教師な僕と生徒な彼女

きりんのつばさ

心が折れそう・・・

僕が二井見さんの元に
行きだしてから数日・・・
「ハロ〜‼︎」
「・・・」

別の日
「へいへい‼︎」
「・・・」

これまた別の日
「いぇ〜い‼︎」
「・・・」

「会話がない‼︎」
「・・・蓮も苦労するな」
と僕の部屋に海斗を呼んで
愚痴っていた。
「てか反応すらしてくれないよ⁉︎」
「そもそもお前の挨拶を
どうにかした方がいいんじゃないかな?」
「地味に正論は響く・・・
そ、そういう海斗は華道部どうなんだ?」
「初対面は引かれたが
普通に話せているが?」
「そういえばお前って
そういう奴だよな‼︎」
海斗は見た目もあり、初対面は引かれるが
2回目以降は普通に会話の輪に
いるのである。
どうやら生徒の中でもそうみたいだ。
「なんだよ・・・
既に心が折れそうだよ〜」
「てか意外だな」
「何が?」
「お前が1人にこだわるなんて
珍しいと思って」
「どういう意味だよ?」
「いや、蓮って良くも悪くも
1つにこだわらないだろ。
だからあんな生徒と仲良くなろうと
しているのが珍しい」
「そりゃ仕事にそんな文句
言ってられないだろう?」
・・・言えない。
脅されているから
頑張っているとは。
「それもそうか・・・
授業の方に支障をきたさない様に
しろよ?」
「それは大丈夫さ。
授業は普通にこなしている」
と僕らはお互いの授業の意見交換という
かなり真面目な話し合いをして
その日は解散した。

次の日も僕は二井見さんとの
関係改善に向けて頑張るのだが・・・
「何の本読んでいるんだ?」
さりげなく会話を振ってみる。
「・・・」
とさりげなくこちらから体の向きを変えた。
再び僕が彼女の前に行くと
「・・・」
無言でまた向きを変えられてしまった。
さて、どうしたものか・・・
かれこれ1週間全く進展がない。
このままだと本当に牢屋に
入れられてしまう・・・
「ココアでも飲んで気分変えるか」
僕はカバンの中に入れていた
ココアの元を出した。
よくカバンの中にはココアの元を入れていて
その場で作ったりする。
この学校の部室には誰が置いたのか分からないが
ポットがあるため、使うことにした。
「・・・何しているの?」
と二井見さんが声を出した。
「あっ、喋った」
「・・・うるさい。
何してるの?」
「ココアを作っているんだ
二井見さんも飲むかい?」
「・・・別に」
「あら、そうかい」
丁度お湯ができたそうなので
マイマグカップに元とお湯を入れて
ココアを作った。
「やっぱり癒されるな〜この匂い」
甘い匂いは疲れた体に染みるんだよね。
と僕がココアを飲んでいると
どこからか視線を感じた。
「・・・」
視線の元は二井見さんだ。
「飲みたいのかい?」
試しに聞いてみるものも
「・・・いらない」
と言われてしまった。
再びココアを飲み始めると視線を感じた。
ちらっと見るとやっぱり二井見さんだった。
「・・・欲しいのなら素直に言いなよ」
「別に欲しいとは言ってない・・・」
多分この子は自分からは絶対欲しいとは
言わないと思った僕は・・・
「しょうがないな・・・
ここにあるマグカップ使っていいよね?」
「・・・別に」
と言われたので勝手に肯定の意味として
捉える事にした。
そのマグカップにココアの元とお湯を入れ
ココアを作った。
「はい、どうぞ」
二井見さんの前に置いた。
「・・・欲しいって言ってない」
「いや〜たまたま作ったら余っちゃってさ
だから飲んでくれるとありがたいかな〜」
とさりげなく頼み込むと
「・・・仕方ない飲んであげるよ。
仕方ないしね」
・・・今、仕方ないってニ度言ったよね?
「ありがとうございますね」
「・・・いきなりどうしたの?
媚び売り始めて」
「売ってないわ‼︎」

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品