教師な僕と生徒な彼女

きりんのつばさ

セカンドエンカウント

2日目といってもやる事は殆ど無い。
ただし、それは教科に限っての事である。
僕には例の依頼がある。
なので今日は文芸部に足を運ぶ必要があった。
そして只今時刻は午後1時だった。
僕は文芸部の部室の前にいる。
どうやらその女子生徒は授業には出ないが
部室にはいるらしい。
しかも教員が注意しようにも
学校にかなりの寄付金を納めているので
中々注意出来ない。
「よし、入るか」
僕はドアをノックした。
トントン
「一色です、入りますね」
とドアを開けた瞬間・・・
目の前に文庫本が見えたと思ったら
僕の顔に命中していた。
「グハッ」
「・・・誰?」
「いてていきなり本が当たるとは・・・
僕は今年からこの学校に勤める事になった
一色蓮だよ」
「・・・貴方は昨日の」
とあちら側も僕の事を
思い出してくれたようだ。
「君とは昨日ぶりだね
二井見にいみはるさん」
と僕が本名を言うと彼女は警戒しているのか
「・・なんで私の本名知ってるの?
まさかストーカー?」
いきなりストーカー扱いされる僕。
「そんなわけあるか⁉︎
今日から僕が文芸部の顧問になったんだ」
「・・・そう」
「だから今日からよろしく‼︎」
と声をかけてはみたが
「・・・私、授業に行かない」
「バレんの早いな⁉︎」
早くも僕の計画に下方修正が加わりそうだ。
「・・・認めるんだ?」
「そりゃ隠してもいつかはバレるだろうし
なら隠さずに堂々とやろうかな〜と思ってね。
というかさっきの本」
「さっきの本?」
「なんで投げてきたの?」
実は開口一言目に言いたかったが我慢していた。
「・・・いつも教師達が授業に出ろって
うるさいから来るたびに本を投げていた。
そしたらいつからか来なくなった」
「そりゃ来ないだろうね⁉︎」
いきなり目の前に本が飛んできて
しかも毎時間飛んできたら
呼ぶ気も失せるだろう。
「・・・貴方は何日続く?」
「僕は毎日くるさ‼︎」
だって将来の安定のためにね‼︎
「・・・変な教師」
「いきなり本を投げてくる女子生徒には
言われたくないかな〜」
「・・・それって私の事指してる?」
と若干不愉快そうな顔をしてきた。
「いや〜誰とは言ってないよ?
それは二井見さんの考えすぎじゃないかな」
「・・・貴方、本当に教師なの?」
「まぁね、一応大学四年間で教員の免許
取りましたからね〜」
「・・・ムカつく教師」
「そして僕の名前は一色蓮だ
教師っていう名前じゃない」
「・・・うるさい。
ただの教師」
「ただの教師じゃないよ、一色だ」
とここまで来ると意地でも名前を
呼んでもらおうと思った。
「・・・教師」
「一色だ」
「・・・教師」
「一色」
「・・・教師」
「一色」
「・・・教師」
「いい加減、一色先生って呼びなよ?
呼んで楽になろうぜ〜」
「・・・うるさい、教師」
「一色先生な〜」
「・・・一色先生、生徒相手にムキに
なってどうするんですか」
と五十嵐先生に注意されるまで続いた。

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