度重契約により最強の聖剣技を
第九話 考察と盟約
あれから、数分がたった。
以前、銀竜の姿は行方知らずであり魔力を一切感じ取ることができない。
あの一撃で消失したのか······。
深手をあたえたことは確かだが、動けたとしても素早く遠くへ移動するのは無理なはずだ……と言うか球体の岩石があんなにも容易く物体を潰すものなのか?
相手は神格の加護を持った銀竜。他の魔物よりも強大であり、そう易々と倒されるような敵じゃない。
思わず不安がよぎるさなか雪が少しばかり降ってきた。
「グランディーネ!! 念のため警戒してくれ」
「了解よ!! 」
グランディーネは口に両手をあてながらそう言うと向き直り空中で警戒をとる。
「あの銀竜、どこに行ったのかしら? あの一撃で倒れるようには見えなかったけど」
「そうかな? 私は、グランディーネさんの攻撃で消失したんだと思うけどな……瞬ちゃんはどう思うの?」
そんな会話をしながら、リナと姉はこちらに近づいてくる。ずいぶんと仲良くなったものだ。
「俺は、消失はしてないと思う」
「瞬ちゃんまでそう言うの?なんで」
「確かに、俺もこの目で見てるから姉ちゃんの言いたいことも分からなくはない。けど、気がかりな点が二つある」
「気がかりな点が二つ? 」
俺は、姉に頷き話を続けた。
「魔族や魔物が消失した後は微かだけどその魔力がしばらくその場を浮遊し、天に向かって上昇する。
けど、本来感知できるはずのこれがいまだに感知できていないという点が一つ」
「確かに言われてみるとそうかもだけど······」
「私もその点は気づいてたわ。それで、もうひとつはなんなの? 私と格が違うのよね英雄様は。まぁ、それも私が気づいてるかもだけど」
リナが、さぁ言ってごらんなさいと言わんばかりに片サイドにまとめた銀髪を払いながら上から目線で見つめてくる。
よほどあの言葉を根にもったらしい。
失言だったな、ただでさえ姉であれなのに……めんどくせぇ。そう思いつつも姉を見ていると何を勘違いしたのか両手に手をあて頬を赤らめる。
「何、瞬ちゃん? もしかして私に見とれちゃったのかな。やっと、姉の魅力に気づいたんだね」
「それはない」
「照れなくていいのに。私は瞬ちゃんを受け入れる準備はいつでもできてるよ」
……よし、ほおっておこう。
「で、どうなの英雄様?まさか自分から言っといて答えられないのかしら? そんなはずないわよね! さぁ、早く言いなさいよ、ほらほら」
……子供か!!
「えーとだな、銀竜がグランディーネの攻撃を喰らったときの事覚えてるか? 」
「ええ、覚えてるわ、確か抵抗することなくすぐに潰れたわよね」
「そう、俺が言いたいのはそこだ」
「それってどういうこと? 私にも分かるように説明してよ。瞬ちゃん」
「普通、物体が何かに衝突して押し潰されたとき数秒だけど衝突して押し潰すまで間があるだろ」
「……そうだっけ? 」
「······貴方の姉ってバカなの?それとも天然なの? 」
リナが呆れ顔でそう問いかけてくる。
「どちらかと言うと、後言の方だな……というよりかそうあってほしいと思ってる」
「???」
姉は、何の話と言わんばかりに首をかしげた。
「色々と苦労してるのね」
リナは分かりきったような顔で哀れむように俺に目を向けそう呟く。自らも要因の一人になっていることを分かってほしいものだ。
「話を戻すぞ。銀竜がやられる時その誤差が全くなかったて事はつまり」
「つまり?」
「あれは、偽像だった可能性が高い」
「まさか、銀竜がもう一体の自分自身を作ったとでも言うの? いくら上級の魔族でもそれだけの力があるわけないじゃない。あてが外れたわね英雄」
「神格の加護があればできなくもないよね」
「そうだな。姉ちゃんの言うとうりだ」
「その神格の加護の説明を全く受けてないんだけど!! 私にもちゃんと説明しなさいよ!!」
俺は、この時を待っていたのだ。
「頼み方が違うだろ」
「……貴方まさか」
「ああ、そうだ。神格の加護について聞きたいのなら忠誠を誓ってもらう。これから共闘するうえで、また殺されかけることがないように誓ってもらう必要があったからな。それから、グランディーネから色々と聞かせてもらったぞ。お前がこの聖剣を俺から奪う気でいるって事もな。さぁ、どうする。死にたくないなら素直にしたがった方が身のためだ」
「あの軽口女神……いいわ、忠誠を誓ってやろうじゃない」
