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度重契約により最強の聖剣技を

初歩心

第十七話 決別



「…………構わない」

鎖に繋がれた姉を一筋の光が照らし出し、そんな姉の前で怪しくほくそ笑む魔王が仁王立ちをしている。
それ以外は何もないそんな空間で俺はただその一言を放った。

「············今、なんてぇ?」

「構わないと言ったんだ。
たとえ姉と対峙することになってもお前にだけは屈しない。
俺の本能がそう決めた。
姉ちゃんも······きっと分かってくれるはずだ」

「············そうですかぁ
そこまでぇ、君がぁ持つ私への憎しみの闇はぁ強かったんですねぇ
············はぁ、それはそれでぇいいですぅ。
ゾクゾクしますぅ♪」

 朱色に染めた頬に手を当て魔王はうっとりとした目を浮かべる。

「分かりましたぁ。
貴女のお姉さんは今日から私の僕になりますぅ。
その事実だけはぁこの空間から君がぁ出られたとしても変わりません」


「分かってるさ」

今の俺は憎しみに捕らわれている。
奴みたいに狂っている。
いや狂わされている。
そんな自覚はかすかにあった。
 どこまでも下劣な手段を使い大切な物を奪っていく魔王への怒りと憎しみだけが俺の全身をめぐっていた。

「いいですねぇその目♪
そんな覚悟を持った君にぃ試練を与えましょうかぁ」

「私はぁこの空間から完全にぃ意思力行使を切り離します。
ですからぁこの空間で唯一私が生み出したものじゃない君がぁここで死ねばぁ」

「現実でも死ぬってか? おちょくるのも大概にしろ。
お前を殺すまで死ぬ分けないだろ。
お前を殺すためならなんだってしてやる」

「その心がぁ偽りじゃないとぉいいですけどねぇ。
君がぁ魔神に成り果てたお姉ちゃんを倒せたらぁここから抜け出せますぅ」


そう言いつつ彼女はまがまがしい黒玉を姉の口にあてがい離した。
閉じようと抵抗しているその口をまるで生きているかのようにゆっくりゆっくりと入り込んでいく。
苦しそうな息使いをしている姉の口の端からは唾液がこぼれ床に落ちてゆく。
全て入ると姉はむせこみ始めた。
そのうちにも姉の体の内から発せられるまがまがしい黒い光が食道を通って徐々に下へ下へと向かっていきやがて止った。
 すると姉の体はがくがくと震えだしさらに激しくむせこみ始めた。


「······瞬ちゃん······ごめん······ね」

しばらくしてむせ込みが止んだ時、そう言葉を発してこと切れたように姉は反応しなくなり黒い光は姉のへその位置でとどまった。

「驚きましたねぇ♪
本来私がぁ作り出した物たちはぁ言葉を発するなんてぇしないんですけどぉ
やっぱり弟思いのいい子ですねぇ」


「············」

「どうしましたかぁ? 
やっぱりお姉ちゃんとぉ戦うのはいやですかぁ?」

「今の俺に躊躇はない。
お前が作り出した紛い物なんてさっさと倒してここから抜け出してやる
やるならやれ!!」

「分かりましたぁ
ご要望どうりぃ始めますょ
今の瞬くんにはぁ少し酷いかもしれませんがぁ」

魔王が右指をパチンとならすと、とたんに姉がへそを中心に弾けるように肥大し、赤黒い血を吹き出しながらその背丈を保ったまま肉柱へとなりはてた。
発せられる熱で繋がれていた鎖などはすべてちぎれ床に落ちる。

「······私はぁいきます。
死なないでぇ下さいねぇ私の愛しい瞬くん♪ーーーーー」

笑みを浮かべながら魔王はそう言うと靄のように消えてた。
 
 この空間に残されたのは、俺と偽りの姉だったどす黒く血を流しながら生々しく脈打つ肉塊のみとなったのだ。




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