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度重契約により最強の聖剣技を

初歩心

第十四話 定め②

剣と剣が対立しカタカタと金属音をたてながらつばぜり合う。
その間にも双方の焔の力は増していき大地を蛇のように伝っていく。
 
「その左目、変わった目をしてるね
聖王族に伝わる黄金色の瞳に似ているけど赤い紋章が浮かんでるから違う物なのかな」 

「ああ、お前の言うとうりこれは聖族の瞳とは全く違った物だ。
悪いが余り悠長にしてられなくてな、すぐにけりをつけさせてもらう 」
 
俺は力を一気に込め聖剣を振り払った。
すると反発した力どうしが俺と優汰を弾き飛ばし爆発と共に消失する。
辺りの空間には、細かな紫色と赤白色の火の粉が舞う。
 弾き飛ばされたものの、俺は難なく体制を立て直し着地するが、それは優汰も同じである。
俺は、再び聖剣を構え優汰の出方を伺う。
一方で優汰は体制を整えた直後すぐにこちらへ向け剣を引き絞る体制をとると加速した。
 
俺の喉元を狙って繰り出されたそれは、先ほどよりも格段に速度も力も向上している事は間違えなかった。
―――だが


 「?!」


寸前でかわす。
今の俺にとってみればゆっくりと振りかざされているようにしか見えないのだ。
 
 「そんなはずは······ない!!」

優汰は続けざまに三連撃、魔力を纏った聖剣を振りかざす。
 顔に向かって放たれた初めの二撃は、足の重心をずらしつつ左右に顔を傾けかわす。
三撃目、胸に向かって放たれた突きは体制を低くしながらかわしつつ聖剣で弾く。
とたんに体制を崩した優汰の腹目掛け、聖力を纏わせた回し蹴りを遠心力を利用したまま喰らわせる。
 脇骨を折る感覚が足を確かに伝い、空を切る音と共に優汰は遠方の地面へと叩きつけられる。

「······この力、どうやらはったりではなさそうだね。 けど、まだだ!!」

優汰は、剣を支えに立ち上がり引き抜くと、恐らく残り全てなのだろう。
辺りを紫色に染めあげる程の魔力を漆黒の聖剣に纏わりつかせ始めた。
 
「······いいや、終わりだ優汰 
 (瞬斬·絶聖炎) 」
  

 全ての時が止まる。
俺だけがただこの空間で加速し足元の土埃は空中にゆっくりと漂い始める。
駆けながら自ら左側後方に真横に水平にした聖剣を構え引き絞る。
眼前に迫ると優汰の急所、心臓をめがけて真横から振り抜き切り裂く。
高まった目映い程の白い焔が体の半分を抉りとり鮮血はその熱で地面に落ちることなく蒸発する。
勢いのままに優汰の真後ろまで駆けると、全ての時は元に戻っていた。
 

「――――さすが瞬
······僕をここまで追い詰めるとは」
 
優汰は力なく剣を握ったまま口から大量の鮮血を地面にこぼした。
しかし、彼は立たずんだままこちらを振り向く。
 
「なんでそんな傷で立っていられる?! 
そうか邪竜の加護か······だったらその右手ごと絶ちきってやる!!」
  
俺は距離を取ると聖剣を真上に振りかざし構え、特大の聖力を込め巨大な焔剣を作り出す。

「今度こそ終わりだ優汰」
  
「······でも、残念だよ。
君は、僕が想像していたよりもはるかに弱かった。
僕がほんの少しだけ本気を出せば勝ててしまうんだからさ」

 「?!」
  
最大力の聖剣技を放とうとした時だった。
 それは目で捉えることができなかった。
腹に優汰の竜拳が炸裂し、地面をえぐりながら数メートルほど飛ばされる。

「何て······力だ」
 
聖力で保護されている為、内蔵破裂までには至らなかったが、受けた衝撃は相当重く痛みが体中を蝕ばんでいる。
あと数分は動けそうにない。
 そんな俺をよそに、悠然と優汰は剣をしまいながら近づき目の前に来ると足を止めた。
 まるで傷ひとつ受けていないように完全に回復し漆黒の鎧も元通りになっている。

「驚いたかい? 今の力は実力の半分も出しちゃいないんだ。
でも、心配しなくていい。
僕は今回、魔王様から君を殺すようには命令されていないからさ
ただ、あとあと追いかけられても面倒だから策はとらせてもらうよ」
 
片ひざを着くと、俺の心臓にあたる部分に竜の手ひらを当てる。

「 呪毒 」 
 
途端に紫色の光を発しすぐに消えた。

「なんだ、体が麻痺して······」
 
ピリピリとした痺れが体を伝っていく。
言葉を発しようとしても口が動かない。
だが、幸いにも顔は動かせた。


「瞬、これだけは言っておくよ。
弱き者はなにも救えない······力こそがすべてなんだ」


そう言いつつ立ち上がる。
そして優汰はいつの間にか傍に来ていた姉とアルラインへと近づいていった。

「さて、それじゃ奏さん。魔域に行こうか」


その言葉を機に、アルラインは頷くと意識行使を始めた。


『あなたはこれから、ご主人様の言う事に魔王城塞で魔王様に引き渡さるまでの間、どんな事でも従い尽くし続けなさい』

「······はい」

 姉は、頷くと優汰へと歩みを進め差し出された左手を握る。

「(待て!!)……」
  
「ありがとうアルライン。
こっちに来て右手の甲を出してくれるかな」   


優太に呼ばれたアルラインは言われた通りに行動し右手を出すと優太は竜の手をそっとかざす。
すると、握られた手の甲から空中に契約紋章が浮かび上がり、それを優太は竜の手で粉々に握り潰した。


「これで君は自由だよ。
手始めにそこの彼を助けてあげてくれないかい。もちろん僕が立ち去った後で、いいね? 」


「もう貴方に従う義務はありませんが、力の差が明確なので従います」


「 (動け、動けよ!!)…………」


ーーーーまた目の前にいる大切な繋がりを救うことができないのか。
いや、こんなところでもう二度と失う訳にはいかない。
 そんな思いと裏腹に体は言う事を聞かず動く気配すら全くない。
ただ意識がぼんやりと少しずつつ遠退いていくだけである。


 「いい判断だと思う。じゃあ僕たちは行くよ、今までありがとうアルライン」
 
「······どういたしまして
二度と魔族なんかに協力しませんが」
 
「そうだね、君がそう望むなら、
この先常に気をつけておいた方がいい。 
もしかしたら君がまた魔族に力を貸す未来はそう遠くないかもしれない。
これは僕からのちょっとした忠告だよ――――――――」
 
 
突然、紫色の風が辺りを包み込む。
そして晴れると、そこにはもう、姉と優汰の姿はなかった。

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