元、チート魔王が頼りない件。
日常から異常へ――
奇妙な出来事が起きた翌日。
俺は重い体を無理やり起こして学校に一人で向かっていた。
『ところで……今日は何処から砦を攻めるんだ? 説明が大雑把すぎて全然分からないし』
任務のためかは知らないが脳内でどうやら話せるらしい。昨日の意思疎通みたいなものだ。
『説明は行ったら教えてやっから』
だから場所はどこなんだよ……。
『そ、そっか。ていうか勇者と契約を交わした子は勇者が死ぬと死ぬんだよな……? なら万が一、勇者に遭遇してしまいそいつを倒し死人が近所で出るとかは無いのか? 絶対に嫌だぞ』
『安心しろ。倒せないから!』
そんな笑いながら言われてもなぁ……。魔王様の笑顔が見えたような気がした。
『逆にバレて俺らが殺される。とかも嫌だぞ』
『その点は安心しろ! 砦さえ取り返して自分の陣地にさえしてしまえば俺も力を発揮できる!』
『いや……そうじゃなくて。砦を取り返すまでの話だよ!』
『……』
『いやいやいや! 黙るな! 怖いから!』
と、大事な話をしているのに少し変かもしれないけど割と楽しみだな。とも思ってきていた。
昨日、寝る前に思ったんだけど誰だって小さい頃は勇者とかに憧れていたはずだ。
そう考えると少しだけ気持ちが楽になった。というのもあるかもしれない。
まぁ実際に俺が契約したのは悪魔なんだけどな。
『で、魔界に入るための場……』
「おっはよー!」
と、俺達の会話に割って入るかのように胡桃が後ろから俺の背中を押し話しかけてくる。
「うるさいな……俺は今、大事な話をしているんだよ」
すると彼女はポカンとするような顔をし首を傾げる。
「誰と……?」
あ、そうだった。魔王様と話してんのは俺だけなのか。
そう思い、脳内で『話の続きは後で』と告げ適当に話を返す。
「あー! ごめんごめん! 何もないから」
「そう……?」
不思議そうにはしていたがそのまま別の話題に切り替えてくれたのでなんとか助かった。
掃除の件は見逃してやることにしよう。
この後も胡桃とも歓談を済ませ教室に入り準備を済ませる。
ロッカーに自分の荷物を入れた後に男友達とたわいもない話をし窓際一番後ろとかいう特等席に座り朝学活が始まる。
そして一限、二限と続く。今日は四限まで席に座って聞くような教科ばかりだ。
やっと三限。教科は社会。
いつもなら好きなほうなので割と真面目に聞いているのだが……眠い。ただただ眠い。
「えー、第二次世界大戦は……」
先生の話が全く話が入ってこない。
今までの俺は授業だけはまともに聞いてきた。それなのに眠い。
どれもこれも魔王様のせいだ。
いや……魔王様?
そうか! その手があったか!
俺は寝ないために魔王様と話すことにした。脳内で会話するんだからバレるわけないもんな。
そう思い俺は未だに慣れない感覚を使い、魔王に話しかける。
『魔王様ー! さっき話せなかった話の続きをしましょう』
『ぐごおぉぉぉお』
声を聞く限り魔王様は熟睡していた。俺はあまり寝れてないのに……寝て、ないのに――
「ふざっけんなよ!」
俺は教室に鳴り響くような声で怒鳴ってしまった。
後ろに注目が一気に集まる。
「あははは」と笑って誤魔化すように頭をペコペコする。
すると真剣な表情で先生がトントンと足音を鳴らし近づいてきた。
はぁ……怒られるのかな。
そう思った頃には既に両肩をがっしり掴まれていた。
すみませんでした。と謝ろうと思った矢先、先生は突然泣き始めた。
「ひっく……。そうだよな。この戦争は悲惨だよな……関心意欲が高くて、、それに感心するよ」
日頃の行いが幸をそうしたなと思った。
その後、様々な授業があったが六限になる頃にやっと起きた魔王様から場所だけは聞くことが出来た。
そしてチャイムと共に学校は終わる。
いつもなら友達と帰るところが一人、颯爽と教室から出てダッシュで階段を下り、魔王様の言っていた場所へ向かう。
暫く走り続けその場所へ到着する。
『はぁはぁ。ここでいいんだよな?』
『そのはずだぜ』
そう。俺はバス停、裏。といっても特に何も無いのガランとした場所に到着していた。
『早くしないと知り合いが来るかもしれないから。急ごう』
『分かってるって』
そう言うと昨日とは少し違う詠唱を唱える。
気持ち悪い感覚と共に段々と目に映る映像が繊細になっていき視界も安定する。
『到着だぜ!』
着いた場所は牢獄の中だった。相手の砦ということもあるのか普通に話すのではなく意思疎通で話す。
『おいおいおい! 来た直後から捕えられてるんですがどういうことなんですかー?』
もしかして勘づいてそこに送るようにされたのか?
