元、チート魔王が頼りない件。
覚悟を決めろ
俺はチャリに乗りながらも、敵を魔法で払い、学校まですぐに戻ってきた。
「はぁはぁ……。鍵、持ってきたぞ」
グラウンドに急いで戻り、聞こえるような声を出す。
魔王と胡桃の姿はどこにも無く、ただただ荒れている地が残されているだけで、どこに行ったのかも分からない。
ちなみに、他の魔王軍と勇者は未だに戦っていた。
「やっと持ってきたか。おっせーなぁ」
「うるせぇ。これでも戦ってきたんだよ。それで、あの二人はどこに行ったんだ?」
「私が危険と判断して、二人を別の空間に閉じ込めた」
こいつの力は凄いな……。あの二人を閉じ込めるって……。
「お、おい。それって、魔王様は大丈夫なのかよ」
「さぁな。お前が生きてるってことは大丈夫。何じゃないか?」
信用ならないな。怖すぎるんですけど。
「……まぁいいや。それより、鍵を持ってきたぞ」
「お……。じゃあ、これも魔王様に頼まれてるんだけど……。いい? よく聞いてね?」
「お、おう」
周りの人間……いや、世界を馬鹿にしてるようなこいつが真面目に話してるってことは相当大事なことだよな。
「もしも俺様がいなかったら……『世界を救って欲しい』だってさ」
「世界を……!?」
な、何を言っているんだ?? この世界にそんな意味があるのか?! 異変はこの街だけじゃないのか?!
「ふふ。そう世界を! 実はね。この現象。ここを中心にどんどん広がっている」
「人間が突然狂い出したように暴れ出す現象が……か?」
「そう。私だって、意味は分かってないよー。でも、『勇者がしたことに間違いはない』」
「……分かった。死ぬかもしれない。正直、俺は怖いよ。めちゃくちゃ怖い。でも、周りの奴らを守るには助けに行くしかないんだろ? ……魔王様と契約した俺が」
「分かってんじゃん。頑張ってー」
「こんなセリフを放ってから言うのもなんだけど、お前は来ないのか……?」
「私は来るなって言……じゃなくて、お前じゃなきゃ入れないんだってよ」
……今の間違いは何なんだよ。あー! もうイライラすんな! 何が正しくて何が間違ってんだよ。分かんねぇ。
こいつの言うことをそのまま聞いてていのか?
「で、どこから入るんだよ」
「そこ。屋上。何か光ってる場所」
……さっきまであんなのは無かったぞ?
「何か聞きたげな顔だね。あれは勇者側の進行が進んでいるのか突然出てきたんだよ」
「……」
「怪しがる、お前の気持ちも分かるけどさ。『立ち止まっててもどうしようもない』んじゃないの?」
……そこを付かれては何も言い返すことが出来ない。
「分かった。任せろ。あいつらを守ってやってくれ」
と、学校の奴らに指を指す。
「そうこなくっちゃ!」
彼女は笑顔でニコッと笑った。
俺は階段を一気に駆け上る。
……そうだ。ここまで、魔王様と戦ってきたんだ。疑うなんて不謹慎だろ。
そして、あっという間に屋上前の踊り場へと到着する。
「……って」
どこからか声が聞こえる。
学校七不思議とかでありそうな唸り声だ。だが、その声は俺に何かを伝えようとしているようにも聞こえた。
「……って」
待って。と言っているのか? どこから聞こえてくるんだ?
今度は耳をすませて、しっかりと聞く。
どうやら、さっき俺が殺されかけた廊下から聞こえてるみたいだ。
……気持ち悪くなってきた。だって、やよいの死体があるかもしんねえんだろ?
俺は恐る恐る角を曲がり、廊下へと出る。
そこには割られた窓ガラスと大量の血が散乱していた。
学校七不思議なんかよりも全然怖い。何たって、廊下の中央には血塗れで分かりにくいが、この学校の制服と思われるものと血でどす黒くなったニーソックスが落ちていた……いや、下半身だけがポロっと取れていたんだから。
「オェ……」
俺はその場で気持ち悪くなり、吐いてしまう。
この倒れてる女子は多分……やよいなんだよな。
「……お前にはたくさん迷惑をかけられたな」
時間が無いのにも関わらず、同情してしまったのか、手に吐き出した嘔吐物を回復系スキルで取り除き体調を整えたあと、やよいに駆け寄り目線……いや。高さを合わせて話しかける。
「……気が、付いてくれて、、ありが……とう」
「うわっ!」
俺は驚き後ろに仰け反ってしまった。
別に気持ち悪かったから仰け反った訳では無い、単純に驚いたのだ。もう言葉は交わせないと思っていたが生きていたのだから。
いや、本音を言うと嬉しかった。迷惑をかけられても楽しい思い出は消えないんだな。と思った。それが少なくても。
「す、凄く嬉しいんだけどさ……。やよいは生きてるのか……?」
俺は体制を整えてから、再び話しかける。
「……何とか、ね。でも、また……君と話、せるとは……思わな、、かった。生きて……るか、と言われ、たら死んで……るの、かも……ね。だって、その……下半身、しか無いし」
「恥ずかしいよ」と続けて話した。
「そんな事ない。俺とお前は今、話してるだろ。これが証拠じゃないか。お前は生きている。恥ずかしくなんてない。何とかして生きようとして、俺に会いたいと思ってくれたんだろ? それは誇らしい事じゃねぇか。勇者と魔王側だって、いつかは分かり合えるだろ。お前の体は……。その『俺が何とかして回復するから』」
無責任だとは思うけど、魔王軍の誰かに頼んだりすればどうにかなるかもしれないからな。
「それは……無理、じゃ、、ないかな」
「何でだよ」
「上半身が無い、なんて……死んでるも、同じだ、よ? そんなの……人を復活させ……るも、同じ。『神』も……同じ」
「……確かに、神にはなれないけどよ。希望を捨てる訳にはいかねぇだろ」
「いいよ……もう。ありがとう。そこまで考え、てくれて……。人を生き返ら、せるなんて、良く……ないよ」
「……」
嫌だけど……諦めるしか無いのか?
