TS転生は強制的に

lime

三十一話~ボクとゴマすりコンビと突っ込み勇者~

 
「……半数以上の……との接続が切れました」 
「そうか」 
 
 虚空の空、またまた、白髪の老人とヴェールをかぶった女がふよふよと漂っており、以前と違う所は、あたりには以前放ったような異形があたりに漂っている事だった。 
 
「γ作戦を取り消し、第二次作戦を実行します」 
「分かった」 
 
 そして、新たにヴェールをかぶった女が何かを言い放ち、周囲に漂っていた異形たちが近くにある星に向かって認識できない速度で向かって行った。 
 
「指揮官を命じてください、……と……と……が最適と思われます」 
「……に命ずる」 
 
 そして、今度は白髪の老人が何かを言うと、近くに黒い何かが現れた。 
 その黒い何かは人型をしている様だったがどのような姿をしているのかさえも、漆黒で塗りつぶされたようなその体は、常に影と言った様子で輪郭さえも認識できなかった。 
 
「……、……により命じます。作戦を開始しなさい」 
「はっ、分かりました」 
 
 そして、その漆黒の人型は瞬時にしてその場から消えた。 
 
「……様、……が復活した可能性があります。戦闘のご準備を」 
「分かった」 
 
 ヴェールを被った女と白髪の老人は何かしらの会話をし、白髪の老人は一瞬にして黒光りした鎧を着用した。

「この順で作戦を続けていくと……に……様が倒される可能性は0,009%です。……に殺されてしまう可能性は1,5%です」

 そうして二人も消えて行った。 
 
 
~~~~~~~~~~ 
 
 
「ほら、あそこだ」 
「うわぁ、本当に気持ち悪いくら「ハッシャ」危ない! 危ないよ!」 
 
 
 勇者のスキルだか魔法だか分からない、敵の位置が分かる例のあれを使って指差された場所には、先ほどのギルドに居た謎生命体と同数か、それ以上の謎生命体がおり、覗いた瞬間に光線を放たれた。 
 
「……いや、危ないと分かりきっているのになぜ顔を出すんだ」 
「いや、もしいなかったらボクはただ単に町を破壊しただけになっちゃうじゃん」 
 
 何故か敵のいる場所を覗き込んだだけで溜息を吐かれ、マイク君達からはあほの子を見る様な目線でボクの事を見て来ていた。 
 別に敵が居ない可能性だってあるだろうし、勇者が間違っている可能性だってあったし、それでボクの事を貶すと言う事はおかしいと思うんだよ。まあいつも他人を貶しているボクが言う様な台詞ではないと思うけどね。 
 
「それにどれくらい敵がいるかもしっかりと把握しておかないと、普通に敵に当たらないこともあるかもしれないじゃん」 
「まあ、それは一理あるな」 
 
 しかし、本当に思っていたことを伝えようにも、ここに居た全員から「今から言い訳しても遅いだろ、馬鹿だなぁ」と言う事を存外に言われているような気がして普通に泣きそうになってしまった。 
 今からでもぐれてやろうか、本気で深淵魔法を撃ちこんでやろうか? 
 
「それに勇者が嘘をついているという可能性もあるじゃん」 
「それは……可能性で言えばあるかもしれないけど」 
 
 ただ、勇者からの共感を得られても、マイク君からは「もうわかったから、お前が何をしてもすでに言い訳って事は分かってるんだよ、諦めろよ、そういう星の下で生まれたんだから」と言う事を存外に言われたような気がして、スキルを使いそうになってしまったが、本気で殺してしまいそうなのでやめておいた。 
 
「マイク君とか、ボクの事を馬鹿を見る目で見て来て来るけど、だったらボクはこの戦いに参加しないよ? いいんだね?」 
「HAHAHAHAHA!! 一体ライムは何を言っているんだ? 俺が親愛なるライムへそんな事をする訳がないじゃないかぁ、ねぇナタリー?」 
「そ、そうよ! ライムみたいに可愛らしい娘にそんなひどい仕打ちをする訳がないじゃない、もう、疲れちゃったのかな?」 
 
 すこし怒りかけていたので、冗談を言いつつも怒っているという風なアピールをすると、マイク君ははアメリカの漫画の登場人物のような笑いをして、ごまをすってきて、ナタリーはあまりうまくもない演技をしながらボクにゴマをすって来た。 

「そんなバレバレな嘘を言われてもねぇ」
「HAHAHAHAHAHA!!!! そんなに信用してもらえないのなら、ライムの好きな料理を作ってあげるよー! ねえナタリー!」
「そ、そうよ! 私が抱き付いてあげるわよ!」

 やっぱり嘘をついていることはバレバレだったが、今度はものでつる作戦に移行したようで、マイク君はボクの好きな料理を作ってくれると言う。
 ナタリーは何故か抱き付いてくれると言っていたが……精神的に辛いので辞めてもらいたい。

「はあ、もう良いから早く魔法打てよ」 
「あのさ、言ってなかったボクも悪いけどボクの魔力量だとさっきのをもう一回打っちゃうとぶっ倒れちゃうから戦うのは待ってほしいな」 

 そんな中、暇になっていて少し居心地の悪そうな表情をしていた勇者に魔法を打つことを催促されたのだが、普通に魔力が無かったので辞めてもらうように言った。
 ……うん、自分でも言うのが遅いと思ったけどね。

「はあ!? 今それを言うのかよ!?」 
 
 そして、そんな事を少し居心地悪そうにしていた勇者に言われてしまった。

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