TS転生は強制的に

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終話~ボクと立場が分かっていない勇者とありふれた日常~

「……アルテナ、およびその世界が完全に消失しました」
「……何故消失したんだ」

 そして久しぶりに、0026世界の外にある漆黒の虚空に存在していた二体の生命体。いや、二柱の神と言った方が良いのだろうか? 我々人間にとっては神だろうが世界の管理者だろうがあまり変わりがないように思える。と言うか私的には神=世界の管理者と言う等式が成り立っているので、どちらも変わりないと思っている。

「確実に、神級の存在が現れたようです。そして世界を崩壊させたのかと」
「それは本当なのか? それならば、我々がやっていたことは何だったのだ? と言うか、例の命令は我らが神が命令したのではないのか?」

 しかも、私が何故このような物を見させられているのかもわからない。そもそも、相手側は見させているという意思はなく、そもそも私が奇跡的にこの状況を見通せる能力を得て、そして夢の時の間だけは予知能力や、別次元の話を聞けたりするのかもしれない。

「それは勿論です。しかし我らが神が虚言を吐くわけがないではありませんか」
「なら、何故神級の存在が現れたんだ」

 あながちその私の発想は間違っていないと思う。でなければ、この生命が居ないように思える漆黒の海に、ただ二体だけが存在している程、力が強い様な生命体が見せつけるようなことはしないだろうし、そもそも殺すと言う事くらいはできるだろう。

「……世界が復活しました。しかしアルテナも完全に生成されなおされたために、我らの汚染はされていない状況です」
「分かった、なら我々は一度引こうじゃないか、さすがに神級の存在が居る所へは攻め入れられない」

 そして、その二体の存在がそこから離れると同時に私も意識が遠のいていった。


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 世界を、と言うよりは、主に星を目的に、超破壊神法を使ってみたのだが、実際的には完全に世界が崩壊してしまった。まあ、勿論その後に超再生神法を使い、間違えて破壊し尽くしてしまった世界ごと、別世界からの干渉がないであろう時期に世界を修復した。
 しかしながら、そんな事を目撃してしまった、資料的にはボクの直属の部下に値するであろう、そして数千年前位に人間から、ボクと同じ様な種族に似せて一度体を作り直した結果、普通に不老不死になってしまった。因みにボクも不老不死だ。

 そんな、しかもその目撃された人物と言うのは勇者だ。因みに勇者の本当の性格は、かなり偽善者的な思想を持っており、あまり仲良くない他人に対してはかなりいい人ぶるのだけれど、仲がいい人に対してだと相当横暴な態度をとる人間だ。特にボクに対しては相当、顕著になっている。
 しかも偽善者的な思考を持っていると言っても、実際に正義感と言う物はほんの少しだけ持っているので、更に質が悪くなっている。

 まあ、こんな長ったらしい風に言っているけれど、言いたいことは、今目の前に居る勇者に説教をされていて、理不尽なのではないかと言う事だ。

「おい、お前の思考している事は分かるぞ」
「うるっさいなぁ、さっさと終わらせてもらえないかなぁ?」

 因みに、この目の前にいる勇者は、ボクに対して説教、もしくは文句を言うときには何故か縛って来る。勿論、それは逃げられないようにするためなのだろうけれど、本当に特殊な性癖に見ざめてしまったのだろうかと心配してくるくらいには、滅茶苦茶縛って来る。……まあただぐるぐるに縛って来るだけなので、官能的な縛り方みたいな事は無いだろう。

「本当に、お前は聞き分けのないガキだな」
「それは絶対にボクの台詞だよ! 君とボクで、どれだけの歳の差があると思ってんのさ!」

 しかしながら、良く分からない異世界からの干渉は有ったものの、ボクが奇跡的に復活できたために、世界を救えた。
 こんな、救いようのない戦争や、上流階級の腐敗などがある世界だとしても、ボクは救ってよかったという風に思った。
 ……唯一良くなかったと思ったのは、勇者を消せなかった事だ。でなければ、こんな馬鹿にされることはなかったって言うのにね。最悪だよ、数千歳以上年が違うって言うのにさ。やめてもらいたいよね。

 でも、やっぱり、こんなありふれた日常もいいのかもしれないね。……ボクからしたら縛られている事がありふれた日常になってしまったけどね。

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