ダイナマイトをこの僕に

土佐 牛乳

14話

 僕は信じられないというようにして質問を投げかけた。
「おかしいとは思わないか? 君が死んだようにして生きていたのは」
 男は何かわかっているようにして僕に告げる。
「何を…… まさか、意図的にして僕は、あのような無気力な状態に?」
「ああそうだ…… それもまたなぜ君がそのようなことになっているのか、君がよく知っていると思うが」艦長は僕が何か知っているというトーンで言った。そして続けざまに「どうして君が腐っていくか、君の感情にあるのではないか?」
 ……僕という人間はここまでして頭を使ったことは、これまでの人生でなかったというくらいに僕は過去を遡り、そしていろいろと情報を重ねながら僕という人間は、なぜこうなっているのか、どうしてこうなってしまったのか考えることにした。しかしそこにはまったくの答えというものはないのだが、しかしこうしてまで彼という人間が、ヒントを出しているにも関わらず僕という人間は、これまでの僕の心のありようはそれは自分にとって自己的に”なってしまっていた”ものだとずっと思っていたが、しかしそれは”他人の行い”によって僕という人間は、ここまでして身も心も腐ってしまったのだと彼は、そう言っていた。
 僕は考えて見たが、僕を支えていた人間たちは総じて人間が出来ていると僕はそう思った板。しかしその化けの皮をはがせば僕という人間は、モルモットにして自らの力に対しての研究をしていたということになるのか…… 正直、なぜこうなっているのか、そして僕という人間はなぜ自分がモルモットになっているということが分からなかったのか心に穴が開いてしまったような、空白感のある、空漠たる想いになった。
 そして鬱々と気持ちが一気に落ち込んでいく。僕という人間をいつまではめていたのだろうかあの人間たちは。もしやすると僕のお父さんまでもが……
「僕の…… お父さんは、何も関係がありませんよね」
 僕は口が震えているのを抑えるようにして、そして出来るだけ気づかれないようにして艦長に話していた。
「君の家族は君の実験結果によって、とても裕福な余生を過ごしている」
 彼はそういって、モニターを僕にしっかりと見せた。そこに広がっていたのは、僕の知っている人間たちであった。あそこに、あの病院でたまたま意識が戻ったときには速く会いたいと思っていたにも関わらず、僕の地獄のような時間を無駄にするようなことに、僕の魂を売っているような研究で、外にいた彼らは笑顔で暮らしていたのである。僕という人間は、まあそれでも彼らが幸せならそれでいいかとそう思った。正直僕はこのような内面を客観的にみて、自分という人間はすこしばかり普通という人間とは全くと違うのだろうなと分かる。普通の人間というものならば、怒り狂いそしてこの世の中に絶望してしまうだろう。だけれど僕という人間は、やはりおかしいのか、僕の不幸をメシに笑顔になっているというだけでも、僕という存在がいてよかったなと思ったのだ。だからこそ僕という人間は、こういう、”人を救う”という課題を与えられても、すんなりとやるだろうという意味での”僕にできること”ということなのだろう。僕という人間を心得てしまいすぎているこの人たちは、本当に僕という人間を調べつくしていたのだった。しかし……
「あなたたちって僕のこと分かりすぎていますね」
 僕はその言葉はかなりの無感情でそしてどうでもよかったことだと、戯言であるなと理解しながらもそんなことを口走っていた。
「英雄とは時代に、そして人によって作られるものだからな」
 艦長は、出来るだけゆっくりと、そして同情しているかのように言ってのけた。
 僕という人間は、そのようなことを言っている艦長の言葉の真の意味というものがこのときの僕にはまったくと理解が出来なかった。正直に言わせて貰えばさっさと訓練をやらせてほしいという考えが僕の中であった。
「わかりました。ではカリキュラムなどありましたら、教えてください」
 僕は、これからの人生というものを、それも人類救済という与えられたらまったくと実感もわかないような事柄を成し遂げるために、僕という人間は、力をこの3週間で付けるために、どうすればいいのかと聞いた。
「エクステリアの練習カリキュラムは、あとでメイナ・アルマータ三佐から貰っておくといい」
 そして艦長は彼の目の前にあった机上のモニターを軽く操作して、すると後ろにいままでだんまりを決め込んでいたメイナが操作を変わらせるのか、彼のすぐ横にきて、次は彼女がモニターを使っている。その操作を撮られた艦長は、軽くメイナにこれから何を伝えるのか言っている。そしてモニターに移ったのは、これから月に対する作戦内容のことであった。
「シオ君、僕らは今この地球の宮崎エリアにいる。今はこうして砂漠で、月の連中はどこになにがいるのか、そして何をするのかを把握するのにはまったくの見渡すのには都合のいいことだろう」画面には月のかぐや姫を象徴するような月のマークがあった。そしてそこに対をなすようにして僕らがいまここで地下の奥深くで立っている簡易的なものが出てきた。「そのために我々は地下にこの巨大兵器を作ることに成功した。それが、その『ラスト・フォート』である。ちなみにこれには戦艦状の形態へと変形することが出来るのだ」そして画面には、地下にあった僕達は巨大な船になっていた。そして艦長はまだ続ける「もしものために、この要塞は、変形することができるようになった。このような施設があと日本に三つほどある」と艦長が言い出すと、沖縄あたりの離島と僕たちがいるこのほかに、北海道の札幌あたりにも、戦艦マークが出てきた。ここまでの何世紀も先の技術がこの日本にあったなんて――僕は聞いてもいられないことを聞こうとしていた。
「ここまでして日本は何がしたかったんですか?」
「第三次世界大戦にて、また新たな日本の帝国を作るとの噂が、私が所属していた自衛隊にて流れていた。私という人間は、そのような不確かな情報は基本は信じない性質たちの人間でな。しかしこのときばかりは、能力者が世界に跋扈しているという20年前の情報と同じような信憑性があった」
 彼は、口が上がったようにして笑っていた。

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