のん気な男爵令嬢
公爵邸へ逆戻り
行くのはお針子二人に解体師と調合師が一人ずつと決まった。最悪「留学させればいい」というのが公爵の考えで、どうやって来るのかという専属たちの言葉に、公爵はこともなげにこう答えた。
「何も、魔力が余りきっているヴァルッテリがいるではないか。マイヤ嬢の里帰りついで……ついででなくともいいな、何かしら用事を作って転移させればいいだけだ」
「ちょっ……さすがに公爵令息をそんなことに使うのは」
「あり余った魔力を使用してもらうだけだ。帝国のふざけた技術に使うよりも有効活用だ」
かかか、と楽し気に笑うが、専属からしてみれば気が気ではない……はずだ。
あっさりとその日のうちに帝都に戻ることになってしまったマイヤは不服だ。
婚約破棄したいのだ。何故に面倒な地位に就かねばならんのだ、というのが本音である。
「わたくしとしては、婚約披露の夜会が終わるまでアベスカ男爵領にいたかったですわ」
そのあとそ知らぬふりして、バックレる予定だった。
「俺に、一人で夜会に出ろと。どんな拷問?」
「ヴァルッテリ様がそうおっしゃるなら、そんな拷問でしょうが、わたくしからしてみれば、夜会に出る方が拷問ですわ」
「ちょい、俺たちの婚約披露なのに?」
「あら、わたくしがいないほうが素敵な女性が釣れるのではなくて?」
「マイヤが酷すぎる」
しくしくと泣きまねをするヴァルッテリが鬱陶しくなったマイヤは、そ知らぬふりをして引き上げようとした。
したのだが、ヘイノに捕まった。
「ヘイノ翁……」
「ほっほっほっ。お嬢様の考えておりますことは、この老いぼれには筒抜けでございますぞ。ここは貴族の令嬢としてしっかりと責務を」
「そんな責務よりも、薬草採取しているほうが民衆のためにはなりますわ」
「たまには貴族令嬢らしいことをやりなされ。ほれ、針子たちはお嬢様のドレスを作りたくて仕方ないようだ」
それを言われると痛いが、たった数日で完璧に仕上げろという方が無理なのだ。まずもって布地すらない。
「お披露目はボイコットしていただいても構いませんが、そのあと別にある夜会のドレスを作らせてくださいませ!」
これは、作らせないと後々まで大変になるやつだ。それを察したマイヤは、不承不承で頷いた。
「解せないな。母上がある程度何とかしていると言っていたから、大丈夫だと思うけど」
その言葉通り、帝国で流行りというドレスの型で、色と装飾がシンプルなドレスが数着、用意されていた。
そして、そのドレスを持って嬉々としてマイヤを着せ替え人形のごとく扱う夫人とその侍女たち、それからマイヤと夫人双方のお針子とベレッカの瞳が恐ろしいほどに輝いていたという。
「何も、魔力が余りきっているヴァルッテリがいるではないか。マイヤ嬢の里帰りついで……ついででなくともいいな、何かしら用事を作って転移させればいいだけだ」
「ちょっ……さすがに公爵令息をそんなことに使うのは」
「あり余った魔力を使用してもらうだけだ。帝国のふざけた技術に使うよりも有効活用だ」
かかか、と楽し気に笑うが、専属からしてみれば気が気ではない……はずだ。
あっさりとその日のうちに帝都に戻ることになってしまったマイヤは不服だ。
婚約破棄したいのだ。何故に面倒な地位に就かねばならんのだ、というのが本音である。
「わたくしとしては、婚約披露の夜会が終わるまでアベスカ男爵領にいたかったですわ」
そのあとそ知らぬふりして、バックレる予定だった。
「俺に、一人で夜会に出ろと。どんな拷問?」
「ヴァルッテリ様がそうおっしゃるなら、そんな拷問でしょうが、わたくしからしてみれば、夜会に出る方が拷問ですわ」
「ちょい、俺たちの婚約披露なのに?」
「あら、わたくしがいないほうが素敵な女性が釣れるのではなくて?」
「マイヤが酷すぎる」
しくしくと泣きまねをするヴァルッテリが鬱陶しくなったマイヤは、そ知らぬふりをして引き上げようとした。
したのだが、ヘイノに捕まった。
「ヘイノ翁……」
「ほっほっほっ。お嬢様の考えておりますことは、この老いぼれには筒抜けでございますぞ。ここは貴族の令嬢としてしっかりと責務を」
「そんな責務よりも、薬草採取しているほうが民衆のためにはなりますわ」
「たまには貴族令嬢らしいことをやりなされ。ほれ、針子たちはお嬢様のドレスを作りたくて仕方ないようだ」
それを言われると痛いが、たった数日で完璧に仕上げろという方が無理なのだ。まずもって布地すらない。
「お披露目はボイコットしていただいても構いませんが、そのあと別にある夜会のドレスを作らせてくださいませ!」
これは、作らせないと後々まで大変になるやつだ。それを察したマイヤは、不承不承で頷いた。
「解せないな。母上がある程度何とかしていると言っていたから、大丈夫だと思うけど」
その言葉通り、帝国で流行りというドレスの型で、色と装飾がシンプルなドレスが数着、用意されていた。
そして、そのドレスを持って嬉々としてマイヤを着せ替え人形のごとく扱う夫人とその侍女たち、それからマイヤと夫人双方のお針子とベレッカの瞳が恐ろしいほどに輝いていたという。
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