とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

式神使い















さてさて、どうしてこうなった……

今現在僕は巫女さんとバーチャルリアリティ空間にいる。ことの発端は卓球をした後だ。卓球は花実の能力がチートすぎた…エッジボールが多発したのだ。エッジボールとは打ったピン球が台の端に当たりイレギュラーバウンドすることだ。ぶっちゃけエッジボールを取るのはかなり難しい。花実は運でエッジボールを連発し圧勝、勝負にならないと言う理由で卓球は中止…

そして暇になった僕達がぶらぶらと歩いていた時に発見したのがバーチャルリアリティ用の機械だ。ホテルの人に聞いたところノーマルステージの戦闘のみ可能らしい、それを知った巫女さんが戦いをしたいと言い出したのだ。まあ、巫女さんは神峰高校の生徒じゃないからまだランキング戦未経験だしそう思っても仕方ないか…

そしてその後誰と戦うか、という議論が始まった。最初はゆき姉がやると言い出したのだが巫女さんが僕と戦いたいと言い出した。理由を尋ねたらこの前のランキング戦で勝手に巫女さんの能力を使って少し腹が立っていたからとのこと…勝手に使ってすみません…まあ、冗談みたいだったからいいけど……

というわけで巫女さんの能力の使用料として僕は巫女さんと戦うことになった。ちなみに僕と巫女さんが戦うと知った野次馬たち(全員)が観客席に座っている。

「まさかバーチャルリアリティ空間まであるなんてね…あの2人の試合が終わったら誰か私とやらない?」

楓先輩がみんなに尋ねる。

「じゃあ、私がお相手しましょうか?」

「白雪姫…いいわ…相手にとって不足はない。全力で相手してあげる」

楓先輩が上から目線で言うが現在ゆき姉と楓先輩の戦績は3敗0勝と楓先輩がゆき姉に完封されている。

「始まるみたいだから静かにするのよ…」

ヴィオラ先輩がそう呟くとみんなが僕達の方に注目する。

「さて、じゃあ始めましょう。式神の本当の使い方をお見せします」

試合が始まった瞬間、僕はテレポートで巫女さんの後ろに回りこむ。

そしてそのまま蹴りを入れる。だが、僕の蹴りが巫女さんに当たる直前、巫女さんが式神を召喚した。

「くっ…」

巫女さんが召喚した反射の式神により僕の攻撃は弾かれる。あれ、これ詰んでない?

巫女さんが反射の式神の他に爆破の式神ともう1体謎の式神を召喚する。

「さて、それじゃあ鎮魂曲を奏でましょう」

巫女さんがそう言うと爆破の式神が僕目掛けてお札を放つ。このお札に触れたら爆発が起こる。だが、この程度のスピードなら簡単に避けられる。と、僕は思っていた。 

「な、なんで…」

爆発に巻き込まれた左を抑えながら僕が呟く。何故だ、お札には触れていないはず…あの式神の仕業か…僕は先程巫女さんが、召喚した式神を見ながら考える。

「不思議そうな表情ですね。この式神は時の式神、私に敵対する者の時間を3秒だけ止められます。もう一度発動するまで1分インターバルが必要ですが…さて、今私は味覚、触覚、嗅覚を遮断してます。そして今から視覚と聴覚を11分封じます。これがどういうことかお分かりですね?」

巫女さんがそう呟きながら新たに2体の式神を召喚する。巫女さんが僕に言いたいこと…それは僕に勝ち目がないということだ。ぶっちゃけ反射の式神を召喚された時点で僕の負けだ。反射の式神は全ての攻撃を弾く。巫女さんに向けた攻撃も反射の式神への攻撃も無力化される。僕の攻撃はどうやっても巫女さんに届かないし僕は反射の式神を無力化する術がない。僕の能力は最大11分だが巫女さんは無限に使える。能力が使えなくなったら僕の負けだ。

「これは詰みなのかしら…」

「これは無理ね…」

ヴィオラ先輩と楓先輩が僕の方を見ながら呟く。

「勝ち目はまだありますよ」

ゆき姉はそう呟いたのがたしかに聞こえた。たしかに勝ち目はある。だが…ぶっちゃけかなり無理ゲーだし最後の最後はかなり確率の悪い賭けになる。勝てる確率は1%もないだろう…だけど僕だって負けるのは嫌だからな…やるだけやってみるか…
















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