織稚影願の特別企画!クリスマス限定特別読み切り!

織稚影願

自分だけのサンタクロース

プロローグ
「あー、明日のクリスマス、楽しみだなー!」
一人の少女が呟いた。
いや、叫んだという方が正しいだろうか。
呟いたにしては、大きな声だった。
「クリスマスパーティー、しないんだっけか?ちょっと寂しいな」
そばにいた少年が言った。
「いや、それにしても!クリスマスと言えばさー……」
少女は、少しウキウキした様子で言った。
「プレゼント!ケーキ!ターキー!んーーー!楽しみじゃない!?」
「いや、俺に聞かれても………俺はプレゼントとかで喜ぶほど子供じゃないし。」
少年は呆れたように言った。
「そっかー………ま、あたしは楽しみだからそれでいいや!」
少女には実は、他にも楽しみがあった。
しかし、その楽しみは、叶いそうもなく、ただ、虚しく心の片隅にあるだけだった。 



本章

翌朝、クリスマス当日の朝、少女が学校についた時。
「ねえ、知ってる?街の方で、女の子が襲われた事件」
「あー、知ってるー!なんでも、襲われた女の子は殴られ蹴られ、最終的に犯られるってきいたよ!」
「こわー。何その男、女に興味ありすぎ」
「いや、それが、リア充共に女を渡したくないとか言ってたらしいよ。」
「結局逃げられて、まだいるらしいねー、そのおっさん。」
最初、少女には何の話か分からなかった。しかし、話の流れを見て、だいたいわかったようだ。
「おっはよー、何の話?」
少女はそのまま、女子グループの間に入っていった。
「おはよー雪美ふゆみ。いや、最近起こってる女の子襲撃事件の話でねー!」
雪美と呼ばれた少女は、まるで初めて聞いたかのように、驚いていた。
「うっそ、夜中に外出歩そとであるけないじゃん!」
雪美は、とても残念にしていた。
なぜなら、女子高生である。
とても遊びたいお年頃なのだ。
出歩きたいのに出歩けないのはとても残念なのだ。
「仕方ないだろう。そんな事件があるんじゃ、今日のクリスマスパーティーも中止にして正解だったな。」
雪美のそばにいた少年─赫子かぐね─が言った。
とても誠実そうな少年だ。
「そんなことないよー!そりゃ、危ないかもだけど、それでも楽しむことを優先しないと!」
「それで事件にあったらどうするつもりだお前は。危ないだろ」
「その時はその時だよ!大丈夫!多分なんもない!」
どこからその自信が来るのか、赫子には全く分からなかった。
そしてちょうどその時、教室に先生が入ってきた。
そしてその会話は打ち切りとなった。

ここは、東京にある田舎町、というより村に近い、加地譚かじたん町。そこにある、小中高一貫の学校。そこは、あまり人数が少ないので、そのような学校になっているらしい。
一応スーパーもあり、駅もあるが、人は少ない。寂れた町だ。

学校のチャイムがなり、放課後となる。
赫子は、雪美に近寄り、話しかけた。
「雪美、帰るよ。暗くなってくると危ない。」
しかし雪美は、嫌そうな顔をして、立ち上がって言った。
「暗くなってくると危ないって言うけど、あたし達もう高校生だよ?そんな、時間に制限つけられるような年齢でもないし、自分の身は自分で守れるよ!」
雪美はそう言うと、走って教室から出ていった
この町に住む人は全員貧乏という訳では無い。
むしろ、金持ちながらにここに来る人の方が多い。
雪美も、多少裕福な育ちのせいか、謎の安心感を持ち続けている。
それゆえ、危なくなっても誰かが守ってくれる社会だと思っている。
「………ったく、知らないよ………」
赫子はそう言うと、教室を歩いて出た。

