劣等魔術師の下剋上 普通科の異端児は魔術科の魔術競技大会に殴り込むようです
ex ダークホース
時は少し遡る。
決闘終了直後。
「……赤坂隆弘、か」
魔術科二年生、雪城刀夜は先の決闘を思い返しながら、中之条に勝利してみせた一年生の名を呟く。
あの試合結果は本当に予想外だった。
最後に中之条が使った結界はそう簡単に砕ける物じゃない。少なくとも雪城が放てる最大火力の魔術でも一撃で壊すことなどできはしない。
それをやってのけ、勝利を勝ち取った。そして恐らくまだ隠している……というよりも今回の決闘で日の目を出なかった力もあるように思える。
……つまりは強敵だ。
篠宮渚が魔戦に参加する。その事に霞むかもしれないが、彼もまた十分警戒すべき存在だ。
……間違いなく今年の校内予選のダークホース。
突然現れた注目株。
「……勝てるか、俺に」
そんな事を呟きながら、彼の足取りは中之条の控室へと向けられる。
雪城刀夜は知っている。
中之条という男が割と真面目にどうしようもない人間だという事を。
プライドが高くて人に対して高圧的で。気にいらない奴にはとことん攻撃するような無茶苦茶な奴だという事も。
多分赤坂に指摘された通り、篠宮渚を参加させない為に篠宮美月にそれらしい事を言って高圧的に当たったという事も。
それでもあの場に篠宮渚が現れなければ多分何も起きなくて、そして魔戦の実行委員は面倒なだけで内申点にも響かない自主参加のボランティアで、それに中之条は自ら立候補していた事も。
少なくとも自分が友人でいる位には。長く接していれば基本性格は泥水みたいな奴でも、ミネラルウォーター数滴分位はまともな部分があるという事を。
雪城刀夜は知っている。
(……いや、冷静に考えたらそれ純度100%の泥水じゃないか?)
……とにかく。
とにかく慰め位には行った方がいいだろう。
SNSでは魔術科が普通科にデフォルトルールで決闘を申し込んだ事への批難も書かれているが、それでもこれが両者合意の上での決闘であった事や、正直あの場に居合わせた人間の中には赤坂が正しくても少し言い過ぎとの声もあり、そして何より赤坂の強さや中之条のギブアップ直前の醜態に注目が行き、中之条の行為そのものを責める声はあまり目立っていない。
それでも敗北して。そして既にSNS上でおもしろい人みたいな扱いを受けているのはプライドの高い中之条にとって相当精神的ダメージが高い筈だ。
一応、辛うじて友人ではあるのだから。説教して、軽く馬鹿にして。
そしてラーメンにでも連れていってやろう。
「……これに懲りて少しはまともな奴になってくれるといいんだけどな」
多分それは期待できないけれど。
「……まあ無理だろうな」
だとしてもとにかく中之条と合流して、さっさと立ち直らせなければならない。
そして対策を練る必要がある。
篠宮渚という強者と赤坂隆弘というダークホース。プラス実力が良く分からない篠宮美月。
この三人を校内予選で打ち倒す為の策を。
中之条という仲間と共に探っていかなければならない。
「ほんと、新学期早々忙しいなオイ」
そんなボヤキと共に、雪城は中之条の元へと急いだ。
そして雪城だけではない。
篠宮渚の参戦と赤坂隆弘というダークホースの情報は瞬く間に魔術科の生徒に知れ渡った。
各々が強敵の参戦を受けて対策を練り始める。
校内予選開始まであと一週間。対策を練るには十分な時間。
普通科の下剋上は一筋縄では進まない。
決闘終了直後。
「……赤坂隆弘、か」
魔術科二年生、雪城刀夜は先の決闘を思い返しながら、中之条に勝利してみせた一年生の名を呟く。
あの試合結果は本当に予想外だった。
最後に中之条が使った結界はそう簡単に砕ける物じゃない。少なくとも雪城が放てる最大火力の魔術でも一撃で壊すことなどできはしない。
それをやってのけ、勝利を勝ち取った。そして恐らくまだ隠している……というよりも今回の決闘で日の目を出なかった力もあるように思える。
……つまりは強敵だ。
篠宮渚が魔戦に参加する。その事に霞むかもしれないが、彼もまた十分警戒すべき存在だ。
……間違いなく今年の校内予選のダークホース。
突然現れた注目株。
「……勝てるか、俺に」
そんな事を呟きながら、彼の足取りは中之条の控室へと向けられる。
雪城刀夜は知っている。
中之条という男が割と真面目にどうしようもない人間だという事を。
プライドが高くて人に対して高圧的で。気にいらない奴にはとことん攻撃するような無茶苦茶な奴だという事も。
多分赤坂に指摘された通り、篠宮渚を参加させない為に篠宮美月にそれらしい事を言って高圧的に当たったという事も。
それでもあの場に篠宮渚が現れなければ多分何も起きなくて、そして魔戦の実行委員は面倒なだけで内申点にも響かない自主参加のボランティアで、それに中之条は自ら立候補していた事も。
少なくとも自分が友人でいる位には。長く接していれば基本性格は泥水みたいな奴でも、ミネラルウォーター数滴分位はまともな部分があるという事を。
雪城刀夜は知っている。
(……いや、冷静に考えたらそれ純度100%の泥水じゃないか?)
……とにかく。
とにかく慰め位には行った方がいいだろう。
SNSでは魔術科が普通科にデフォルトルールで決闘を申し込んだ事への批難も書かれているが、それでもこれが両者合意の上での決闘であった事や、正直あの場に居合わせた人間の中には赤坂が正しくても少し言い過ぎとの声もあり、そして何より赤坂の強さや中之条のギブアップ直前の醜態に注目が行き、中之条の行為そのものを責める声はあまり目立っていない。
それでも敗北して。そして既にSNS上でおもしろい人みたいな扱いを受けているのはプライドの高い中之条にとって相当精神的ダメージが高い筈だ。
一応、辛うじて友人ではあるのだから。説教して、軽く馬鹿にして。
そしてラーメンにでも連れていってやろう。
「……これに懲りて少しはまともな奴になってくれるといいんだけどな」
多分それは期待できないけれど。
「……まあ無理だろうな」
だとしてもとにかく中之条と合流して、さっさと立ち直らせなければならない。
そして対策を練る必要がある。
篠宮渚という強者と赤坂隆弘というダークホース。プラス実力が良く分からない篠宮美月。
この三人を校内予選で打ち倒す為の策を。
中之条という仲間と共に探っていかなければならない。
「ほんと、新学期早々忙しいなオイ」
そんなボヤキと共に、雪城は中之条の元へと急いだ。
そして雪城だけではない。
篠宮渚の参戦と赤坂隆弘というダークホースの情報は瞬く間に魔術科の生徒に知れ渡った。
各々が強敵の参戦を受けて対策を練り始める。
校内予選開始まであと一週間。対策を練るには十分な時間。
普通科の下剋上は一筋縄では進まない。
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