『もう一つ。大事な事を話していなかったな……! 実を言うと各砦にある水晶を壊して自分達のを置けば自然とこちらの砦になる。って言ったよな。その水晶を守る幹部のような奴がもちろんいるってことだ!』
『えっ……聞いてないぞ!? そんなの勝ち目ないだろ! もう魔王軍滅んでしまえよ!』
『ちなみに魔王軍がこの世界から放り出された迷わず地球を侵略するぞ』
そこだけは魔王様なんだよなぁ……根は良い奴な気がするのに。
『ゴホン。とりあえずそんな事はどうでもいいんだ。幹部のようなやつがいると言っただろ?』
『お、おう?』
『そいつも勿論お前らの力を得ているわけだ。その人間の性格や思いによって砦も形成されると言ってたぞ?』
『思いが強ければ強いほど砦も丈夫になるし。性格や思い出でまるっきり形状が変わるってことか?』
『そうなるな』
つまり牢屋って事は何だ?
犯罪者か何かの力なのか? つまりはだ。俺と契約したから若い人限定かな。とも思えたが恐らくそういうのは無いのだろう。
それともう一つ。砦を守るやつがいるってことは最低でも一人は殺さなきゃならないんじゃないのか?
『おい。一人守ってるやつがいるんだよな? つまり殺さなきゃになるんじゃないのか?』
『その点は安心しろ。守るやつがいるだけだ。お前らの遊戯に缶蹴りってあるだろ。あれのルール覚えてるか?』
『見つかっても缶を蹴ることさえ出来れば逃げられる』
『そう。だから水晶さえ変えちまえばいいんだ。そうすると砦の所有権は俺らのものになり勇者からは人間の力が抜かれる』
『つまりめちゃくちゃ弱くなると?』
『そういう事だ』
『で、契約してた人間の方はどうなるんだ?』
『あるべき姿に戻る。つまり願いなんて叶ってない状態にな』
『記憶は?』
『もちろん残るさ。絶望したりはしてしまうかもな。まぁ、お前の嫌がっていた死ぬなんてことはないから安心しろ』
『お前を信じるよ……』
『でもな……裏を返せば恨みを持ったやつを殺せるってことだ』
その声は低く俺に悪いことを吹き込もうとしているようにも思えた。
『そんな事しないから……大丈夫』
そして俺は一つ間を置きとりあえず気になることを聞く。
『最後に一つ。水晶は何処にある?』
『最上部。一番上の部屋だ』
分かりそうで分からない。
まぁ要するに一番上の部屋の水晶をこっそりと変えちまえばいいんだろ?