「ねぇ、雪美、赫子君と付き合ってるの?」
雪美は、友達と一緒に東京の街へ降りていた。
「え?そ、そんなことないよ!?あたし赫子と幼馴染みだから、ただ仲いいってだけで…」
一緒にいた友達のひとりにそう切り出され、戸惑いを隠せない雪美だった
苦笑いを浮かべて雪美が答えると、さらに追い打ちをかけてきた。
「じゃあ、好きなの?嫌いなの?」
そう言われても…、と雪美は少し逡巡した。
「赫子のことを嫌いになったことはないよ。だって、あたし達、幼稚園の頃から一緒だから……」
それはあまり嫌いにならない理由にはならないが、それでも、長いこと一緒にいた絆というものはある。
しかし、次に発された言葉は、それはまた違う話だった。
「じゃあ、好きなんだね?わぁー、いいなー!」
何故そうなるのか。しかし雪美には、いくら考えても出ない答えだった。
「ち、違うよ!私は……その、ただの遊び相手としか見てないから……」
普通に言った言葉は、しかし捉えようによってはアブナイ言葉となった。
「へぇー?遊びなんだー?じゃあ本命はー?」
「へ?本命?何言って……」
最初はその言葉の意味に気づかなかった雪美だが、後になって気づいた。
「そ、そういう意味じゃないよー!普通に!子供の頃から遊んできた相手ってだけで……」
自分は好きなんかじゃない、そう思う雪美だったが、しかし、心の奥底で実はどうなんだろう、好きなのかもしれないという気持ちがあった。
「へぇー、じゃ、あたし貰っちゃおかなー」
友達のひとりがそう言った。
「ちょうど、今日クリスマスだしー。ちょっと電話したら来てくれそうだよね、赫子君」
「だねー、赫子君ってかっこいいから、周子かねこ、お似合いかもよー?」
本来ならそれを許せるはずだったのに。
しかし、雪美は、許すことが出来なかった。
「だめぇー!それは……だめだよ!」
何がダメなのだろうか。雪美自身、自分でもよくわかっていないようだった、
「付き合ってないんだし、好きでもないんだからいいでしょー、別に。」
それは正論だ。しかし、雪美にはどうしても譲れないものがあった。
「で、でも、ダメなの………赫子は……あたしの玩具だから……」
そう言ったが、心の奥底ではこれは詭弁だと思っていた。
しかし雪美は、それでも言い続けた。
赫子は雪美にとって大切な存在。それを奪われるのは嫌なのだ。
「はぁ………仕方ないなぁ。それじゃ、諦めるけど……」
その言葉を聞いて、雪美は安堵した。
しかし、周子は、けどさ、と言葉を続けた。
「その反応、絶対赫子君のこと好きじゃん。多分あんた気づいてなかっただけじゃない?」
そうなのだろうか、と雪美は疑問に思った。
好きならずっと一緒にいたいと思うはずだし、話に出ただけで反応してしまう。その上、抱きしめたくもなるはずだ………。
(あれ?あたし、もしかして……)
そこまで思ってからやっと気づいたようだ。
「なぁんだ、やっぱ気づいてないだけじゃん。」
「こりゃとれないねー、周子。どうする?」
周子は少しも残念そうではなかった。
「そりゃ、あたしは身を引きますよっと。ま、あんま興味ないけど、頑張んなよ、雪美。」
周子はそう言うと、席を立ち上がって歩いていった。
「え、ちょ、どこいくの!?周子!?」
雪美はは心配になって、半分立ちながら聞いた。もしかして、怒らせただろうか。
「ばぁか、心配しなくても、ドリンクバーにドリンク取りに行くだけだよ」
周子はそう言ってグラスを見せた。
「あー………分かった……」
雪美は安堵して上げかけていた腰を下ろした。
その後、他愛もない話を30分近く話、その場で解散した。
その時、周子は、雪美にこう言った。
「折角のクリスマスなんだし、赫子君とデートしなよー。んで、告っちゃえ!」
周子は、からかった感じで言ったのが怒られると思ったのか、すぐさま逃げていった。

雪美は、ツリーの前で立っていた。
もちろん、なんの意味もなくではなかった。
(赫子、まだかなぁ…………待ち合わせの時間って、あと何分だっけ。)
そう、赫子と待ち合わせをしていた。
8時に駅前のツリーの前に集合。そうメールを送った。
だが、今はまだ、6時を少しすぎたぐらいだった。
「んー………っくしゅん!」
本来はこんなに遅くにいる予定がなかったので、凍えたらしく、可愛らしいくしゃみをした。
すると、中年の、小太りのおじさんが近寄ってきた。
「お嬢ちゃん、こんな時間にそんな格好でどうしたんだい?」
おじさんは優しそうにそう問いかけてきた。
「友達を待ってるんです。八時にここ集合なので……」
「それはいけない!ずっとこんなところで待ってたら風邪ひいちゃうよ。あったかいところに行って、体を温めよう。さぁ、こっちへ。」
雪美は、危機感がなかった。
時間になったらここにいればいいのだから、温まっていても大丈夫だろう、そう考えていた。
それが、罠だとも知らずに。

