終焉に近づく世界で俺達は

山下 昇

第11話 つかの間の休息

「やっぱり先輩凄かったです。」
と未来は告げる。
…なぜか先輩と呼ばれるようになってしまったが、まあ別にいいだろう。

この戦闘で堅苦しさがなくなったのかは知らないが、お互いに言葉が友達のそれになっていた。
これは、中々に良い進展ではないだろうか?
俺もだが、少しお互いの呼び方が変わった。
これだけで今回、模擬戦を行った意味はあった。そう思う。

とりあえず俺は、彼女に
「まあざっとこんなだな。」
と少し大袈裟に返しておいた。
…しかし、今回の戦闘で俺もまだまだと思うところはあった。
これから修正を繰り返し、精度を上げなければ。
そう思いながら俺は、そう返すのだった。

「そう言えば、これからはどうするつもりなんですか?」
と未来が言ってきた。
「俺が権限を持っているわけでは無いからな。…どうするんだ、アンリ。」と俺
するとアンリは
「うーん、瑛翔の方を優先させてもいいかもしれないよ。」
と言う。

少し困ったが、俺としては早く終えて何事にも動じることなく彼女の力になりたい。
そう思っている。
その思いを二人に伝えた。
すると、二人とも俺の思いを汲み取ってくれたらしく
「わ、私もそれでいいと思うよ?ね、ねえみーちゃん!」
「全く、熱くて手が焼けそうね。…私もそれでいいと思うわ」
と了承の意を示してくれた。

というわけで次の目的としては、俺の復讐に協力して俺の目的を達成させるということになった。

しかし、流石にこれは自分一人で成し遂げなければならないものだ。
おまけに彼女達に罪を背負わせたくはない。
ということを彼女達に伝えた。

そうして返ってきた言葉は
「確かに復讐は瑛翔がするかも知れないけどそれでも瑛翔の為に道は切り開いてあげたいの」
とアンリ
「復讐は確かに私達は手を出すものではないですがそれ以外は別ですよ?先輩」
と未来がそれぞれ俺にそう告げた。
「ありがとう」
俺の第一声はそれだった。
やはり危険もあるとはいえ、自分達にできることをしたい。と言ってくれた彼女達には感謝しかない。

それを聞いた彼女達は、アンリは少し恥ずかしそうに、未来は少し呆れた顔をしていた。

「でも、具体的にはどうするんだ?」
と俺は、空気に水を差すようなことを呟いた。
「具体的にって?」
とアンリがそう言う。
「流石に3人でいくのはどうかと思う。」
と俺はいう。
というのも、今は人類側とホムンクルス側の戦争の真っ只中であること。
さらに人類側の方が不利であること。おまけに自慢では無いが、俺は人類側の最後の切り札と言われていたのだが、そんな俺も今の現状はこれだ。
そうして、現在もホムンクルス側の侵攻が行われている。
それの対策もしなくてはならない。
と俺は思うのだ。

ちなみに俺たちのというかアンリの目的としては、人類側の滅亡を阻止して人類とホムンクルスの共存をする世界を作る。というものだ。
その絶対条件として、人類の滅亡を阻止しなくてはならないのだ。

それらの意見を彼女達に告げたら
彼女達も黙ってしまった。

数分後、未来がこう呟いた。
「分かりました先輩。私がここに残って何とかします。」
と、言ってきた。
「いや、それをやらせる訳には…いかない。」
しかし、彼女は
「いえ、大丈夫ですよ。アンリは頑張って支えて上げてください。」
と言う。
俺は彼女がそれでいいというならそれでいいと思うのでアンリに聞いてみた。
アンリも少し戸惑いがあったが納得したようだ。

こうして次の目的が決まり、それぞれそれへと迎っていくのであった。

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