よくある?異世界物語

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よくある?日々の終わり

僕と雪が、たわいもないことを話しながら歩いているときのこと。僕たちは横断歩道に差し掛かり、青信号になったから渡ろうとした。そのとき、僕はふと、何かに気を取られた。今となっては何に気を取られたかはおぼえていないが、そこで僕は少し立ち止まった、そうして開いた、雪との間の約5歩、だからこそ気づいた、交差点に高速で走ってくる一台のトラックに。
このままでは雪がトラックに、そんな思考が頭に瞬時に駆け巡った。それと同時に体は雪に向かって動いていた。そうして僕は雪を歩道へ突き飛ばした。そのことに安堵するよりも前に僕の身体に、鈍い衝撃が走った。次に感じたのは、永遠に続くとも感じられる浮遊感と、まだ、状況が理解できていないのかどこか呆然とした彼女の顔だった。長い空の旅も終わり地面に落ちたようだがもう、あまり痛みを感じなかった。
ようやく状況に頭が追いついたのか僕に駆け寄る彼女、そして集まる野次馬。涙で顔をぐちゃぐちゃにした彼女が僕に何か言ってきているようだが僕にはもう聞き取れなかった。パッと見た感じ、彼女にはこれといった怪我はないようだ、よ・かっ・・・た。
僕は未だにそこにいるであろう彼女を少しでも安心させるため、最後の力を振り絞って笑顔を見せた。正直、どうなるかはわからないが、僕の死にいつまでも囚われないことを祈りたい。そうしていると身体から何かが抜けるような気がした。これが死というものなのだろうか?まだしにたくなかったなぁ、なんていう考えも、徐々に薄れ僕の意識は、闇に溶け消えてしまった、はずだった。

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コメント

  • ホワイトチョコレート

    スタートはほのぼのしたストーリーなのかと思いきや、結構序盤に事故が起きてそこからの展開があっという間で楽しめました。

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  • ノベルバユーザー601490

    一話ずつの区切りが短めで読みやすいです。転生後の続きも気になる

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  • ノベルバユーザー601444

    面白くてスラスラと読んでしまいました!
    続きが楽しみです(^^)

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