話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

子連れプログラマーVRRPG脱出計画

穴の空いた靴下

第4話 コンタクト

 俺は、何の因果か俺のことをパパと呼ぶ幼児を連れて街道を歩いて行く。
 ナユタが俺にくれた能力は主に5個。

 ステータス開示。

 レベル 1 職業:無職
 HP 1500 SP 1500 MP  1500
 ちから 1500
 体力  1500
 速さ  1500
 器用さ 1500
 知力  1500
 運   15000

 運の入力ミスってた。お陰で助かる。
 HPは俺の生命力、0になったら死亡だ。
 SPはスキルポイント、アーツなどの体術系スキル使用に使う。
 MPはマジックポイント、魔法とかに使う。
 古臭いステータス表現は俺の趣味だ。
 見ることは出来ないが、たった6個のステータスを数限りなく組み合わせて様々なゲーム内能力に反映されている。絞りに絞った6項目だ。
 複雑な隠しステータスは別にして、基本の6種は……

 力:攻撃力、装備重量など
 体力:耐久力、自然回復力、戦闘持続力など
 速さ:攻撃速度、回避速度、技術仕様速度、詠唱速度など
 器用さ:武器や防具の熟練度成長、技術補正、攻撃補正、詠唱補正など
 知力:魔法威力、技術成功率、道具使用効果上昇など
 運:レアドロップ判定、回避補正、クリティカル補正など

 次に鑑定能力。
 試しにナユタを鑑定してみる。

 名前:ナユタ
 Lv1 職業:美少年
 HP  100
 SP   20
 MP   30
 力   5
 速さ  8
 器用さ 10
 知力  20
 運   10(72乗)

 運が壊れています。
 そのお陰でほぼほぼ敵の攻撃を戦闘中に受けることはない。
 有り難いね。
 本当の幼児を連れて魔王退治はきつすぎる。
 ナユタの死亡する可能性は、俺との距離が1キロ以上離れること。
 俺という管理者が離れると、現実の那由多が物理的に破壊される。
 それで、ゲームオーバーだ。

 それとアイテムボックス。
 これはよくあるアイテムを管理する収納能力だ。
 まだ初期段階なので20種類のアイテムが99個までしか入らない。
 道端の石を入れてみたら【石✕1】きちんとしまえた。
 装備は別枠になっていて、頭、肩、身体、左右腕(二箇所)、腰、両足(一箇所)、靴(一箇所)と、両手の武器防具装備が可能だ。
 アクセサリーマスとして首、手首(二箇所)。
 こういうところはあまりに自由度をあげると重ね着とか複雑な演算処理が必要になるからこの程度に絞っている。

 最後の2つが、職業ツリーとスキルツリー、そしてマッピングだ。
 ……俺と沙羅で暇があれば作り上げたツリータイプの育成要素だ。
 ツリー……というか、森になっている。
 先の見えない鬱蒼とした森が俺の目の前に広がっている。
 そんなイメージだ。
 今この時になって、あの時の俺を殴ってでも止めておけばよかった……
 俺は、無職だ。
 イベントで解放したり、職業レベルの組み合わせで解放したりする。
 やりこみ要素もたっぷりだぜ、やったね……あーうれしい。

「……でも、なんだかんだ、ワクワクしてんだよね……」

「パパとマ……沙羅氏で考えたさいきょうのあーるぴーじーですもんね」

 マッピングは説明の必要もない。
 自分の周囲のマップが自動的に生成されていく。
 基本的には有視界範囲が作られていく。

 俺と沙羅の考えた最強のRPG……
 こっ恥ずかしいが、そういうことだ。
 小さい頃から沙羅と話し続けていた、いつか二人で最高のRPGを作ろう!
 それが、近い形で実現しているようなものだ。
 胸が高鳴るのは仕方がない。
 そう、仕方がないんだ!

 左を見れば美しい森、右を見れば美しい草原、目の前には雰囲気のある街道、空は青空、飛び出してくるのは芋虫!