グランディーネを睨むと仕方なさそうそう呟く。
睨みを効かされたグランディーネは笑みを浮かべ手をふっていた。
思わず俺は、グランディーネに向け右手の親指を立てるとリナに向き直る。
「忠誠を? 」
「······忠誠を誓います」
俺と不服なリナはそれぞれの聖剣を合わせ盟約の義に入る。
「私、リナ・クラスティユは神倉瞬に忠誠を誓います」
「我、神倉瞬はその申し出を受け入れ二点の盟約を提示し協定する。一つ、汝は我に、我が命令に一生の服従を命ず」
「ちょっと、やましいこと考えてるんじゃないでしょうね」
自賛しすぎだ。そんな気持ちは······なくもない
俺は、咳払いを一つつくと盟約を続けた。
「二つ、共に共闘し続け、必ず魔王を討伐する。それまで死する事ならず」
「······ええ、全て受け入れるわ。魔王を必ず倒しましょう! その為ならいくらでも貴方に力をかすわ。我が身に誓って」
白い光を放ちはじめた剣を顔の前まで真っ直ぐに構えると、それぞれ斜め上から下に振り払う。
するとすぐにその光は消える。
よし、これで少なくても同胞による命の危険にさらされることはなくなった訳だ
「さぁ、これで神格加護について教えてもらうわよ」
「ねぇ、瞬ちゃん。空ってあんなに眩しかったけ?」
黒く分厚い雲が灰色の雲になり、青紫の光が漏れでている。
「いや、眩しくなかったはすだ。まさか!? 」
「ちょっと聞いてます? 英雄様」
「ああ、聞いてるよリナ。あと、その英雄様って言うのやめろ、瞬でいい。それよりも、グランディーネに聖力供給をしてくれ。さっきの一撃と比べ物にならない強力なのが来るぞ!! 」
俺は、聖剣を右手に構え空を見据える。
「分かったわ瞬。 グランデーネ!!頼むわよ!!」
彼女は、聖剣を傍に突き立てると目を閉じ精神を集中させながらグランディーネに右手のひらを向けると、左手で右手首を押さえる。
目を見開くと彼女の聖力が高まりグランディーネへと聖力が供給され始めた。
以前、銀竜の姿は行方知らずであり魔力を一切感じ取ることができない。
あの一撃で消失したのか······。
深手をあたえたことは確かだが、動けたとしても素早く遠くへ移動するのは無理なはずだ……と言うか球体の岩石があんなにも容易く物体を潰すものなのか?
相手は神格の加護を持った銀竜。他の魔物よりも強大であり、そう易々と倒されるような敵じゃない。
思わず不安がよぎるさなか雪が少しばかり降ってきた。
「グランディーネ!! 念のため警戒してくれ」
「了解よ!! 」
グランディーネは口に両手をあてながらそう言うと向き直り空中で警戒をとる。
「あの銀竜、どこに行ったのかしら? あの一撃で倒れるようには見えなかったけど」
「そうかな? 私は、グランディーネさんの攻撃で消失したんだと思うけどな……瞬ちゃんはどう思うの?」
そんな会話をしながら、リナと姉はこちらに近づいてくる。ずいぶんと仲良くなったものだ。
「俺は、消失はしてないと思う」
「瞬ちゃんまでそう言うの?なんで」
「確かに、俺もこの目で見てるから姉ちゃんの言いたいことも分からなくはない。けど、気がかりな点が二つある」
「気がかりな点が二つ? 」
俺は、姉に頷き話を続けた。
「魔族や魔物が消失した後は微かだけどその魔力がしばらくその場を浮遊し、天に向かって上昇する。
けど、本来感知できるはずのこれがいまだに感知できていないという点が一つ」
「確かに言われてみるとそうかもだけど······」
「私もその点は気づいてたわ。それで、もうひとつはなんなの? 私と格が違うのよね英雄様は。まぁ、それも私が気づいてるかもだけど」
リナが、さぁ言ってごらんなさいと言わんばかりに片サイドにまとめた銀髪を払いながら上から目線で見つめてくる。
よほどあの言葉を根にもったらしい。
失言だったな、ただでさえ姉であれなのに……めんどくせぇ。そう思いつつも姉を見ていると何を勘違いしたのか両手に手をあて頬を赤らめる。
「何、瞬ちゃん? もしかして私に見とれちゃったのかな。やっと、姉の魅力に気づいたんだね」
「それはない」
「照れなくていいのに。私は瞬ちゃんを受け入れる準備はいつでもできてるよ」
……よし、ほおっておこう。
「で、どうなの英雄様?まさか自分から言っといて答えられないのかしら? そんなはずないわよね! さぁ、早く言いなさいよ、ほらほら」
……子供か!!