「それより、さ……。よく、聞いて、ね」
「よくって……死ぬことより大事な話なのか?」
「う、ん。大事……だよ」
実際には見えないが涙がこぼれたように見えた。
「おい! 本当に大丈夫かよ?」
「……。うん。大丈夫……だよ」
その声は何か覚悟を決めたようにも聞こえた。
「あの、、ね……。よく聞、いてね?」
「あぁ。分かった」
「今、持って……いる、と思う、鍵……なんだ、けど。それ……は」
ビシャッ
俺が真剣に話していた、『生きている』やよいの体は綺麗に消え去り、俺の顔面に血が吹き飛んだ。
……何で、、だ?
「あ、そこに生きてる勇者発見ー! ほら、『壮一君っ。早く行きなよ? ね?』」
「て、てめぇ。ふざけてんじゃねぇぞ!!!!」
「君が言ったんだよ? 守ってやってくれ。って、そいつは危害を加えるかもしれない。それだけだよー。そんなに怒んなって! 早く行きなよ!」
やよいを生き返らせる手段を得るためにも、絶対扉を開けて真実を見てやる。
夏奈や胡桃を救うためにも……。周りの人間を助けるためにも……。
「……」
俺は何も言わず、リミルをギロッと睨みつけ屋上へ入る。
そこには鍵穴とは見合わない大きな扉があった。
穴に鍵を差し込み、扉を開ける。
……絶対に俺がこの件を解決してやるからな!!
「はぁはぁ……。鍵、持ってきたぞ」
グラウンドに急いで戻り、聞こえるような声を出す。
魔王と胡桃の姿はどこにも無く、ただただ荒れている地が残されているだけで、どこに行ったのかも分からない。
ちなみに、他の魔王軍と勇者は未だに戦っていた。
「やっと持ってきたか。おっせーなぁ」
「うるせぇ。これでも戦ってきたんだよ。それで、あの二人はどこに行ったんだ?」
「私が危険と判断して、二人を別の空間に閉じ込めた」
こいつの力は凄いな……。あの二人を閉じ込めるって……。
「お、おい。それって、魔王様は大丈夫なのかよ」
「さぁな。お前が生きてるってことは大丈夫。何じゃないか?」
信用ならないな。怖すぎるんですけど。
「……まぁいいや。それより、鍵を持ってきたぞ」
「お……。じゃあ、これも魔王様に頼まれてるんだけど……。いい? よく聞いてね?」
「お、おう」
周りの人間……いや、世界を馬鹿にしてるようなこいつが真面目に話してるってことは相当大事なことだよな。
「もしも俺様がいなかったら……『世界を救って欲しい』だってさ」
「世界を……!?」
な、何を言っているんだ?? この世界にそんな意味があるのか?! 異変はこの街だけじゃないのか?!
「ふふ。そう世界を! 実はね。この現象。ここを中心にどんどん広がっている」
「人間が突然狂い出したように暴れ出す現象が……か?」
「そう。私だって、意味は分かってないよー。でも、『勇者がしたことに間違いはない』」
「……分かった。死ぬかもしれない。正直、俺は怖いよ。めちゃくちゃ怖い。でも、周りの奴らを守るには助けに行くしかないんだろ? ……魔王様と契約した俺が」
「分かってんじゃん。頑張ってー」
「こんなセリフを放ってから言うのもなんだけど、お前は来ないのか……?」
「私は来るなって言……じゃなくて、お前じゃなきゃ入れないんだってよ」
……今の間違いは何なんだよ。あー! もうイライラすんな! 何が正しくて何が間違ってんだよ。分かんねぇ。
こいつの言うことをそのまま聞いてていのか?
「で、どこから入るんだよ」
「そこ。屋上。何か光ってる場所」
……さっきまであんなのは無かったぞ?
