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度重契約により最強の聖剣技を

初歩心

第十一話 銀竜との対峙②

 空中に出現した氷棘は、まるでガトリングガンから発射される銃弾ように勢いよく地面へと突き刺さる。
止むことなく降り続くそれは、雪で降り積もった地表に深々と穴を開けていく。
だが、俺と姉はツクヨミが意志行使している水神の加護・同消により全く影響を受けず無傷である。
彼女の属性神の加護は自らと同じ属性技を無効化する力である。
つまりは、水属性カテゴリーの技を一切受け付けないといったところだろうか。
しかしこの量はいくらなんでも聖剣で捌くには難がある。
10分が限界だと言っていたからには早いとこ倒さなければ……一様対策もしておくか。
 
「姉ちゃん、少しでいいから銀竜の注目集められるか」
 
「もちろんだよ。任せて」

 俺は銀竜から少しばかり離れた場所で足を止め、姉は銀竜の気を引くため聖剣を振りかざし向かっていく。
真横を姉が通りすぎると聖剣から放たれる白い光跡が目をついた。
 俺は、息を一息吐き整えると右手に持ったファイオラセルを居合いぎりをするように体幹を真っ直ぐに低くしながら左腰に構え目を閉じ集中する。
姉が必死に戦い甲高い金属音が鳴り響くさなかファイオラセルはだんだんと熱を発していく。
 狙うは四ヶ所。首、両腕、両足だ。
首と両腕はいけるとして両足は最後に凪ぎ払うとするか。 
 そんなことを思いつつありったけの聖力と神焔を聖剣に込め俺はそっと目を見開いた。
察したのか姉は銀竜から咄嗟に離れそのお陰で銀竜の視線は自然とそちらへ向いている。
  
 (今だ!!―――破聖焔·斬)

赤白い刀身を勢いよく引きその場から首、両腕をなぞるようにファイオラセルを振りぬくと続けざまに精神を集中させ銀竜の背後へと駆け瞬間移動し一回転しながら振り払う。
雪を巻き上げながら衝撃が辺りに伝い空中には斬跡を残すかのように湾曲した赤白い閃光がしばらく漂よい消える。
そして銀竜の体部、五ヶ所には内側からマグマのように赤い亀裂が走り始める。
 静寂のなか俺が低い体制からもとに戻ると銀竜は力なく首から次々に崩れ落ちた。
その切り口は真っ赤になり蒸気を上げる。
 地面に突きだしていた氷柱は崩れ、空中に生成されていた氷棘は消失し凍てつく雨が降りやんだ。
 
「終わったね瞬ちゃん」

 姉がにこやかにこちらに駆け寄ってくる。銀竜と対峙するなかでできた傷なのか太ももやら破れた制服の腕やらには所々軽い擦り傷があった。
姉の言うとおり俺も終わったのだとそう思いたかった。
だが本能がまだ何かを察知している。

「······!! 離れろ姉ちゃん!! 」
「 !? 」

 俺と姉が銀竜から距離を取ると銀竜覆うようにひとつきで腹に穴を開けそうな氷柱が全方向からつきだしていた。
やがてその氷柱は粉々になりすっかりもとの姿に戻った銀竜が露になる。
銀竜は再び咆哮をあげ空中には先程より倍以上の鋭い氷棘が出現していた。

「どうして······? 瞬ちゃんの斬道は完璧だったはずなのに」

「分からない。けどさっきよりも格段に魔力が上がっていることは確かだな」

 銀竜は、両腕を再び振り上げ勢いよく降り下げてきた。
 その動作で察知した俺と姉はそれぞれ別方向へと駆け出すと地響きがするなか鋭い氷柱が地面から俺たちを追うようにせりだし襲りくる。

 俺の聖力はまだあるが、もしかしたら姉の聖力は限界なのかもしれない。それに、ツクヨミがかけてくれた属性神の加護もそろそろ切れそうだ。
かなりまずい状況におかれていることは間違えなかった。
 その間にも銀竜はもてあそぶかのように時折、進行方向に氷柱を出しては挟み撃ちを狙ってきた。
 いつの間にか辺りは巨大な氷柱がいくつもせりだし薄暗くなる。
銀竜の様子も伺えず姉ともすっかり分断されてしまった。
頭上を見ると氷針の雨は今だに、空中に出現したままである。銀竜は加護が切れるその時を待っているのだ。
 無論、易々とやられるわけにいかないので聖剣で進路を塞ぐ氷柱を絶ちきりながら銀竜がいたであろう方向へと進む。
まるで誘導されているような気がしなくもなかったがひたすら進んだ。
 しばらくすると攻撃がやんで静まりかえり前方のひらけた空間には銀竜の足が見えた。
ここに躊躇して留まってもどのみち命を危うくするだけであり何かしらの罠があったとしてもここは承知で突っ込むことが最善の策だろうとそう思った。

