教師な僕と生徒な彼女

きりんのつばさ

何しているんですか先生・・・

とある日
「一色先生~!」
僕が廊下を歩いていると後ろから声をかけられた。
「ん?五十嵐先生?
どうかされましたか?」
声の主は五十嵐先生だった。
「いきなりですみませんが
今度の休日は暇ですか?」
「今度の休日ですか・・・
少し待ってください」
自分のスケジュール帳を確認してみた。
「どうですか・・・?」
「何にもないようですね・・・
ところで予定を聞いてきたのですが
どうしましたか?」
わざわざ予定を聞いてきたんだ
何かしら深い理由があるはずだ。
「実は・・・」
・・・・
・・・
・・

「何しているんですか先生・・・」
僕は呆れながら言った。
「すみません・・・」
と申し訳なさそうにいう五十嵐先生。
「備品を買い行くのには付き合うのは
構いません・・・ええ構いませんよ」
「あの・・・一色先生?」
おそるおそる聞いてくる先生。
「まさかジャンケンで誰が買い行くのか
決めていたとは・・・」
「うぐ・・・」
「そしてそのあと様々なものを
他の先生から頼まれたんですか・・・」
「いや~頼られたら断れない性格なので~」
「・・・もう一度お願いします(ニコッ)」
多分今の僕は目が笑っていないのだろう。
「ごめんなさい」
「まぁいいですよ・・・
今度の休日ですよね?」
「えっ、手伝ってくれるの!?」
「えぇ流石にこの状況で断れるほど
人でなしではないです」
「一色先生ありがとう~!」
と言うと五十嵐先生は僕の手を握り
上下に振った。
「ち、ちょっと五十嵐先生!?」
「本当にありがとう~!」
この行為はしばらく続いた。

そしてその日の放課後
「はぁ・・・せっかくの休日が・・・」
僕は文芸部の部室で仕事をしながら
ぼやいていた。
・・・いやだってさ。
せっかくの休日だぜ?
美人な五十嵐先生と一緒っていうのが
唯一の救いだけどさ
・・・と思ったらあの人が
事の発端だと思うと納得いかない。
「・・・確かにせっかくの私との休日が」
と隣の二井見さんが呟いていた。
「僕は君と休日の予定は無いはずだが・・・」
「・・・照れなくていい」
「照れてないからね!?」
「・・・むぅ」
二井見さんは顔をムスっとしていた。
彼女は表情の起伏が少ない。
だが最近はその微妙な表情の違いが
分かるようになった。
と思っていると二井見さんは不意に僕の手を見て
「・・・てぃ」
と先日の怪我の傷口付近をつねった。
「痛たたたたたたたたた!?
いきなり何をしだすのさ!?」
まだ傷口が完全にふさがってないため
つねられると痛いのである。
「・・・浮気禁止?」
「何故疑問形なんだい?
そして何故疑問形でつねられるんだ?」
「・・・一度に二つの質問は無理」
「じゃあ何故疑問形なんだ?」
「・・・なんとなく」
「そうですか・・・」
多分これ以上話をしても意味がなさそうなので
僕は再び仕事に目を向けた。
「・・・ちなみに誰と行く?」
「ん?五十嵐先生だよ」
「・・・女性の教師」
「ど、どうしたの二井見さん?」
・・・僕、今とんでも無い間違いをした予感。
そして大体こういう予感に限って当たる。
「・・・行く」
「どこにかな?」
なんとなく分かっているけど
一応聞くことにした。
「・・・先生と同じ場所に」
「やっぱりか・・・」
僕の予感は当たった。

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