子連れプログラマーVRRPG脱出計画
第12話 コンセントレーション
森の中に散在しているゴブリンは3~6匹くらいの集団を取っていることが多い。
たまに1,2匹でふらついているのもいるから、ソロで安全に狩るならそれを狙うのが良いだろう。
俺は6匹でも不意をつければまず問題ない。
正面から挑んでも攻撃をもらうこともなく殲滅していける。
しかし、今の現状はデスゲーム。
安全域は大きく取らないといけない。
そのくせ初めから6匹組を狙ったのは、舞い上がっていたと反省している。
盛り上がることもなく地道にゴブリンを探してそっと近づいて倒していく。
プレイヤー側に与えられた周囲を把握できるツールはそれだけでかなりのアドバンテージを取れる。
実際に密林の中、どこに敵がいるかもわからない状態で敵を狩るなんて、ややストレスが高すぎてゲーム的には不適であろう。
これぐらいの難易度であれば、いろいろな工夫をしながら十分以上の達成感を与えてくれる。
少なくとも現状俺には与えてくれている。
「よし、これで50匹! 街へ帰ろう。幾つかスキルも上がっているはずだ!」
興奮の半分は後半のスキル成長だ。
  そこに集中してしまえば何匹倒しているのかもすっかり忘れてしまうほどに夢中に倒し続けてしまう。
後、もう少し、もう一匹だけ……こうして泥沼にハマっていく。
「素晴らしい! もうこんなに大量のゴブリンを倒されたのですね!」
街へ戻り早速ギルドへと納品する。
鉄クラスからはそんなに簡単にはクラスアップしない。
同クラスは初心者みたいな扱いだから鉄にはすぐ上がる。
冒険者はそこからがスタートだ。
追加報酬もいただき、次は各職業ギルドでスキル解放をしていく。
「おお、随分と頑張ったな。
今開放できるスキルはこれだけ有るぜ」
ディスプレイ的な道具にいくつかの文字が光っている。
見えていないところにまだ溜まっていないスキルがあるのかと思うと、初級職でありながら豊富なスキルがあるみたいだ。
「お金は……この際欲求のためにチートにも手を付ける」
基本スキルの剣術は必須だろう。
剣術スキルに触れると、縦斬り、横切り、突きと分岐する。
「まてまてまて、これ、どんだけ細分化させてるんだ。無茶だろこれ」
つけては消して、消してはつけて、現在の取れるスキルから比較的戦いやすいスキルを選んでいく。
物によっては片方を取ると片方は取れなくなったり、非常に悩ましい。
さらに罠なのが、クエストアイテムと一定のお金でスキルはリセット可能だそうだ。
これは、やばい。
戦士ギルドだけでも数時間時間を消費した。
それから副職のほうも数時間を使用してスキルを手に入れた。
既に外は真っ暗だ。
冒険者御用達の宿屋へと、なぞの充実感とともに帰宅する。
「パパ、一応言っとくけど、目的忘れないでね?」
「あ、ああ。大丈夫だよ。うん、大丈夫、大丈夫なはず」
魔法を使う感覚を楽しみながら宿でごろりと横になる。
剣術を上げたことで自然と攻撃が華麗になって、素振りしているだけでも自分じゃないみたいで楽しくて仕方がない。
まさに、ほんの少しスキルを振ると見違える。
一つでもスキルが上がれば、それを組み合わせる一連の動きに変化が現れるために、戦闘にどんどん集中していってしまう。
序盤の戦闘が楽しくて仕方がない、と言う状態にまんまと突入してしまった。
The time passed in this way……
「ようやく念願の盗賊系スキルの両手装備が……予想通りなら……!
