教師な僕と生徒な彼女

きりんのつばさ

自己紹介

赴任して初日に怒られるという学校始まって以来の
珍記録を残した僕と海斗は先輩の先生に
新任のあいさつをする体育館に向かった。
「お前は職員室にどうやっていったんだよ?」
海斗が不思議そうに聞いてきた。
話を聞くと海斗は逃げてすぐ警備員に捕まったそうだ。
「僕はたまたま女子生徒に助けてもらった」
「・・・お前運良いな」
「睨むなよ。海斗は睨むと圧がすごいから女子生徒ビビるよ?」
「それは善処する・・・」
「いいよ、とりあえずは僕もフォローはするよ」
「助かる・・・」
「ほら先生方、いきますよ」
「「は、はいっ!」」

そして体育館の裏に案内されたのだが
「生徒多いな・・・」
「ああ・・」
流石に高校生だけであっても
軽く500人ぐらいはいる。
いるだけでも威圧感がすごい。
「---では今から今年度からこの学校の新任で来られた先生方の
紹介をいたします。
先生方、どうぞ壇上の中ほどまで来てください」
とアナウンスがあり、僕と海斗は壇上の中央付近にいった。
どうやら見た感じ、僕が最初に挨拶をするみたいだ。
「じゃあ海斗、行ってくるね」
「おう、行ってこい」
先輩の先生からマイクをもら自己紹介をすることになった。
「皆さん、初めまして。
私は一色いっしきれんと言います。
今年度からこの学校で社会科の科目を担当することに
なりました。まだ頼りないところもあると思いますが
よろしくお願いいたします」
と簡単に挨拶をすると、生徒側から拍手が起こった。
・・・まぁまぁ挨拶の受けはいいかな。
挨拶を終えた僕は海斗にマイクを渡した。
「がんばれよ」
「おう、やってみる」
と簡単に挨拶を終えて、今度は海斗が自己紹介をすることになった。
「皆さん、初めまして。
私も隣の一色先生と同じように今年度から
この学校で英語科を」
「「「えぇ~!!」」」
海斗が自分の担当科目を言い終える前に
生徒側から驚きの声が返ってきた。
「やっぱりそうなるよね・・・」
そうなのである。
この海斗という男。
見た目はヤ〇ザそっくりの見た目なのに
英語は流暢に話す。
そして華道や茶道が得意という
見た目からは全く想像つかない男である。
という僕もその見た目とのギャップに
驚かされた内の一人でなんだけどね。
「と、とりあえず英語科を担当する
三上みかみ海斗かいとと言います。
よろしくお願いします」
と挨拶を終えると僕以上の拍手が返ってきた。
・・・そりゃそうか。
そして海斗が先輩の先生にマイクを返すと
「そして一色先生には文芸部を
三上先生には華道部の顧問をしてもらいますので
皆さん、この学校のことを教えてあげてください」
と言われた瞬間、僕と海斗は顔を見合わせた。
・・・待て待て。ちょっと待て。
今なんて言った・・?
僕が文芸部の顧問だと・・・
聞いてないぞ・・・
「「ちょっと!?先生!?」」
僕らの声が見事にハモると
「いや~丁度二つの部活の顧問の先生が
定年しまして・・・
それで丁度新任の先生が来たので
そのまま入れてしまえというわけです」
どうやらそういう訳であるらしい。
「三上先生は分かりますが
なぜ僕は文芸部なんですか!」
と僕が文句を言うと
「そのことなんですけど・・・
あとで校長がお話があるそうです」
「僕にですか?」
「はい」

この話し合いというのが後の僕の
運命をガラッと変えることになるのだが
この時の僕は想像していなかった。

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