 駆け出すと銀竜は再び両腕を上げ勢いよく下げると氷棘が地面からつきだしながら行く手を阻むようにこちらに向かってきた。
 俺は咄嗟に左手を前にだし燃えさかる巨大な火炎球を生成し放つ。
赤光を放ちながら燃え盛る火炎球は地面をえぐりなが氷棘を消し去ると、そのまま銀竜へと突き進み轟音をあげながら激突する。
 それと同時に隣の方向から湾曲した白い巨大な斬撃も激突した。姉は無事だったのだ。

 開けた空間に出ると、銀竜は先程の技で怯みダウンしている。
瞳からは光が消え今は魔力を感じられない。
上空に出現していた氷棘は水へと変わり辺りを一瞬濡らす。
 また、銀竜の胸部には紫色のコアの様なものがつきだしていた。
それは、本来銀竜にないはずの物である。
その傍らには姉がしゃがみこみ珍しそうに顔を輝かせ観察していた。

 「瞬ちゃんこれなんだろう? 」

姉は、見覚えないようだが俺はそれが何なのかを知っている。
魔王によって作られた魔物の象徴である。


 異界が終息してしばらくたった頃、俺とアテナで修行の一環として狼型の魔物と対峙したことがあった。
アテナの力を借りてなんとか倒す事が出来たのだが、今までに魔物を倒した後に感じる事がなかった現象が起こったのだ。
紫色のコアを破壊した瞬間、声が聞こえたのだ。
……あの憎くき現魔王の声が。
 その声は俺にしか聞きとることができずこれからの成長を楽しみにしているとの内容だった。
それを聞いて心の深い憎しみはより一層ました。

「······あくまでも憶測だけどこの銀竜は魔王によって生成されたものだと思う。
このタイプの魔物と対峙したことがあるからな」

「ふぅん?そうなんだ。お姉ちゃんが知らない事を瞬ちゃんはよく知ってるね……なんか私、ダメなお姉ちゃんだなぁ」

 また、始まったか。危険な行動にはしる前に何か元気付ける最上の言葉を投げ掛けなければ。

「そんなことないって、姉ちゃんは容姿端麗で美人だし今だって姉ちゃんがいなかったら銀竜をここまで追い詰められなかった、感謝してる」

「そう…かな? うん、ありがとう瞬ちゃん。
これからも私は瞬ちゃんの自慢の姉、いや、それ以上になれるよう頑張るよ」

立ち上がりながら嬉しそうに笑みを向けてくる。
姉以外の関係に何があると思わずツッコミたくなるが今は堪えよう。
めんどくさすぎて若干心の込もっていない棒読みだったが本人は満足したらしいからだ。

「……そうだな、じゃあさっさとどめを」
「キャア!!」

 言葉を遮るように突然、姉が真横で悲鳴をあげた。
隣を向くと氷柱が姉を固定するように囲い衝撃で姉は気を失っている。
起き上がった銀竜は姉に向け口を開くと冷気をため始めた。
ツクヨミがかけた加護が切れ、姉にとっては絶体絶命の状況だが俺にとってはそうでもない。
こんな事もあろうかと戦闘中少しづつ焔の属性力を自信の内に蓄積させていたのだ。

 自らの真後ろに飛び、銀竜から少しばかり距離を取ると左手を聖剣に添えながら引き絞る体制を取る。
聖剣ファイオラセルが目を細目るほどの赤い光と熱を放ち、俺の体を覆うように白い聖力が沸き立つ。
 引き絞った体制から足に力を入れ駆け、凄まじい勢いのままに銀竜のコアへと突き刺す。
辺り一面を襲撃波が伝い銀竜は痛みに悶えながらのけぞり冷気を溜め込むのを中断する。
俺はそれを機に一気に属性力を全解放するため力を込めた。
 
 「 爆ぜろ!! 」
 
銀竜の内側から聖剣を中心にどろどろとしたマグマが伝っていき、一瞬のうちに、ひりつくような巨大な焔の爆発が起こった。
 

その後、辺りは舞い上がる雪と煙に包まれた。

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