来た! 二刀流来た!」
盗賊ギルドでブツブツと独り言がやかましい男。
この男はこの町では有名人だ。
来る日も来る日もコブリンを借り続けるコブリンハンター。
コブリンをかるだけで鋼クラス冒険者になるという偉業を成し遂げた。
偉業というか、そんな効率の悪いやる方をする人間がいないわけだが……
「……満足した……?」
そんな男をゴミでも見るように見つめているのは、このゴブリンハンターの子供と言われている。
いつも一緒に行動している少年だ。
「……ナユタ、そんな冷たい目をしないで、こ、これでちゃんとあの洞窟攻略して先にすすめるから!
ね、約束通り!」
「約束ねぇ……どう考えたって数か月前には攻略できたよね?
沸き効率がいいからギリギリで帰るって何度もやってたよね?」
「あっ……はい……」
「サブ職の方も調子がいいからって職をとっかえひっかえ……
組み合わせで出てくるスキルまで上げて……
もっと先に行ったほうが効率いいんじゃない? って何度も言ったよね?」
「……はい……」
「もう、限界だからね。二刀流に対するパパのめんどくさいロマンを語られたから我慢したんだからね、これが終わったら次の街へ渡るよ?」
「はい」
ナユタの言う通り、俺はゴブリンの洞窟を中心に各職のスキル上げに嵌った。
どっぷりと嵌った。
各自のスキルだけでも面白いのに、組み合わせや戦闘時の使い勝手の幅が広すぎた。
例えば魔法使いのストーンバレット、簡単に言えば石を作り出して打ち出す魔法。
この石つぶてを作る時点で少々ナイフっぽい物を形成して、盗賊のスキルの短刀投げを組み合わせると、魔法で打ち込むより遥かに命中力や攻撃力が増加する。
こんな感じで……奥が深い……
あれこれ試すと、次のスキルが欲しくなって、そのスキルを手に入れると、こっちのスキルと組み合わせたくなったり……
結果として俺は、すでにこの町に半年も腰を据えている。
ナユタが怒るを通り越して呆れ果てているのも仕方がないのである。
それでも、それでもこの積み重ねが、これからの冒険に生きる。
そう俺は証明するために、今まで散々お世話になったコブリンの洞窟の前に立っている。
たまに1,2匹でふらついているのもいるから、ソロで安全に狩るならそれを狙うのが良いだろう。
俺は6匹でも不意をつければまず問題ない。
正面から挑んでも攻撃をもらうこともなく殲滅していける。
しかし、今の現状はデスゲーム。
安全域は大きく取らないといけない。
そのくせ初めから6匹組を狙ったのは、舞い上がっていたと反省している。
盛り上がることもなく地道にゴブリンを探してそっと近づいて倒していく。
プレイヤー側に与えられた周囲を把握できるツールはそれだけでかなりのアドバンテージを取れる。
実際に密林の中、どこに敵がいるかもわからない状態で敵を狩るなんて、ややストレスが高すぎてゲーム的には不適であろう。
これぐらいの難易度であれば、いろいろな工夫をしながら十分以上の達成感を与えてくれる。
少なくとも現状俺には与えてくれている。
「よし、これで50匹! 街へ帰ろう。幾つかスキルも上がっているはずだ!」
興奮の半分は後半のスキル成長だ。
  そこに集中してしまえば何匹倒しているのかもすっかり忘れてしまうほどに夢中に倒し続けてしまう。
後、もう少し、もう一匹だけ……こうして泥沼にハマっていく。
「素晴らしい! もうこんなに大量のゴブリンを倒されたのですね!」
街へ戻り早速ギルドへと納品する。
鉄クラスからはそんなに簡単にはクラスアップしない。
同クラスは初心者みたいな扱いだから鉄にはすぐ上がる。
冒険者はそこからがスタートだ。
追加報酬もいただき、次は各職業ギルドでスキル解放をしていく。
「おお、随分と頑張ったな。
今開放できるスキルはこれだけ有るぜ」
ディスプレイ的な道具にいくつかの文字が光っている。
