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子連れプログラマーVRRPG脱出計画

穴の空いた靴下

第26話 リベンジ!

「今は魔物も多く危険なので、ご無理はなさらないように!」

 城門を守る衛兵さんが俺らを気遣って見送ってくれた。
 無理はしない。ちょっと無茶はするかもしれないけど。

「魔王ダンジョンリベンジだー!」

「おー!」

 周囲の心配を他所に、俺達はのんきに魔王の洞窟へと再び挑みに行く。
 途中何度か遭遇戦になったが、やはり敵は物の数にならない。
 俺が数体斬って、サラが魔法で吹き飛ばせばお終いだ。

「ふむ、ちょっとこれはいかんね、早くダンジョン終わらせて次へ行こう」

「リョウ、飽きたんでしょ」

「いや、もとを正せば俺がチートまがいなことをしたことが悪い。
 しかし、普通に進めていたら俺と那由多の命数は尽きる。
 仕方がないと諦めている。だから出来る限り早く終わらせる」

「だったら、最短ルートで……」

「それは出来ない」

「なんでですか……まったく……」

 ほとほと呆れたナユタは、それ以上そのことについて話すことはなかった。

 ダンジョンに再び侵入すると、ダンジョン構造は以前と変化はなかった。
 どうやらランダムマッピングではないようだ。

「これならまっすぐ下に降りるよ?」

「はーーー……もういいですよ」

 子供が冷たい。

 二度目の洞窟探索は順調に進んでいく、敵の数は少ないし、すでにマッピングも済んでいる。
 サクサクと前回の攻略地点まで進んでいく。
 前後を直線の通路で挟まれた小部屋で休憩を取る。

「休んだら未探索地帯に突入するぞ、ここからは今までみたいに敵の数も少なくないだろう、また気合を入れていこう」

「お、珍しくリョウがマジモードだね」

「そりゃ後がないし、リベンジ戦だからな」

「パパもママも負けず嫌いだもんね」

「ああ、準備はしっかりとしないとな」

 俺は今の手持ちの武器を並べてチェックする。
 サラも持ち物のチェックを欠かさない。
 俺もサラも、仕事にこの入念さがあればもう少しバタバタせずに済むんだよな……
 お互いに直感型でどうにも抜けているところも多く、周りの人間に迷惑をかけてしまっていた。

「ふ……この世界のほうが、真人間だな俺は」

「ん? リョウ何か言った?」

「いや……よし、少し仮眠を取ったら行こう。悪いけどナユタ頼んだ」

「任されました」

 ナユタに周囲の警戒をお願いして仮眠をとる。
 実際のゲーム化にはダンジョン内にセーフゾーンなりを設定して休んでもらう体勢にしないと長時間プレイを拘束することになってしまうなぁ……
 こんな時でもついつい開発的なことを考えてしまう。
 それでも特技的な技能で一瞬で眠りに落ちる。

「パパおはようございます」

「ああ、ナユタおはよう」

「ママはもうちょっとだけ、だそうです」

「そうか、とりあえず飯を作ってそれから起こせばいいだろ」

 洞窟内でも簡単な料理なら出来る。
 道具を気にしなくていいから非常に楽だ。
 手早くスープとベーコンエッグと軽く焼いたパンという教科書的な食事が作られる。
 ゲームの中とは言え、俺の現実はここなので、しっかりと食事も気にしている。

「おーい飯できたぞーサラー」

「ふぁ~い……」

 腹ごなしを経て、状態は万全。
 改めて、ダンジョン攻略へと挑む。

 基本的なダンジョン構造は深層になるほど文明的になり、荘厳な雰囲気作りがなされている。

「いいね、奥へ行くほど魔王に近づいている演出、ただ、長いなぁ……」

 戦闘は相変わらずスニーク状態からの奇襲の繰り返し。
 はっきり言って飽きた。
 かと言ってリスクのある正面衝突で事故るわけにも行かない。
 リスクはないが、興奮もない戦闘の繰り返しは若干しんどい。

「ここらへんはMMORPGみたいな長期的に遊んでもらえるようにデザインされているゲームでは、どうしても問題になるよなぁ……」

「そうね、成長を早くして青天井にしても、敵が青天井になるだけだし、どうしても成長速度を緩やかにして長期プレイをさせる方向になるよねー」

「果てがないからプレイしてくれる。そういう考えですよね~……」

「レベルキャップの開放、新規モンスター、ダンジョン、装備の拡充。
 この繰り返しだよなぁ……」

「少しでも新しいコンテンツをユーザーに楽しんでもらえるように頑張る!!
 って精神で頑張るよー!」

「その粋だ、頑張れよ。戻ったらちゃんと自分で頑張るんだぞ! 言質取ったからな!」

「シラナイヨワタシハAI」

「都合のいいときだけ……」

 談笑しているが、魔物を倒しながらきちんと探索している。
 すでに作業になりつつあるノーリスク戦闘。

 そのダンジョン探索にようやく変化が現れる。
 巨大な門が一行の目の前にそびえ立つ。

「ボス前の演出だな……みんな準備はいいな?」

「Ok」

「大丈夫ですパパ」

 静かにうなずき扉に両手をかける。
 ぐっと力を入れるとズズズと重そうな音を立てて扉が開いていく。

「ちょっと、立て付けが悪いなこれ……」

 結構な力を入れて扉を開くと、巨大な空間に出る。
 いままでの洞窟とは異質な部屋だ。

【こんなところまで人間が迷い込んでくるとはな……
 偉大なるベルダ様の居城に下賤な人間の足跡、さっさと掃除をせねばなるまい……】

 奥の暗闇から真っ黒な鎧を身に着けた剣士が現れる。
 その背後には同じような黒い鎧を身に着けた兵士が規則正しく並んでいる。
 変わっているのはその鎧の兜の中身が空っぽだ。
 生ける鎧の軍隊、そしてそれを率いる将。

【ベルダ様の居城に足を踏み入れた罪、このシレンが裁いてくれる。
 名は聞かぬぞ人間、どうせ今から殺されるだけの存在だ】

 顔色は真っ青だがイケメンの敵の決め台詞。
 俺は正直嫌いじゃなかった。
 さて、もう軍本体の戦闘能力はどんなものか、俺はドキドキしていた。
 半分は戦闘への高ぶり、もう半分は背後に居る兵士たちの数が多い事に対して。

「最初から全開で行くぞサラ」

「わかったよリョウ!」

 賽は投げられた!







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