと察せられた。

 ふふふ、と笑うと、ヴァルッテリと公爵夫人がため息をついていた。
「しかし、それを知らなかったらどうするつもりだったのだ?」
「セヴァトと同じ世界を知らないと判断しただけですわ。……まぁ、あの態度を見る限り知らないというのはほとんどあり得ないかな、とは思いましたけど」
 あの言葉で駄目なら、「おとめげーむ」「うえぶしょうせつ」という言葉を発しようとは思っていたが。いきなりそちらを言うのも如何なものかと思っただけである。
「高確率で、元の話を知っておりますわ。だからこそ、自信を持って色々と策をめぐらせることができたと思いますの」
 それはともかくとして、と言ったのは夫人で。転生者疑惑をどうするかというのが、本日の重要な話とのことだった。
「問題ないとは思うがな。こちらとしても『どうしてそのようなことが言えるのか』と言われれば、黙るしかない」
「それで済むのならいいのですけどね。気に入らない者を貶めすのには、労力を惜しまない馬鹿どもでしょう?」
「だからこそ、だ。あえて公衆面前に持っていく。マイヤ嬢は、一般的令嬢には当てはまらないし、目立つ行動をとらない、そこを突く」
 通常、冒険者ランクを下のままにして置く人物は少ないと。そして、転生者ならば、知識を生かして目立つはずだと。

 ……確かに、そういう意味でマイヤは目立ったことがない。

 すべて男爵領でマイヤが産まれる前から行われていることであり、マイヤの発想ではないというのが強みなのだと。



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