終焉に近づく世界で俺達は

山下 昇

第17話 敗けはしない…彼女の為に

一瞬、視界が揺らぐ。
「くそ、最初からそれを使うか!?遥香よおー!!!」
彼女が使ったものは、「精霊の御心」という彼女が独自で作り上げた魔法だ。
魔法構成としては、無属性以外の属性の精霊を使っての大魔法だ。
魔力量の消費としては普通なら死ぬ。魔力保有量の面で天才と呼ばれている人達でも致死量の魔力消費をする。
それを可能としているのが、彼女の恐ろしいところだろう。
さらに効果としては、相手に行動制限や、幻覚、魔力消費の増加等の効果があり、さらに自分へのバフに魔力消費抑制等があるためにこちらにとっては厄介この上ないのだ。

彼女は、楽しそうに微笑みながらこう答える。
「お兄ちゃん相手に手を抜くといいことはないからね、最初から本気で行くよ?お兄ちゃん」
そういって彼女は動きだす。

まずは彼女は、こんな魔法を唱える。

牢獄世界プリズンワールド
彼女が、それを唱えた瞬間周りは闇に包まれる

これも彼女が作った大魔法と言えるだろう。

永久に作られることはないと言われた牢獄型のデバフ技、やはり作れないと言われたのは魔力保有量の問題だろう。

しかし、魔力消費はさっき彼女が唱えた「精霊の御心」の効果で消費量は抑えることができる。

効果としては、相手に掛かっているデバフの倍増という効果だ。

これによりどんな問題が起きるかというと

「動きずらい…!」
体が思うように動かない。しかし、普通なら体は動くことが出来ないことを考えるとまだマシだろう。

「お兄ちゃん、頑張らないでください…大丈夫です、これが終わってからその後ろにいるお二人は処理しますから…!」
彼女はさらに続けてこう唱えた。

「能力反転」
これの能力は相手に掛かっているデバフをバフに変換して、自分にその分のバフを掛けるといったものだ。
この3つの魔法という名のチートが俺を追い込めていく。

「お兄ちゃん、もう終わらせましょう。…終わってから後のことは考えましょう。…ね?お兄ちゃん?」
そうして、彼女は止めとばかりに胸、足、踵にそれぞれ肘打ち、連続正拳突き、足払いを掛けて来て、最後に

「…少し眠っててください。…お兄ちゃん。」
「サンダーバーストエンドレスストーム」
瞬間俺の周りにのみ巨大な嵐が現れた。
現れたと思えば、爆発、落雷、嵐の三点攻撃が続く。

「解放」
その一言で全てが、爆発して消えた。

「ぐはぁ!?」
俺はそれで飛ばされた。

…くそ相変わらずのチート性能だ。こら勝てないかもしれないな。
そう考えてしまった。
しかし、後ろには彼女ーアンリがいる。

守らなくては、その一心で立ち上がった。

「くそ、やっぱやりたくない相手だぜ全く。」
俺は悪態を彼女につきながら、だがという。

「全く舐められたもんだな、俺も…俺の得意とすることを忘れているらしいな。遥香?」
「お兄ちゃん、強がりはいいよ?もう出来ることはないと思うよ?」

さて?本当にそうなのか?
それは今から分かるさ、見せてやるよ。

「ごめん、アンリ。こっちに来てくれ。」
俺はアンリに告げた。
…ごめん、アンリ君の初めては俺が頂くぞ。

アンリはすぐにこちらに来てくれた。

なら、頂きます。

俺は彼女の唇を奪った。
彼女を愛らしく、そして、激しく求めた。

「ん!?んーーー!?」
どうやら彼女も急なことで思考が追いついていないようだ。

「…お兄ちゃん、どういうことかな?下手をすればお兄ちゃんごと燃やすよ…?」
さっき、アンリがこちらによって来た時にすでに不機嫌な顔をしていたが、もう限界らしい。

俺は30秒の長いキスになったが、やっと彼女を離した。
少し彼女はよろめいてしまったので懐抱してあげる。

「なに、これでやる気は貰ったってことさ…遥香、覚悟しろよ?ここまで追い詰めたのは認めてやるよ。」
さぁ、やるぞ
俺はアンリを未来に託し、遥香に向かってそう告げた。

「お兄ちゃんも馬鹿になっちゃったの?」
彼女は微笑みながらそう言うがそれは違う。なら何か?…それは今から分かる。

「…いくぞ、遥香。死なないようにしてくれよ?」
俺がそう言うと彼女もらしい。
なら手加減はいらないな。

俺はまずはある物を唱えた。
不感知インビジブル
俺のお得意だ。
彼女もどこに行ったか、心眼で探しているだろう。

しかし、それも意味がない。今から唱えるものを使えば。
「分離」「拡散」
これの効果はいうなら自分たちの分身を作ったと言えばわかるだろう。
しかし、それだけではバレる。彼女は気付いてしまうだろう。
しかし、心の方を移動させればよいだろう?
だから、俺は思考だけを残し拡散した。

心眼で見ている場合は俺はただのモブだろうさ。

さて、あとは大掛かりなあれでもやりますか。
一人に未来を逃してもらい、あとは唱えるのみさ。
無属性最強のこの技をお見舞いしてあげますよ。

「我、混沌の覇者なり、全てを無に返す力を我に与えたまえ。」
「無に返せ「破滅の炎インフェルノ!」

「きゃあーーー!?」
どこからともなく彼女の声は聞こえる。

しかし、俺はそのことを考える間もなく闇へ誘われた。

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