「ああ、俺は、憧れたゲームの世界に生きているんだ!」

 木刀で軽くなぎ払いながら、思わず叫んでしまった。
 ナユタがニヤニヤと見てくる。

 どうせクリアしなければ死ぬんだし、思いっきり楽しまないと。 
 ゲームは全力。それが俺のモットーだ。

 暫く歩くと村が見えてくる。
 いかにも田舎の小さな村。木造の小屋が数件立ち並び、村の中央には小型の井戸。
 ここで慎ましく暮らしている村人の生活が思い描ける。そんな村だ。

 カーンカーンカーン。

 村から警鐘が聞こえてくる。
 頼りない木の柵でどうにか囲われている防壁、その脇に物見の塔、といってもこれも木製で貧相な作りだ。
 その上の人物が森の方を指差しながら備え付けられた鐘を激しく鳴らしているのが見える。

「早速イベントですか。んー? 森の方から……なるほど……」

 ナユタが森の方を眺めながらブツブツと話している。
 丁度、森の中からゴブリンの集団、いや、パーティって言ったほうがいいかな?
 5匹のゴブリン、そのうちの一匹は少し背格好が高い。
 アイツの口癖だもんな、雑魚はゴブリンかスライムで決まり!

「その割に虫を出してきやがって……あんまり得意じゃないんだぞ……」

 俺はそのゴブリンに向けて走り出す。

「パパ頑張ってー!」

 肩車しているナユタはなんだか楽しそうだ。

「ナユタ、戦闘中はどうしているんだ?」

「適当なところで降ろしてください。もしボクと距離が空きそうな戦闘なら……このまま?」

「うーん、今回もこのままでいいだろ。ゴブリン程度」

 通常の人間では出せないスピードで急速にゴブリン達に突っ込んでいく。
 流石に隠すことなく突っ込んでいったのでゴブリン達にも気が付かれたが、関係ない。
 そのまま手前のゴブリンに木刀を突き出す。
 粗末な棍棒で受けようとしたが、圧倒的な力の差によって棍棒は砕け散ってそのまま頭部を破壊する。

「おお、一瞬グロいけどすぐ消えるのね。助かる」

 このあたりのエフェクトはもう少し考えたほうが良いかもなー。
 ゲームをプレイしながらも改善点やそのプログラムを考察してしまう。
 職業病みたいなものだ。
 ピンコロリーンみたいな間抜けなSEがなる。
 どうやらレベルアップしたみたいだ。
 今は取り敢えず戦闘を継続する。

 目の前で頭部が破裂して消えていく仲間の姿に、怒りや恐怖を覚える時間も与えずに次々と木刀で殴りつける。
 あっという間に4体を消し去り残すは少し大きなコブリんだけだ。
 ようやく現状を脳で理解したらしく一際大きな棍棒を振るい上げる。

「おそーい」

 バットでスイングするようにがら空きの腹部を殴りつける。
 力が強いので腹部が吹き飛んで絶命させる。
 またピンコロリーンとSEが鳴る。
 一瞬映る内臓などの作り込みも俺が作ったプログラムがきちんと働いている。
 すぐに消えるとはいっても、こういうリアリティは必要。

「問題は倫理的な方だよなぁ……ゲーム的表現に直さないときっとだめだろうな。
 残念ながら……」

 PTAやらが煩いからな。

「こうして村に訪れた危機は去ったのでありました」

「はは、そんな感じだな」

 ナユタがそれっぽいナレーションを入れてくれた。

 そう言えば戦闘中にレベルアップしてたな。
 ステータスを確認する。

 レベル 1→3 職業:無職
 HP 1500→3400 SP 1500→2250 MP  1500→2250
 ちから 1500→1523
 体力  1500→1525
 速さ  1500→1524
 器用さ 1500→1522
 知力  1500→1527
 運   15000

 あ……初期データいじってるから、チート的な上昇してる。
 多分この感じステータスは1%あたりにランダムかけて成長していく感じだ……
 レベル1でこれもんだから、この先酷いことになりそうだな。
 ま、いっか! 強くてニューゲームも嫌いじゃないぜ俺は!

 その後コブリンのドロップアイテムを二人で拾って改めて村へ向かう。
 ま、危機を救ったんだ。それなりの対応はしてくれるだろ。

「子連れプログラマーVRRPG脱出計画」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く