見えていないところにまだ溜まっていないスキルがあるのかと思うと、初級職でありながら豊富なスキルがあるみたいだ。
「お金は……この際欲求のためにチートにも手を付ける」
基本スキルの剣術は必須だろう。
剣術スキルに触れると、縦斬り、横切り、突きと分岐する。
「まてまてまて、これ、どんだけ細分化させてるんだ。無茶だろこれ」
つけては消して、消してはつけて、現在の取れるスキルから比較的戦いやすいスキルを選んでいく。
物によっては片方を取ると片方は取れなくなったり、非常に悩ましい。
さらに罠なのが、クエストアイテムと一定のお金でスキルはリセット可能だそうだ。
これは、やばい。
戦士ギルドだけでも数時間時間を消費した。
それから副職のほうも数時間を使用してスキルを手に入れた。
既に外は真っ暗だ。
冒険者御用達の宿屋へと、なぞの充実感とともに帰宅する。
「パパ、一応言っとくけど、目的忘れないでね?」
「あ、ああ。大丈夫だよ。うん、大丈夫、大丈夫なはず」
魔法を使う感覚を楽しみながら宿でごろりと横になる。
剣術を上げたことで自然と攻撃が華麗になって、素振りしているだけでも自分じゃないみたいで楽しくて仕方がない。
まさに、ほんの少しスキルを振ると見違える。
一つでもスキルが上がれば、それを組み合わせる一連の動きに変化が現れるために、戦闘にどんどん集中していってしまう。
序盤の戦闘が楽しくて仕方がない、と言う状態にまんまと突入してしまった。
The time passed in this way……
「ようやく念願の盗賊系スキルの両手装備が……予想通りなら……!
来た! 二刀流来た!」
盗賊ギルドでブツブツと独り言がやかましい男。
この男はこの町では有名人だ。
来る日も来る日もコブリンを借り続けるコブリンハンター。
コブリンをかるだけで鋼クラス冒険者になるという偉業を成し遂げた。
偉業というか、そんな効率の悪いやる方をする人間がいないわけだが……
「……満足した……?」
そんな男をゴミでも見るように見つめているのは、このゴブリンハンターの子供と言われている。
いつも一緒に行動している少年だ。
「……ナユタ、そんな冷たい目をしないで、こ、これでちゃんとあの洞窟攻略して先にすすめるから!
ね、約束通り!」
「約束ねぇ……どう考えたって数か月前には攻略できたよね?
沸き効率がいいからギリギリで帰るって何度もやってたよね?」
「あっ……はい……」
「サブ職の方も調子がいいからって職をとっかえひっかえ……
組み合わせで出てくるスキルまで上げて……
もっと先に行ったほうが効率いいんじゃない? って何度も言ったよね?」
「……はい……」
「もう、限界だからね。二刀流に対するパパのめんどくさいロマンを語られたから我慢したんだからね、これが終わったら次の街へ渡るよ?」
「はい」
ナユタの言う通り、俺はゴブリンの洞窟を中心に各職のスキル上げに嵌った。
どっぷりと嵌った。
各自のスキルだけでも面白いのに、組み合わせや戦闘時の使い勝手の幅が広すぎた。
例えば魔法使いのストーンバレット、簡単に言えば石を作り出して打ち出す魔法。
この石つぶてを作る時点で少々ナイフっぽい物を形成して、盗賊のスキルの短刀投げを組み合わせると、魔法で打ち込むより遥かに命中力や攻撃力が増加する。
こんな感じで……奥が深い……
あれこれ試すと、次のスキルが欲しくなって、そのスキルを手に入れると、こっちのスキルと組み合わせたくなったり……
結果として俺は、すでにこの町に半年も腰を据えている。
ナユタが怒るを通り越して呆れ果てているのも仕方がないのである。
それでも、それでもこの積み重ねが、これからの冒険に生きる。
そう俺は証明するために、今まで散々お世話になったコブリンの洞窟の前に立っている。
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