「何か聞きたげな顔だね。あれは勇者側の進行が進んでいるのか突然出てきたんだよ」
「……」
「怪しがる、お前の気持ちも分かるけどさ。『立ち止まっててもどうしようもない』んじゃないの?」
……そこを付かれては何も言い返すことが出来ない。
「分かった。任せろ。あいつらを守ってやってくれ」
と、学校の奴らに指を指す。
「そうこなくっちゃ!」
彼女は笑顔でニコッと笑った。
俺は階段を一気に駆け上る。
……そうだ。ここまで、魔王様と戦ってきたんだ。疑うなんて不謹慎だろ。
そして、あっという間に屋上前の踊り場へと到着する。
「……って」
どこからか声が聞こえる。
学校七不思議とかでありそうな唸り声だ。だが、その声は俺に何かを伝えようとしているようにも聞こえた。
「……って」
待って。と言っているのか? どこから聞こえてくるんだ?
今度は耳をすませて、しっかりと聞く。
どうやら、さっき俺が殺されかけた廊下から聞こえてるみたいだ。
……気持ち悪くなってきた。だって、やよいの死体があるかもしんねえんだろ?
俺は恐る恐る角を曲がり、廊下へと出る。
そこには割られた窓ガラスと大量の血が散乱していた。
学校七不思議なんかよりも全然怖い。何たって、廊下の中央には血塗れで分かりにくいが、この学校の制服と思われるものと血でどす黒くなったニーソックスが落ちていた……いや、下半身だけがポロっと取れていたんだから。
「オェ……」
俺はその場で気持ち悪くなり、吐いてしまう。
この倒れてる女子は多分……やよいなんだよな。
「……お前にはたくさん迷惑をかけられたな」
時間が無いのにも関わらず、同情してしまったのか、手に吐き出した嘔吐物を回復系スキルで取り除き体調を整えたあと、やよいに駆け寄り目線……いや。高さを合わせて話しかける。
「……気が、付いてくれて、、ありが……とう」
「うわっ!」
俺は驚き後ろに仰け反ってしまった。
別に気持ち悪かったから仰け反った訳では無い、単純に驚いたのだ。もう言葉は交わせないと思っていたが生きていたのだから。
いや、本音を言うと嬉しかった。迷惑をかけられても楽しい思い出は消えないんだな。と思った。それが少なくても。
「す、凄く嬉しいんだけどさ……。やよいは生きてるのか……?」
俺は体制を整えてから、再び話しかける。
「……何とか、ね。でも、また……君と話、せるとは……思わな、、かった。生きて……るか、と言われ、たら死んで……るの、かも……ね。だって、その……下半身、しか無いし」
「恥ずかしいよ」と続けて話した。
「そんな事ない。俺とお前は今、話してるだろ。これが証拠じゃないか。お前は生きている。恥ずかしくなんてない。何とかして生きようとして、俺に会いたいと思ってくれたんだろ? それは誇らしい事じゃねぇか。勇者と魔王側だって、いつかは分かり合えるだろ。お前の体は……。その『俺が何とかして回復するから』」
無責任だとは思うけど、魔王軍の誰かに頼んだりすればどうにかなるかもしれないからな。
「それは……無理、じゃ、、ないかな」
「何でだよ」
「上半身が無い、なんて……死んでるも、同じだ、よ? そんなの……人を復活させ……るも、同じ。『神』も……同じ」
「……確かに、神にはなれないけどよ。希望を捨てる訳にはいかねぇだろ」
「いいよ……もう。ありがとう。そこまで考え、てくれて……。人を生き返ら、せるなんて、良く……ないよ」
「……」
嫌だけど……諦めるしか無いのか?
「それより、さ……。よく、聞いて、ね」
「よくって……死ぬことより大事な話なのか?」
「う、ん。大事……だよ」
実際には見えないが涙がこぼれたように見えた。
「おい! 本当に大丈夫かよ?」
「……。うん。大丈夫……だよ」
その声は何か覚悟を決めたようにも聞こえた。
「あの、、ね……。よく聞、いてね?」
「あぁ。分かった」
「今、持って……いる、と思う、鍵……なんだ、けど。それ……は」
ビシャッ
俺が真剣に話していた、『生きている』やよいの体は綺麗に消え去り、俺の顔面に血が吹き飛んだ。
……何で、、だ?
「あ、そこに生きてる勇者発見ー! ほら、『壮一君っ。早く行きなよ? ね?』」
「て、てめぇ。ふざけてんじゃねぇぞ!!!!」
「君が言ったんだよ? 守ってやってくれ。って、そいつは危害を加えるかもしれない。それだけだよー。そんなに怒んなって! 早く行きなよ!」
やよいを生き返らせる手段を得るためにも、絶対扉を開けて真実を見てやる。
夏奈や胡桃を救うためにも……。周りの人間を助けるためにも……。
「……」
俺は何も言わず、リミルをギロッと睨みつけ屋上へ入る。
そこには鍵穴とは見合わない大きな扉があった。
穴に鍵を差し込み、扉を開ける。
……絶対に俺がこの件を解決してやるからな!!
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