それを変える間に殺されたら終わり。変えられたら俺らの勝ちってか……。
すっごく怖くて足が震えるし死にたくないって感情かはり巡る。それなのにわくわくも止まらないんだよな……。
もしかして本当の俺はおかしいやつだったのか。
『何か考え事をしてるみたいだがいいか?』
『お、おう!』
『それじゃあ、まずこの牢屋から出て水晶ぶっ壊してさっさと帰るぞ!』
その掛け声で俺も右手を大きく上げた。
俺は重い体を無理やり起こして学校に一人で向かっていた。
『ところで……今日は何処から砦を攻めるんだ? 説明が大雑把すぎて全然分からないし』
任務のためかは知らないが脳内でどうやら話せるらしい。昨日の意思疎通みたいなものだ。
『説明は行ったら教えてやっから』
だから場所はどこなんだよ……。
『そ、そっか。ていうか勇者と契約を交わした子は勇者が死ぬと死ぬんだよな……? なら万が一、勇者に遭遇してしまいそいつを倒し死人が近所で出るとかは無いのか? 絶対に嫌だぞ』
『安心しろ。倒せないから!』
そんな笑いながら言われてもなぁ……。魔王様の笑顔が見えたような気がした。
『逆にバレて俺らが殺される。とかも嫌だぞ』
『その点は安心しろ! 砦さえ取り返して自分の陣地にさえしてしまえば俺も力を発揮できる!』
『いや……そうじゃなくて。砦を取り返すまでの話だよ!』
『……』
『いやいやいや! 黙るな! 怖いから!』
と、大事な話をしているのに少し変かもしれないけど割と楽しみだな。とも思ってきていた。
昨日、寝る前に思ったんだけど誰だって小さい頃は勇者とかに憧れていたはずだ。
そう考えると少しだけ気持ちが楽になった。というのもあるかもしれない。
まぁ実際に俺が契約したのは悪魔なんだけどな。
『で、魔界に入るための場……』
「おっはよー!」
と、俺達の会話に割って入るかのように胡桃が後ろから俺の背中を押し話しかけてくる。
「うるさいな……俺は今、大事な話をしているんだよ」
すると彼女はポカンとするような顔をし首を傾げる。
「誰と……?」
あ、そうだった。魔王様と話してんのは俺だけなのか。
そう思い、脳内で『話の続きは後で』と告げ適当に話を返す。
「あー! ごめんごめん! 何もないから」
「そう……?」
不思議そうにはしていたがそのまま別の話題に切り替えてくれたのでなんとか助かった。
掃除の件は見逃してやることにしよう。
この後も胡桃とも歓談を済ませ教室に入り準備を済ませる。
ロッカーに自分の荷物を入れた後に男友達とたわいもない話をし窓際一番後ろとかいう特等席に座り朝学活が始まる。
そして一限、二限と続く。今日は四限まで席に座って聞くような教科ばかりだ。
やっと三限。教科は社会。
いつもなら好きなほうなので割と真面目に聞いているのだが……眠い。ただただ眠い。
「えー、第二次世界大戦は……」
先生の話が全く話が入ってこない。
今までの俺は授業だけはまともに聞いてきた。それなのに眠い。
どれもこれも魔王様のせいだ。
いや……魔王様?
そうか! その手があったか!
俺は寝ないために魔王様と話すことにした。脳内で会話するんだからバレるわけないもんな。
そう思い俺は未だに慣れない感覚を使い、魔王に話しかける。
『魔王様ー! さっき話せなかった話の続きをしましょう』
『ぐごおぉぉぉお』
声を聞く限り魔王様は熟睡していた。俺はあまり寝れてないのに……寝て、ないのに――
「ふざっけんなよ!」
俺は教室に鳴り響くような声で怒鳴ってしまった。
後ろに注目が一気に集まる。
「あははは」と笑って誤魔化すように頭をペコペコする。
すると真剣な表情で先生がトントンと足音を鳴らし近づいてきた。
はぁ……怒られるのかな。
そう思った頃には既に両肩をがっしり掴まれていた。
すみませんでした。と謝ろうと思った矢先、先生は突然泣き始めた。
「ひっく……。そうだよな。この戦争は悲惨だよな……関心意欲が高くて、、それに感心するよ」
日頃の行いが幸をそうしたなと思った。
その後、様々な授業があったが六限になる頃にやっと起きた魔王様から場所だけは聞くことが出来た。
そしてチャイムと共に学校は終わる。
いつもなら友達と帰るところが一人、颯爽と教室から出てダッシュで階段を下り、魔王様の言っていた場所へ向かう。
暫く走り続けその場所へ到着する。
『はぁはぁ。ここでいいんだよな?』
『そのはずだぜ』
そう。俺はバス停、裏。といっても特に何も無いのガランとした場所に到着していた。
『早くしないと知り合いが来るかもしれないから。急ごう』
『分かってるって』
そう言うと昨日とは少し違う詠唱を唱える。
気持ち悪い感覚と共に段々と目に映る映像が繊細になっていき視界も安定する。
『到着だぜ!』
着いた場所は牢獄の中だった。相手の砦ということもあるのか普通に話すのではなく意思疎通で話す。
『おいおいおい! 来た直後から捕えられてるんですがどういうことなんですかー?』
もしかして勘づいてそこに送るようにされたのか?
