終焉に近づく世界で俺達は

山下 昇

第6話 これはデートですか?いえ観光です。(逃避)

「着いたな。」
そう、ここは日本ではない。
イギリスの首都ロンドン。初めて来た場所だから戸惑いの方があるが、聞いた話とは違う感じがする。
曰く、死霊が住み着いている。
曰く、国がもはや廃墟。等ヤバい国としか聞いていなかったが、実際はどうだろう
「…凄いな」
天気は晴れ、時間帯的にはまだ朝っぽい。
この街の感想としては見る限り自然的な自然は最早天候しか存在しないが辺りに便利な機器が備わっており、見るだけでこの国は機械の国ということがわかる。
しかし噂に聞いた廃墟感は何処にも感じる所はなく、反対に活気に満ち溢れている。
さらによく見てみると
「人もいる…だと…?」
そう、ここには人々も暮らしていた。
どういうことだと考えていたら、少し遅れて機体から出てきた彼女が答えた。
「実は此処には見ればわかるけど人も住んでいるの。…実は、この戦争が始まったのはここーイギリスからなんだけどその時、此処を支配したのはまだ派閥が別れる前ー要するに人との共存を推し進めていた組織なの。此処はこれから共存をしていく為に必要なことをまとめてそれを一つの国として独立させたの、それがここイギリス。名前はそのままの方が人々も馴染むと思ったから変えなかったらしいよ?」
と彼女は丁寧に答えてくれた。
なるほど、この国はいうならば彼女と彼女のお父さんの夢が現実となった場所らしい。
さらに様子を観察してみると、人種というか生き物として違えど楽しく話合っている人達がいる。
これは凄く意外なことだった。
俺は親を殺され恨むべき、殺すべき相手として彼らを見ていた。しかし此処には共存という選択肢がある。彼らは互いに認めあい、共存という道を可能にしている。
今までの俺では考えれない情景、しかし今はそうでもない。…これも彼女のおかげなのだろう。

「…こういう国があるなんてな。」
と俺は心の中で思ったことをそのまま言葉に出してしまっていた。
「そうだね、私もこの国を見るまではそんなこと出来る訳ないと思ってたんだ。…でもこの国を見てから変わったんだ。だから私はこの旅に出ることを決意したんだ。…今は良かったなと思ってる。」
と彼女は昔を思い出すような感じで答えた。
「そうか…そういえばこの国の守りはどうなってるんだ?」と気になったので聞いたら
「そこは私のお父さんが設立した派閥がしているよ。まぁあっちが全力で攻めてきたら終わりだけどね…」と彼女は話してくれた。
しかし、やはりその位の戦力差はあるのかと思いながら彼女にそろそろ移動しようか、と言って移動をすることにした。

移動中に彼女が教えてくれたのだが、この国は全体がこんな感じらしい。しかしその場所ごとですすんでいる文化が違うため場所ごとで色々違うのだということや、空を強力な魔術結界が覆っており、爆撃もものともしないらしい。ちなみに国の海岸付近は全て軍の施設らしく全方位からの攻撃に備えることができるらしい。
と彼女が色々と教えてくれているといつの間にかロンドンの中心に着いていた。
ので俺は
「じゃあどうするんだ?その知り合いの所に行くのか」と聞いた。
すると彼女は
「うーん知り合いの所はまだ用事があるから明日じゃないと駄目らしいよ?」と言ってきた。
そうなると今日は取り敢えず残りの時間をこの街で過ごさなくてはいけないというわけで…
「…どうするんだ夜まで」
と一応聞いておいた。
すると彼女は
「か、観光でもしようか、かなと…」
と恥ずかしそうに言ってきた。
どうやらデートという事らしい。
「…そっか、なら適当に行くとしようか。」
と彼女の手を引っ張っていった。
「!?え!?ちょっと、瑛翔!?」
と彼女は戸惑っていたがまぁそんなものは気にしたら負けだ。やはり男あるもの常にリードする側でなくてはと思い、何処に行くかも分からずに歩き始めた。

というわけでまずは彼女と俺の服でも買いに行くかと思い、手を繋ぐのは恥ずかしいがそうして衣服店へと向かっていった。
「いらっしゃいませ。どうぞごゆっくりご堪能ください」と店員に話かけられてその言葉で少し冷静になり、少し強引だったかもしれない手の握りを緩めたら、彼女は強く握り返してきた、しかし顔を合わせてくれない。どうやら怒らせてしまったようだ。なので俺は彼女の歩幅に合わせて歩いた。

あれから約4時間が経った
その時間を全て洋服屋さんで過ごしたのだがそれには訳がある。
…可愛すぎるのだ彼女が。
可愛すぎて着せた服をほとんど買ってしまったのだ。
でも仕方ないと思っている。
だって完璧好みの女の子に可愛い服を着せればそりゃあねぇ…
そのため思わず最初は鼻血が垂れてきてしまった。
それ以外にも彼女が俺の服を選んでくれたのだが、その度彼女もトリップしちゃいそうになってるし、なんかよく分からないぬいぐるみを着せては抱きついてきてこちらは心臓バクバクだし、もう大変でした。
買った額は凄いことになってしまったが互いに反省はしている。だが後悔はしていないという風になった。…自分のことではあるがどうにかしてるぜ!全く!

そのあとは特に何も無かったが、一緒に食べ歩きしながら適当に街をぶらぶら歩き回っていた。
そうして、もうすっかり空も暗くなり宿を取ることにした。

「どうする宿」
と聞いたら彼女は
「…一緒に寝れるならいい」
と言ってきて少し混乱が起きたがこれも馴れるしかないという事を自分に言い聞かせて了承した。

そして夜になった。
美味しい夕食を頂き、流石に混浴はアウトということで別々に入り(入って来ようとしたが。)色々している間に寝る時間になった。

「じゃあ寝よう明日はアンリの知り合いの所に行くんだし。」と俺は言った。
彼女も「そうだねじゃあ寝よう」と寝る気らしい。
「お休み」と俺は彼女に声をかける。
「お休み」と彼女も俺に声をかけた所で俺の視界はブラックアウトした。

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