「えーとだな、銀竜がグランディーネの攻撃を喰らったときの事覚えてるか? 」
「ええ、覚えてるわ、確か抵抗することなくすぐに潰れたわよね」
「そう、俺が言いたいのはそこだ」
「それってどういうこと? 私にも分かるように説明してよ。瞬ちゃん」
「普通、物体が何かに衝突して押し潰されたとき数秒だけど衝突して押し潰すまで間があるだろ」
「……そうだっけ? 」
「······貴方の姉ってバカなの?それとも天然なの? 」
リナが呆れ顔でそう問いかけてくる。
「どちらかと言うと、後言の方だな……というよりかそうあってほしいと思ってる」
「???」
姉は、何の話と言わんばかりに首をかしげた。
「色々と苦労してるのね」
リナは分かりきったような顔で哀れむように俺に目を向けそう呟く。自らも要因の一人になっていることを分かってほしいものだ。
「話を戻すぞ。銀竜がやられる時その誤差が全くなかったて事はつまり」
「つまり?」
「あれは、偽像だった可能性が高い」
「まさか、銀竜がもう一体の自分自身を作ったとでも言うの? いくら上級の魔族でもそれだけの力があるわけないじゃない。あてが外れたわね英雄」
「神格の加護があればできなくもないよね」
「そうだな。姉ちゃんの言うとうりだ」
「その神格の加護の説明を全く受けてないんだけど!! 私にもちゃんと説明しなさいよ!!」
俺は、この時を待っていたのだ。
「頼み方が違うだろ」
「……貴方まさか」
「ああ、そうだ。神格の加護について聞きたいのなら忠誠を誓ってもらう。これから共闘するうえで、また殺されかけることがないように誓ってもらう必要があったからな。それから、グランディーネから色々と聞かせてもらったぞ。お前がこの聖剣を俺から奪う気でいるって事もな。さぁ、どうする。死にたくないなら素直にしたがった方が身のためだ」
「あの軽口女神……いいわ、忠誠を誓ってやろうじゃない」
グランディーネを睨むと仕方なさそうそう呟く。
睨みを効かされたグランディーネは笑みを浮かべ手をふっていた。
思わず俺は、グランディーネに向け右手の親指を立てるとリナに向き直る。
「忠誠を? 」
「······忠誠を誓います」
俺と不服なリナはそれぞれの聖剣を合わせ盟約の義に入る。
「私、リナ・クラスティユは神倉瞬に忠誠を誓います」
「我、神倉瞬はその申し出を受け入れ二点の盟約を提示し協定する。一つ、汝は我に、我が命令に一生の服従を命ず」
「ちょっと、やましいこと考えてるんじゃないでしょうね」
自賛しすぎだ。そんな気持ちは······なくもない
俺は、咳払いを一つつくと盟約を続けた。
「二つ、共に共闘し続け、必ず魔王を討伐する。それまで死する事ならず」
「······ええ、全て受け入れるわ。魔王を必ず倒しましょう! その為ならいくらでも貴方に力をかすわ。我が身に誓って」
白い光を放ちはじめた剣を顔の前まで真っ直ぐに構えると、それぞれ斜め上から下に振り払う。
するとすぐにその光は消える。
よし、これで少なくても同胞による命の危険にさらされることはなくなった訳だ
「さぁ、これで神格加護について教えてもらうわよ」
「ねぇ、瞬ちゃん。空ってあんなに眩しかったけ?」
黒く分厚い雲が灰色の雲になり、青紫の光が漏れでている。
「いや、眩しくなかったはすだ。まさか!? 」
「ちょっと聞いてます? 英雄様」
「ああ、聞いてるよリナ。あと、その英雄様って言うのやめろ、瞬でいい。それよりも、グランディーネに聖力供給をしてくれ。さっきの一撃と比べ物にならない強力なのが来るぞ!! 」
俺は、聖剣を右手に構え空を見据える。
「分かったわ瞬。 グランデーネ!!頼むわよ!!」
彼女は、聖剣を傍に突き立てると目を閉じ精神を集中させながらグランディーネに右手のひらを向けると、左手で右手首を押さえる。
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