『もう一つ。大事な事を話していなかったな……! 実を言うと各砦にある水晶を壊して自分達のを置けば自然とこちらの砦になる。って言ったよな。その水晶を守る幹部のような奴がもちろんいるってことだ!』
『えっ……聞いてないぞ!? そんなの勝ち目ないだろ! もう魔王軍滅んでしまえよ!』
『ちなみに魔王軍がこの世界から放り出された迷わず地球を侵略するぞ』
そこだけは魔王様なんだよなぁ……根は良い奴な気がするのに。
『ゴホン。とりあえずそんな事はどうでもいいんだ。幹部のようなやつがいると言っただろ?』
『お、おう?』
『そいつも勿論お前らの力を得ているわけだ。その人間の性格や思いによって砦も形成されると言ってたぞ?』
『思いが強ければ強いほど砦も丈夫になるし。性格や思い出でまるっきり形状が変わるってことか?』
『そうなるな』
つまり牢屋って事は何だ?
犯罪者か何かの力なのか? つまりはだ。俺と契約したから若い人限定かな。とも思えたが恐らくそういうのは無いのだろう。
それともう一つ。砦を守るやつがいるってことは最低でも一人は殺さなきゃならないんじゃないのか?
『おい。一人守ってるやつがいるんだよな? つまり殺さなきゃになるんじゃないのか?』
『その点は安心しろ。守るやつがいるだけだ。お前らの遊戯に缶蹴りってあるだろ。あれのルール覚えてるか?』
『見つかっても缶を蹴ることさえ出来れば逃げられる』
『そう。だから水晶さえ変えちまえばいいんだ。そうすると砦の所有権は俺らのものになり勇者からは人間の力が抜かれる』
『つまりめちゃくちゃ弱くなると?』
『そういう事だ』
『で、契約してた人間の方はどうなるんだ?』
『あるべき姿に戻る。つまり願いなんて叶ってない状態にな』
『記憶は?』
『もちろん残るさ。絶望したりはしてしまうかもな。まぁ、お前の嫌がっていた死ぬなんてことはないから安心しろ』
『お前を信じるよ……』
『でもな……裏を返せば恨みを持ったやつを殺せるってことだ』
その声は低く俺に悪いことを吹き込もうとしているようにも思えた。
『そんな事しないから……大丈夫』
そして俺は一つ間を置きとりあえず気になることを聞く。
『最後に一つ。水晶は何処にある?』
『最上部。一番上の部屋だ』
分かりそうで分からない。
まぁ要するに一番上の部屋の水晶をこっそりと変えちまえばいいんだろ?
それを変える間に殺されたら終わり。変えられたら俺らの勝ちってか……。
すっごく怖くて足が震えるし死にたくないって感情かはり巡る。それなのにわくわくも止まらないんだよな……。
もしかして本当の俺はおかしいやつだったのか。
『何か考え事をしてるみたいだがいいか?』
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『それじゃあ、まずこの牢屋から出て水晶ぶっ壊してさっさと帰るぞ!』
その掛け声で俺も右手を大きく上げた。
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