「あの、おじさん、なんでこんな路地裏なんかに……」
雪美は、おじさんに路地裏に連れられていた。
「大丈夫だよ、お嬢ちゃん。すぐに楽になれるから」
おじさんはそう言うと、急に振り向きハンカチを手に押し付けてきた。
瞬間、雪美の意識は途切れた。

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ここからは一人称視点になります。三人称さんが「行きたくない、犯されるぅ!」と言い出したので。
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「──んん………んぅ……」
あたしは、冷たい床の上で目を覚ました。
「ん……?どこ、ここ……」
あたしが見たのは見覚えのない天井。
というより、暗くてほとんど見えない。
「ここは暖かくなる場所だよ。僕達がね……ぐふふ……」
この声は………おじさん?
「どういう……こと?………はっ!今何時!?」
携帯を見ようとしたが、生憎あいにく持っていかれていて、見れなかった。
「今はそうだね………7:40ぐらいかな……でもね、八時になっても行かせないよ……」
おじさんは時間を教えてくれると、こちらに近づいてきた。
「僕と……ぐふ……一緒に……ぐふふ……気持ちいいことしようよ……ぐふふふふ」
気持ち悪い。あたしは、逃げ出そうとした。
けど、手をロープで括りつけられていて、動けなかった。
「や…………こ、こないで!やめて!変態!あんたね、最近の女の子襲撃事件の犯人!」
あたしはせめて、口で抵抗することにした。
「………お嬢ちゃん、抵抗しなければ、優しくしたんだよ?」
そう言っておじさんは、あたしの方に走ってきた。
「でもそう言うなら、仕方ないね。僕は君を、君が僕を愛してくれるまで殴ってから、一緒に愛の契を交わすことにするよ!それが……愛なんだよ!」
あたしは怖かった。おじさんが近づいてきて……抵抗しようにもできなかった。



「あれ?あいつ、呼び出したくせになんでいないんだ?…しゃあねぇなぁ」
俺は、携帯を取り出し、雪美に電話をかけた。
『プルルルルル、プルルルルル』
電話を鳴らしても出なかった。
電話を鳴らしたまましばらく待ったが
『──おかけになった電話は、現在電源が入っていな──プッ』
出なかった。
おかしい。あいつは電話は繋がるようになっているはずだ。遅れたりすることはあっても、電話は必ず繋がるようにしていて、必ず出る。
だが、今は出なかった。何かあったのか?
俺は、ここで数分待つことにした。

「………おかしい。いくらなんでも遅すぎる。」
時間はもう8:10分を過ぎていた。
普段、一分や二分の遅刻はあったが、十分も遅れる、なんてことは無かった。
これはもう、何かあったとしか言いようがなかった。



「や、やめて!離して!へんっ………たい!」
あたしは怖がりつつも、抵抗した。
しかし、流石に男女の差、おじさんの力には敵わなかった。
あたしは成す術もなく、ただただ、服が破かれていくのを大人しくしている事しか出来なかった。
「ぐふふ……服を破いたらぁ………あとは、殴ってぇ……」
あたしの着ていた服は、上は全部ビリビリに破られた。
下は、破られずにそのまま脱がされた。
「ぐふふ……発育途中のその胸も、子供らしいその局部も………ぐふふふふふ………」
気持ち悪かった。
下着はまだついているが、いつ破られるかわからない。
あまり抵抗すると、さらに酷い目にあいそうだったので、抵抗しないことにした。
「よぉし………じゃあ、お殴りタイム!愛してるっていうまで殴り続けるよぉ……ぐふふ……」
正直、殴られる方がましに思えた。
殴られる前は少なくともそう思った。
しかし。
「──っがっ……!?」
顔を一発殴られただけで、気が吹き飛びそうになった。
しかし、それで止むはずもなく。
二発、三発と、何発も繰り返して殴ってきた。
あたしは、抵抗できなかった。次第に、意識が薄れていくのを感じた。
その時だった。
『プルルルルル、プルルルルル………プルルルルル─』
電話がかかってきた。
「んー?なんだぁ?僕のお楽しみを邪魔するやつはぁ……」
おじさんはそう言って、電話を手に取り、画面を見た。
「……女かぁ?あ……あかあかこ……?」
誰だろう。赤子なんてあたしの友達には………
そこであたしは思い出した。
赫子。あいつの字は赤が二つに子どもの子だった。
それなら、女の子と間違えられても仕方が無い。
それを利用して来てもらえないだろうか……勘違いして、呼んでほしい。
そう思った。でも、あたしの期待は裏切られた。
「まぁいいや、僕は今はこの子で楽しむんだぁ……」
そう言っておじさんは、電話の電源を落とした。
「ねぇ、愛してくれてるかなぁ…?どう…?」
そんなの、アイシテルなどと言うものか。
少なくとも、今電話があったということは、ツリーの前あたりなのだ。
それなら、ここを割り当てるまでに時間がかかりそうだ。
「──んなわけないじゃん!大っ嫌い!ゲボ吐きそう!やめてよこんなの、変態!おっさん!」
あたしは怒らせるために、わざと挑発した。
………早く見つけて、赫子……!
あたしは赫子が見つけてくれるよう、神に祈りながら、ただただ殴られていた。



