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子連れプログラマーVRRPG脱出計画

穴の空いた靴下

第20話 王都へ

 結局、聖獣の出現によって村の問題は解決した。
 悠々自適のメンバーや商人のラークも安心して村を後にすることが出来る。
 悠々自適のパーティは一度チルベの街へと戻るそうで、またいつかの再会を約束して別れた。
 冒険者ギルドのカードを登録しておくと、ギルドなどへ立ち寄った際に伝言などのメッセージを受け取ったり送ったりできるそうだ。
 この世界における初めての、知り合いができた。

「凄い話だよな……NPCが自分の意思を持って行動していて、こういう関係が築けると言うのは……」

「すべての登場人物に生まれてから今のこの瞬間までのドラマをきっちり描いているママのお陰です」

「それを人格という形で形成してる那由多も凄まじいな……」

「えへへへへ、パパの自慢の子供ですから」

「ああ、我ながら驚くよ、鳶が鷹を産んだって奴だな」

「あ、ママが待ってますよ」

「お、ちゃんと我慢してたのかえらいえらい」

 チルバへの道と王都への道の分かれ目で皆と分かれ、しばらく進んだ先でサラは待っていた。
 端末で連絡が取れるというのは便利なものだ。

「リョウ久しぶり!」

「おう、きちんと待ってて偉いな」

「ふふーん」

 見れば見るほど沙羅だ。
 こうして会話をしていてもほぼ違和感を感じることはない。
 強いて言えば……

「なぁ、サラ……」

「ん、なに?」

「お前、ゲームだからって胸を盛るとかするんだな」

「は?」

「サイテーですよパパ」

 パアン!

 抜けるような青空のもとに響く乾いた音。

「い、痛い……」

「あ、あ、当たり前でしょ! 馬鹿リョウ!
 仕事とかゲームん時は邪魔だからそういう下着つけてんだよバーーーーーーカ!!」

 な、なんだと……つ、つまり……サラの本当のアレは、この大きさだと!?

「もう一発いこうか?」

「いえいえいえ……す、済まない……え? ほんとに? だってGとかありそうじゃん!?」

 パアン!

 よく響く。

 俺は赤く腫れた頬を擦りながら王都への道を歩く。

 ナユタから文字チャットでフォローが入った。

『駄目ですよパパ、ママはすごく気にしてるから絶対にパパの前では隠していたんですからあんなこと言ったら……後でちゃんと謝ってくださいね。なお、その時に女性らしく見えたことに驚いてしまって。という文言を混ぜるときっと許してくれますよ』

 ふむふむ、落ち着いたら利用させてもらおう。

「サラ、スピード上げても大丈夫?」

「平気、私は魔法使える。
 元になった身体が凄まじい能力だったから、それが反映されてる」

 ぶっきらぼうに返答してくる。 
 それでも必要な話はきちんと伝えてくる辺りはゲーマーだ。
 サラの言う通り、俺が本気で走っても平気な顔でついてくる。
 どうやらサラは魔法特化気味だそうだ。

「我ながら素晴らしい物を作った」

 すごく嬉しそうだった。
 AIであるはずのサラだが、この世界を本当に楽しんでいた。
 実際の沙羅と同じように一挙一動に感動し、この世界の風景、情景に感動していた。
 その姿を見ると、ずっと一緒に究極のゲームづくりの夢を語っていた者同士、胸が熱くなる。

「パパもママも嬉しそうですね」

「……まあな。てかナユタ、もうママは固定なのか?」

「ママですし」

「……はぁ、諦めるか。王都に行ったらサラも冒険者登録だな」

「冒険者! 楽しみー!」

 すごく嬉しそうにはしゃいでる。
 飛び跳ねると……その、なんだ……凄いな……ほんとにサラが……未だに信じられない……

「パパ、鼻の下伸びてるのママに見つからないでくださいね」

 危ない危ない。
 俺も、男だ。仕方がない。
 サラの戦闘スタイルは……なんだろ、格闘魔術?
 ビャッコの娘をベースにしているので素手で格闘もイケル感じで、圧倒的魔法の使い手だ。
 俺も基本的な魔法は使えるけど、そういうレベルじゃない。
 もう俺は魔法はいいや、スキル系伸ばしていこうと心に決めた。

「リョウがアホみたいに魔力を籠めるからだよー」

「なんか、ビャッコにもそんなこと言われたなぁ……」

「いい加減ステータス確認したらいかがですか?」

「いやだ……どーせおかしなことになってる……んだろ?」

「ご自分で確認してください」

「はぁ……」

「やーい、リョウのチート野郎!」

「くっそサラそれ言ったらぶん殴るって言ってんだろ!」

「あわわごめんなさいすみません! リョウに殴られると死ぬほど痛いんだよー……!」

 なんだかこうしてサラと昔みたいに絡んでるのも久しぶりだ。
 最近は長いことプロジェクトを通しての上司と部下の関係が続いていた。

「パパ! 王都への道の先で戦闘が起きてます。
 魔物側が優勢です!」

「サラ! 速度上げるぞ!」

「はい!」

 全力で地面を蹴り出して現場へと向かう。



「くそ! なんて数だ! こんな王都のそばで!」

「それに、強い! 人里近くにこんな強力な魔物……噂は本当だったのか……」

「パリス! キリックの傷が深い! 早く処置しないと!」

「わかってる! だが……」

 しばらく飛ばすと横転した馬車を盾に必死に魔物と対峙しているパーティを見つける。
 重症人も居るみたいだ。

「サラ、一気に殲滅してけが人を頼むぞ!」

「あいあいさー!」

 敵は魔犬、ゴブリン、オーガにオーク。なかなかメチャクチャな組み合わせだ。
 前線で頑張っている鎧の騎士も今にも崩されそうになっている。
 オークの棍棒の一振りでとうとう剣を弾き落とされてしまう。
 必死に大盾でしのいでいるが、横からの魔犬の突進に気がついていない。

「スラッシュダガー!」

 ギリギリで魔犬の首を短剣で刎ねる。
 突然の乱入に騎士の人も驚いている。

「加勢する! これを使ってくれ!」

 取り敢えず片手剣を剣士に渡す。
 サラはすでに魔法で背後側の敵を一掃してナユタと一緒けが人を見てくれている。

「か、かたじけない!」

 取り敢えず、少し後ろで偉そうにしているオーガがこの集団の親玉みたいだ。
 突然現れた俺達に不快感を露わにして仲間に何かわからないが怒鳴りつけている。
 囲んでいた魔物たちが一斉に距離を詰めてくる。

「背後で焼かれた仲間を見て、逃げるべきだったな……」

 俺は叩き落された剣に飛び込み。拾い上げそのままオークに投げつける。
 深々と根本まで剣が突き刺さる。
 そのままオークの脇で何が起きたかわからずに呆けているゴブリン達を次々に斬りつけていく。
 異変に気がついた魔犬も飛びかかってくるが、一刀のもとに素っ首を切り落とす。

 戦況の急変に今更顔色を変えるオーガだが、すでに護衛はオークが二匹を残すのみ。
 俺の残影に棍棒を振り下ろしたオークに短刀を投げつけ絶命させる。

【ウ、ウ、ウガアアアアアアアア!!】

「遅い」

 半狂乱に巨大な剣を振り上げたオーガの喉元に剣を突き立てれば、戦闘は終了だ。
 俺は襲われていたパーティに振り返る。

「大丈夫か?」

 騎士は、兜を外し、周囲を伺う。
 俺は思わず息を飲んでしまう。
 その騎士はの頭部にはぴょこんと犬のような耳が着いていた。
 なんとも可愛らしい獣人だったのだ。

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