見つからない。
電話を何回かしてみても、意味が無い。
あいつと遊んだ友達にも聞いてみたが、知らないとのことだそうだ。
………どうやれば見つかるだろうか。
「………っくそ!どこにいんだよ!」
すると、前から黒いコートを着た男が歩いてきた。
俺の横を通り過ぎる時、男はボソッと、アドバイスをして行った。
『携帯会社に頼んで、GPS反応が最後にあった場所を探せ』
俺はその男になぜ、と聞こうとしたが、彼はいなかった。
何者だったのだろう……。
しかし、そのアドバイスは的確だった。
それなら………確実だ!
俺は、すぐに携帯会社に連絡した。
生憎、あいつと携帯会社が一緒だったこともあって、説明がしやすかった。
そして、携帯会社にはすぐに探してもらい、こちらにあいつの現在地を送ってもらった。
やっと………見つけた!



「ぐっ…………あっ…………」
「ねぇ?そろそろ愛してくれないかなぁ?」
あたしはずっと殴られていた。
しかし、あたしにも我慢の限界、流石に耐えきれなかった。
「わ、わかった………愛してるって言えばいいんでしょ……」
殴られることが嫌になったので、もう諦めて、大人しくられることにした。
まぁ………もう、いっか………。ごめんね…………赫子………。
「そっかぁ…………良かったぁ、じゃあ、僕と気持ちいいこと、しようね…………ぐふふふ」
あたしは…………下着を大人しく脱がされていた。
もう………抵抗する気力もなかった。
「大丈夫だよぉ………すぐに気持ちよくなるからぁ………」
あたしは…………朦朧とした意識で、おじさんにベタベタと触られる感触を感じた。
正直気持ち悪かったが、しかしあたしには何も出来なかった。
そしてそのまま………項垂れて、彼に恥部を………。
逃げ出したくても、逃げ出せない。
抵抗したくても、抵抗できない。
しかし、未だに捨ててはいなかった。諦めたが、捨ててはいなかった。
赫子という、一縷の希望のぞみを。
………助けて!赫子ぇぇぇえ!
あたしは、心の中でそう叫んだ。
その時、扉と思える場所が開いた。



俺は、すぐにそこへ向かおうとしたが、一人で救出は難しいと思い、警察に電話した。
『なるほど。わかりました、では、出動させます。その子が囚われている場所を詳しく教えてください』
と言われたので、教えた。が、タダで教えた訳では無い。
「いいですが、その代わり、俺も一緒に行かせてください!あと、音もあまり立てないようにお願いします!」
パトカーの音で逃げられてしまっては元も子もない。
警察はそれを承諾してくれた。
そして………救出に向かった。
場所は、『渋谷6丁目・2-14-5』。今は廃工場となっている建物がある場所だ。
よく、不良のたまり場として使われたりもするらしい。
俺達はパトカーに乗り、すぐに現地へ着いた。
「すいませんが、先陣は俺に切らせてください!早く助けたいんです!」
そう言ったが、警察は流石に了承しなかった。
「君ひとりじゃ危ない。いきなり殴りかかられたらどうするつもりだ?包丁を持っていたら?ましてや、拳銃を持っていたら君は死ぬかもしれないんだよ。」
しかし、と俺は食い下がった。
そして、恐らくではあるが、拳銃は持っていないだろうという判断から、俺は一つの条件を飲む代わりに行かせてほしいと言った。
その条件とは、必ず武器を持って入り、自分の身を第一にすること。
警察はそれなら、と承諾してくれた。
そして俺は………扉を思いっきり開けた。

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ここら辺から三人称さんがやってくれるそうです。「警察もいるから犯される心配ない!」と言ってきてくれました。三人称さんって女なの?
(うるさい、そこ気にしないで。>三人称
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ただいま戻りました、三人称です。
雪美は、扉の方を見た。
誰か来た、それだけに嬉しさを覚えていた。
そしてその来た人を見ると、さらに喜びが浮かんだ。
しかし、すぐに悲しげな表情をした。
扉を開けたのは………まさしく、赫子であった。
「雪美!大丈夫か!?」
赫子は叫んだ。
まだ無事なことを祈りながら。
そして、その祈りは、叶った。
「赫子!大丈夫……じゃないけど大丈夫!」
「なんだぁお前!僕と、お嬢ちゃんの愛の楽しみを邪魔するのかぁ!」
同時に、おじさんが叫んだ。
しかし、その後の声を聞き、おじさんは怯んだ。
「愛の楽しみ………?無理やり連れ込んで、無理やりヤろうとして!何が『愛』だ!雪美を離せ、この変態野郎!」
赫子の憤った声に恐怖を感じたらしい。
途端に、おじさんは血相を変えて、赫子に突進を仕掛けた。
が、突如現れた、黒いコートの男に、それは阻まれた。
「あ、あんたは……」
「ん?あぁ、俺はしがない警察官だよ。それより早く、助けてやんな。」
男はどうやら警察官だったようだ。
だから、GPSのことも知っていたんだろう。そう、赫子は思った。
しかし、同時にこうも思った。
(でも、なんで俺が雪美を探してるってわかったんだ?)
その謎は、この先ずっと解けないままであった。
赫子は男に促されるままに、雪美の近くに走り寄った。が。
「こないで!」
雪美は赫子を拒んだ。
「な、なんでだよ!なんで」
「──汚れちゃったから!もう、赫子に合わせる顔がない!赫子と………一緒にいられない!」
雪美は、まだ処女を奪われた訳では無い。
だが、それに近かった。気持ちは同じようなものだった。
だが、赫子は。
「んなの知るか!汚れたなんて知らねぇよ!俺は………」
赫子は一息置いて、叫んだ。
「──俺は、雪美が好きだぁぁぁぁあ!それは、一切変わらねぇ!おっさんに何されてようが、変わんねぇよ!」
赫子は、赤面しつつも、照れた表情のまま、雪美に近づいた。

「赫子………」
「雪美は………どうなんだよ………俺のこと……」
雪美は口に一本の指を立て、言葉を遮った。
そして、一息大きく息を吸うと。
「──あたしも、赫子が好き!大好き!」
雪美は、涙を浮かべていた。
赫子は、雪美を優しく抱きしめると、背中を撫でた。
「良かった………じゃあ………これからも一緒だな、雪美。」
そうして、この東京の街を震わせ、加地譚の民を心配させた、少女暴姦襲撃事件の最終事件は幕を下ろした。





エピローグ

「はいこれ、ちょっと渡すの遅れたけど、クリスマスプレゼント」
赫子の手の上に乗っていたものは、小さなプレゼントだった。
時刻は23:57。もう子供は寝ている時間だ。
「わぁっ!嬉しい!なにこれ!」
「あ、開けてもいいけど………失くすなよ」
赫子は照れながら言った。
雪美はその言葉を聞くと、袋をビリビリに破いて、中にあるものを出した。
中には、小さな箱があった。その形は、まるで、指輪を入れるもののような……
「……じつは、あの後、お前ん家行ってクリスマスを二人で祝おうって言うつもりだったんだ。んで、それを渡すつもりだった。」
赫子は頬を掻きながら言った。
「だから……その、雪美!お、俺と……付き合ってください!」
赫子は、勢いよく頭を振って、手を出した。
雪美はその手を取り、こう言った。
「──うん、もちろん!」
そして、時刻は23:59:59.92
場所は、クリスマスのシンボル、駅前のモミの木の前。
二人は顔を近くに寄せそしてそのまま……唇を重ねた。
『リーンゴーンリーンゴーン』
近くにある教会の鐘が鳴った。
二人はその鐘が鳴り終わると同時に、顔を離した。
そうしてそのまま………二人は幸せのクリスマスを、一日遅れで過ごした。
2人には、幸せのジングルベルが鳴っているかのような………そんな雰囲気があった。
そして後に、雪美は赫子のことをこう言った。
「自分だけのサンタクロースのようだった」と……嬉しそうに。


自分だけのサンタクロース
〜完〜

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